私のバラ色ではない人生

野村にれ

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陰の支配者1

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「信じられないのだが……?」

 誰もがいつも礼儀正しく、凛としている上品なジュリーラが、香水臭いという些細なことだとしても、今の姿から想像ができなかった。

「香水のせいで、気分が悪くなる、頭が痛くなるという者が続出していると聞いて」
「誰に?」
「風紀委員に」
「頼まれたのか?」

 アンセムもソアリスが生徒会や風紀委員になって欲しいと言われていたが、頑なに断られていたが、手伝ってはくれていたことは聞いている。

「そうそう!校則違反とも言い難く、臭いって言い難いって」
「教師は?」
「控えるようには行ったそうだが、変わらなかったらしい。男性はなかなか言い辛いだろう?令嬢たちは相手が侯爵令嬢だとね」
「だが、ソアリスにも先輩だろう?」

 ジュリーラは二年生、ソアリスは一年生のはずである。

「くっせぇ健康被害に、年齢が関係あるか?」
「ないです……」

 学園での先輩後輩を、ソアリスに当てはめてはならない。何か言っても、81歳と83歳に違いはあるかと言われるのがオチである。

「だろう?だから、おくさい様、健康被害が出ておりますと」
「ん?待て、おくさい様と言ったのか?」
「ああ、会いに行ったら臭過ぎて名前を忘れたんだ」

 当時は先回りして、教えてくれる侍女もおらず、ソアリスは名前を知らなかったのだろう。ゆえに、強烈な臭さに聞いていた名前を忘れた。

「臭いに、おを付けて、様を付けて誤魔化そうと思ったんだな」
「そうよ?よく分かったわね」

 察しがいいじゃないと、言わんばかりの澄ました顔をしているが、非常に失礼であるが、丁寧に言っているだろうと思っていたのだろう。

「怒られなかったのか?」
「怒っていたけど、様は付けたわ。そもそも、教室で気分が悪くなったり、頭が痛くなってまで香水を付ける理由なんてないだろう?」
「教室で言ったのか?」
「いや、本当にくっせぇなくらいは言ったと思うけど」

 完全に言っている、挨拶のように言っている。それをジュリーラと同い年のオーランの妻は聞いたのかもしれない。

「教室で全部言うのは可哀想かと思って、呼び出したら、うじゃうじゃ連れてやって来たな」
「ソアリスは一人か?」
「そうよ?リズたちを巻き込みたくはないもの」

 いくら令嬢相手でも危険ではないかと思ったが、先程の様子を見た後で、今までの話からすると、口にはできなかった。

 リズ、パトラ、セラーもソアリスは知らないが、しっかりと見張りをしていた。ただ、出番がなかっただけである。

「文句を言われたのではないか?」
「ジュリーラ様になんて失礼なとか、後輩の癖にとか、公爵令嬢だからって偉そうにとか、この香りは最先端だとか言われたわね。だから、くっせぇ最先端なんてあるのか?って聞いてやったさ」
「んんっ、ソアリスに勝てるとは最初から思っていないが……」

 くっせぇ最先端なんてあっても、要らない。

 そもそもが、どれだけ令嬢を連れても、いくら口の上手い令嬢でも、ソアリスに敵うとは思えない。

 ある意味、戦意を喪失するのは、ララシャのような人間だけである。

 口で勝てなくて、思わず手を上げようとしても、騎士を目指す令嬢でもいなければ、勝てる相手はなかなかいない。

 強さを見せ付けたり、格好いいではなく、ソアリスはずるかろうが、せこかろうが、手っ取り早く仕留める手段を使う。

 それこそ、ララシャのように転がさなくても、ソアリスが言っていたように背中を押すだけでいい。


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本日もお読みいただきありがとうございます。

七夕ですので、1日2話、投稿させていただきます。
17時に、もう1話投稿します。

以前も書きましたが、終わりは見えているのですが、
まだ終わらないという状況になっております。

もう少しお付き合いいただけると有難いです。

よろしくお願いいたします。
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