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挙句の果て
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「フローラ王女殿下に、何かあったのでしょうか?」
「ええ、その可能性が高いことを今、確認して来ましたの」
「可能性、ですか?」
マグフレ公爵はフローラ王女のこととなれば、嫌な予感しかしていなかったが、問題を起こしているのなら、庇うつもりはなく、幽閉でもすればいいとも思っていたのである。
「ええ、何だと思いますか?」
「まさか、妊娠…ですか?」
マディオとサーラも、思わず、えっと声を漏らした。
事実ではないが、自分たちはフローラのせいもあって、子どもを我慢しているのに、そのフローラが妊娠したとなれば、怒りもあるだろうとソアリスも感じた。
「そう言われるということは、仮面舞踏会のことはご存知なのね?」
「っっ」
「あの、仮面舞踏会とは?」
マディオが不思議そうな顔をして、問い掛けた。
「あなたの妹、仮面舞踏会に足繁く通っているそうよ」
「そんな、本当ですか?」
マディオは、マグフレ公爵を見つめた。
「有名だそうよ?だから、宰相も妊娠という言葉が出たのでしょう?未婚の王女に付随する言葉ではないものね?」
「…はい」
「でも違うみたいよ?」
「妊娠ではないと…?」
陛下や側妃は妊娠を隠すだろうが、隠すことはさせずに、もういいだろうと考えていた。
「ええ、妊娠していたら大変よ。だって性病の可能性が高いんだもの」
「え?性病…そんな」
「恥ずかしいわよね、離縁された一国の王女が仮面舞踏会に通って、挙句の果てには性病よ?」
「それで医師を…」
「ええ、聞き取りの結果、可能性は高い。撒き散らした可能性すらあるわ。しかも、その体でエスザール王国で男漁りをしたの」
「…っ」
クロンデール王国だけでなく、エスザール王国もとなれば、さすがに不味いと汗が噴き出していた。
「そんな…申し訳ございません」
「申し訳ございません」
マディオとサーラは、頭を下げて謝罪した。
「これはとっても良くない問題よね?」
「はい、その通りです」
マディオはまさかそのような事態に発展するとは思わず、どうすればいいのかと宰相を見た。
「それで皆様、陛下と側妃の前で、検査を受けさせたいのだけど、どうすればいいかしら?」
「それは…」
「えっと…」
「王妃陛下に頼む方がいいと思います」
マディオとサーラは自分たちが受けさせるとは言わず、マグフレ公爵は、腹を括るしかないと思った。どちらにしろ、この国は変わらなければ、未来はない。
「マディオ殿下とサーラ殿下は、自分たちがとは言わないのね。なぜかしら?」
「いえ、私では従うかどうか…」
「私なんて…」
「そんなことを言っていい立場なの?王族なんでしょう?しかも、お二人は私と違って、生まれ持っての王族なはずよ?責任はないの?」
段々と腹の立っていたソアリスは、ピシャリと言い付け、横でケイトがぼそりと『マイナス』と呟いていた。
ケイトにも王族は何かあれば、マイナスされる話はしており、オーリーはその言葉に頷いていた。
「私は力がありませんから」
「私も…両親には迷惑を掛けられません」
「似た者夫婦ってことね、王族は精神面を鍛える方がいいのかしらね」
その言葉にクロンデール王国側は、間違いなく王子や王女はソアリスのおかげで、鍛えられているだろうと感じていた。
母がソアリスではなければ、あんなに強くは育っていない。
何よりも、横に座る今日はストロベリージャムクッキーをイメージされたドレスを纏うケイトは、一番ではないかというほど精神面の強さを持っている。
「サブリナ王妃陛下を何も言わずに、呼んでいただける?」
「はい、承知しました。私が呼んで参ります」
マグフレ公爵がサブリナ王妃陛下を呼びに行き、ソアリスはマディオとサーラを見つめていたが、二人は顔を上げられず、下を向いたままであった。
そして、しばらくするとサブリナ王妃陛下が侍女を伴って現れた。
「ソアリス王妃陛下…」
「ええ、その可能性が高いことを今、確認して来ましたの」
「可能性、ですか?」
マグフレ公爵はフローラ王女のこととなれば、嫌な予感しかしていなかったが、問題を起こしているのなら、庇うつもりはなく、幽閉でもすればいいとも思っていたのである。
「ええ、何だと思いますか?」
「まさか、妊娠…ですか?」
マディオとサーラも、思わず、えっと声を漏らした。
事実ではないが、自分たちはフローラのせいもあって、子どもを我慢しているのに、そのフローラが妊娠したとなれば、怒りもあるだろうとソアリスも感じた。
「そう言われるということは、仮面舞踏会のことはご存知なのね?」
「っっ」
「あの、仮面舞踏会とは?」
マディオが不思議そうな顔をして、問い掛けた。
「あなたの妹、仮面舞踏会に足繁く通っているそうよ」
「そんな、本当ですか?」
マディオは、マグフレ公爵を見つめた。
「有名だそうよ?だから、宰相も妊娠という言葉が出たのでしょう?未婚の王女に付随する言葉ではないものね?」
「…はい」
「でも違うみたいよ?」
「妊娠ではないと…?」
陛下や側妃は妊娠を隠すだろうが、隠すことはさせずに、もういいだろうと考えていた。
「ええ、妊娠していたら大変よ。だって性病の可能性が高いんだもの」
「え?性病…そんな」
「恥ずかしいわよね、離縁された一国の王女が仮面舞踏会に通って、挙句の果てには性病よ?」
「それで医師を…」
「ええ、聞き取りの結果、可能性は高い。撒き散らした可能性すらあるわ。しかも、その体でエスザール王国で男漁りをしたの」
「…っ」
クロンデール王国だけでなく、エスザール王国もとなれば、さすがに不味いと汗が噴き出していた。
「そんな…申し訳ございません」
「申し訳ございません」
マディオとサーラは、頭を下げて謝罪した。
「これはとっても良くない問題よね?」
「はい、その通りです」
マディオはまさかそのような事態に発展するとは思わず、どうすればいいのかと宰相を見た。
「それで皆様、陛下と側妃の前で、検査を受けさせたいのだけど、どうすればいいかしら?」
「それは…」
「えっと…」
「王妃陛下に頼む方がいいと思います」
マディオとサーラは自分たちが受けさせるとは言わず、マグフレ公爵は、腹を括るしかないと思った。どちらにしろ、この国は変わらなければ、未来はない。
「マディオ殿下とサーラ殿下は、自分たちがとは言わないのね。なぜかしら?」
「いえ、私では従うかどうか…」
「私なんて…」
「そんなことを言っていい立場なの?王族なんでしょう?しかも、お二人は私と違って、生まれ持っての王族なはずよ?責任はないの?」
段々と腹の立っていたソアリスは、ピシャリと言い付け、横でケイトがぼそりと『マイナス』と呟いていた。
ケイトにも王族は何かあれば、マイナスされる話はしており、オーリーはその言葉に頷いていた。
「私は力がありませんから」
「私も…両親には迷惑を掛けられません」
「似た者夫婦ってことね、王族は精神面を鍛える方がいいのかしらね」
その言葉にクロンデール王国側は、間違いなく王子や王女はソアリスのおかげで、鍛えられているだろうと感じていた。
母がソアリスではなければ、あんなに強くは育っていない。
何よりも、横に座る今日はストロベリージャムクッキーをイメージされたドレスを纏うケイトは、一番ではないかというほど精神面の強さを持っている。
「サブリナ王妃陛下を何も言わずに、呼んでいただける?」
「はい、承知しました。私が呼んで参ります」
マグフレ公爵がサブリナ王妃陛下を呼びに行き、ソアリスはマディオとサーラを見つめていたが、二人は顔を上げられず、下を向いたままであった。
そして、しばらくするとサブリナ王妃陛下が侍女を伴って現れた。
「ソアリス王妃陛下…」
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