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陰の支配者11
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「伯爵家もジュリーラが嫁いで来るのに、こんなことになって、カチュアは知らないとまた認めなくて、てんやわんやだったらしいわ」
「確かに婚約をやめるなんて話にもなったかもしれないな」
「ええ、二人が上手くいっていなかったら、そうなっていたでしょうね」
二人は無事結婚したが、カチュアがいなくなったからこそである。
不仲であったなら、いい機会だったが、そうではなかったために、デーラバス伯爵夫妻は土下座して、カチュアの頭を擦り付けて、謝罪させた。
だが、ジュリーラよりも先に、一番立場が上の公爵令嬢が出て来て、制圧してしまったのである。
「どうなったか知らないのか?」
「クロンデール王国に戻って来たら、修道院に入れると言ってあったから、戻って来ることはないようよ。お金の問題ってところも大きいわね」
「お金で雇うようなことをして、今はお金で困る生活ということか」
「自業自得よね」
カチュアは最後まで認めずに、泣き喚いたが、両親は認めて反省も謝罪もできないことで、もう駄目だと厳しい奉公に出させたのである。
「本来はララシャ様が行ってもいいことですよね?」
「メディナ夫人、その通りだな」
「失礼いたしました」
メディナは興味深く話を聞きながら、本来、同級生であるはずのララシャが行ってもいいことで、むしろ王太子殿下の婚約者なのだから、率先して行ってもいい。
「いや、実際、そうだっただろう」
「ララシャが頼られるようなことは想像できないが……」
「利用できると思っていた友人たちには、役に立ったかは別にして、多少頼られていたのではない?」
「ああ……」
口だけは何でも言って頂戴ということは想像はできる。だが、何かすることはない。できることと言えば、誰かにやってと頼むことくらいだろう。
「それこそ、ララシャが香水など好みそうだが?そういったことはなかったな」
さすがのララシャでも、香水臭いということはなかったことを思い出した。
「しょぼくれじじいが、強い香りが駄目ですの」
「そうなのか?」
「ええ、ララシャは想像通り、好きだったと思いますよ。でも、公爵家では禁止だったのです。そこは、しょぼくれに感謝ですわね。外で付けると言っても、匂いですから残りますでしょう?邸に入れてもらえないと思いますわ。あれでも、夫婦仲は良いものですから」
「ああ……」
ソアリスにとって良い親ではないが、夫婦仲は良い。マルシャはいくらララシャでも、キリスの嫌がることは良しとはしないので、叱るほどではないが、香水を付けていることを注意されていたのを見たことがある。
「さてさて、エミアンローズに覚悟しておくように手紙を書いておかなくちゃね」
「そうだな、また妙な手紙が届くのは可哀想だな」
「それでも母親ですからね、私を見ればよく分かるでしょう?」
「そ、そうだな……」
ソアリスにとってマルシャ、エミアンローズにとってララシャ、縁を切ることはできても、母親だということは一生変わることはない。
そのことは、ソアリスが一番分かっている。
「手紙だけなら私を見習って、読まずに捨ててもいいし、読んで馬鹿だなって思うのもいいんじゃない?どうせピデム王国に行くようなお金もないのだから」
アンセムは結婚当初はロアンスラー公爵家から手紙を預かっていたことを思い出したが、あれは読まずに捨てられていたのかと初めて知った。
「写真はどうする?」
「私が預かっておくわ、ご褒美をあげる機会があれば渡してもいいわ」
「マッシュルームじゃないか!」
「まあ!ララシャとマッシュルームを一緒にしないで!マッシュルームの方が賢いわ!」
「それはそうだな」
すっかり犬馬鹿になっているソアリスであったが、アンセムも実は相当で、ソアリスの執務室に行ったり、散歩に行ったりと、可愛がっている。
それは皆も同様で、神妙な顔を頷いており、その通りだなと思った。
「確かに婚約をやめるなんて話にもなったかもしれないな」
「ええ、二人が上手くいっていなかったら、そうなっていたでしょうね」
二人は無事結婚したが、カチュアがいなくなったからこそである。
不仲であったなら、いい機会だったが、そうではなかったために、デーラバス伯爵夫妻は土下座して、カチュアの頭を擦り付けて、謝罪させた。
だが、ジュリーラよりも先に、一番立場が上の公爵令嬢が出て来て、制圧してしまったのである。
「どうなったか知らないのか?」
「クロンデール王国に戻って来たら、修道院に入れると言ってあったから、戻って来ることはないようよ。お金の問題ってところも大きいわね」
「お金で雇うようなことをして、今はお金で困る生活ということか」
「自業自得よね」
カチュアは最後まで認めずに、泣き喚いたが、両親は認めて反省も謝罪もできないことで、もう駄目だと厳しい奉公に出させたのである。
「本来はララシャ様が行ってもいいことですよね?」
「メディナ夫人、その通りだな」
「失礼いたしました」
メディナは興味深く話を聞きながら、本来、同級生であるはずのララシャが行ってもいいことで、むしろ王太子殿下の婚約者なのだから、率先して行ってもいい。
「いや、実際、そうだっただろう」
「ララシャが頼られるようなことは想像できないが……」
「利用できると思っていた友人たちには、役に立ったかは別にして、多少頼られていたのではない?」
「ああ……」
口だけは何でも言って頂戴ということは想像はできる。だが、何かすることはない。できることと言えば、誰かにやってと頼むことくらいだろう。
「それこそ、ララシャが香水など好みそうだが?そういったことはなかったな」
さすがのララシャでも、香水臭いということはなかったことを思い出した。
「しょぼくれじじいが、強い香りが駄目ですの」
「そうなのか?」
「ええ、ララシャは想像通り、好きだったと思いますよ。でも、公爵家では禁止だったのです。そこは、しょぼくれに感謝ですわね。外で付けると言っても、匂いですから残りますでしょう?邸に入れてもらえないと思いますわ。あれでも、夫婦仲は良いものですから」
「ああ……」
ソアリスにとって良い親ではないが、夫婦仲は良い。マルシャはいくらララシャでも、キリスの嫌がることは良しとはしないので、叱るほどではないが、香水を付けていることを注意されていたのを見たことがある。
「さてさて、エミアンローズに覚悟しておくように手紙を書いておかなくちゃね」
「そうだな、また妙な手紙が届くのは可哀想だな」
「それでも母親ですからね、私を見ればよく分かるでしょう?」
「そ、そうだな……」
ソアリスにとってマルシャ、エミアンローズにとってララシャ、縁を切ることはできても、母親だということは一生変わることはない。
そのことは、ソアリスが一番分かっている。
「手紙だけなら私を見習って、読まずに捨ててもいいし、読んで馬鹿だなって思うのもいいんじゃない?どうせピデム王国に行くようなお金もないのだから」
アンセムは結婚当初はロアンスラー公爵家から手紙を預かっていたことを思い出したが、あれは読まずに捨てられていたのかと初めて知った。
「写真はどうする?」
「私が預かっておくわ、ご褒美をあげる機会があれば渡してもいいわ」
「マッシュルームじゃないか!」
「まあ!ララシャとマッシュルームを一緒にしないで!マッシュルームの方が賢いわ!」
「それはそうだな」
すっかり犬馬鹿になっているソアリスであったが、アンセムも実は相当で、ソアリスの執務室に行ったり、散歩に行ったりと、可愛がっている。
それは皆も同様で、神妙な顔を頷いており、その通りだなと思った。
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