369 / 752
ロンド王国
しおりを挟む
「私の謝罪は受け入れるとのことでした」
ロンド王国に戻ったサブリナは、そのままデオリス国王陛下に報告をした。
「どういう意味だ?」
「そのままの意味ではないでしょうか?」
「フローラのことは許さないということか?」
「男漁りをしていたのですから」
「男漁りだと?」
唯一の王女が、男漁りをしていたなど、そのような言い方をしなくてもいいではないかと感じたが、自分の娘ではないのにと腹を立てているのだろうと思った。
「ええ、エスザール王国のミレスゴート公爵家に無理矢理に参加して、ソアリス王妃陛下の前でしていたのです」
「それはそうだが…まあ、謝罪はしたのだから、もう解決だと思っていいだろう。気にすることもないか」
「陛下がそう判断されるのならば」
「そうか、ご苦労であった」
デオリスは満足そうに頷き、サブリナは助言する気はなかった。
サブリナもソアリスは挨拶を交わす程度で、詳しくは知らなかったが、外交の場で見せる顔ではなく、圧倒的な力を感じた。
クーナの言ったことは、私が言ってしまいたかったことであった。たった一人の王妃として、7人もの子どもを産み、私が望んでいたことを全て叶えている。
しかも、子ども5人は無事に結婚し、子宝にも恵まれている。息子たちは結婚しているが、まだ孫は生まれていなかった。
王宮の空気は最悪だ、何も考えていないのはビリリー側妃だけ。
謝罪もビリリーには無理だと判断されて、フローラに一緒に行くように伝えたが、怖いから嫌だと言い出し、サブリナが一人で行くことになった。
デオリスはエミアンローズ王女のこと、シシリーヌ元王女のこと、ララシャ元王子妃のことでも出して、お互い様じゃないかと、丸く収めさせればいいと言ったが、言わなくて正解だったように思う。
フローラは離縁されて、荒れたままであった。おかげで、王太子妃や王子妃に当たったりと、厄介な存在である。ゆえにエスザール王国に行っている間は、良かったが、こんなことになってしまった。
デオリスはフローラを国内のどこかの貴族に押し付ける気でいるが、価値があるのは王家の血筋という部分だけであろう。
子どもだけ産まされて、どこかに幽閉する方がいいかもしれない。
そんなことを考えているような私に、幸せなソアリス王妃には、気持ちなど分かるはずもない。
訪ねる前は側妃の娘であることで、可哀想だと同情してくれるのではないかとは思っていた。だが、そうであって、そうでない結果になってしまった。
一体、何を考えてらっしゃるのか。
帰りの道中で、クーナとソアリス王妃陛下は何を考えているのかということを話していた。
『言われた様にお伝えしましょう』
『だけど』
『今のままでよろしいのですか?王太子妃殿下のお子が流れたのも、意図的ではないのなら環境のせいではないかと思っております』
王太子妃は妊娠したが、側妃とフローラ王女の嫌味に疲弊していた。そして、子どもは流れてしまった。何かしたのではないかとすら思ったが、証拠はなかった。
正直、そんな力もビリリーにはなかった。
側妃も王女もお荷物でしかないのに、ビリリーは気付いていないが、デオリスが自分より役に立たない存在として置いているのだ。
『でも、何が出来ると言うの?』
『それは分かりませんが、あの方に託してみてもいいのではないでしょうか?立場が強いのはあちらです、しかもエスザール王国の王子妃のご母堂です』
『そうだけど…何もないまま、終わりになるんじゃないの…』
サブリナはデオリスが死ぬのを待つしかないと、今の現状を既に諦めていた。だから、どこか上辺だけ取り繕っているように、ソアリスに見抜かれたのである。
『私はそうは思いません』
『分かったわ、そのまま話しましょう。話すこともありませんしね』
そして、デオリスに伝えた。これから何か起こるのか、起こらないのか。
ロンド王国に戻ったサブリナは、そのままデオリス国王陛下に報告をした。
「どういう意味だ?」
「そのままの意味ではないでしょうか?」
「フローラのことは許さないということか?」
「男漁りをしていたのですから」
「男漁りだと?」
唯一の王女が、男漁りをしていたなど、そのような言い方をしなくてもいいではないかと感じたが、自分の娘ではないのにと腹を立てているのだろうと思った。
「ええ、エスザール王国のミレスゴート公爵家に無理矢理に参加して、ソアリス王妃陛下の前でしていたのです」
「それはそうだが…まあ、謝罪はしたのだから、もう解決だと思っていいだろう。気にすることもないか」
「陛下がそう判断されるのならば」
「そうか、ご苦労であった」
デオリスは満足そうに頷き、サブリナは助言する気はなかった。
サブリナもソアリスは挨拶を交わす程度で、詳しくは知らなかったが、外交の場で見せる顔ではなく、圧倒的な力を感じた。
クーナの言ったことは、私が言ってしまいたかったことであった。たった一人の王妃として、7人もの子どもを産み、私が望んでいたことを全て叶えている。
しかも、子ども5人は無事に結婚し、子宝にも恵まれている。息子たちは結婚しているが、まだ孫は生まれていなかった。
王宮の空気は最悪だ、何も考えていないのはビリリー側妃だけ。
謝罪もビリリーには無理だと判断されて、フローラに一緒に行くように伝えたが、怖いから嫌だと言い出し、サブリナが一人で行くことになった。
デオリスはエミアンローズ王女のこと、シシリーヌ元王女のこと、ララシャ元王子妃のことでも出して、お互い様じゃないかと、丸く収めさせればいいと言ったが、言わなくて正解だったように思う。
フローラは離縁されて、荒れたままであった。おかげで、王太子妃や王子妃に当たったりと、厄介な存在である。ゆえにエスザール王国に行っている間は、良かったが、こんなことになってしまった。
デオリスはフローラを国内のどこかの貴族に押し付ける気でいるが、価値があるのは王家の血筋という部分だけであろう。
子どもだけ産まされて、どこかに幽閉する方がいいかもしれない。
そんなことを考えているような私に、幸せなソアリス王妃には、気持ちなど分かるはずもない。
訪ねる前は側妃の娘であることで、可哀想だと同情してくれるのではないかとは思っていた。だが、そうであって、そうでない結果になってしまった。
一体、何を考えてらっしゃるのか。
帰りの道中で、クーナとソアリス王妃陛下は何を考えているのかということを話していた。
『言われた様にお伝えしましょう』
『だけど』
『今のままでよろしいのですか?王太子妃殿下のお子が流れたのも、意図的ではないのなら環境のせいではないかと思っております』
王太子妃は妊娠したが、側妃とフローラ王女の嫌味に疲弊していた。そして、子どもは流れてしまった。何かしたのではないかとすら思ったが、証拠はなかった。
正直、そんな力もビリリーにはなかった。
側妃も王女もお荷物でしかないのに、ビリリーは気付いていないが、デオリスが自分より役に立たない存在として置いているのだ。
『でも、何が出来ると言うの?』
『それは分かりませんが、あの方に託してみてもいいのではないでしょうか?立場が強いのはあちらです、しかもエスザール王国の王子妃のご母堂です』
『そうだけど…何もないまま、終わりになるんじゃないの…』
サブリナはデオリスが死ぬのを待つしかないと、今の現状を既に諦めていた。だから、どこか上辺だけ取り繕っているように、ソアリスに見抜かれたのである。
『私はそうは思いません』
『分かったわ、そのまま話しましょう。話すこともありませんしね』
そして、デオリスに伝えた。これから何か起こるのか、起こらないのか。
4,124
あなたにおすすめの小説
公爵令嬢は結婚前日に親友を捨てた男を許せない
有川カナデ
恋愛
シェーラ国公爵令嬢であるエルヴィーラは、隣国の親友であるフェリシアナの結婚式にやってきた。だけれどエルヴィーラが見たのは、恋人に捨てられ酷く傷ついた友の姿で。彼女を捨てたという恋人の話を聞き、エルヴィーラの脳裏にある出来事の思い出が浮かぶ。
魅了魔法は、かけた側だけでなくかけられた側にも責任があった。
「お兄様がお義姉様との婚約を破棄しようとしたのでぶっ飛ばそうとしたらそもそもお兄様はお義姉様にべた惚れでした。」に出てくるエルヴィーラのお話。
妹は奪わない
緑谷めい
恋愛
妹はいつも奪っていく。私のお気に入りのモノを……
私は伯爵家の長女パニーラ。2つ年下の妹アリスは、幼い頃から私のお気に入りのモノを必ず欲しがり、奪っていく――――――な~んてね!?
これは一周目です。二周目はありません。
基本二度寝
恋愛
壇上から王太子と側近子息達、伯爵令嬢がこちらを見下した。
もう必要ないのにイベントは達成したいようだった。
そこまでストーリーに沿わなくてももう結果は出ているのに。
出戻り娘と乗っ取り娘
瑞多美音
恋愛
望まれて嫁いだはずが……
「お前は誰だっ!とっとと出て行け!」
追い返され、家にUターンすると見知らぬ娘が自分になっていました。どうやら、魔法か何かを使いわたくしはすべてを乗っ取られたようです。
絵姿
金峯蓮華
恋愛
お飾りの妻になるなんて思わなかった。貴族の娘なのだから政略結婚は仕方ないと思っていた。でも、きっと、お互いに歩み寄り、母のように幸せになれると信じていた。
それなのに……。
独自の異世界の緩いお話です。
【完結】手紙
325号室の住人
恋愛
☆全3話 完結済
俺は今、大事な手紙を探している。
婚約者…いや、元婚約者の兄から預かった、《確かに婚約解消を認める》という内容の手紙だ。
アレがなければ、俺の婚約はきちんと解消されないだろう。
父に言われたのだ。
「あちらの当主が認めたのなら、こちらもお前の主張を聞いてやろう。」
と。
※当主を《兄》で統一しました。紛らわしくて申し訳ありませんでした。
初めから離婚ありきの結婚ですよ
ひとみん
恋愛
シュルファ国の王女でもあった、私ベアトリス・シュルファが、ほぼ脅迫同然でアルンゼン国王に嫁いできたのが、半年前。
嫁いできたは良いが、宰相を筆頭に嫌がらせされるものの、やられっぱなしではないのが、私。
ようやく入手した離縁届を手に、反撃を開始するわよ!
ご都合主義のザル設定ですが、どうぞ寛大なお心でお読み下さいマセ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる