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青い王子と雨の王冠
村雲⑤
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「はぁ…なーんか色々怒ってたのが馬鹿らしくなってきた。」
しばらくハフィに見惚れていた村雲は、ハッとしてブンブンと頭を振った。正気に戻った村雲が呆れたように言うとハフィは「とにかく!怒りがおさまって良かったです!」と笑って猫じゃらしをカバンにしまった。
「…お前変な魔法使えるんだな。」
村雲が照れくさそうに言う。
「変なんてひどいです!私が唯一ちゃんと使える魔法なのに!馬鹿にしないでー!」
「馬鹿になんてしてないだろ!変って言っただけだよ!…そ、それに僕は嫌いじゃないし!」
最後の一言だけはとても小さな声だったので、ハフィには聞こえなかった。けれど馬鹿にされていないと分かったのでハフィはにっこりと笑う。
「と!とにかく気分転換になったよ。ありがとな!お礼に水菓子ごちそうしてやるからたくさん食べろよ。」
「はい!」
村雲のお礼にハフィは笑顔で応えたのだった。
「うぅ、もう食べられません。」
「…食い過ぎに効く漢方薬、あったか?」
お腹が苦しくなってうめいているハフィを呆れ顔で見た村雲だったが、ため息をついて立ち上がり、部屋にある戸棚から紙に包まれた粉薬を持ってきてくれた。
「ほら、これ飲め。」
「うぅ、苦いの嫌です。」
「良薬は口に苦しって言うんだよ!早くしろ!」
「うぅ…。」
村雲に凄まれたハフィは嫌々ながら薬を水で流し込んだ。案の定とんでもない苦さで「うげぇ」とうめいて舌を出す。
そんなハフィを見て笑った村雲は粉薬や黒い丸薬、水薬など数種類を次々に飲んでいる。そしてハフィのように顔をしかめていた。
「そんなにたくさんお薬飲まないといけないんですか?」
ハフィが尋ねると村雲がコクリと頷く。
「そうだ。今まではこの粉薬だけで良かったんだけどな。降雨の儀をするとなると、それまでに水力も体力も養わないといけないから粉薬だけじゃ足りないのさ。」
村雲が果実水を含んで口の中の苦味を洗い流す。
「丸薬は体力、水薬は水力を一時的に増やしてくれる。その代わり、増えた後にとんでもない疲労感に襲われるんだけどな。降雨の儀が終わったら僕は寝たきりになるかもしれないな。」
ヘラっと笑う村雲の表情を見るのが辛いハフィは、黙って俯いた。
「…そんなの嫌です。」
村雲とは今日会ったばかりだ。出会い方も最悪だったけれど、悪い人じゃない。お兄さんが大好きで、口が悪くて、頑張り屋の男の子だ。
その姿がどうしてもオーラスと重なってしまう。意地悪なことばかり言ってくるが頑張り屋の男の子。
「寝たきりなんて嫌です…。」
「…馬鹿。お前はそんなこと気にしなくていいんだよ。降雨の儀までに犯人を見つけないとこの国から出られないんだろ?僕は降雨の儀の準備もあるから何もしてやれないけど、睡蓮にお前を助けるように言っとく。…この国から出られなくてもぼくの小間使いにしてやるから安心しろよ。」
「私は小間使いじゃなくて魔女になりたいんです!!!」
「お!調子出てきたじゃないか!その意気だ!」
村雲が大きな声で笑ってハフィの頭を撫でてくれる。
(どうにかできないのかな。)
善雨も村雲も辛い顔をしている。
2人の兄弟の心からの笑顔が見たい。
ハフィはそんなことを思うようになってきた。
しばらくハフィに見惚れていた村雲は、ハッとしてブンブンと頭を振った。正気に戻った村雲が呆れたように言うとハフィは「とにかく!怒りがおさまって良かったです!」と笑って猫じゃらしをカバンにしまった。
「…お前変な魔法使えるんだな。」
村雲が照れくさそうに言う。
「変なんてひどいです!私が唯一ちゃんと使える魔法なのに!馬鹿にしないでー!」
「馬鹿になんてしてないだろ!変って言っただけだよ!…そ、それに僕は嫌いじゃないし!」
最後の一言だけはとても小さな声だったので、ハフィには聞こえなかった。けれど馬鹿にされていないと分かったのでハフィはにっこりと笑う。
「と!とにかく気分転換になったよ。ありがとな!お礼に水菓子ごちそうしてやるからたくさん食べろよ。」
「はい!」
村雲のお礼にハフィは笑顔で応えたのだった。
「うぅ、もう食べられません。」
「…食い過ぎに効く漢方薬、あったか?」
お腹が苦しくなってうめいているハフィを呆れ顔で見た村雲だったが、ため息をついて立ち上がり、部屋にある戸棚から紙に包まれた粉薬を持ってきてくれた。
「ほら、これ飲め。」
「うぅ、苦いの嫌です。」
「良薬は口に苦しって言うんだよ!早くしろ!」
「うぅ…。」
村雲に凄まれたハフィは嫌々ながら薬を水で流し込んだ。案の定とんでもない苦さで「うげぇ」とうめいて舌を出す。
そんなハフィを見て笑った村雲は粉薬や黒い丸薬、水薬など数種類を次々に飲んでいる。そしてハフィのように顔をしかめていた。
「そんなにたくさんお薬飲まないといけないんですか?」
ハフィが尋ねると村雲がコクリと頷く。
「そうだ。今まではこの粉薬だけで良かったんだけどな。降雨の儀をするとなると、それまでに水力も体力も養わないといけないから粉薬だけじゃ足りないのさ。」
村雲が果実水を含んで口の中の苦味を洗い流す。
「丸薬は体力、水薬は水力を一時的に増やしてくれる。その代わり、増えた後にとんでもない疲労感に襲われるんだけどな。降雨の儀が終わったら僕は寝たきりになるかもしれないな。」
ヘラっと笑う村雲の表情を見るのが辛いハフィは、黙って俯いた。
「…そんなの嫌です。」
村雲とは今日会ったばかりだ。出会い方も最悪だったけれど、悪い人じゃない。お兄さんが大好きで、口が悪くて、頑張り屋の男の子だ。
その姿がどうしてもオーラスと重なってしまう。意地悪なことばかり言ってくるが頑張り屋の男の子。
「寝たきりなんて嫌です…。」
「…馬鹿。お前はそんなこと気にしなくていいんだよ。降雨の儀までに犯人を見つけないとこの国から出られないんだろ?僕は降雨の儀の準備もあるから何もしてやれないけど、睡蓮にお前を助けるように言っとく。…この国から出られなくてもぼくの小間使いにしてやるから安心しろよ。」
「私は小間使いじゃなくて魔女になりたいんです!!!」
「お!調子出てきたじゃないか!その意気だ!」
村雲が大きな声で笑ってハフィの頭を撫でてくれる。
(どうにかできないのかな。)
善雨も村雲も辛い顔をしている。
2人の兄弟の心からの笑顔が見たい。
ハフィはそんなことを思うようになってきた。
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