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出会い
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「それじゃあ!私はここで失礼します!」
モカはため息をついた。
結構な音量で声を掛けたのだが、誰一人として気付かない。
各々が近くにいる異性に夢中で、モカのことなど眼中にない。
幹事役の先輩もこちらに背中を向けて、正面に立つ眼鏡スーツと懸命に会話をしている。
モカはそっとその場を去る。
……いつものことだ。
こうなることは解っていたし、その上で引き受けたのだ。
頼み込まれ、奢ってもらう約束と引き替えに参加した飲み会。
店に入って直ぐ、一人が急な用事で遅れる、間に合わないかも、と教えられた。
幹事役の男性は平謝りだった。
あぶれることを気にして眉を寄せる女性陣達の中に於いて、モカは冷静だった。
人数が合わなかろうがそうでなかろうが、余るのは自分だと知っていたからだ。
自分の容姿がそんなに悪いとは思わない。
社交性がないわけでもない。
けど、最終的にそうなってしまうのだからしょうがない。
モカは星ひとつない曇った夜空を見上げる。
しょうがないと思っていても、やはり、虚しい。
自分はそういう運命の星のもとに生まれたのだと認めてしまうのは、辛い。
例え、生まれて24年間、ずっとこんな事が続いているのだとしても。
モカは地下鉄の駅へと向かう。
時刻はまだ21時前、先程のメンバー達はそれぞれ、次の店へ向かうのだろう。
自宅へ誘っちゃう女子もいるかもなぁ、結構な肉食系の顔ぶれだったから。
まあ、それも良し。
彼女らの武勇伝を聞くのは嫌いじゃない。
語るほどのロマンスを持ち合わせていないモカだが、諦め悪くも枯れてはいない。
人の話を聞いて胸をときめかせることくらいは出来る。
モカは地下へ続く階段に足を掛けた。
その時、猛スピードで階段を駆け上がってきたスーツの男性と肩がぶつかった。
モカはよろけてつんのめる。
身体が浮いたところに腕を掴まれ、すんでのところで命拾いした。
「すいません、平気ですか?」
側で聞こえた声に顔を向けた。
逆光でよく見えないが若い男性のようだ。
「あ、大丈夫です」
「急いでて、よく見てなくて申し訳ありません」
「何ともなかったので気にしないでください。私、こういう運だけは強いので」
顔を上げてニヘラと微笑むと、息を呑む音が聞こえた。
「あの…もしかして、『リナリア』っていうお店ご存知ですか?そこから帰る途中?」
モカは驚いて、男性の顔を良く見ようと目を凝らした。
「そうですけど…何か?」
「あー、だったらもう終わっちゃったのか」
男性は横を向いて頭を掻いた。
地下鉄の階段灯に照らされて端正な顔が露になる。
イケメン……。
モカは思わず見惚れた。
「出席する予定だったんです、俺も」
「ああ、一人遅れていらっしゃるっていう…貴方でしたか。残念でしたね、先程お開きになりました」
「二次会は無かったんですか?もう帰るところなんですよね?」
モカは視線を斜め上に向けて、どう説明すべきか少し考える。
「個別で行くんじゃないかな。みんな」
「え?!五人全員?」
「おそらく…」
「そんなに達成率が高い飲み会、聞いたことがない。なんだぁ、やっぱり参加したかったなぁ」
貴方の相手は必然的に私になるんですから、何だかんだで無理だったと思いますよ。
モカは心の中で呟く。
「お料理は美味しかったですよ。では、私はこれで」
しかし、男性は腕を離さない。
モカは困惑して、見上げた。
「あの、良ければ一軒付き合って頂けませんか?このまま帰るのは侘しくって。急いで仕事を終わらせて来たのに一杯も飲めないなんて」
「えっ?!」
モカは戸惑う。
飲み会に参加しなくとも女子が群がりそうなほどのイケメンが、明らかにあぶれたとわかる女子を誘う意図とは?
「俺が参加してたら、貴女とペアになっていたかもしれないんですよね?きっと話が合いますよ」
なんすか、その理屈。
「いや、あのぅ……」
渋るモカだったが、腕を引っ張られ、通りへ戻された。
モカはため息をついた。
結構な音量で声を掛けたのだが、誰一人として気付かない。
各々が近くにいる異性に夢中で、モカのことなど眼中にない。
幹事役の先輩もこちらに背中を向けて、正面に立つ眼鏡スーツと懸命に会話をしている。
モカはそっとその場を去る。
……いつものことだ。
こうなることは解っていたし、その上で引き受けたのだ。
頼み込まれ、奢ってもらう約束と引き替えに参加した飲み会。
店に入って直ぐ、一人が急な用事で遅れる、間に合わないかも、と教えられた。
幹事役の男性は平謝りだった。
あぶれることを気にして眉を寄せる女性陣達の中に於いて、モカは冷静だった。
人数が合わなかろうがそうでなかろうが、余るのは自分だと知っていたからだ。
自分の容姿がそんなに悪いとは思わない。
社交性がないわけでもない。
けど、最終的にそうなってしまうのだからしょうがない。
モカは星ひとつない曇った夜空を見上げる。
しょうがないと思っていても、やはり、虚しい。
自分はそういう運命の星のもとに生まれたのだと認めてしまうのは、辛い。
例え、生まれて24年間、ずっとこんな事が続いているのだとしても。
モカは地下鉄の駅へと向かう。
時刻はまだ21時前、先程のメンバー達はそれぞれ、次の店へ向かうのだろう。
自宅へ誘っちゃう女子もいるかもなぁ、結構な肉食系の顔ぶれだったから。
まあ、それも良し。
彼女らの武勇伝を聞くのは嫌いじゃない。
語るほどのロマンスを持ち合わせていないモカだが、諦め悪くも枯れてはいない。
人の話を聞いて胸をときめかせることくらいは出来る。
モカは地下へ続く階段に足を掛けた。
その時、猛スピードで階段を駆け上がってきたスーツの男性と肩がぶつかった。
モカはよろけてつんのめる。
身体が浮いたところに腕を掴まれ、すんでのところで命拾いした。
「すいません、平気ですか?」
側で聞こえた声に顔を向けた。
逆光でよく見えないが若い男性のようだ。
「あ、大丈夫です」
「急いでて、よく見てなくて申し訳ありません」
「何ともなかったので気にしないでください。私、こういう運だけは強いので」
顔を上げてニヘラと微笑むと、息を呑む音が聞こえた。
「あの…もしかして、『リナリア』っていうお店ご存知ですか?そこから帰る途中?」
モカは驚いて、男性の顔を良く見ようと目を凝らした。
「そうですけど…何か?」
「あー、だったらもう終わっちゃったのか」
男性は横を向いて頭を掻いた。
地下鉄の階段灯に照らされて端正な顔が露になる。
イケメン……。
モカは思わず見惚れた。
「出席する予定だったんです、俺も」
「ああ、一人遅れていらっしゃるっていう…貴方でしたか。残念でしたね、先程お開きになりました」
「二次会は無かったんですか?もう帰るところなんですよね?」
モカは視線を斜め上に向けて、どう説明すべきか少し考える。
「個別で行くんじゃないかな。みんな」
「え?!五人全員?」
「おそらく…」
「そんなに達成率が高い飲み会、聞いたことがない。なんだぁ、やっぱり参加したかったなぁ」
貴方の相手は必然的に私になるんですから、何だかんだで無理だったと思いますよ。
モカは心の中で呟く。
「お料理は美味しかったですよ。では、私はこれで」
しかし、男性は腕を離さない。
モカは困惑して、見上げた。
「あの、良ければ一軒付き合って頂けませんか?このまま帰るのは侘しくって。急いで仕事を終わらせて来たのに一杯も飲めないなんて」
「えっ?!」
モカは戸惑う。
飲み会に参加しなくとも女子が群がりそうなほどのイケメンが、明らかにあぶれたとわかる女子を誘う意図とは?
「俺が参加してたら、貴女とペアになっていたかもしれないんですよね?きっと話が合いますよ」
なんすか、その理屈。
「いや、あのぅ……」
渋るモカだったが、腕を引っ張られ、通りへ戻された。
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