捨てられ伯爵令嬢は野獣に勝てるか

めろめろす

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騎士団入団

第6話

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「第10支団へようこそ、アリアネス嬢。それと、セレーナ。」
「御世話になりますわ、アルフォンソ様。それと、どうしてセレーナの名前をご存じなの?セレーナは模擬戦もしておりませんし、騎士団に入ることができる理由が私以上に見つかりませんわ。」

 意気揚々と支団に乗り込んだアリアネスたちをアルフォンソが苦虫をかみつぶしたような顔で出迎えた。当たり前のように自分の後ろを付いてくるセレーナが騎士団に入れる理由が分からずに首を傾げていると、アルフォンソの後ろから別の男が進み出てきた。

「セレーナは先日、うちの騎士団の入団テストを受けてトップで合格したというだけです。どうして、我が騎士団にこんないわくつきの女たちを入団させなければいけないのだ……!」

 アルフォンソに横に立った金髪のたれ目の男が悔しそうに説明した。

「あら、あなたは?」
「……第10支団副支団長のルイ・ハーミット。アリアネス嬢とセレーナの上司だ。いくら伯爵令嬢と言えども、高飛車な真似は許されない。お嬢様はそれが分かっているのかな?」

 ルイが顔を歪めて挑発するが、アリアネスは全く表情を変えない。

 「ルイ副支団長ですね。それでは…。」

 アリアネスは無表情のままで一歩後ろに下がり、セレーナとともに拳を胸に付ける騎士団の礼をとった。

「私、アリアネス・バレンターレとセレーナは本日付で帝国騎士団第10支団に入団させていただきます。住民の生活を守り、弱きを助け、悪をくじく騎士団の教えにのっとり、日々精進することをここに誓いますわ。」

 よろしくお願いいたしますと頭を下げるアリアネスとセレーナの姿にアルフォンソとルイは目を丸くして、ポカンと口を開けて固まった。

「入団の正式な許可をいただけますでしょうか?」

 頭を下げたまま、アリアネスが聞くとアルフォンソがはっと我に返り「許可する」と応えた。

「やったわ!セレーナ!とうとう騎士団入りよ!」
「お嬢様、はしゃがないでください。」
「だって!だって!」
 
きゃっきゃと戯れるアリアネスとセレーナを見て、アルフォンソが苦笑いした。

「よっ、よく騎士団入団の誓いを知っていますね。」

 ルイが顔を歪めつつも、皮肉を込めて尋ねる。

「もちろんですわ。国を守る騎士団になるのですから事前準備は完璧に済ませてあります。」
「…ものを知っているだけではこの国は守れませんよ、アリアネス嬢。」

 吐き捨てるように言うルイに向かって、アリアネスは優雅に淑女の礼をとる。。

「もちろん、承知の上です。ですからこの第10支団で多くのことを学ばせていただければと思っております。若輩者ですが、どうぞよろしくお願いいたしますわ。」

アリアネスはにっこり笑った。


アルフォンソside

「どうしてあんな女を我が騎士団で面倒をみることになったんだ、アル!」

 支団長室に入ると同時に副支団長のルイが詰め寄ってくる。無理もない、自分の一存で決めたことでルイにも相談しなかった。

「あの女が男漁りのために騎士団入団を迫っているという噂が流れているのを知っているだろう!」
「もちろん知ってる。そして、そんな女を受け入れた愚かな騎士団だとほかの支団から馬鹿にされていることもな。」
「ならどうして!」

 ルイの悲鳴のような声が耳に残る。支団長の椅子に座り、ふっーと息を吐いた後、ルイの方に向き直った。

「ルイ、俺は第10支団をただの雑兵集団で終わらせるつもりはない。」
「……。」
「俺達は騎士団に入りたい市民の不満を解消するためのゴミ溜めだ。どんなに頑張っても誉れとなるようなでかい任務は回ってこない。」
「…それがあの女どもとどう関係がある。」
「利用するんだよ、あの女を。貴族の娘のお嬢ちゃんが自分の名前を広めるためにわがままを言ってでかい任務を持ってきてくれるかもしれない。伯爵令嬢だ。それだけで、今まで貴族どもがいる支団にしか回ってこなかったうま味のある任務が第10支団にもくるかもしれねーだろ?あいつらをうまく利用すれば、俺達も上に這いあがれるかもしれない。」
「アル……お前、そこまで考えてたのか。」
「貴族のお気楽な野郎どもの歯車になるなんてまっぴらごめんだ。あいつらを踏み台にして、のし上がるって決めただろ?俺に任せろ、絶対に後悔はさせないさ!」

 アルフォンソとルイはにやりと笑い合って、拳を打ちあった。
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