転生石好き令嬢の生存戦略

ぬるちぃるちる

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舞台裏(リュシオル・ライトブリンガー15)

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その後、ディーが大人に事情を説明してくれた。
僕は、この子の為に、納まりの良い場所を用意してあげようと思い、一つひらめいた。
丁度先日、大きめのエッグスタンドの様なものを沢山見たばかりだったのだ。

「すまない少し、抱いて居てくれないか?」
 ディーに、フェニックスの卵の中身を預け、僕は単身、サフィの元に転移した。

「寂しくなって会いに来たのか?」
 転移先で、アークが得意げに迎えてくれた。
むしろアークが寂しかったんじゃないかなと思ったけど、言わなかった。
だって当たってたら困るでしょ。

「用件を聞こう。」
 サフィの話の速い所は好きだ。
次に会った時に伝えようと思っていたのに、今日、サフィールが、ディーの為に用意した、
僕の瞳の色とおそろいの髪飾りが僕の不注意で壊れてしまった事を何となく言えなかった。
今日一日だけでも、色々な事が有ったから、まだ気持ちに整理付いてない事いっぱいあるけど、
髪飾りが壊れてしまった事も、結構ショックだったみたいだ。
思い出しても、とても良く似合っていた。

取りあえず、今は、みんなを待たせているので、手短に用件を伝える。
「土産だ。ベルが倒した、フィエブオオムカデの殻だ。加工したら色々使えるらしい。」
 お土産に、持って来た今日の戦利品のフィエブオオムカデのつやつや真っ黒の殻を差し出す。

「で、本題は何だ?」
 やっぱり、お願いがあるってばれてるよね。

「この位の、ガラスのカップが、欲しい。」
 手で、大きさを示して見せる。
この間、一杯あって困ってるって言ってたやつ。
どれでも良いから一つ分けて欲しい。
きっと僕たちの娘にはぴったりだと思うんだ。

「好きな物を持って行け。」
 すぐに何の事か解ったらしく、目立たない位置に移動していた棚を指し示す。

「何を入れるんだ?」
 不思議そうに聞かれて、ちょっと照れながら答える。

「大切な卵の中身。これが良い。」
 僕は中に、あの子が納まった時の姿を想像しながら、
中がよく見える、クリスタルガラスのキラキラしたカップを選んだ。

「じゃあ、娘が待ってるから、帰る。」
 言い逃げ万歳!
娘が出来たって、言っちゃった。

「ただいま。」
 リボンがいっぱいの、クリスタルのキラキラのカップを持って帰って来た僕に
みんな驚いていた。

「前に、サフィールが、沢山有って置き場に困ると言ってたから1個貰ってきた。」
 取りあえず、どこから持って来たのか心配掛けない様に、出所は明らかにしておく。
みんな、ぼんやりしてるので、フェニックスの卵の中身をカップに乗せる。
赤い眼の位置が、ぐりんぐりん動いて、納まりの良い位置を探している姿が可愛い。

やがて気にいった角度に身体を調整出来たのか、満足げにこちらを見て来たので、
笑顔で返した。

「ベル、この子にお腹すいてないか聞いてみてくれないかしら?」
 ディーがそう言って初めて気が付いた。
この子の口はどこだろうと……。

「ピィ!」
 鳴き声がするって事はやっぱり口があるってことだよね?

「まだ卵だから何も食べなくても大丈夫だって!」
 うーん、何かを食べる所を見られれば、口がどこにあるか解ったかもしれないだけに
ちょこっと残念だ。
そうだ、もしかしたら食べ物の良い匂いを嗅いだら食欲がわいて、
何か食べたいって思うのかもしれない。
そう思って、食事の間ずっと、テーブルの端の良く見える所に、
フェニックス入りカップを置いておいたけど、ずっと大人しくしていた。
本当に良い子だ。

フェニックス入りカップをずっと気にしながら食事をしていたら、父様に声をかけられた。
「私達は明日、こちらを発つが、リュシオル、お前はどうしたい?」
 そんなの答えは決まっている。

「子育ての事もあるので残りたいです。」
 出来るだけしっかりして見える様に頑張って言ったが、大人達が一斉にむせそうになっていた。
急にどうしたのだろう?大丈夫かな?

「……解った。後の事は辺境伯に頼んであるから……。ただし、条件は付けさせて貰う。
 最低でも週に二回は顔を見せる事。将来、学園で恥をかかないよう鍛錬を怠らない事、
 それから……」
 まあ、特に困る事は言われなかった。
剣を振って練習するのは好きだし、ベルも練習相手になってくれるし、
きっと父様も母様もびっくりする位強くなると思うよ。
それに、用事があれば、いつでも王都まで転移出来るもの。

嬉しかったのは、その後すぐ、父様達の部屋の近くの客間から、
ディーの隣の部屋にお引っ越しした事。
おはようもおやすみもずっと一緒だと思うと嬉しくて……、娘の名前決めるの忘れてたよね。

早速、僕の部屋にになった部屋の応接間で、名前会議をする。
ベルが持ってきてくれた、ブラックマトリクスオパールは、黒くてキラキラしてる
フェニックスの卵の中身にぴったりだと思った。
「名前はラクスオール、愛称はラクスでどうだ?」
 赤い瞳を見ていて閃いた可愛い名前。
この子にぴったりだと思う。

その後、ベルが眠いと言いだした事をきっかけに、強引に決めてしまったけど
次の子の名前は、ディーに譲るから許してね。
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