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騎士団入団
第7話
しおりを挟む「部屋はこっちだ……。早くついてこい、ぐずぐずするな!」
背が高く、赤毛の長い髪を1つにまとめている女がアリアネスとセレーナを先導してくれた。アルフォンソとルイは、アリアネスとセレーナを女性に任せて、早々にどこかに消えてしまった。遠くで見ていたところ、女性は自分達の案内を拒んでいたようにも見えたが、話は済んだのだろう。
「はじめまして、私は、アリアネスと申します。これからよろしくお願いいたしますわ。そしてこちらがセレーナです。彼女も今日から第10支団にお世話になりますわ!よろしくお願いいたします。」
「……。」
自己紹介が済んでなかったと思い、前を歩く女性にアリアネスが挨拶をするが、一向に返事が返ってこない。
「あら、聞こえなかったかしら?私は……。」
アリアネスがもう一度挨拶をしようとした瞬間にら女性がピタリと歩みを止めた。必然的にアリアネスたちも立ち止まることになる。
「あんたたちに名前を教えるつもりはない。男漁りにきた世間知らずなお嬢さんだろ?うちの騎士団の評判を下げない内にさっさとやめてくれないか?」
女はアリアネスの方を振り向きもせずに話し続ける。
「伯爵令嬢ならうちなんかにこなくても、いくらでもいい男はいるだろう?それとも騎士と良い仲になって、騎士団長に一矢報いるつもりか?いずれにしても、騎士団長の見る目は確かだな。あんたみたいな女を選ばずに、美しくて、賢いファニア様を選んだんだからな!」
「…。」
しかし、アリアネスは返事をせずに黙ったままだ。返事がないことに苛ついたのか、女はさらに酷い罵倒を続ける。
「体を使って男をからめ雌狐め!うちの団員はお前なんかに見向きもしないぞ。泥にまみれて地面に這いつくばりたくなきゃさっさと逃げ帰るんだな!」
再び歩き出した女は古ぼけた扉が特徴の部屋の前で立ち止まる。そして、まるで触れたくもないとでもいうようにセレーナに鍵を投げてよこし、そのまま早足でその場を去った。
「…随分とありきたりな悪口しか言えない方なのね。もっと言われるかと思っていたから少し拍子抜けしてしまったわ。」
「お嬢様のことを侮っているのでしょう。すぐに屋敷に逃げ帰ると……。アリアネス様、部屋に入りましょう。温かいハーブティーをいれます。」
セレーナが古ぼけたドアのカギを開けると、建てつけが悪いのがぎぃぃと耳触りな音がした。
部屋の中には2つの古ぼけたベッドがあり、使い古されたシーツが載せられていた。荷物を入れる洋服ダンスが1つに、窓は長年掃除されていないのか薄汚れている。それに、そもそも部屋全体がほこりっぽい。顔をしかめるセレーナと違い、アリアネスは宝物を見つけた子供のように目を輝かせた。
「まぁ!まるで童話で読んだ貧しい女の子の屋根裏部屋のよう!素敵だわ!」
「そういってくださって幸いです。しかし、私はこのような部屋になれておりますが、お嬢様にはご迷惑をおかけすることもあるかと。申し訳ありません…。」
「何を言ってるのセレーナ?小さい頃、2人で秘密基地を作って1カ月生活したことをお忘れ?」
「…もちろん覚えております。お嬢様が半分野生化してしまい、文明に戻ることが大変でしたね。」
「そんなことは覚えていなくてよろしい!とにかく、部屋の掃除をするわよ!!」
「かしこまりました、お嬢様。」
頼もしい主人の雄叫びを聞いて、セレーナは珍しく口元を緩ませるが、すぐに無表情に戻って、恭しく頭を下げたのだった。
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