私のバラ色ではない人生

野村にれ

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ロンド王国

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「私の謝罪は受け入れるとのことでした」

 ロンド王国に戻ったサブリナは、そのままデオリス国王陛下に報告をした。

「どういう意味だ?」
「そのままの意味ではないでしょうか?」
「フローラのことは許さないということか?」
「男漁りをしていたのですから」
「男漁りだと?」

 唯一の王女が、男漁りをしていたなど、そのような言い方をしなくてもいいではないかと感じたが、自分の娘ではないのにと腹を立てているのだろうと思った。

「ええ、エスザール王国のミレスゴート公爵家に無理矢理に参加して、ソアリス王妃陛下の前でしていたのです」
「それはそうだが…まあ、謝罪はしたのだから、もう解決だと思っていいだろう。気にすることもないか」
「陛下がそう判断されるのならば」
「そうか、ご苦労であった」

 デオリスは満足そうに頷き、サブリナは助言する気はなかった。

 サブリナもソアリスは挨拶を交わす程度で、詳しくは知らなかったが、外交の場で見せる顔ではなく、圧倒的な力を感じた。

 クーナの言ったことは、私が言ってしまいたかったことであった。たった一人の王妃として、7人もの子どもを産み、私が望んでいたことを全て叶えている。

 しかも、子ども5人は無事に結婚し、子宝にも恵まれている。息子たちは結婚しているが、まだ孫は生まれていなかった。

 王宮の空気は最悪だ、何も考えていないのはビリリー側妃だけ。

 謝罪もビリリーには無理だと判断されて、フローラに一緒に行くように伝えたが、怖いから嫌だと言い出し、サブリナが一人で行くことになった。

 デオリスはエミアンローズ王女のこと、シシリーヌ元王女のこと、ララシャ元王子妃のことでも出して、お互い様じゃないかと、丸く収めさせればいいと言ったが、言わなくて正解だったように思う。

 フローラは離縁されて、荒れたままであった。おかげで、王太子妃や王子妃に当たったりと、厄介な存在である。ゆえにエスザール王国に行っている間は、良かったが、こんなことになってしまった。

 デオリスはフローラを国内のどこかの貴族に押し付ける気でいるが、価値があるのは王家の血筋という部分だけであろう。

 子どもだけ産まされて、どこかに幽閉する方がいいかもしれない。

 そんなことを考えているような私に、幸せなソアリス王妃には、気持ちなど分かるはずもない。

 訪ねる前は側妃の娘であることで、可哀想だと同情してくれるのではないかとは思っていた。だが、そうであって、そうでない結果になってしまった。

 一体、何を考えてらっしゃるのか。

 帰りの道中で、クーナとソアリス王妃陛下は何を考えているのかということを話していた。

『言われた様にお伝えしましょう』
『だけど』
『今のままでよろしいのですか?王太子妃殿下のお子が流れたのも、意図的ではないのなら環境のせいではないかと思っております』

 王太子妃は妊娠したが、側妃とフローラ王女の嫌味に疲弊していた。そして、子どもは流れてしまった。何かしたのではないかとすら思ったが、証拠はなかった。

 正直、そんな力もビリリーにはなかった。

 側妃も王女もお荷物でしかないのに、ビリリーは気付いていないが、デオリスが自分より役に立たない存在として置いているのだ。

『でも、何が出来ると言うの?』
『それは分かりませんが、あの方に託してみてもいいのではないでしょうか?立場が強いのはあちらです、しかもエスザール王国の王子妃のご母堂です』
『そうだけど…何もないまま、終わりになるんじゃないの…』

 サブリナはデオリスが死ぬのを待つしかないと、今の現状を既に諦めていた。だから、どこか上辺だけ取り繕っているように、ソアリスに見抜かれたのである。

『私はそうは思いません』
『分かったわ、そのまま話しましょう。話すこともありませんしね』

 そして、デオリスに伝えた。これから何か起こるのか、起こらないのか。
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