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森の中の出来事
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ルカは普通科の生徒に対する授業も慣れてきていた。授業がない日はオリバーの手伝いをしたり、教室に籠りポーションや傷薬を作っていた。
休日の日には学園から少し離れた商店や薬草を取りに森に行くことが増えていた。
ジェームズの話し通り森は学園から徒歩で歩ける距離にあり、薬草の種類が豊富な森は今はない故郷の村に似ていた。
取り過ぎると環境破壊になるため、少しずつ摘み取り草花を篭に入れていく。
ガサっと葉が擦れる音が背後にしたと思った瞬間、黒い物体が目の端に入った。
大きさは大型犬より少し大きい。ルカは慌てることなくゆっくり身体を反転させ、もと来た道に向かう。
耳障りな呻き声が森に響く。学園に管理された森に野犬?と疑問に思ったが今はここから逃げ方が良いと己の勘が言っていた。
攻撃系の魔法も防御系の魔法もルカは使えない。このまま森の出口まで行ってこのまま出ても大丈夫だろうか?
得たいの知れない物体が商店や学園に向かってしまったらどうなるのか、頭の中にがぐるぐると疑問が出ては消えていく。
考えに気を取られていたルカは足元にあった大きな大木に気付いていなかった。その為足をひっかけ思いっきり倒れてしまう。
ドタンと大きな音をたててしまい、背後にいた黒いものが一斉に此方に向かってきた。
一匹だと思っていた黒い物体は、
ヤバイと思った瞬間、身体がふわりと浮く。
「ルイス、オスカー今です」
何処かで聞いたことある声が耳元で発せられる。ふわりと香る香水の匂いに覚えがあった。
「ジェームズ先生?」
「はい慌てず行動出来て偉いですねルカ先生」
ニコリと笑うジェームズにルカは一瞬ぽかんとしてしまった。俗にいうお姫様抱っこをされ背後で魔法が発動し衝撃が森に響く。
ゆっくりと地面に下ろされると足に力が入らない。ガクガクと足を震わせるルカの腰を引き寄せしっかりと固定させる。
「ルカ先生大丈夫ですか?」
「あ、なんとか」
目の前にジェームズの顔が表れる。恥ずかしさのあまり離れようとするが、腰を掴まれているため身動きが取れなかった。
「おい、なにやってんだよジェームズ」
剣を収め此方に走ってくる青年二人に見覚えがあった。
学園内では有名な人物。
赤い髪と紅い瞳が特長の隣国のオスカー殿下とルイス・フォンス・アーノルド。
この王国の第二王子で、多忙な国王と第一王子の変わりに公務を行っている。
テオと同じ色をした長髪と碧瞳が特徴的で彼が公務に訪れる所には女性の歓声と悲鳴がこだまするらしい。近くでルイスを見たがルイスとテオの二人はとても似ていた。
「あ、ルイス殿下とオスカー殿下」
「新人の先生だっけ?今日は運が悪かったですね」
時々森に魔獣や野犬が現れているため、学園から討伐部隊が派遣されている事を説明された。
当番は生徒と教師で組みむ。今回の当番はジェームズ先生とルイス殿下とオスカー殿下のトリオだった。
「先生怪我してる」
オスカーに指摘されるとチクりと頬に痛みが走った。いつの間にか擦り傷が出来ていたらしい。
「あぁ、傷が残ったら大変ですね。私が治しましょう」
「大丈夫ですよこれ位自分で」
ルカは自分で治そうとしたが、ジェームズの手のひらが頬に触れ、心地よい熱が傷口に触れる。すると傷が一瞬で無くなる。
「ありがとうございます」
「珍しいなジェームズが優しいなんて」
珍しいものを見たとルイスは思った。
目の前にいるジェームズという男は非常に気難しく他人に厳しい。特に男性にはとことん厳しい。
心許せるほど信頼関係があれば砕けた態度を取ったりするが、新入りの教師にここまで優しいのは見たことがなかった。
そんなジェームズとルカのやり取りを見て、ルイスは目の前にいる教師に興味が出た。
休日の日には学園から少し離れた商店や薬草を取りに森に行くことが増えていた。
ジェームズの話し通り森は学園から徒歩で歩ける距離にあり、薬草の種類が豊富な森は今はない故郷の村に似ていた。
取り過ぎると環境破壊になるため、少しずつ摘み取り草花を篭に入れていく。
ガサっと葉が擦れる音が背後にしたと思った瞬間、黒い物体が目の端に入った。
大きさは大型犬より少し大きい。ルカは慌てることなくゆっくり身体を反転させ、もと来た道に向かう。
耳障りな呻き声が森に響く。学園に管理された森に野犬?と疑問に思ったが今はここから逃げ方が良いと己の勘が言っていた。
攻撃系の魔法も防御系の魔法もルカは使えない。このまま森の出口まで行ってこのまま出ても大丈夫だろうか?
得たいの知れない物体が商店や学園に向かってしまったらどうなるのか、頭の中にがぐるぐると疑問が出ては消えていく。
考えに気を取られていたルカは足元にあった大きな大木に気付いていなかった。その為足をひっかけ思いっきり倒れてしまう。
ドタンと大きな音をたててしまい、背後にいた黒いものが一斉に此方に向かってきた。
一匹だと思っていた黒い物体は、
ヤバイと思った瞬間、身体がふわりと浮く。
「ルイス、オスカー今です」
何処かで聞いたことある声が耳元で発せられる。ふわりと香る香水の匂いに覚えがあった。
「ジェームズ先生?」
「はい慌てず行動出来て偉いですねルカ先生」
ニコリと笑うジェームズにルカは一瞬ぽかんとしてしまった。俗にいうお姫様抱っこをされ背後で魔法が発動し衝撃が森に響く。
ゆっくりと地面に下ろされると足に力が入らない。ガクガクと足を震わせるルカの腰を引き寄せしっかりと固定させる。
「ルカ先生大丈夫ですか?」
「あ、なんとか」
目の前にジェームズの顔が表れる。恥ずかしさのあまり離れようとするが、腰を掴まれているため身動きが取れなかった。
「おい、なにやってんだよジェームズ」
剣を収め此方に走ってくる青年二人に見覚えがあった。
学園内では有名な人物。
赤い髪と紅い瞳が特長の隣国のオスカー殿下とルイス・フォンス・アーノルド。
この王国の第二王子で、多忙な国王と第一王子の変わりに公務を行っている。
テオと同じ色をした長髪と碧瞳が特徴的で彼が公務に訪れる所には女性の歓声と悲鳴がこだまするらしい。近くでルイスを見たがルイスとテオの二人はとても似ていた。
「あ、ルイス殿下とオスカー殿下」
「新人の先生だっけ?今日は運が悪かったですね」
時々森に魔獣や野犬が現れているため、学園から討伐部隊が派遣されている事を説明された。
当番は生徒と教師で組みむ。今回の当番はジェームズ先生とルイス殿下とオスカー殿下のトリオだった。
「先生怪我してる」
オスカーに指摘されるとチクりと頬に痛みが走った。いつの間にか擦り傷が出来ていたらしい。
「あぁ、傷が残ったら大変ですね。私が治しましょう」
「大丈夫ですよこれ位自分で」
ルカは自分で治そうとしたが、ジェームズの手のひらが頬に触れ、心地よい熱が傷口に触れる。すると傷が一瞬で無くなる。
「ありがとうございます」
「珍しいなジェームズが優しいなんて」
珍しいものを見たとルイスは思った。
目の前にいるジェームズという男は非常に気難しく他人に厳しい。特に男性にはとことん厳しい。
心許せるほど信頼関係があれば砕けた態度を取ったりするが、新入りの教師にここまで優しいのは見たことがなかった。
そんなジェームズとルカのやり取りを見て、ルイスは目の前にいる教師に興味が出た。
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