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11 PINK☆CATS
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「どーしよーどーしよーどーしよー!」
はるかは両手を頬にあて、部屋中を走り回った。
こねこの姿ではるかの後を追っていたモモを、はるかは抱き上げた。
そのままベッドに、仰向けになる。
「『DRAGON』の隼人先輩だよ、隼人先輩! あー、先輩と話せただけでも信じられないのに、先輩の振りで、ダンスコンテスト出ちゃうんだよ!」
「絶対優勝しようよ、はるか」
モモが、ウキウキした声で言う。
「うーん。優勝したいけど、モモのことばれたら困るしなぁ」
モモが、本棚からダンス雑誌を引っぱり出してくる。
メイク特集ページを開き、ブルーの仮面メイクをしたモデルさんを、ポンポンと叩いた。
「これだよ、これ。絶対誰だかわからないよ」
はるかは、ため息をついた。
「そうかなぁ。あまり仲良くない子ならごまかせるかもだけど、結衣とか美加には、ばれちゃうんじゃない?」
「じゃぁ、やっぱりコスプレする?」
モモが、小首をかしげる。
「そうだ、ねこ!」
はるかはモモがねこの姿で、キレキレのダンスを踊っていた時の衝撃を思い出した。
「ねこ?」
「ギャップだよ、ギャップ。ふわふわのかわいいねこが、バリバリのヒップホップ踊ってるのってインパクトある! なんか、イメージわいてきた」
はるかはベッドから起き上がり、クローゼットの中をあさった。
「あったぁ。前に誕生日パーティーで使ったの」
はるかは、あごのラインで内側にカールした、ビビットなピンクのウィッグをかぶった。その上には、ふわふわしたピンクのねこ耳カチューシャ。
「わぁ。わたしにそっくり!」
「で、衣装はこんな感じ」
はるかは机からノートを取り出し、色鉛筆でサラサラッと絵を描いた。
「妖精みたいなイメージの、ミニワンピだよ」
フリルのついた上半身はシャーベットグリーン。ウエストから下は、薄紫色に切り替えられた、ボリュームのあるスカート。
「かわいいー」
モモが、身を乗り出す。
「足元はピンクのリボンがポイントの、黒いスニーカーでひきしめて」
と、はるかが書き加える。
それから、ピンクのヘアスタイルにねこ耳。ブルーの仮面をつけ足した。
「キラキラ星からきた、宇宙キャットですって感じでしょ?」
うん、うんとモモがうなずいた。
「でも、はるかの好きな、クールでかっこいいファッションじゃないね」
「だから、いいんじゃない。わたしだって、ばれそうにないでしょ?」
「そっかぁ。けど、こんなフリフリの服、はるか、持ってたっけ?」
はるかは、首を横に振った。
「お母さんが作ってくれるから大丈夫。こういうの、得意なの。ねこ耳カチューシャも、お母さんが作ってくれたんだ」
はるかは、衣装の横に、『PINK☆CATS』と太いピンクのマジックで書いた。
「ピンクキャッツ。これがわたしたちのチーム名だよ」
「やったぁ」
モモが嬉しそうに飛び上がった。
◇
日曜日の公園。
ベンチに座った隼人は、はるかが描いたイラストを見て、うーん、とうなった。
「やっぱり、イメージと違いますか?」
はるかが、おそるおそるたずねると、
「チーム名は、これでいいよ」
隼人はそう言って、また考えこんだ。
しばらくして、
「ハードル、高いんだよねー」
と、隼人は迷ったように言う。
「衣装とダンスにギャップをつけるっていうの? 普通は、曲やダンスのイメージに合う衣装を着るんだけど。この衣装でヒップホップをかっこよく踊るには、相当ダンス力いるぜ?」
はるかは、しょんぼりとうつむいた。
「でも」
と、隼人は言葉をくぎった。
「おまえらなら、いけるかも」
「でしょ、でしょ、でしょー?」
モモがはしゃぐと、隼人が笑った。
「ちょっと聞いて」
隼人は、はるかのCDプレーヤーに、自分が持ってきたCDを入れた。
「重いビートですね。ちょっと、ワルっぽく踊る感じ?」
「正解。ねこちゃん、踊りこなせるかなぁ」
「踊れるにゃん」
モモが、両手をグーにしてねこポーズを決める。
「基本オレが振り付けやるけど、ガールズっぽい動きは、自分たちでアレンジしてくれる?」
「わかりました。アレンジくらいなら、できると思います」
と、はるかがうなずいた。
「じゃ、『PINK☆CATS』で決まりだな。明日から、本格的に始めるぞ。金曜の『BEAT』の日以外は、学校が終わったら、毎日ここに集合!」
「毎日、ですか?」
「文句、ある?」
「ありません」
すっかり隼人のペースだ。
はるかとモモは、顔を見合わせ笑った。
はるかは両手を頬にあて、部屋中を走り回った。
こねこの姿ではるかの後を追っていたモモを、はるかは抱き上げた。
そのままベッドに、仰向けになる。
「『DRAGON』の隼人先輩だよ、隼人先輩! あー、先輩と話せただけでも信じられないのに、先輩の振りで、ダンスコンテスト出ちゃうんだよ!」
「絶対優勝しようよ、はるか」
モモが、ウキウキした声で言う。
「うーん。優勝したいけど、モモのことばれたら困るしなぁ」
モモが、本棚からダンス雑誌を引っぱり出してくる。
メイク特集ページを開き、ブルーの仮面メイクをしたモデルさんを、ポンポンと叩いた。
「これだよ、これ。絶対誰だかわからないよ」
はるかは、ため息をついた。
「そうかなぁ。あまり仲良くない子ならごまかせるかもだけど、結衣とか美加には、ばれちゃうんじゃない?」
「じゃぁ、やっぱりコスプレする?」
モモが、小首をかしげる。
「そうだ、ねこ!」
はるかはモモがねこの姿で、キレキレのダンスを踊っていた時の衝撃を思い出した。
「ねこ?」
「ギャップだよ、ギャップ。ふわふわのかわいいねこが、バリバリのヒップホップ踊ってるのってインパクトある! なんか、イメージわいてきた」
はるかはベッドから起き上がり、クローゼットの中をあさった。
「あったぁ。前に誕生日パーティーで使ったの」
はるかは、あごのラインで内側にカールした、ビビットなピンクのウィッグをかぶった。その上には、ふわふわしたピンクのねこ耳カチューシャ。
「わぁ。わたしにそっくり!」
「で、衣装はこんな感じ」
はるかは机からノートを取り出し、色鉛筆でサラサラッと絵を描いた。
「妖精みたいなイメージの、ミニワンピだよ」
フリルのついた上半身はシャーベットグリーン。ウエストから下は、薄紫色に切り替えられた、ボリュームのあるスカート。
「かわいいー」
モモが、身を乗り出す。
「足元はピンクのリボンがポイントの、黒いスニーカーでひきしめて」
と、はるかが書き加える。
それから、ピンクのヘアスタイルにねこ耳。ブルーの仮面をつけ足した。
「キラキラ星からきた、宇宙キャットですって感じでしょ?」
うん、うんとモモがうなずいた。
「でも、はるかの好きな、クールでかっこいいファッションじゃないね」
「だから、いいんじゃない。わたしだって、ばれそうにないでしょ?」
「そっかぁ。けど、こんなフリフリの服、はるか、持ってたっけ?」
はるかは、首を横に振った。
「お母さんが作ってくれるから大丈夫。こういうの、得意なの。ねこ耳カチューシャも、お母さんが作ってくれたんだ」
はるかは、衣装の横に、『PINK☆CATS』と太いピンクのマジックで書いた。
「ピンクキャッツ。これがわたしたちのチーム名だよ」
「やったぁ」
モモが嬉しそうに飛び上がった。
◇
日曜日の公園。
ベンチに座った隼人は、はるかが描いたイラストを見て、うーん、とうなった。
「やっぱり、イメージと違いますか?」
はるかが、おそるおそるたずねると、
「チーム名は、これでいいよ」
隼人はそう言って、また考えこんだ。
しばらくして、
「ハードル、高いんだよねー」
と、隼人は迷ったように言う。
「衣装とダンスにギャップをつけるっていうの? 普通は、曲やダンスのイメージに合う衣装を着るんだけど。この衣装でヒップホップをかっこよく踊るには、相当ダンス力いるぜ?」
はるかは、しょんぼりとうつむいた。
「でも」
と、隼人は言葉をくぎった。
「おまえらなら、いけるかも」
「でしょ、でしょ、でしょー?」
モモがはしゃぐと、隼人が笑った。
「ちょっと聞いて」
隼人は、はるかのCDプレーヤーに、自分が持ってきたCDを入れた。
「重いビートですね。ちょっと、ワルっぽく踊る感じ?」
「正解。ねこちゃん、踊りこなせるかなぁ」
「踊れるにゃん」
モモが、両手をグーにしてねこポーズを決める。
「基本オレが振り付けやるけど、ガールズっぽい動きは、自分たちでアレンジしてくれる?」
「わかりました。アレンジくらいなら、できると思います」
と、はるかがうなずいた。
「じゃ、『PINK☆CATS』で決まりだな。明日から、本格的に始めるぞ。金曜の『BEAT』の日以外は、学校が終わったら、毎日ここに集合!」
「毎日、ですか?」
「文句、ある?」
「ありません」
すっかり隼人のペースだ。
はるかとモモは、顔を見合わせ笑った。
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