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16.愛情と対価-1

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「どうしたって君は目立ってしまうようだね」

貴賓室のバルコニーで、ランチを取りながら、アルフレッドは苦笑した。

「有名人の貴方と一緒に行動するからじゃない?」

ジスペインは主だった特徴のない南の小さな国だ。
魔石の媒体となる石をガルシアに輸出していることから同盟国に加えてもらっているが、他国にとってはたいした旨味もない。
外交も盛んではないので、王族は滅多に表舞台には姿を表さない。
つまり、珍獣のようなもので物珍しいだけなんだろう、とカリーナは思う。

「昨日、君が助けた女性が、娘と一緒に君を訪ねて城に来たらしい」
「そうなの?」

アルフレッドは、困ったように笑う。

「君の勇姿に偉く感動していてね、祭の最終日の特別イベントに是非参加してほしいと言ってきた」
「特別イベント?」

アルフレッドは笑いを堪えながら答えた。

「ポポの実の的当てコンテストの開催が急遽決まったらしい。君にオープニングエキシビションに出場して欲しいそうだ」

「映えある第一回ポポの実的当て大会のゲストは、この方!リーナ=ペイン魔道騎士殿です!美しく勇敢な女性騎士に大きな拍手を!」

司会の声に周囲から歓声と拍手が沸き起こった。
カリーナは、笑顔で両手を振りながら駆け足で司会の隣へ向かった。
司会の背後に仁王立ちになって周囲に睨みをきかせて1人不穏な空気を醸し出す男、アルフレッドである。
前方に的が見える。
この大会のために急いで町の建具屋が作ったらしい。
簡易的な人形に少し間抜けな悪魔の顔が描かれている。
これが8体、間隔をとってランダムに配置され、ポポの実を当てて倒すのだ。
1人8個のポポの実が配られ、倒した的の数を競う。

「早速、名人に腕をご披露いただきましょう!」

カリーナに与えられたポポの実は3個。
エキシビションの役割はこの後の大会を盛り上げるに他ならない。
カリーナは散らばった的の配置を把握し、狙いを定めた。
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