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21.諦めるな-4
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翌日、カリーナは再びレイモンドの部屋を訪れた。
ガルシア王国からジスペイン国へ魔道で移動できるか検証するために、カリーナの手助けがいるという。
「話は昨夜、アルフレッドから聞きました。驚きました。あの子が此処を訪れることなど滅多にないもので。貴方のお陰です」
レイモンドは嬉しそうに話す。
そして、懐から四角い石盤を取り出した。
「さて、ジスペインに魔道移動できるか、ですが…通常、魔石か魔方陣で繋がっている場所でないと難しいのです。私も国内外に多数ゲートを開いてきましたが、残念ながらジスペインにはまだありません」
カリーナはがっくり項垂れた。
レイモンドは、その様子を見て、目尻にシワを寄せて笑った。
「まだ、がっかりする必要はありませんよ。貴女の叔父上がいる」
そう言って、先ほど取り出した石盤を掲げた。
「ジュード殿が今、ジスペインに向かっておいでです。皇太子誕生の知らせを受けてね。ちょうど近隣国に滞在中であったそうです」
魔道石盤に装置してある魔石は、お互いが呼応するようになっている。
その道筋を辿れば、ゲートを開き、魔道移動が可能だとレイモンドは言う。
異空間を飛ぶ方法もあるが、魔力が無いカリーナには難しい。
故に、今回は、高速移動を選択するつもりらしい。
「しかし、魔道移動には危険が伴います。勿論私も付き添いますが、長距離で、しかも2人での移動になるとかなり大きな負荷がかかります。なので、幾つかゲートを経由して進みたい」
レイモンドは、テーブルの上に巻かれて置かれていた紙を広げた。
それは、大陸の地図だった。
「そのルートを決める作業をカリーナ様に手伝ってほしいのです」
カリーナは頷いた。
アルフレッドは、同盟国で起きた水害の救済支援のため、騎士団派遣の段取りに追われているらしい。
そのため、この塔に訪れるのは深夜になるとの事だった。
昨晩、疲れている様子だったので、カリーナは少し心配になる。
しかし、今は私の出来ることをやるしかない。
皆の協力を無駄にしてはならない。
カリーナは目の前の地図を睨んだ。
気付けば、窓の外はすでに暗くなっていた。
ルートは決まったが、新たに数ヶ所にゲートを開く必要があることがわかった。
後の作業は、アルフレッドが来てから一緒に行うから、と言うレイモンドに見送られ、カリーナは塔を後にした。
ディナーを済ませて部屋に戻ると、テーブルの上に青紫色の花の花束が置かれていた。
アルフレッドの瞳の色に似ている。
傍らに置かれたカードには、花の名前とメッセージが記されていた。
『‘’ディモフル‘’ 不屈の愛。明日の夜、迎えに上がります。 アルフレッド』
カリーナは、花束を手にとって爽やかで甘い香りを嗅いだ。
明日の夜何があるのか予想もつかない。
レイモンドも知らされていないようだった。
それでも、一緒に過ごせることにカリーナの胸は弾んだ。
湯浴みの後、心地よい疲れの中、カリーナは明日の予定を確認する。
明日は朝から荷造りしなきゃ、ああ、甥っ子へのお土産はどうしよう?アルフレッドの体調が心配…
いつの間にか思考を手放し、カリーナは深い眠りについていた。
ガルシア王国からジスペイン国へ魔道で移動できるか検証するために、カリーナの手助けがいるという。
「話は昨夜、アルフレッドから聞きました。驚きました。あの子が此処を訪れることなど滅多にないもので。貴方のお陰です」
レイモンドは嬉しそうに話す。
そして、懐から四角い石盤を取り出した。
「さて、ジスペインに魔道移動できるか、ですが…通常、魔石か魔方陣で繋がっている場所でないと難しいのです。私も国内外に多数ゲートを開いてきましたが、残念ながらジスペインにはまだありません」
カリーナはがっくり項垂れた。
レイモンドは、その様子を見て、目尻にシワを寄せて笑った。
「まだ、がっかりする必要はありませんよ。貴女の叔父上がいる」
そう言って、先ほど取り出した石盤を掲げた。
「ジュード殿が今、ジスペインに向かっておいでです。皇太子誕生の知らせを受けてね。ちょうど近隣国に滞在中であったそうです」
魔道石盤に装置してある魔石は、お互いが呼応するようになっている。
その道筋を辿れば、ゲートを開き、魔道移動が可能だとレイモンドは言う。
異空間を飛ぶ方法もあるが、魔力が無いカリーナには難しい。
故に、今回は、高速移動を選択するつもりらしい。
「しかし、魔道移動には危険が伴います。勿論私も付き添いますが、長距離で、しかも2人での移動になるとかなり大きな負荷がかかります。なので、幾つかゲートを経由して進みたい」
レイモンドは、テーブルの上に巻かれて置かれていた紙を広げた。
それは、大陸の地図だった。
「そのルートを決める作業をカリーナ様に手伝ってほしいのです」
カリーナは頷いた。
アルフレッドは、同盟国で起きた水害の救済支援のため、騎士団派遣の段取りに追われているらしい。
そのため、この塔に訪れるのは深夜になるとの事だった。
昨晩、疲れている様子だったので、カリーナは少し心配になる。
しかし、今は私の出来ることをやるしかない。
皆の協力を無駄にしてはならない。
カリーナは目の前の地図を睨んだ。
気付けば、窓の外はすでに暗くなっていた。
ルートは決まったが、新たに数ヶ所にゲートを開く必要があることがわかった。
後の作業は、アルフレッドが来てから一緒に行うから、と言うレイモンドに見送られ、カリーナは塔を後にした。
ディナーを済ませて部屋に戻ると、テーブルの上に青紫色の花の花束が置かれていた。
アルフレッドの瞳の色に似ている。
傍らに置かれたカードには、花の名前とメッセージが記されていた。
『‘’ディモフル‘’ 不屈の愛。明日の夜、迎えに上がります。 アルフレッド』
カリーナは、花束を手にとって爽やかで甘い香りを嗅いだ。
明日の夜何があるのか予想もつかない。
レイモンドも知らされていないようだった。
それでも、一緒に過ごせることにカリーナの胸は弾んだ。
湯浴みの後、心地よい疲れの中、カリーナは明日の予定を確認する。
明日は朝から荷造りしなきゃ、ああ、甥っ子へのお土産はどうしよう?アルフレッドの体調が心配…
いつの間にか思考を手放し、カリーナは深い眠りについていた。
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