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番外編 「その旋律は永遠に甘く」
来賓達
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手前のテーブルには、相変わらず麗しく崇高なオーラを纏う国王シメオン。
そして、その隣には彼の愛して止まない優しく快活なアナベル王妃。
王妃様の膝の上には小さいマリオン殿下が座っている。
ヴァニラも乳母としてお世話するマリオンは、突然鳴り始めた音楽に興味津々なようで、目をくりくりさせ小さな耳を忙しなく動かしている。
ヴァニラはその可愛らしい様子に微笑む。
その後ろの席に並ぶのは見慣れた側近達とその家族だ。
フォルクスとサリエの夫婦の隣にお行儀良く座るのは彼らの愛娘のモモだ。
お父様譲りの理知的なグリーンの瞳でじっとこちらに注目している。
サリエは大きなおなかをさすりながらフォルクスに何事かを話しかけている。
そう、もう直ぐ彼らに家族が増えるのだ。
チャドは奥様そっくりの女の子を胸に抱いている。
中々眠らない娘に困り果てたチャド夫妻に頼まれ、ヴァニラは何度か子守唄を歌って聞かせた。
そんな彼女の名前はネム。
その柔らかそうな栗色の髪を、隣からロミが愛おしげに指で梳いている。
さて、そのまた隣には、ひと際大きな身体の精悍な男がいる。
彼はベアル。
側近一の力持ちで大食らいだ。
膝に乗せようとするベアルに、頬を染めて必死で抵抗しているのは、その奥様で調理師のマルリル。
彼女の料理は絶品だ。
ベッタリとドルマンに凭れかかり、少々困惑気味の旦那様をうっとり見上げるのはミュカ。
文武両道で美しく非の打ちどころのない彼女だが、妻でありながらドルマンの大ファンなのだと公言している。
一方、表情が顔に出にくいドルマンだが、人目を惹く妻のことが心配でたまらない。
その良く利く鼻で、一日に何度も彼女の匂いを辿って居場所を確かめているらしい。
その奥に歓談する同僚達の顔を見回したヴァニラは、会場の端を歩く男女に目を止め、息を呑んだ。
レッサードに案内されて席に着いた二組の雄雌と少年。
小さめの灰色耳の雌と濃紺の癖毛の雄、並んで座る彼らは…
唖然とするヴァニラだったが、一際大きくなった伴奏の音に、慌てて集中する。
そして、大きく息を吸い込み歌い出した。
目を閉じ、いつものように声に心を乗せる。
その声は音楽に乗り、運ばれていく。
ヴァニラは歌うことが大好きだ。
音楽好きは父譲りで、父は様々な楽器を嗜んでいた。
幼少期、ヴァニラは父の楽器に合わせてしょっちゅう歌っていた。
両親が別れた後、暗く辛い気持に囚われたヴァニラを慰めてくれたのも、皮肉なことに歌うことだった。
いつしか、それが皆に賞賛されるようになり、求められるようになり…そうなってからは、逆に人前で歌うことを控えた。
好意や期待を向けられた分だけ失うことが怖くなる。
ヴァニラの複雑な性質ゆえのことだった。
歌い終わり、腰を落としたヴァニラに会場から割れんばかりの拍手と賞賛の声が降り注ぐ。
ヴァニラはそれに笑顔で応えた。
今はもう怖くない。
それは、すべて愛しき伴侶のお陰だ。
ヴァニラを激しく求め、永遠に離さないと誓う番の存在。
そして、その隣には彼の愛して止まない優しく快活なアナベル王妃。
王妃様の膝の上には小さいマリオン殿下が座っている。
ヴァニラも乳母としてお世話するマリオンは、突然鳴り始めた音楽に興味津々なようで、目をくりくりさせ小さな耳を忙しなく動かしている。
ヴァニラはその可愛らしい様子に微笑む。
その後ろの席に並ぶのは見慣れた側近達とその家族だ。
フォルクスとサリエの夫婦の隣にお行儀良く座るのは彼らの愛娘のモモだ。
お父様譲りの理知的なグリーンの瞳でじっとこちらに注目している。
サリエは大きなおなかをさすりながらフォルクスに何事かを話しかけている。
そう、もう直ぐ彼らに家族が増えるのだ。
チャドは奥様そっくりの女の子を胸に抱いている。
中々眠らない娘に困り果てたチャド夫妻に頼まれ、ヴァニラは何度か子守唄を歌って聞かせた。
そんな彼女の名前はネム。
その柔らかそうな栗色の髪を、隣からロミが愛おしげに指で梳いている。
さて、そのまた隣には、ひと際大きな身体の精悍な男がいる。
彼はベアル。
側近一の力持ちで大食らいだ。
膝に乗せようとするベアルに、頬を染めて必死で抵抗しているのは、その奥様で調理師のマルリル。
彼女の料理は絶品だ。
ベッタリとドルマンに凭れかかり、少々困惑気味の旦那様をうっとり見上げるのはミュカ。
文武両道で美しく非の打ちどころのない彼女だが、妻でありながらドルマンの大ファンなのだと公言している。
一方、表情が顔に出にくいドルマンだが、人目を惹く妻のことが心配でたまらない。
その良く利く鼻で、一日に何度も彼女の匂いを辿って居場所を確かめているらしい。
その奥に歓談する同僚達の顔を見回したヴァニラは、会場の端を歩く男女に目を止め、息を呑んだ。
レッサードに案内されて席に着いた二組の雄雌と少年。
小さめの灰色耳の雌と濃紺の癖毛の雄、並んで座る彼らは…
唖然とするヴァニラだったが、一際大きくなった伴奏の音に、慌てて集中する。
そして、大きく息を吸い込み歌い出した。
目を閉じ、いつものように声に心を乗せる。
その声は音楽に乗り、運ばれていく。
ヴァニラは歌うことが大好きだ。
音楽好きは父譲りで、父は様々な楽器を嗜んでいた。
幼少期、ヴァニラは父の楽器に合わせてしょっちゅう歌っていた。
両親が別れた後、暗く辛い気持に囚われたヴァニラを慰めてくれたのも、皮肉なことに歌うことだった。
いつしか、それが皆に賞賛されるようになり、求められるようになり…そうなってからは、逆に人前で歌うことを控えた。
好意や期待を向けられた分だけ失うことが怖くなる。
ヴァニラの複雑な性質ゆえのことだった。
歌い終わり、腰を落としたヴァニラに会場から割れんばかりの拍手と賞賛の声が降り注ぐ。
ヴァニラはそれに笑顔で応えた。
今はもう怖くない。
それは、すべて愛しき伴侶のお陰だ。
ヴァニラを激しく求め、永遠に離さないと誓う番の存在。
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