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第3章 魔導帝国ハビリオン編

王道って思ったよりめんどくさい…

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誰かに声をかけていることはわかっていたけど…なんと俺が呼ばれていたようだ

俺に話しかけてきたのは多分この学院の生徒だ…学院にいるし…先生ってことはないよね…?

俺の目の前で銀色に光る綺麗な髪をウェーブさせている少年…歳は俺と同じくらいか?顔は俺よりも整っているがな!爆ぜろ!
その少年の空色の目が俺の事を睨む

「この俺を無視するとはいい度胸だな!」

いや…俺に話しかけてるとは思ってなくて…ていうかこの俺ってどれよ?

「す…すみません…」

一応謝っておく…敬語なのは彼の服がちょっと高級感があったからじゃないよ!

「ふん…わかればいいんだ」

その少年は満足したのか大声を出さなくなった…ふぅ…気配感知で他に誰もいないことはわかってたけど…うるさいと迷惑になるもんね…うんうん

「わかったならさっさとそれをよこせ」

「え?」

どれ?と思い彼の指の先を追うと俺が今読んでいる闇魔法についての本だった

なぜ?

「えっと…なんで?」

そう聞くと少年は眉間にシワを寄せる…美少年はそんな顔でも綺麗に見えるから嫌いだ

「そんなこともわからんのか?その本を俺が読みたいからだ」

え…いや…わけわからん…今俺が読んでるし後で貸してと言えばいいだけじゃ…あ!

こいつ!もしかして学園ファンタジーによくいる俺は偉いからなんでも許されると思ってる系貴族だ!出たー!そうかそうか!初めて見たぞ!本当にいるんだ…

…でもウィアベルさんがここに来るまでの学院の説明でハビリオン魔法学院は年も出自も種族も関係なく平等という理念の下運営されておりその理念は学院の者は全員知っていると言っていた…が

今俺の前にいるヤツは知らないらしい…いや知ってるけど貴族っぽいしそういう態度が染み付いちゃってるのかね…

「おい!聞いているのか!?その本をよこせと言ってるんだ!」

再び怒鳴り始めたテンプレ貴族様…子供か!いや俺と同じ年なら16で…子供かもしれない…まてよ?この異世界で成人って何歳からなんだ?

まぁ子供でも成人でもこの学院では平等だ!まだ俺はここの生徒じゃないけど言ってやる!


「やだ」

俺がそう言うと一瞬何を言われたのかわからなかったらしいテンプレ貴族様はポカンという顔をした後顔を真っ赤にして

「なんだと!?この俺に逆らうのか!?」

そう言って再び怒りだした

もうこのテンプレ貴族様やだ…まぁ自分の事を俺様って言わないだけマシかもしれんか…だが俺がイライラしてないわけではない!
俺はテンプレ貴族様に向かって口を開く

「あなたがどこの誰だか知りませんがここの学院は誰でも平等という理念の下運営されていることはご存知のはずです!本を読みたいのなら貸してと素直に言えばいいんじゃないですか?」

「なっ!」


…言った後に思ったけど俺闇討ちとかされないよね?一応敬語っぽくしたけど…もしかしたら彼の反感を買って夜道に背後から…ひぃぃ!!

そんな事を内心冷や汗をかきながら思っているとテンプレ貴族様が口を開く

「…お前外から来たのか?」

「外?」

よかった怒ってはないみたいだ
テンプレ貴族様は俺の言葉で少し驚いた様子で話しかけてくる…外ってどこよ?

「この国の外に決まってるだろ」

まぁこの国の外というよりも別の世界から…って言えるか!
ていうかこの質問ってハビリオン出身じゃないのか?って聞かれてるわけでしょ?なら答えはイエス!

「ええ…まぁ」

「…本当に俺の事知らないのか?」

なんなのこのテンプレ貴族様は…どんだけ自分の事を知っててほしいんだよ!だが残念!俺は全く知らん!ははは!!

「はい」

「……」

俺の事をジーッと見てくるテンプレ貴族様…ちょっ…なに!顔だけは美少年なんだから見つめてくるな!俺の顔が残念に見えるだろうが!いや元々だけどさ!

「お前名前は?」

なぜ急に名前を聞いてくる…はっ!まさか名前を調べて背後から…ひぃぃ!!ごめんなさい!あなた様の事知らなくてごめんなさい!

俺が何も言わないでいるとチッと舌打ちされた…闇討ちされるよりマシだ!

「アスキル」

「え?」

何を言ったのかわからなかったので聞き返すと再び舌打ちされた…ぐぅ…

「俺の名前!アスキルだ!」

「ああ…はい」

なんだ自己紹介か…でも舌打ちしなくても…貴族なのに品がないざますわ

まぁでも名前を名乗られたからにはこちらも名乗るのが礼儀ざますわね

「えっと…ユウトです」

闇討ちは勘弁ざます!

「ふん…ユウトか…」

そう言うとテンプレ貴族様改めアスキルは俺の隣の椅子に座った…なぜ!?

「ユウトはどこから来た」

いきなり呼び捨て…
まぁどこからって別の世界から!…って言えるか!パート2!

「…スータの町です」

どこからって言われたらスータしかないよね…

「初めて見る顔だがここに入学するのか?」

「…そうです」

「ふぅん」

な…なんだこいつ…さっきから質問ばっかしやがって!美少年だからってなんでも許されるわけじゃないんだぞ!

「なぁユウトは何歳だ?」

「え?」

ここで何歳だと思う?なんて事は言えないので素直に話す

「…16」

そう言うとアスキルはびっくりした顔をして

「俺と同じ歳じゃないか…それならその敬語をやめろ」

そんなことを言ってきた…ア…アスキルも16…?まぁ美少年っていっても顔は子供っぽいってわけじゃないんだよな…性格は子供っぽいがな!

でも…ザ貴族様みたいな服を着てるアスキルにザ庶民って感じの俺がタメ口で話してたら色々問題があるんじゃ…

「いや…それは」

それに初めて会った人にいきなりタメ口って俺的にどうかなって思うわけですよ!同い歳でも!だからアスキルとは…

「出来ないなんて言ったら…わかるよな?」

「出来る出来る!敬語やめた!」


やっぱり敬語はおかしいよね!アスキルという貴族との繋がりが出来るっていう点でもメリットあるし!…決して夜道が歩けなくなるからとかじゃないよ!!

「それでいい」

少し満足したような表情のアスキルに俺はこれで夜道に刺されることは無いなと安心した

「ユウトはどこの科に入るんだ?」

「基礎科だけど…」

「そうなのか俺と同じだ」


そしてしばらくどこのクラスだ?寮の部屋は?とか色々聞かれたがまだわからないと答えたりして話をした

~♪~♪~♪

「ん?もうそんな時間か…」

再び音楽が流れるとアスキルは席から立ち上がる

「ユウト…は図書室に…来るのか?」

「え?」

ぼそぼそと何か俺に言ったアスキルだが全く聞こえませんよ?

「…っ!だから!また図書室に来るのか!?」

怒鳴るような声量でそう言うアスキルに俺は考える…

授業でも習うだろうけど早く魔法を使いたいし色々調べたい事もあるから図書室には来るだろうけど…アスキルそれ知ってどうするの?刺しに来るの?やめて!

「いつもじゃないと思うけど…」

「そ…そうか」

それだけ言ってアスキルは図書室を出てしまった…なんだったんだ…

・・・


「遅くなってすまんの」

アスキルが出ていってすぐにウィアベルさんが図書室に入ってきた
この図書室の扉って音がしないからちょっとびっくりする…

「何もなかったかの?」


それはもちろん!

「…はい」


それから俺達は寮に向かう事になった






…闇魔法の本全然読んでねぇ!!







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