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舞台裏(リュシオル・ライトブリンガー5)
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「じゃあ、お手紙出すけど、良いのね?」
何が良いのだろうか?
「是非、会いに行きたい。」
婚約の石は、サフィールが作ったアメトリンで良いだろうか?
「侯爵家から、辺境伯家にお嫁さんになってって言ったら、相手は断れないのよ?」
理由があれば断れるけれど、細かい話はリュシオルの混乱を防ぐため省く。
その瞬間、リュシオルは花が綻ぶように笑った。
「では、好きになって貰えるよう努める。」
本気なのかと、聞いたつもりだったのだけれど……、予想以上の答えだった。
「今日の兄様達のお戻りはいつ?」
どうやったら好きになって貰えるだろうか?
解らない事は、学ばなければならない。
「エミリオなら、今、居るんじゃないかしら?」
小兄様か……、サフィールが、小兄様の事、何か言ってたような……。
……まあ、聞かないよりましかな?
本人には聞かせられない様な失礼な事を考えながら、
女の子と仲良くなる方法を聞きに行く事にした。
自室にいた、小兄様は、少し考えて、答えた。
「兄上の様に毅然と、堂々としていればいい。」
そう言われて、毅然っぽい顔をしてみる。
「……無表情と毅然は違うぞ?兄様みたいにきりっとしてだな……。」
むむむ?
あ、思い出した!
サフィールは、小兄様の事、こじらせブラコンって言ってたんだった。
「こじらせブラコンとは、どういう意味だろう?」
沢山の本を読んでいるからだろうか、サフィールは時々、リュシオルの聞いたことない言葉を使う。
気が散ったリュシオルは、完全に違う事を考えていた。
「おい、リュシオル?」
あ、なんだっけ?
ああそうだ。
「町に行ってきます。」
上の兄様が帰って来る時、仲良しのお嫁さんに、
時々小さな花束とか、お菓子とか、可愛いもの買ってくるのだ。
きっと女の子は、可愛いものを好きに違いない。
「……相変わらず自由だな。でも今日は町の子の稽古日じゃないだろ?」
リュシオルが町におりる理由を、エミリオは他に思い付かなかった。
騎士団の稽古日は決まってる。
町の子はリュシオルぐらいの年でも家の手伝いをしている子がいるので、
毎日しても意味がないのだ。
「女の子がどういうものを欲しがっているのか、少し見てきます。」
リュシオルにだって解るのだ。
唯一の女の子の友達と言って言いサフィールの趣味が一般的ではない事くらい。
そもそもサフィールの基準はアークだ。
そうして来たのは、花屋だった。
何故かと聞かれれば、女の子が一杯いたからである。
花屋は背の高い若い男だった。
そして女の子が喜びそうな事を言いながら花を勧めていく。
「妖精の様なお嬢さんには、一本おまけするよ。」
「妖精の様なお嬢さん。」
「天使のお嬢さん、羽根はどこに隠したんだい?」
「羽根はどこに隠したんだい?」
横でじっくり学んでいたら、おそらく売り物にならない折れたピンクの花を一輪
カットして渡してくれた上で、くるっと身体を回され、そっと背中を押された。
邪魔をするなと言う事だろう。
仕方がないので、小物屋を見に行く事にして表通りに出た所で、
男に絡まれている、同じくらいの年の、ピンクの髪の女の子を見つけた。
なるほど、服は町の子の服を着ていても、靴だけ豪華だと却って悪目立ちをする。
ウォルトはすごいな。
と言うのがその女の子に対する感想だった。
「何してるの?」
真後ろから声をかけると、絡んでいた男が振り返った。
その隙に女の子の傍に転移して、手をひいて貴族街まで走った。
女の子が転ぶまで。
「あ、ごめん。」
ちょっと走るのが、早かったかもしれない。
男は追いかけてきてない。
「リュ……、いいえ、大丈夫よ。有難う。」
りゅ?と思ったけど、転んだ時に落とした小さな小物が割れている事に気がついて
泣きそうになっている女の子に戸惑う。
どうしよう、僕が引っ張って走らせたから?
「弟にプレゼントしようと思っていたの。」
弟の為に護衛もつけず町におりたのか、可哀そうに帰ったら絶対怒られるんだろうな。
花屋に貰った、ピンクの花を差し出す。
「これを弟に渡すと良い。次からは天使か妖精の靴で町に降りたら駄目だよ。」
花は受取ってくれたが、何か間違えたらしい。
すごく変な顔をされた。
……難しい。
何が良いのだろうか?
「是非、会いに行きたい。」
婚約の石は、サフィールが作ったアメトリンで良いだろうか?
「侯爵家から、辺境伯家にお嫁さんになってって言ったら、相手は断れないのよ?」
理由があれば断れるけれど、細かい話はリュシオルの混乱を防ぐため省く。
その瞬間、リュシオルは花が綻ぶように笑った。
「では、好きになって貰えるよう努める。」
本気なのかと、聞いたつもりだったのだけれど……、予想以上の答えだった。
「今日の兄様達のお戻りはいつ?」
どうやったら好きになって貰えるだろうか?
解らない事は、学ばなければならない。
「エミリオなら、今、居るんじゃないかしら?」
小兄様か……、サフィールが、小兄様の事、何か言ってたような……。
……まあ、聞かないよりましかな?
本人には聞かせられない様な失礼な事を考えながら、
女の子と仲良くなる方法を聞きに行く事にした。
自室にいた、小兄様は、少し考えて、答えた。
「兄上の様に毅然と、堂々としていればいい。」
そう言われて、毅然っぽい顔をしてみる。
「……無表情と毅然は違うぞ?兄様みたいにきりっとしてだな……。」
むむむ?
あ、思い出した!
サフィールは、小兄様の事、こじらせブラコンって言ってたんだった。
「こじらせブラコンとは、どういう意味だろう?」
沢山の本を読んでいるからだろうか、サフィールは時々、リュシオルの聞いたことない言葉を使う。
気が散ったリュシオルは、完全に違う事を考えていた。
「おい、リュシオル?」
あ、なんだっけ?
ああそうだ。
「町に行ってきます。」
上の兄様が帰って来る時、仲良しのお嫁さんに、
時々小さな花束とか、お菓子とか、可愛いもの買ってくるのだ。
きっと女の子は、可愛いものを好きに違いない。
「……相変わらず自由だな。でも今日は町の子の稽古日じゃないだろ?」
リュシオルが町におりる理由を、エミリオは他に思い付かなかった。
騎士団の稽古日は決まってる。
町の子はリュシオルぐらいの年でも家の手伝いをしている子がいるので、
毎日しても意味がないのだ。
「女の子がどういうものを欲しがっているのか、少し見てきます。」
リュシオルにだって解るのだ。
唯一の女の子の友達と言って言いサフィールの趣味が一般的ではない事くらい。
そもそもサフィールの基準はアークだ。
そうして来たのは、花屋だった。
何故かと聞かれれば、女の子が一杯いたからである。
花屋は背の高い若い男だった。
そして女の子が喜びそうな事を言いながら花を勧めていく。
「妖精の様なお嬢さんには、一本おまけするよ。」
「妖精の様なお嬢さん。」
「天使のお嬢さん、羽根はどこに隠したんだい?」
「羽根はどこに隠したんだい?」
横でじっくり学んでいたら、おそらく売り物にならない折れたピンクの花を一輪
カットして渡してくれた上で、くるっと身体を回され、そっと背中を押された。
邪魔をするなと言う事だろう。
仕方がないので、小物屋を見に行く事にして表通りに出た所で、
男に絡まれている、同じくらいの年の、ピンクの髪の女の子を見つけた。
なるほど、服は町の子の服を着ていても、靴だけ豪華だと却って悪目立ちをする。
ウォルトはすごいな。
と言うのがその女の子に対する感想だった。
「何してるの?」
真後ろから声をかけると、絡んでいた男が振り返った。
その隙に女の子の傍に転移して、手をひいて貴族街まで走った。
女の子が転ぶまで。
「あ、ごめん。」
ちょっと走るのが、早かったかもしれない。
男は追いかけてきてない。
「リュ……、いいえ、大丈夫よ。有難う。」
りゅ?と思ったけど、転んだ時に落とした小さな小物が割れている事に気がついて
泣きそうになっている女の子に戸惑う。
どうしよう、僕が引っ張って走らせたから?
「弟にプレゼントしようと思っていたの。」
弟の為に護衛もつけず町におりたのか、可哀そうに帰ったら絶対怒られるんだろうな。
花屋に貰った、ピンクの花を差し出す。
「これを弟に渡すと良い。次からは天使か妖精の靴で町に降りたら駄目だよ。」
花は受取ってくれたが、何か間違えたらしい。
すごく変な顔をされた。
……難しい。
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