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第一部
第20話
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「ちょっと、三目君!これはいったいどういうこと!」
ニコニコと笑いながら当たり前のように自分の席に座ろうとしていた三目君の腕を取って、瀬尾君たちから見えない位置に引きずっていった。至近距離で問い詰めてみるも、三目君はあっけらかんとしている。
「どういうことって、合コンですよ?ちゃんと極上で超一流の人たちを連れてきましたから!」
「それはそうかもしれないけど!なんであっちの面子に瀬尾君が入ってるのかを俺は聞いてるんだよ!」
あぁそのことですかと三目君はクスリと笑った。
「いやー、他の人の予定だったんですけど、急に仕事が入って今日来られなくなってしまったみたいなんです。だからあちら側の幹事にもう一人急遽集めてもらうことにしたんですよ。見た目も良くて仕事もできて、周りからの評判も良い人って厳しい条件をつけたら、どうも瀬尾さんしかいなかったみたいですね。」
そう説明した後、三目君が席に戻ろうとしたので、また引っ張ってこちらに向き直らせる。
「合コンは了承したけど瀬尾君に会うとは聞いてないよ。俺はもう帰るから。」
「ダメですよ。今日は合コンを楽しんで、新しい恋を探すって決めたじゃないですか。その約束を破るつもりですか?この前、瀬尾さんから助けたのは誰だと思ってるんですか?それともせっかくセッティングしたこの合コンをぶち壊したいんですか?せっかく僕も素敵な恋人を見つけようと思ってたのに!」
真顔で詰め寄られて、その迫力にたじろいでしまった。それに三目君の言う通りで、このまま自分だけ帰ってしまえば人数が合わなくなり、場が盛り下がってしまうだろう。
「いいですか、山口さん。瀬尾さんがいるからって何なんですか?別に付き合ってる訳でもないんだから、気にしなければいいんですよ。話しかけられても適当に返事をしておけばいい。瀬尾さんを無視して他の人と楽しくやればいいんですよ!瀬尾さんに囚われないでください!もっといい人はたくさんいるんですから!」
三目君が目を見ながら説得するように言葉をかけてくる。
「そっか…。付き合ってる訳でもないし、気にしなければいいのか。」
三目君の言葉を繰り返す。確かにその通りだ。なんで自分はこんなに瀬尾くんのことを考えているのか。ひどいことをされたんだから無視すればいい。適当に返事をすればいいのだ。
「納得していただけました?さぁ、席に戻りますよ。戦闘開始です! 」
弾むような声を出す三目君に向かって大きく頷いた。
待たせてしまっていた桝田君と向かい側の人たちに謝って席についた。三目君がテキパキと飲み物を注文すると、すぐに自己紹介が始まった。挨拶はあちら側からするようだ。
「初めまして。井上廉(いのうえ・れん)です。歳は26です。よろしくお願いします。」
ガラス張りの長テーブルの右端に座っていた男性が自己紹介を始めた。黒のさらさらの髪はアシンメトリーになっていって、細いフレームの眼鏡をかけている。細身の高身長で、シャツにジーパン、革靴というオーソドックスな服装で、少しつり目なのが個性的な顔立ちだった。
「俺は持永飛鳥(もちなが・あすか)っていいます。年齢は少しいってて35歳です。よろしく。」
中央に座っていたのは、髪をひとつにくくっている髭を生やした男性だった。薄手のタートルネックのニットにスラックスをはいていて、この場では最年長なのもあってか大人の色気を感じる人だ。
「…瀬尾時宗です。歳は25歳です。よろしくお願いします。」
他の二人はこちら側全員を見渡すように挨拶したにも関わらず、瀬尾くんだけは自分だけをじっと見て挨拶してきた。最初はその視線を正面から受け止めていたが、いちいち構ってあげる必要はないんだと思い直して、視線をそらしてやった。あちら側の挨拶も終わり、こちら側に入る。挨拶は本当に簡単なもので終わり、名前と年齢を言うだけだった。そうこうしている間に飲み物と料理も運ばれてくる。三目君は頼んだビールのジョッキを持って意気揚々と立ち上がる。自分はビールではなく、梅酒のグラスを持った。
「それでは、今日という良き日に!素敵な出会いがありますように!かんぱーい!」
三目君が音頭をとり、やっと合コンがスタートした。
(なんでこんなことに…。)
瀬尾君はいるものの、この合コンを楽しもうとは思っていた。別にいきなり恋人をつくろうとは思ってもおらず、今回はおしゃべりを楽しめればいいくらいに思っていたのだ。
なのに。
「山口さんはどんな食べ物がお好きなんですか?」
「同い年なら昔見てた映画とかも被るんじゃない?どんなのが好き?オススメがあるなら教えてほしいな?」
なぜ自分の両隣に井上さんと持永さんが来ているのか。そしてなぜ正面にいる瀬尾君が捨てられた子犬のような目でこちらをみているのだろうか。
ニコニコと笑いながら当たり前のように自分の席に座ろうとしていた三目君の腕を取って、瀬尾君たちから見えない位置に引きずっていった。至近距離で問い詰めてみるも、三目君はあっけらかんとしている。
「どういうことって、合コンですよ?ちゃんと極上で超一流の人たちを連れてきましたから!」
「それはそうかもしれないけど!なんであっちの面子に瀬尾君が入ってるのかを俺は聞いてるんだよ!」
あぁそのことですかと三目君はクスリと笑った。
「いやー、他の人の予定だったんですけど、急に仕事が入って今日来られなくなってしまったみたいなんです。だからあちら側の幹事にもう一人急遽集めてもらうことにしたんですよ。見た目も良くて仕事もできて、周りからの評判も良い人って厳しい条件をつけたら、どうも瀬尾さんしかいなかったみたいですね。」
そう説明した後、三目君が席に戻ろうとしたので、また引っ張ってこちらに向き直らせる。
「合コンは了承したけど瀬尾君に会うとは聞いてないよ。俺はもう帰るから。」
「ダメですよ。今日は合コンを楽しんで、新しい恋を探すって決めたじゃないですか。その約束を破るつもりですか?この前、瀬尾さんから助けたのは誰だと思ってるんですか?それともせっかくセッティングしたこの合コンをぶち壊したいんですか?せっかく僕も素敵な恋人を見つけようと思ってたのに!」
真顔で詰め寄られて、その迫力にたじろいでしまった。それに三目君の言う通りで、このまま自分だけ帰ってしまえば人数が合わなくなり、場が盛り下がってしまうだろう。
「いいですか、山口さん。瀬尾さんがいるからって何なんですか?別に付き合ってる訳でもないんだから、気にしなければいいんですよ。話しかけられても適当に返事をしておけばいい。瀬尾さんを無視して他の人と楽しくやればいいんですよ!瀬尾さんに囚われないでください!もっといい人はたくさんいるんですから!」
三目君が目を見ながら説得するように言葉をかけてくる。
「そっか…。付き合ってる訳でもないし、気にしなければいいのか。」
三目君の言葉を繰り返す。確かにその通りだ。なんで自分はこんなに瀬尾くんのことを考えているのか。ひどいことをされたんだから無視すればいい。適当に返事をすればいいのだ。
「納得していただけました?さぁ、席に戻りますよ。戦闘開始です! 」
弾むような声を出す三目君に向かって大きく頷いた。
待たせてしまっていた桝田君と向かい側の人たちに謝って席についた。三目君がテキパキと飲み物を注文すると、すぐに自己紹介が始まった。挨拶はあちら側からするようだ。
「初めまして。井上廉(いのうえ・れん)です。歳は26です。よろしくお願いします。」
ガラス張りの長テーブルの右端に座っていた男性が自己紹介を始めた。黒のさらさらの髪はアシンメトリーになっていって、細いフレームの眼鏡をかけている。細身の高身長で、シャツにジーパン、革靴というオーソドックスな服装で、少しつり目なのが個性的な顔立ちだった。
「俺は持永飛鳥(もちなが・あすか)っていいます。年齢は少しいってて35歳です。よろしく。」
中央に座っていたのは、髪をひとつにくくっている髭を生やした男性だった。薄手のタートルネックのニットにスラックスをはいていて、この場では最年長なのもあってか大人の色気を感じる人だ。
「…瀬尾時宗です。歳は25歳です。よろしくお願いします。」
他の二人はこちら側全員を見渡すように挨拶したにも関わらず、瀬尾くんだけは自分だけをじっと見て挨拶してきた。最初はその視線を正面から受け止めていたが、いちいち構ってあげる必要はないんだと思い直して、視線をそらしてやった。あちら側の挨拶も終わり、こちら側に入る。挨拶は本当に簡単なもので終わり、名前と年齢を言うだけだった。そうこうしている間に飲み物と料理も運ばれてくる。三目君は頼んだビールのジョッキを持って意気揚々と立ち上がる。自分はビールではなく、梅酒のグラスを持った。
「それでは、今日という良き日に!素敵な出会いがありますように!かんぱーい!」
三目君が音頭をとり、やっと合コンがスタートした。
(なんでこんなことに…。)
瀬尾君はいるものの、この合コンを楽しもうとは思っていた。別にいきなり恋人をつくろうとは思ってもおらず、今回はおしゃべりを楽しめればいいくらいに思っていたのだ。
なのに。
「山口さんはどんな食べ物がお好きなんですか?」
「同い年なら昔見てた映画とかも被るんじゃない?どんなのが好き?オススメがあるなら教えてほしいな?」
なぜ自分の両隣に井上さんと持永さんが来ているのか。そしてなぜ正面にいる瀬尾君が捨てられた子犬のような目でこちらをみているのだろうか。
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