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転生石好き令嬢の生存戦略<後編の後編の後編の後編の後編の前編>
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ベルの話を聞きたくて退室を渋る、空気の読めないリュシオル様を引きずって、侯爵家ご一行は晩餐までの控えの間に案内されて行った。
私も多分、着替えなくてはいけないのだけれど……。
家族だけ先程の部屋に残っている。
「リヴァイアス伯爵家に剣術見習いに行ったら、姉さまを嫁に出さないと言う約束だったはずです。」
もはや初耳な位では驚けなくなってきたけれど……。
つまる所、私を領内に留めたがったのは父では無く、この8歳にして色気たっぷりの将来がふあ……楽しみな弟だったと言う事か!
いつかベル自身が、嫁を貰ったら姉など邪魔になりそうなものをどうして……。
まあ、気にすまい。
リュシオルも婿に来てくれるっていうし、今さら気にしてもしょうがない。
「約束を違えてなどないぞ。ライトブリンガー家の三男は婿に来てくれるそうだ。」
いやいや、そもそも何で、本人抜きにして、そんな謎な約束してるんですか?
「そんなの詭弁です。」
……どうしよう、ずっと一緒に育ってきたはずのベルが何を言っているのか解らない。
ベルは私が結婚するのが嫌なの?
「そうはいっても、グレナディアだってお前だっていずれは結婚しないといけない。」
それはそうだ。
当たり前の事だと、私はそう思うのだけれども、ベルは、唇をかみしめ、呻くように言った。
「姉上は僕と結婚するのです。」
えー、可愛い!
じゃなくて、まさかのヤンデレ来たこれ、って言いたくなるけど、9歳だから許す。
将来大きくなって、今日の事を忘れたり、黒歴史扱いしなかったら許す。
「ベル、姉弟では結婚できないわ。それにリュシオル様はとても良い方よ。」
心配になる程に素直で。
ただ、大人になってもあのままだと、王子の側近はちょっと危ういとも思う。
「姉上は、あいつが、す、す、す、好きなのですか?」
むきになり過ぎて言葉が詰まっているわ。
私の弟は、本当に、なんて可愛いのかしら。
うっとりと弟を眺めながら、返事を返す。
「どちらかと言えば好きよ。」
今日、会ったばかりなのだもの、流石にそれ以上の言葉を期待されても困るわ。
「……じゃあ、僕は?」
何を馬鹿な事を聞くのかしら?
「馬鹿ねえ、大好きよ?」
あ、やっといつもの蕩ける様な笑顔に戻る。
「……僕が認めた相手しか姉上の婿には認めない!」
あー、嫁姑戦争の逆転版ですか。
何て言うんですかね?こう言うの。
取り合えず、嫌なフラグだけでも先に折っておきましょう。
「私は、ベルが、好きな相手と結婚したいって言ったら認めるつもりだから安心してね。」
私が良かれと思って言ったその言葉にベルの表情は絶望に染まった。
どうやら私は、自分の死亡フラグを折るつもりで、弟の繊細な心をへし折ってしまったのだった。
……ベルは、本当に難しいお年頃ね。
*********************
そろそろタイトルに字数制限かかった時の事真剣に考えた方がいいのかもしれない……。
*********************
2016.04.17 ベルの年齢が間違ってたので修正しました。
私も多分、着替えなくてはいけないのだけれど……。
家族だけ先程の部屋に残っている。
「リヴァイアス伯爵家に剣術見習いに行ったら、姉さまを嫁に出さないと言う約束だったはずです。」
もはや初耳な位では驚けなくなってきたけれど……。
つまる所、私を領内に留めたがったのは父では無く、この8歳にして色気たっぷりの将来がふあ……楽しみな弟だったと言う事か!
いつかベル自身が、嫁を貰ったら姉など邪魔になりそうなものをどうして……。
まあ、気にすまい。
リュシオルも婿に来てくれるっていうし、今さら気にしてもしょうがない。
「約束を違えてなどないぞ。ライトブリンガー家の三男は婿に来てくれるそうだ。」
いやいや、そもそも何で、本人抜きにして、そんな謎な約束してるんですか?
「そんなの詭弁です。」
……どうしよう、ずっと一緒に育ってきたはずのベルが何を言っているのか解らない。
ベルは私が結婚するのが嫌なの?
「そうはいっても、グレナディアだってお前だっていずれは結婚しないといけない。」
それはそうだ。
当たり前の事だと、私はそう思うのだけれども、ベルは、唇をかみしめ、呻くように言った。
「姉上は僕と結婚するのです。」
えー、可愛い!
じゃなくて、まさかのヤンデレ来たこれ、って言いたくなるけど、9歳だから許す。
将来大きくなって、今日の事を忘れたり、黒歴史扱いしなかったら許す。
「ベル、姉弟では結婚できないわ。それにリュシオル様はとても良い方よ。」
心配になる程に素直で。
ただ、大人になってもあのままだと、王子の側近はちょっと危ういとも思う。
「姉上は、あいつが、す、す、す、好きなのですか?」
むきになり過ぎて言葉が詰まっているわ。
私の弟は、本当に、なんて可愛いのかしら。
うっとりと弟を眺めながら、返事を返す。
「どちらかと言えば好きよ。」
今日、会ったばかりなのだもの、流石にそれ以上の言葉を期待されても困るわ。
「……じゃあ、僕は?」
何を馬鹿な事を聞くのかしら?
「馬鹿ねえ、大好きよ?」
あ、やっといつもの蕩ける様な笑顔に戻る。
「……僕が認めた相手しか姉上の婿には認めない!」
あー、嫁姑戦争の逆転版ですか。
何て言うんですかね?こう言うの。
取り合えず、嫌なフラグだけでも先に折っておきましょう。
「私は、ベルが、好きな相手と結婚したいって言ったら認めるつもりだから安心してね。」
私が良かれと思って言ったその言葉にベルの表情は絶望に染まった。
どうやら私は、自分の死亡フラグを折るつもりで、弟の繊細な心をへし折ってしまったのだった。
……ベルは、本当に難しいお年頃ね。
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そろそろタイトルに字数制限かかった時の事真剣に考えた方がいいのかもしれない……。
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2016.04.17 ベルの年齢が間違ってたので修正しました。
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