10 / 14
10 本当の願い
しおりを挟む
「マキ先生、ナナのこといいダンサーになるって言ってたよ」
リンネははげますように言った。
ナナは黙ったまま、唇を噛んでいる。
「今回の曲、完璧に踊れるようにってジュエルに願ったの」
ナナの声が暗い。
「完璧だったよ、ナナのダンス。よかったね、願いが叶ったんだね」
マリナに言われたことを、ナナにはまだ伝えていない。学校で会ったときに、何度も話そうと思ったが、なかなか言い出せないでいた。
ダンスやジュエルのことを嬉しそうに話すナナを見ていると、ジュエルが悪いことを引き起こすようにも思えなかった。
だから、もう少し様子を見ようと思っていた。
「よくないよ」
ナナが首を横に振った。
「願い方、間違えた」
ナナの目から、涙がこぼれる。ナナは青白くなるほど、下唇を噛みしめていた。今までに見たことがないほど暗い目をしている。
(こんなの、本当のナナじゃない!)
マリナの友だちの話が頭をよぎる。不安で胸がいっぱいになる。
ナナがこんな風になったのは、やっぱりジュエルのせいかもしれない。これ以上ナナに、願いをかけさせてはいけない。
(どうすればいい? ナナに、どんな言葉をかければいい?)
リンネは胸が苦しくなった。
「本当はセンターになりたかったの。そう願えばよかった」
ナナが低い声で言った。
「違うでしょ? ナナの本当の願いは、世界で活躍するダンサーになることでしょ? こんなことくらいで落ち込んでいる場合じゃないよ」
リンネはナナの肩に手を置こうとした。
しかし、ナナに強い力で振り払われた。
「こんなことくらい?」
ナナがヒステリックに叫ぶ。
残っていた数人の生徒が、こっちを見る。
「こんな小さなスクールの発表会でセンターとれないで、世界で活躍なんてできると思う? できるわけないじゃん!」
責め立てるように言われて、リンネも腹が立ってきた。
「できるよ、ナナならできる! わたしが言うんだから絶対だよ。わたしの言うことが信じられないの?」
リンネの声も自然と大きくなってしまう。
「は? 絶対ってなに? リンネって予知能力でもあるの?」
ナナが、ばかにしたように笑う。
「ナナのために言っているのに、なんでわかってくれないの?」
「わたしのため? ただのおせっかいじゃん」
「おせっかいだなんて、ひどい……」
とまどうリンネに、ナナがたたみかけるように言う。
「今のわたしに必要なのは、リンネのくだらないはげましよりも、ジュエルの力なの!」
(もう、頭にきた!)
今、はっきりとわかった。ナナに、ジュエルを持たせておいてはいけない。
「夢叶えたいなら、ジュエルなんかに頼るな!」
思わず叫んでしまう。
「ジュエル、出しなさいよ。今すぐに出しなさい!」
リンネは、ナナの前に右手を突き出した。
「は? なに言ってるの?」
ナナがにらみつけてくる。
「わたし、まだジュエルに願うことがあるの。今からだって、絶対にセンターになってやるんだから」
「もうポジションは決まったんだよ。なれるわけないじゃない」
リンネがそう言うと、ナナは不敵な笑みを浮かべた。ナナが、リンネにぐっと近づいてくる。
ナナがリンネの耳元でささやく。
「なれるよ。マリナちゃんさえいなければね」
リンネは寒気がした。周りに目をやると、スタジオの片隅で心配そうな顔をしているマリナが見えた。
「ちょっと、ナナ。なに考えてるの? ジュエルになにを願う気?」
リンネは震える声で聞いた。
「そんなこと、どうしてリンネに言わなくちゃならないの?」
ナナが冷たく言う。
リンネはお腹の底がムズムズした。ものすごい勢いで、イライラが喉元まではい上がってくる。
(やばい、止められない)
「ナナのこと、心配して言ってるんじゃない!」
お腹の中からすべてを吐き出す勢いで叫ぶ。
「そういうの、なんて言うか知ってる? 余計なお世話っていうんだよ」
人をばかにしたような表情のナナに、リンネの怒りが一気に爆発する。
ナナにかける言葉は、これ以上思いつかなかった。
どうしようもない怒りを、言葉で表現してうったえることができない。そのもどかしさに、ナナを殴りたい衝動に駆られる。
パンッと大きな音がした。
気づいた時には、リンネのリュックがナナの顔に叩きつけられていた。
低い音を立てて、リュックが床に落ちる。
「ちょっと、人を物で叩くなんてサイテー」
ナナが足を踏みならした。
「わたしじゃないよ。わたしはなにも……」
リンネは口ごもった。
「じゃぁ、誰がこんなことしたっていうのよ」
ナナは床に落ちたリュックを拾うと、もう一度床に叩きつけた。
「それは……」
リュックは、フロアの後ろの方に置いてあったはずだ。それは、リンネの手には届かない場所のはずだ。
(どうして?)
自分に問いかける。
だが、リンネには、思い当たることがあった。
(まだ効果が消えてないの?)
リンネはジュエルに願った。強く強く願った。魔法が使えますようにと。
自分でも、こんなにすごい魔法が使えるとは思ってもいなかった。
だが、怒りのエネルギーとともに、魔法の力が暴走したみたいだった。
(でももう、ジュエルはなくしたはずなのに)
そのつもりがないとはいえ、これはやはり、リンネがやったことに違いない。そうとしか思えなかった。
「ごめん、ナナ」
ナナは、くるりと背中を向けた。
そのまま自分のバッグをつかむと、スタジオを飛び出して行ってしまった。
「ナナ、待って」
リンネはあわててリュックを背負った。
走って階段を下り、ビルの外に飛び出す。
だが、ナナの姿はもうどこにもなかった。
(ナナはジュエルに、なにを願う気なの?)
ナナからジュエルを引き離さなければならないのに、けんかしてしまった。ナナを怒らせてしまった。
言葉で説得しなければならないのに、感情的になってしまった。感情のままに怒りをぶつけたのでは、ナナになにも伝わらない。どうしてこんなことになってしまったのだろう。
(取り返しのつかないことになったらどうしよう)
涙が出そうになって、リンネは走り出した。喉の奥が熱かった。
魔法は使わない、ジュエルには頼らない。ちゃんと自分の言葉で伝えて、ナナの気持ちを変える。そうするはずだった。
それなのに、できなかった。
いつまでもいつまでも、なくしたはずのジュエルが追いかけてくるような気がした。
恐怖でお腹の底が冷たくなった。リンネは逃げるようにして走った。走り続けた。
リンネははげますように言った。
ナナは黙ったまま、唇を噛んでいる。
「今回の曲、完璧に踊れるようにってジュエルに願ったの」
ナナの声が暗い。
「完璧だったよ、ナナのダンス。よかったね、願いが叶ったんだね」
マリナに言われたことを、ナナにはまだ伝えていない。学校で会ったときに、何度も話そうと思ったが、なかなか言い出せないでいた。
ダンスやジュエルのことを嬉しそうに話すナナを見ていると、ジュエルが悪いことを引き起こすようにも思えなかった。
だから、もう少し様子を見ようと思っていた。
「よくないよ」
ナナが首を横に振った。
「願い方、間違えた」
ナナの目から、涙がこぼれる。ナナは青白くなるほど、下唇を噛みしめていた。今までに見たことがないほど暗い目をしている。
(こんなの、本当のナナじゃない!)
マリナの友だちの話が頭をよぎる。不安で胸がいっぱいになる。
ナナがこんな風になったのは、やっぱりジュエルのせいかもしれない。これ以上ナナに、願いをかけさせてはいけない。
(どうすればいい? ナナに、どんな言葉をかければいい?)
リンネは胸が苦しくなった。
「本当はセンターになりたかったの。そう願えばよかった」
ナナが低い声で言った。
「違うでしょ? ナナの本当の願いは、世界で活躍するダンサーになることでしょ? こんなことくらいで落ち込んでいる場合じゃないよ」
リンネはナナの肩に手を置こうとした。
しかし、ナナに強い力で振り払われた。
「こんなことくらい?」
ナナがヒステリックに叫ぶ。
残っていた数人の生徒が、こっちを見る。
「こんな小さなスクールの発表会でセンターとれないで、世界で活躍なんてできると思う? できるわけないじゃん!」
責め立てるように言われて、リンネも腹が立ってきた。
「できるよ、ナナならできる! わたしが言うんだから絶対だよ。わたしの言うことが信じられないの?」
リンネの声も自然と大きくなってしまう。
「は? 絶対ってなに? リンネって予知能力でもあるの?」
ナナが、ばかにしたように笑う。
「ナナのために言っているのに、なんでわかってくれないの?」
「わたしのため? ただのおせっかいじゃん」
「おせっかいだなんて、ひどい……」
とまどうリンネに、ナナがたたみかけるように言う。
「今のわたしに必要なのは、リンネのくだらないはげましよりも、ジュエルの力なの!」
(もう、頭にきた!)
今、はっきりとわかった。ナナに、ジュエルを持たせておいてはいけない。
「夢叶えたいなら、ジュエルなんかに頼るな!」
思わず叫んでしまう。
「ジュエル、出しなさいよ。今すぐに出しなさい!」
リンネは、ナナの前に右手を突き出した。
「は? なに言ってるの?」
ナナがにらみつけてくる。
「わたし、まだジュエルに願うことがあるの。今からだって、絶対にセンターになってやるんだから」
「もうポジションは決まったんだよ。なれるわけないじゃない」
リンネがそう言うと、ナナは不敵な笑みを浮かべた。ナナが、リンネにぐっと近づいてくる。
ナナがリンネの耳元でささやく。
「なれるよ。マリナちゃんさえいなければね」
リンネは寒気がした。周りに目をやると、スタジオの片隅で心配そうな顔をしているマリナが見えた。
「ちょっと、ナナ。なに考えてるの? ジュエルになにを願う気?」
リンネは震える声で聞いた。
「そんなこと、どうしてリンネに言わなくちゃならないの?」
ナナが冷たく言う。
リンネはお腹の底がムズムズした。ものすごい勢いで、イライラが喉元まではい上がってくる。
(やばい、止められない)
「ナナのこと、心配して言ってるんじゃない!」
お腹の中からすべてを吐き出す勢いで叫ぶ。
「そういうの、なんて言うか知ってる? 余計なお世話っていうんだよ」
人をばかにしたような表情のナナに、リンネの怒りが一気に爆発する。
ナナにかける言葉は、これ以上思いつかなかった。
どうしようもない怒りを、言葉で表現してうったえることができない。そのもどかしさに、ナナを殴りたい衝動に駆られる。
パンッと大きな音がした。
気づいた時には、リンネのリュックがナナの顔に叩きつけられていた。
低い音を立てて、リュックが床に落ちる。
「ちょっと、人を物で叩くなんてサイテー」
ナナが足を踏みならした。
「わたしじゃないよ。わたしはなにも……」
リンネは口ごもった。
「じゃぁ、誰がこんなことしたっていうのよ」
ナナは床に落ちたリュックを拾うと、もう一度床に叩きつけた。
「それは……」
リュックは、フロアの後ろの方に置いてあったはずだ。それは、リンネの手には届かない場所のはずだ。
(どうして?)
自分に問いかける。
だが、リンネには、思い当たることがあった。
(まだ効果が消えてないの?)
リンネはジュエルに願った。強く強く願った。魔法が使えますようにと。
自分でも、こんなにすごい魔法が使えるとは思ってもいなかった。
だが、怒りのエネルギーとともに、魔法の力が暴走したみたいだった。
(でももう、ジュエルはなくしたはずなのに)
そのつもりがないとはいえ、これはやはり、リンネがやったことに違いない。そうとしか思えなかった。
「ごめん、ナナ」
ナナは、くるりと背中を向けた。
そのまま自分のバッグをつかむと、スタジオを飛び出して行ってしまった。
「ナナ、待って」
リンネはあわててリュックを背負った。
走って階段を下り、ビルの外に飛び出す。
だが、ナナの姿はもうどこにもなかった。
(ナナはジュエルに、なにを願う気なの?)
ナナからジュエルを引き離さなければならないのに、けんかしてしまった。ナナを怒らせてしまった。
言葉で説得しなければならないのに、感情的になってしまった。感情のままに怒りをぶつけたのでは、ナナになにも伝わらない。どうしてこんなことになってしまったのだろう。
(取り返しのつかないことになったらどうしよう)
涙が出そうになって、リンネは走り出した。喉の奥が熱かった。
魔法は使わない、ジュエルには頼らない。ちゃんと自分の言葉で伝えて、ナナの気持ちを変える。そうするはずだった。
それなのに、できなかった。
いつまでもいつまでも、なくしたはずのジュエルが追いかけてくるような気がした。
恐怖でお腹の底が冷たくなった。リンネは逃げるようにして走った。走り続けた。
0
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
少年騎士
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞参加作」ポーウィス王国という辺境の小国には、12歳になるとダンジョンか魔境で一定の強さになるまで自分を鍛えなければいけないと言う全国民に対する法律があった。周囲の小国群の中で生き残るため、小国を狙う大国から自国を守るために作られた法律、義務だった。領地持ち騎士家の嫡男ハリー・グリフィスも、その義務に従い1人王都にあるダンジョンに向かって村をでた。だが、両親祖父母の計らいで平民の幼馴染2人も一緒に12歳の義務に同行する事になった。将来救国の英雄となるハリーの物語が始まった。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
「いっすん坊」てなんなんだ
こいちろう
児童書・童話
ヨシキは中学一年生。毎年お盆は瀬戸内海の小さな島に帰省する。去年は帰れなかったから二年ぶりだ。石段を上った崖の上にお寺があって、書院の裏は狭い瀬戸を見下ろす絶壁だ。その崖にあった小さなセミ穴にいとこのユキちゃんと一緒に吸い込まれた。長い長い穴の底。そこにいたのがいっすん坊だ。ずっとこの島の歴史と、生きてきた全ての人の過去を記録しているという。ユキちゃんは神様だと信じているが、どうもうさんくさいやつだ。するといっすん坊が、「それなら、おまえの振り返りたい過去を三つだけ、再現してみせてやろう」という。
自分の過去の振り返りから、両親への愛を再認識するヨシキ・・・
魔法使いアルル
かのん
児童書・童話
今年で10歳になるアルルは、月夜の晩、自分の誕生日に納屋の中でこっそりとパンを食べながら歌を歌っていた。
これまで自分以外に誰にも祝われる事のなかった日。
だが、偉大な大魔法使いに出会うことでアルルの世界は色を変えていく。
孤独な少女アルルが、魔法使いになって奮闘する物語。
ありがたいことに書籍化が進行中です!ありがとうございます。
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
ノースキャンプの見張り台
こいちろう
児童書・童話
時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。
進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。
赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる