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第一部
第25話
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「ほ、ホントに俺の家に行くの?」
自分で啖呵を切ったものの、時間が経つにつれてどんどん不安になってきた。掃除はちゃんとしていただろうか、というかこの2人をそもそも家に入れていいのだろうか。桝田君が三目君は無理強いするようなことはしないと言っていたし、実際にそうだと思う。しかし瀬尾君に関してはなんとも言えない。彼には前科がある。それに彼が本気になれば自分も三目君も体格のいい彼に抵抗できないだろう。
「幸尚さん、なに考えてます?」
「ひゃっ!」
突然耳に息を吹き掛けられた。顔をあげるとイタズラが成功した子供のような顔で三目君がこちらを見ている。
「大丈夫です。僕はあなたを無理やりどうにかしようなんて思ってませんよ。僕はあなたを大事にしたい。…瀬尾の方はどうかは知りませんけど。」
三目君は蕩けるような笑顔を見せてくれた後、一瞬で冷めた表情になり、瀬尾君に向かって舌打ちした。すると瀬尾君は「そんなことしない!!」と大きな声で反論した。
「どうだか…。山口さんのこと傷つけたこと忘れてないからな。自分勝手なデリカシーなし男が山口さんに好かれる訳ないだろ。もうここで降りたらどうだ?」
三目君が運転手に声をかけようとするのを瀬尾君が阻止している。
「幸尚さん、俺ちゃんと説明します。いや、説明させてください。俺はあなたを、あなたを失いたくない。…お願いします、どうか俺から離れていかないで。」
「瀬尾君…。」
瀬尾君がすがりつくように抱きついてきた。今度は三目君が彼を引き剥がそうとするが、大きな身体の瀬尾君はびくともしない。離れるどころか、さらに強く抱きついてくる。
「幸尚さん、あなたはβだから。…βはすぐにどこかに行ってしまうから。」
瀬尾君がうわ言のようにぶつぶつと言葉を呟いている。しかし、その声は小さすぎてあまり聞き取ることができなかった。もう一度聞こうと顔を寄せてみると、彼の額に自分の額が触れてしまった。
「ん?ちょっと瀬尾君熱すぎない?」
瀬尾君もお酒を飲んでいたので少し体温は高くなってるとは思うが、それにしても高すぎる。急いで手を額にあててみると、案の定熱があるようだ。
「ちょっと瀬尾君!君、すごい熱だよ!なんでこんな体調で合コンなんか来てるの!」
「だって、幸尚さんが、合コンに行くって、聞いたから…。絶対行きたくて、仕事…終わらせた…。」
「いいからほら!ここに寝て!」
瀬尾君の身体を無理やり引っ張って自分の膝の上に寝させた。彼は辛いはずなのに幸せそうな表情で自分の太ももに顔を擦りよせる。三目君は悔しそうな表情を見せるが「まぁ病人なら少しは加減してやる」と言って運転手に近くのドラッグストアに寄るように伝えてくれた。
「うひゃん!」
それと同時に自分の口から情けない声が出てしまった。
決して自分のせいではなく、瀬尾君が股の間に顔をグリグリと押し付けてきたのだ。それが性器を刺激してきて思わず声が漏れてしまった。瀬尾君は「可愛い」と言ってニコニコ笑っている。
「…ほんとは仮病なんじゃないか、お前。」
自分が怒る前に三目君が瀬尾君を締め上げる。彼の顔色が土色になった時にさすがに止めに入った。
自分で啖呵を切ったものの、時間が経つにつれてどんどん不安になってきた。掃除はちゃんとしていただろうか、というかこの2人をそもそも家に入れていいのだろうか。桝田君が三目君は無理強いするようなことはしないと言っていたし、実際にそうだと思う。しかし瀬尾君に関してはなんとも言えない。彼には前科がある。それに彼が本気になれば自分も三目君も体格のいい彼に抵抗できないだろう。
「幸尚さん、なに考えてます?」
「ひゃっ!」
突然耳に息を吹き掛けられた。顔をあげるとイタズラが成功した子供のような顔で三目君がこちらを見ている。
「大丈夫です。僕はあなたを無理やりどうにかしようなんて思ってませんよ。僕はあなたを大事にしたい。…瀬尾の方はどうかは知りませんけど。」
三目君は蕩けるような笑顔を見せてくれた後、一瞬で冷めた表情になり、瀬尾君に向かって舌打ちした。すると瀬尾君は「そんなことしない!!」と大きな声で反論した。
「どうだか…。山口さんのこと傷つけたこと忘れてないからな。自分勝手なデリカシーなし男が山口さんに好かれる訳ないだろ。もうここで降りたらどうだ?」
三目君が運転手に声をかけようとするのを瀬尾君が阻止している。
「幸尚さん、俺ちゃんと説明します。いや、説明させてください。俺はあなたを、あなたを失いたくない。…お願いします、どうか俺から離れていかないで。」
「瀬尾君…。」
瀬尾君がすがりつくように抱きついてきた。今度は三目君が彼を引き剥がそうとするが、大きな身体の瀬尾君はびくともしない。離れるどころか、さらに強く抱きついてくる。
「幸尚さん、あなたはβだから。…βはすぐにどこかに行ってしまうから。」
瀬尾君がうわ言のようにぶつぶつと言葉を呟いている。しかし、その声は小さすぎてあまり聞き取ることができなかった。もう一度聞こうと顔を寄せてみると、彼の額に自分の額が触れてしまった。
「ん?ちょっと瀬尾君熱すぎない?」
瀬尾君もお酒を飲んでいたので少し体温は高くなってるとは思うが、それにしても高すぎる。急いで手を額にあててみると、案の定熱があるようだ。
「ちょっと瀬尾君!君、すごい熱だよ!なんでこんな体調で合コンなんか来てるの!」
「だって、幸尚さんが、合コンに行くって、聞いたから…。絶対行きたくて、仕事…終わらせた…。」
「いいからほら!ここに寝て!」
瀬尾君の身体を無理やり引っ張って自分の膝の上に寝させた。彼は辛いはずなのに幸せそうな表情で自分の太ももに顔を擦りよせる。三目君は悔しそうな表情を見せるが「まぁ病人なら少しは加減してやる」と言って運転手に近くのドラッグストアに寄るように伝えてくれた。
「うひゃん!」
それと同時に自分の口から情けない声が出てしまった。
決して自分のせいではなく、瀬尾君が股の間に顔をグリグリと押し付けてきたのだ。それが性器を刺激してきて思わず声が漏れてしまった。瀬尾君は「可愛い」と言ってニコニコ笑っている。
「…ほんとは仮病なんじゃないか、お前。」
自分が怒る前に三目君が瀬尾君を締め上げる。彼の顔色が土色になった時にさすがに止めに入った。
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