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第2部 プラチナ帝国公爵領編
第9話
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シェラはこの声を否定も肯定もせず、声を発した。
「聞け!!」
そう言っただけでピタリと兵士の声は止み、シェラの言葉を余すことなく聞こうとする。
「500のうち、450は私に続いて砦を出る。そして野外で敵を迎え撃つ!!」
「・・・・・こわいか?」
とニヤリとしながら問いかけるシェラに兵士は誰もうなずかずシェラを一心にみている。
すごい。
これがシェラの人心掌握か。しかもただの一瞬で。
僕も思わずシェラについていきそうになった。
この人について行きたいと思わせる何かが出ているのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
実はこの場にナスタチウム元皇太子殿下がいた。
彼は皇帝陛下の怒りを買い平民に落とされ傭兵にまで落ちぶれていたが、たまたまこの砦の兵士として雇われていたのだ。
そしてこの奇跡を肌で体感した。
「すげぇ・・・・これが偉大な英雄の姿か・・・・・」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
シェラは砦の外へ出るが、僕には別の役目がある。
残りの50を率いて大事な役目を任されているのだ。
「出陣!!!」
というシェラの掛け声で砦の兵士の9割は砦からでて野戦で10倍以上の敵を迎撃する。
戦術の観点からいくと賢い選択といはいえない。しかしシェラが率いる兵士は誰も疑問に思わない。
かつてシェラが僕に言った「この人には絶対に勝てないと思わせることが第一条件だ」と言った言葉を思い出す。
シェラについていく兵士の目にはシェラの姿しか映らないように見える。
それを知ってか知らずかシェラは兵士に檄をかける。
「防陣を敷け。敵を倒そうとするな。自分と隣の身を守れ。諸君らの後ろには私がいる」
「相手の将が何者であろうと、何人いようと関係ない。身を守れ。耐えろ。さすれば必ず勝利するぞ!!」
この言葉だけでシェラについてきた兵士の士気は高まった。
さらにシェラは冷静に相手の軍の分析を開始する。
一番大事なことは相手の将がどのような思考をするかである。
シェラはすでに当たりをつけていた。
この軍を率いる将はシルバー王国内にいる将軍ではない。おそらくシルバー王国傘下の国の将軍であろう。
そしてここまでの練度をもつ軍と力のある将軍は3人しかいない。
一人はコーラル王国のクロッカス将軍、一人はクラウド王国のライラック将軍、もう一人はコパー都市国家のスマルト将軍である。
そのうち、一人は死んだ。
そして、スマルト将軍、通称「知略のスマルト」はコパー都市国家の国王に忠誠を誓っていない。
ということは消去法でクラウド王国のライラック将軍が残った。
そしてライラック将軍は奇策を好まず正攻法を好み、軍は精強を誇るという情報をシェラは持っていた。
おそらく、目の前の軍を率いるのはクラウド王国のライラック将軍であろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
エボニー砦450とクラウド王国軍5000が野戦で戦っている。
すでに数時間が過ぎていた。互いに一進一退である。
10倍の差をもつ軍が野戦で戦って互角の戦況を保つというのは常識から言って考えられないことだ。
この常識を覆した原因はシェラの采配にある。
シェラ率いる450は防陣を敷いて戦っている。
防陣の一部が崩れそうになると、中央にいるシェラが間にはいり、立て直しを図るのだ。
これを繰り返すことで優勢だったはずの5000のクラウド王国軍に攻めきれないという焦りが生まれた。
軍の焦りは将に伝染る。
僕は、シェラから数時間以内にかならず敵側に焦りがでて隙ができると聞いていた。
その隙が出たら、ライラック将軍の本陣近くまで林を利用して50の兵で近づき、本陣の兵が少なくなる時を見計らって奇襲をしかけるという策を与えられていた。
つまりシェラは僕を信じて、5000の兵を引き付ける囮の役をしてくれたのだ。
450の兵を囲む5000の兵。実際には4000の兵が囲んでいる。
残りの1000は本陣でライラック将軍を守っている。しかし、シェラが指揮をとる450は士気も結束も固く、容易に崩せない。
あまり固すぎると相手の士気がおち、攻撃の手が緩んでしまう可能性がある。逆に崩れだすと人数を増やして一気に勝負を決めようという戦場の心理が働く。
その心理を知り尽くしているシェラは適度なところでわざと隙をみせ、防陣が崩れるように見せかけた。
案の定、ライラック将軍は残りの1000も攻撃に加え、一気にこの戦いを終わらせようとした。
罠にかかった本陣に僕は狙いをすまし、50の兵で不意をついて総攻撃を加えた。
少しばかりの抵抗はあったが、本陣をまもる兵士は10人足らずであり、不意をつかれて動揺していたこともあって障害にはならなかった。
僕の剣がライラック将軍へ一撃を浴びせ、致命傷を与えることに成功したのだ。
将軍の最後の言葉は、
「大将軍様には10倍の差ぐらいでは相手にもならなかった。しかし全力をもって相手をしたのだ。悔いはない。クラウド王国に栄光あれ」
というものであった。
この将軍も背負うものがあり、覚悟を持って戦場に出て来たのだろうと思った。
僕は勝鬨をあげ、この戦いが終わったことを戦場にいる兵士全員にきかせた。
「この戦い、エボニー砦守備軍が勝ったぞーーーーーーー!!!」
この勝鬨を聞いて負けに気づいたクラウド王国軍はみな投降した。
こうしてのちにエボニー砦の奇跡と呼ばれる戦いは守備側の勝利でおわった。
「聞け!!」
そう言っただけでピタリと兵士の声は止み、シェラの言葉を余すことなく聞こうとする。
「500のうち、450は私に続いて砦を出る。そして野外で敵を迎え撃つ!!」
「・・・・・こわいか?」
とニヤリとしながら問いかけるシェラに兵士は誰もうなずかずシェラを一心にみている。
すごい。
これがシェラの人心掌握か。しかもただの一瞬で。
僕も思わずシェラについていきそうになった。
この人について行きたいと思わせる何かが出ているのだ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
実はこの場にナスタチウム元皇太子殿下がいた。
彼は皇帝陛下の怒りを買い平民に落とされ傭兵にまで落ちぶれていたが、たまたまこの砦の兵士として雇われていたのだ。
そしてこの奇跡を肌で体感した。
「すげぇ・・・・これが偉大な英雄の姿か・・・・・」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
シェラは砦の外へ出るが、僕には別の役目がある。
残りの50を率いて大事な役目を任されているのだ。
「出陣!!!」
というシェラの掛け声で砦の兵士の9割は砦からでて野戦で10倍以上の敵を迎撃する。
戦術の観点からいくと賢い選択といはいえない。しかしシェラが率いる兵士は誰も疑問に思わない。
かつてシェラが僕に言った「この人には絶対に勝てないと思わせることが第一条件だ」と言った言葉を思い出す。
シェラについていく兵士の目にはシェラの姿しか映らないように見える。
それを知ってか知らずかシェラは兵士に檄をかける。
「防陣を敷け。敵を倒そうとするな。自分と隣の身を守れ。諸君らの後ろには私がいる」
「相手の将が何者であろうと、何人いようと関係ない。身を守れ。耐えろ。さすれば必ず勝利するぞ!!」
この言葉だけでシェラについてきた兵士の士気は高まった。
さらにシェラは冷静に相手の軍の分析を開始する。
一番大事なことは相手の将がどのような思考をするかである。
シェラはすでに当たりをつけていた。
この軍を率いる将はシルバー王国内にいる将軍ではない。おそらくシルバー王国傘下の国の将軍であろう。
そしてここまでの練度をもつ軍と力のある将軍は3人しかいない。
一人はコーラル王国のクロッカス将軍、一人はクラウド王国のライラック将軍、もう一人はコパー都市国家のスマルト将軍である。
そのうち、一人は死んだ。
そして、スマルト将軍、通称「知略のスマルト」はコパー都市国家の国王に忠誠を誓っていない。
ということは消去法でクラウド王国のライラック将軍が残った。
そしてライラック将軍は奇策を好まず正攻法を好み、軍は精強を誇るという情報をシェラは持っていた。
おそらく、目の前の軍を率いるのはクラウド王国のライラック将軍であろう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
エボニー砦450とクラウド王国軍5000が野戦で戦っている。
すでに数時間が過ぎていた。互いに一進一退である。
10倍の差をもつ軍が野戦で戦って互角の戦況を保つというのは常識から言って考えられないことだ。
この常識を覆した原因はシェラの采配にある。
シェラ率いる450は防陣を敷いて戦っている。
防陣の一部が崩れそうになると、中央にいるシェラが間にはいり、立て直しを図るのだ。
これを繰り返すことで優勢だったはずの5000のクラウド王国軍に攻めきれないという焦りが生まれた。
軍の焦りは将に伝染る。
僕は、シェラから数時間以内にかならず敵側に焦りがでて隙ができると聞いていた。
その隙が出たら、ライラック将軍の本陣近くまで林を利用して50の兵で近づき、本陣の兵が少なくなる時を見計らって奇襲をしかけるという策を与えられていた。
つまりシェラは僕を信じて、5000の兵を引き付ける囮の役をしてくれたのだ。
450の兵を囲む5000の兵。実際には4000の兵が囲んでいる。
残りの1000は本陣でライラック将軍を守っている。しかし、シェラが指揮をとる450は士気も結束も固く、容易に崩せない。
あまり固すぎると相手の士気がおち、攻撃の手が緩んでしまう可能性がある。逆に崩れだすと人数を増やして一気に勝負を決めようという戦場の心理が働く。
その心理を知り尽くしているシェラは適度なところでわざと隙をみせ、防陣が崩れるように見せかけた。
案の定、ライラック将軍は残りの1000も攻撃に加え、一気にこの戦いを終わらせようとした。
罠にかかった本陣に僕は狙いをすまし、50の兵で不意をついて総攻撃を加えた。
少しばかりの抵抗はあったが、本陣をまもる兵士は10人足らずであり、不意をつかれて動揺していたこともあって障害にはならなかった。
僕の剣がライラック将軍へ一撃を浴びせ、致命傷を与えることに成功したのだ。
将軍の最後の言葉は、
「大将軍様には10倍の差ぐらいでは相手にもならなかった。しかし全力をもって相手をしたのだ。悔いはない。クラウド王国に栄光あれ」
というものであった。
この将軍も背負うものがあり、覚悟を持って戦場に出て来たのだろうと思った。
僕は勝鬨をあげ、この戦いが終わったことを戦場にいる兵士全員にきかせた。
「この戦い、エボニー砦守備軍が勝ったぞーーーーーーー!!!」
この勝鬨を聞いて負けに気づいたクラウド王国軍はみな投降した。
こうしてのちにエボニー砦の奇跡と呼ばれる戦いは守備側の勝利でおわった。
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