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作戦1
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クロンデール王国では、ソアリスが公務を行いながら、作戦を練っていた。手札は過剰なほどに揃い始めていた。
アンセムも、ゾル王国のことを考えれば、ソアリスに協力することにした。
「シシリーヌはどうするつもりだ?」
「元人気者王女こと尻を出せリーヌは、とりあえずゾル王国に戻そうと思います。お義姉様には既に連絡済みで、匿う場所を用意すると許可を得ています」
人気者王女は王女ではなくなったので、使用が出来なくなった。
「姉上にも?」
「ええ、勿論ですわ。マリエンヌ様にはまだ伝えていません」
「姉上には事情を話したのか?」
「ご賛同いただきましたわ」
アイリーン姉上ならば、間違いなく、マリエンヌ王妃陛下のためにも力を貸すだろう。そして、ソアリスの話も納得が出来るものであったはずだ。
「だが、シシリーヌは了承するのか?」
「すると思います」
「上手くいっていないのか?」
愛人であるので、上手くいっているという表現が正しいか分からないが、逃避行は終わりを告げていたのか?
「そうらしいわ、もうほとんどやって来ることはないらしいの。尻を出せリーヌは嘆いているらしいけど、行くところもないわけでしょう?」
「今より戻った方がいいということか?」
「とは言っても、元に戻れるわけではないけど」
「戻れるなんて思っていないか?」
あの様子のままならば、王女に戻れるなどと思ってもおかしくはない。
「だから切り離すのよ、お義姉様は修道院でもいいのではないかと書かれていたわ」
「そうだな、元婚約者も結婚されて、子どもも生まれているのだろう?」
パトリック・ダソール公爵令息は、シシリーヌが出て行って、一年後に婚約をして、二年後に結婚をして、今では一男一女に恵まれている。
シシリーヌが戻れば、荒れるのは必須である。
「ええ、絶対に近付けてはならないわよね。そこは、国王夫妻に任せようと思っているわ」
「それがいいな」
リガルタ陛下とマリエンヌ王妃陛下ならば、いくら娘でも間違いを犯すことはないと信じられる。
「で、どうやって、誰がやるんだ?」
ソアリスは鼻に皺を寄せて笑った。
「まさか、君が?」
「違うわ、エクシアーヌとマイノスにやらせようかと思っているの。エクシアーヌは妹でしょう?」
「エクシアーヌに?」
「あちらには話を付けて、国に戻すと言えば、肩の荷も下りるのではないかしら?エクシアーヌはあれから会わないままでしょう?私は決着というには話が通じなかったけど、それでも言い合って決着を付けさせたいの」
エクシアーヌはシシリーヌが出て行ったまま、当たり前だが会っていない。
「そして、国王夫妻にも言えることだと思うの」
「それは、そうかもしれないな…」
国王夫妻もあれから、おそらくシシリーヌの動向は監視させているだろうが、会っていないはずである。
「あと、これは私の想像だけど、マイノスとエクシアーヌが、二人目を作らないのも、姉妹になるのが怖いのではないかと思って」
「そうなのか…?」
エマリーは女の子であり、妹が生まれれば、自ずと姉になる。別に子どもは一人でもいい。だが、そんな理由であるならば、いいきっかけになるかもしれない。
「私の想像よ?」
「ソアリスも、そう思っていたのか?」
「私が?んなはずないでしょう!」
「え?」
ソアリスも姉妹にそんな感情を抱いていたから、そのような考えになったのではないかと思った。
「私よ?そんなことになったら、引っ叩いてでも、引きずってでも、私のようにならないようにするわよ」
「そ、そうだな」
そうだった、ソアリスがそのようなことを許すはずがない。
「ミフルを優遇したことを怒ったのを覚えていないの?」
「いや、憶えている」
いい大人が、この国の重鎮が、揃いも揃って縮こまっていた。
アンセムも、ゾル王国のことを考えれば、ソアリスに協力することにした。
「シシリーヌはどうするつもりだ?」
「元人気者王女こと尻を出せリーヌは、とりあえずゾル王国に戻そうと思います。お義姉様には既に連絡済みで、匿う場所を用意すると許可を得ています」
人気者王女は王女ではなくなったので、使用が出来なくなった。
「姉上にも?」
「ええ、勿論ですわ。マリエンヌ様にはまだ伝えていません」
「姉上には事情を話したのか?」
「ご賛同いただきましたわ」
アイリーン姉上ならば、間違いなく、マリエンヌ王妃陛下のためにも力を貸すだろう。そして、ソアリスの話も納得が出来るものであったはずだ。
「だが、シシリーヌは了承するのか?」
「すると思います」
「上手くいっていないのか?」
愛人であるので、上手くいっているという表現が正しいか分からないが、逃避行は終わりを告げていたのか?
「そうらしいわ、もうほとんどやって来ることはないらしいの。尻を出せリーヌは嘆いているらしいけど、行くところもないわけでしょう?」
「今より戻った方がいいということか?」
「とは言っても、元に戻れるわけではないけど」
「戻れるなんて思っていないか?」
あの様子のままならば、王女に戻れるなどと思ってもおかしくはない。
「だから切り離すのよ、お義姉様は修道院でもいいのではないかと書かれていたわ」
「そうだな、元婚約者も結婚されて、子どもも生まれているのだろう?」
パトリック・ダソール公爵令息は、シシリーヌが出て行って、一年後に婚約をして、二年後に結婚をして、今では一男一女に恵まれている。
シシリーヌが戻れば、荒れるのは必須である。
「ええ、絶対に近付けてはならないわよね。そこは、国王夫妻に任せようと思っているわ」
「それがいいな」
リガルタ陛下とマリエンヌ王妃陛下ならば、いくら娘でも間違いを犯すことはないと信じられる。
「で、どうやって、誰がやるんだ?」
ソアリスは鼻に皺を寄せて笑った。
「まさか、君が?」
「違うわ、エクシアーヌとマイノスにやらせようかと思っているの。エクシアーヌは妹でしょう?」
「エクシアーヌに?」
「あちらには話を付けて、国に戻すと言えば、肩の荷も下りるのではないかしら?エクシアーヌはあれから会わないままでしょう?私は決着というには話が通じなかったけど、それでも言い合って決着を付けさせたいの」
エクシアーヌはシシリーヌが出て行ったまま、当たり前だが会っていない。
「そして、国王夫妻にも言えることだと思うの」
「それは、そうかもしれないな…」
国王夫妻もあれから、おそらくシシリーヌの動向は監視させているだろうが、会っていないはずである。
「あと、これは私の想像だけど、マイノスとエクシアーヌが、二人目を作らないのも、姉妹になるのが怖いのではないかと思って」
「そうなのか…?」
エマリーは女の子であり、妹が生まれれば、自ずと姉になる。別に子どもは一人でもいい。だが、そんな理由であるならば、いいきっかけになるかもしれない。
「私の想像よ?」
「ソアリスも、そう思っていたのか?」
「私が?んなはずないでしょう!」
「え?」
ソアリスも姉妹にそんな感情を抱いていたから、そのような考えになったのではないかと思った。
「私よ?そんなことになったら、引っ叩いてでも、引きずってでも、私のようにならないようにするわよ」
「そ、そうだな」
そうだった、ソアリスがそのようなことを許すはずがない。
「ミフルを優遇したことを怒ったのを覚えていないの?」
「いや、憶えている」
いい大人が、この国の重鎮が、揃いも揃って縮こまっていた。
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