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第4部 勇者と2人の王子編
第3話
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突然の不躾な質問に驚いたが、
「はい・・・・・そうです。よくご存じですね。僕のこと。それにあなたもしかして軍人さんですか?」
「ふふふ、そうだね。私は軍人だよ。ねぇ、もうひとつ不躾なお願いをしていいかな?」
もう十分不躾だけどなあ。
この人、軍人にしては顔が整っている。
それ以上に気になるのはこの人が纏う空気だ。
この空気は歴戦の将軍と言っていい。おそらく僕がいままで相手にしてきたどの将軍よりも強いだろう。
緊張しながら、
「はい・・・なんでしょうか。僕にできることならいいんですが」
「いや、君のね・・・いま、もっている護身用かなんかの武器、例えば短刀みたいなものがあれば、私に見せてほしい。もちろんすぐ返すつもりだが」
不思議なお願いだな。
もちろん護身用の短刀はもっている。
長剣はこの帝都で活動するには不便なので装備していない。
しかし、なにも持たないわけにはいかないので、シェラからもらった短剣を護身用として装備している。
僕がその短剣を青年軍人にわたすと、彼はその短剣を大切なものであるかのように握りしめ、目をカッと開いたかと思うと、目から一筋の涙が流れていた。
「大将軍シェーラ様の魔力痕だ」
なんと言ったか聞き取れないぐらいの小声だったが、僕に短刀を返してきて、改めて彼は僕に話かけてきた。
「すまなかった。わたしはシルバー王国軍第二将の座を預かるアカエールというものだ」
「そしてたった今、君の供をすることを許してほしい。ああ、すまないが、理由は聞かないでくれ」
「そのかわり、君のすることはなんでも協力するぞ。たいていのことはできるつもりだ」
シルバー王国の第二将だって。かなり上位の人物だ。
それにしてもアカエール様が話す内容があまりに抽象的なのでもう少し詳しい説明を頼んだ。
アカエール様は言葉が足りなくて済まないと頭をぽりぽりかきながら説明をしてくれた。
「わたしは・・・いや、俺はシルバー王国では軍の重鎮にあたる。なので、シルバー王国の代表として現在プラチナ帝国の帝都に駐在している」
シルバー王国の代表っていうなら超重要人物じゃん。
間違っても僕みたいな人間と行動を共にしていい人ではない。
そう思ったがアカエール様の話は続くので僕は黙って聞いていた。
「仕事自体は忙しいわけではないんだ。問題が起きれば忙しくなるがしょっちゅう問題が起こるわけでもない。ただ。俺たち、いや、シルバー王国全体の宿願と言っていいある目的を達成するためにこの帝都にきた」
やばい話かな。そんな話、僕に聞かせないでよ。
「それはある人物を探すことなのだ。ある事情でシルバー王国から出て行かれてしまったその方を我々は5年間探し続けている」
5年間ということは、出ていったのは5年前かあ。
僕の記憶が鮮明になりだした頃だ。
あのころはエクレアやシェラ、リューシェにイオニア、ホーネットと楽しく過ごしていたなあ。
実は、僕には5年前から以前の記憶はない。それ以後の記憶ははっきりしているのだけど。
「その方の足取りはつかめなかったが、幸い我が国には託宣の巫女という魔術師がいて、その方の「託宣」で手がかりを見つけることができたのだ」
「その託宣の内容というのがこれだ」
「探し人を見つけるならば、~~~~~~の道で出会った者の手助けをすべし。その者は魔法学園の在籍していたときは、ギルド屋と名乗り、今は退学している。信じられないのなら、護身用の短剣を確認すること」
「とね」
アカエール様は、託宣の内容が書かれた紙を僕に見せてくれた。
僕じゃん。
どう考えても僕のことを言ってる。
託宣でそこまでわかるのか。託宣パネェ。
アカエール様は、
「君の短剣を手に取ったときわかったよ。その短剣には俺の探している方が関わっている」
これ、シェラからもらったただの短剣なんだけどな。
「ということで分かってもらえただろうか。君の手助けをすることが俺の利になるということを」
「うーん。そんなすごい方と僕が関係すると思えませんが、それでアカエール将軍が納得するのであれば構わないです。それではお願いします。確かに僕はいま、ある調査をしていますので、その手伝いをお願いしたいです」
そう僕は言った。
「俺のことはアカエールでいい。君の名は?」
とアカエール様がそう言ったとたん、急に横から割り込まれて話を遮られた。
「ちょっとーーーそこの2人。捜査に協力してちょうだい。職務質問をするわ。おとなしく指示に従ったほうがいいわよお」
という女性の声がした。
何ごとかと思って振り返ると帝都警察隊の服装をした女性が立っていたのだ。
帝都警察隊。
膨大な人口を擁する帝都プラチナムの治安維持を一手に引き受ける組織だ。
内政を担当する内務省とは別の管轄で、警察省に属する。
通常の警備はもちろんだが、それ以外にスパイ摘発や、皇帝宮以外の建物の警護も仕事の範囲にあたる。
なので呼び止められたからには逃げ出すなどもっての外だ。僕は穏便に
「はい、何でしょうか。もちろん、捜査に協力させていただきます。逆らう気はありません」
それを聞いた女の帝都警察隊は、表情を柔らかくして
「厳しい言い方をしてごめんなさい。いま、盗賊を追っているのでちょっとカリカリしちゃったわ。質問なんだけど、ここに不審な人間が通らなかったかしら?」
「先ほどこの近くの邸宅で襲撃があったのよ。幸い、被害はなかったらしいのだけど賊の一人がこちらの方へ逃げたのよね」
と言う。とその時、アカエール様が剣を抜いて
「そこだっ!!」
と道の何でもないところを斬りつけた。すると何もない空間から血が飛び散った。
あとでアカエール様に聞くと、僕と会ってからずっと何もないところから気配がしていたが怪しいだけで攻撃するわけにはいかないので様子を見ていたらしい。
すごい。僕は全く気づかなかった。
アカエール様は帝都警察隊の話を聞いて賊だと確信したらしい。
「キャア!!急になにす・・・・・んん、コイツよ。コイツが賊の一人ね。お手柄よ。あなた」
女の警察隊がアカエール様にお礼をいうが、賊はその隙をついて魔道具を取り出し姿を消した。
それを見た僕は、
「あれは転移の魔道具?転移の魔道具ってものすごく高価のはず。ただの盗賊が持てるようなものじゃない」
その声が聞こえたのか女の帝都警察隊が
「そうね。でも安心して。魔力糸をさっきの賊につけといたから。どこに転移しても居場所はわかるわよ」
この人すごい。あの一瞬でそんなことできるなんて。
とんでもない魔力制御の熟練者だ。
しかもこの人、魔力量も桁外れだ。
間違っても警察隊の組織の下っぱにいる人じゃないぞ。
僕がじっと見ていると女の人はニッコリ笑って、
「ふふふ。勘がいいのね」
「そうね。少し前まで私はこのプラチナ帝国の公爵家当主の座にいたの。名をパンジー・マリーゴールドというわ」
「でも犯罪を犯してね。いまは子爵に降格のうえ、懲役の代わりに帝都警察隊での活動を義務付けられているのよ」
と自嘲気味に言う。
マリーゴールド家の当主。
僕でも知ってるぞ。
たしか、帝国トップクラスの魔法の使い手じゃないか。いまは罪を犯して刑に服していると聞いたことがある。
道理で並の魔法使いではないと思った。
「ふふふ。さて、と。あの賊はどこへ転移したのかしら。そんな長距離ではないはずよ。・・・と、んん?・・・・ここってたしかブラウン王国の大使館だわ」
パンジー・マリーゴールドは不思議そうに言う。
さきほどの賊が転移した場所はブラウン王国の大使館だった。
ブラウン王国の大使館は僕たちがいる道のすぐ隣に大きな壁があるのだが、その向こうの敷地にある。
そこへ先ほどの賊は転移したという。
たまたま賊はブラウン王国の大使館に逃げたのだろうか??
それとも、賊とブラウン王国は裏でつながっているのだろうか??
あれ、そういえば窃盗を訴えた相手もブラウン王国の文官だった。ブラウン王国の関係者だ。
まさか、今回の賊と関係あるのだろうか??
それともただの偶然なのか。
「はい・・・・・そうです。よくご存じですね。僕のこと。それにあなたもしかして軍人さんですか?」
「ふふふ、そうだね。私は軍人だよ。ねぇ、もうひとつ不躾なお願いをしていいかな?」
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この人、軍人にしては顔が整っている。
それ以上に気になるのはこの人が纏う空気だ。
この空気は歴戦の将軍と言っていい。おそらく僕がいままで相手にしてきたどの将軍よりも強いだろう。
緊張しながら、
「はい・・・なんでしょうか。僕にできることならいいんですが」
「いや、君のね・・・いま、もっている護身用かなんかの武器、例えば短刀みたいなものがあれば、私に見せてほしい。もちろんすぐ返すつもりだが」
不思議なお願いだな。
もちろん護身用の短刀はもっている。
長剣はこの帝都で活動するには不便なので装備していない。
しかし、なにも持たないわけにはいかないので、シェラからもらった短剣を護身用として装備している。
僕がその短剣を青年軍人にわたすと、彼はその短剣を大切なものであるかのように握りしめ、目をカッと開いたかと思うと、目から一筋の涙が流れていた。
「大将軍シェーラ様の魔力痕だ」
なんと言ったか聞き取れないぐらいの小声だったが、僕に短刀を返してきて、改めて彼は僕に話かけてきた。
「すまなかった。わたしはシルバー王国軍第二将の座を預かるアカエールというものだ」
「そしてたった今、君の供をすることを許してほしい。ああ、すまないが、理由は聞かないでくれ」
「そのかわり、君のすることはなんでも協力するぞ。たいていのことはできるつもりだ」
シルバー王国の第二将だって。かなり上位の人物だ。
それにしてもアカエール様が話す内容があまりに抽象的なのでもう少し詳しい説明を頼んだ。
アカエール様は言葉が足りなくて済まないと頭をぽりぽりかきながら説明をしてくれた。
「わたしは・・・いや、俺はシルバー王国では軍の重鎮にあたる。なので、シルバー王国の代表として現在プラチナ帝国の帝都に駐在している」
シルバー王国の代表っていうなら超重要人物じゃん。
間違っても僕みたいな人間と行動を共にしていい人ではない。
そう思ったがアカエール様の話は続くので僕は黙って聞いていた。
「仕事自体は忙しいわけではないんだ。問題が起きれば忙しくなるがしょっちゅう問題が起こるわけでもない。ただ。俺たち、いや、シルバー王国全体の宿願と言っていいある目的を達成するためにこの帝都にきた」
やばい話かな。そんな話、僕に聞かせないでよ。
「それはある人物を探すことなのだ。ある事情でシルバー王国から出て行かれてしまったその方を我々は5年間探し続けている」
5年間ということは、出ていったのは5年前かあ。
僕の記憶が鮮明になりだした頃だ。
あのころはエクレアやシェラ、リューシェにイオニア、ホーネットと楽しく過ごしていたなあ。
実は、僕には5年前から以前の記憶はない。それ以後の記憶ははっきりしているのだけど。
「その方の足取りはつかめなかったが、幸い我が国には託宣の巫女という魔術師がいて、その方の「託宣」で手がかりを見つけることができたのだ」
「その託宣の内容というのがこれだ」
「探し人を見つけるならば、~~~~~~の道で出会った者の手助けをすべし。その者は魔法学園の在籍していたときは、ギルド屋と名乗り、今は退学している。信じられないのなら、護身用の短剣を確認すること」
「とね」
アカエール様は、託宣の内容が書かれた紙を僕に見せてくれた。
僕じゃん。
どう考えても僕のことを言ってる。
託宣でそこまでわかるのか。託宣パネェ。
アカエール様は、
「君の短剣を手に取ったときわかったよ。その短剣には俺の探している方が関わっている」
これ、シェラからもらったただの短剣なんだけどな。
「ということで分かってもらえただろうか。君の手助けをすることが俺の利になるということを」
「うーん。そんなすごい方と僕が関係すると思えませんが、それでアカエール将軍が納得するのであれば構わないです。それではお願いします。確かに僕はいま、ある調査をしていますので、その手伝いをお願いしたいです」
そう僕は言った。
「俺のことはアカエールでいい。君の名は?」
とアカエール様がそう言ったとたん、急に横から割り込まれて話を遮られた。
「ちょっとーーーそこの2人。捜査に協力してちょうだい。職務質問をするわ。おとなしく指示に従ったほうがいいわよお」
という女性の声がした。
何ごとかと思って振り返ると帝都警察隊の服装をした女性が立っていたのだ。
帝都警察隊。
膨大な人口を擁する帝都プラチナムの治安維持を一手に引き受ける組織だ。
内政を担当する内務省とは別の管轄で、警察省に属する。
通常の警備はもちろんだが、それ以外にスパイ摘発や、皇帝宮以外の建物の警護も仕事の範囲にあたる。
なので呼び止められたからには逃げ出すなどもっての外だ。僕は穏便に
「はい、何でしょうか。もちろん、捜査に協力させていただきます。逆らう気はありません」
それを聞いた女の帝都警察隊は、表情を柔らかくして
「厳しい言い方をしてごめんなさい。いま、盗賊を追っているのでちょっとカリカリしちゃったわ。質問なんだけど、ここに不審な人間が通らなかったかしら?」
「先ほどこの近くの邸宅で襲撃があったのよ。幸い、被害はなかったらしいのだけど賊の一人がこちらの方へ逃げたのよね」
と言う。とその時、アカエール様が剣を抜いて
「そこだっ!!」
と道の何でもないところを斬りつけた。すると何もない空間から血が飛び散った。
あとでアカエール様に聞くと、僕と会ってからずっと何もないところから気配がしていたが怪しいだけで攻撃するわけにはいかないので様子を見ていたらしい。
すごい。僕は全く気づかなかった。
アカエール様は帝都警察隊の話を聞いて賊だと確信したらしい。
「キャア!!急になにす・・・・・んん、コイツよ。コイツが賊の一人ね。お手柄よ。あなた」
女の警察隊がアカエール様にお礼をいうが、賊はその隙をついて魔道具を取り出し姿を消した。
それを見た僕は、
「あれは転移の魔道具?転移の魔道具ってものすごく高価のはず。ただの盗賊が持てるようなものじゃない」
その声が聞こえたのか女の帝都警察隊が
「そうね。でも安心して。魔力糸をさっきの賊につけといたから。どこに転移しても居場所はわかるわよ」
この人すごい。あの一瞬でそんなことできるなんて。
とんでもない魔力制御の熟練者だ。
しかもこの人、魔力量も桁外れだ。
間違っても警察隊の組織の下っぱにいる人じゃないぞ。
僕がじっと見ていると女の人はニッコリ笑って、
「ふふふ。勘がいいのね」
「そうね。少し前まで私はこのプラチナ帝国の公爵家当主の座にいたの。名をパンジー・マリーゴールドというわ」
「でも犯罪を犯してね。いまは子爵に降格のうえ、懲役の代わりに帝都警察隊での活動を義務付けられているのよ」
と自嘲気味に言う。
マリーゴールド家の当主。
僕でも知ってるぞ。
たしか、帝国トップクラスの魔法の使い手じゃないか。いまは罪を犯して刑に服していると聞いたことがある。
道理で並の魔法使いではないと思った。
「ふふふ。さて、と。あの賊はどこへ転移したのかしら。そんな長距離ではないはずよ。・・・と、んん?・・・・ここってたしかブラウン王国の大使館だわ」
パンジー・マリーゴールドは不思議そうに言う。
さきほどの賊が転移した場所はブラウン王国の大使館だった。
ブラウン王国の大使館は僕たちがいる道のすぐ隣に大きな壁があるのだが、その向こうの敷地にある。
そこへ先ほどの賊は転移したという。
たまたま賊はブラウン王国の大使館に逃げたのだろうか??
それとも、賊とブラウン王国は裏でつながっているのだろうか??
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