許せまじ女は恋愛できるのか?29=彼氏いない歴なんだけど

成瀬りん

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私の日常

朝の許せまじ出来事

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 燃やせるゴミの日は月水金。
8時半に収集車がやってくる。

アパートのごみ収集スペースに我が家のゴミ袋ひとつを置こうとしたら
 モゾモゾとゴミ袋を漁っている奴がいた。
 真っ黒なカラスだ。
 私は心の中でツッコミを入れる。
「黒以外のカラスっているのか?」

 すでに放り投げられていた袋から生ゴミがカラスによってむしばまれている。

「許せまじ!」

これは私の規律から外れたときの口癖。

 怒りの矛先ほこさきはカラスではない。

あさられているゴミ袋を出したアパートの住人だ。

 コンビニ弁当が主な生ゴミ、ビールの空き缶、ペットボトル、メンズ雑誌…。
中身から察するに、101号室の山口さんだ。

 分別されていないゴミ、何回も注意しても前夜に彼はゴミ袋を捨てにいく山口さんのマナーのなさに理解が出来ない。

 「山口さん!山口さん!202号室の岡田です!あなたが捨てたゴミ袋がカラスに荒らされてますよ!」

 1分くらいしたころ、山口さんがステテコ一枚で頭ををボリボリ掻きながら玄関のドアを開けた。

 「なに…?寝てたんだけど。ゴミはゴミなんだから、どう捨てようとオレの勝手だろ」

 「ゴミ出しにはキチンとしたルールがあります!ルールを守って下さい、山口さん」

怒りを押さえながら、カラスがやらかした惨状に指を差す。

 「いちいち細えこと言ってんじゃねぇよ。そんなんだから30になってもひとりなんだよ」
ニヤニヤしながらタバコに火をつけ、煙を私に吐き出した。

 煙を手で振るいながら私はとうとう怒りの頂点に達した!

 「30じゃない!まだ29歳です!」

ホウキで収集場を超高速で片付け、
いつものバス発車時間に間に合うために
猛ダッシュ!

 が…。
7時23分のバスは虚しくも私の目の前で走り去って行ってしまった。

 「山口!許せまじ!」




 
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