3 / 15
3
しおりを挟む
「え?」
はっ、とコルムをふり返った。
それはオレがいうはずの言葉だった。
「・・・終わりに、って」
コルムの態度から、表情から、オレだけじゃなくコルムもそう思っているとは感じていたが、言葉にされるとなかなかの威力があって、オレの目にはじんわりと涙が滲んた。
それを隠すようにコルムから顔を背ける。
「友達なんかじゃいられない。足りない」
ふ、と体にかかっていた重みが消え、うつ伏せのまま振り返るとコルムが引き剥がすようにして自分の服を脱いでいた。力任せにするからボタンが何個か飛んだ。
恐怖でベッドから転げるように降りようとしたら、その前に体を引き戻された。反動で仰向けになる。
その力の強さ。
圧倒されて、ベッドの上でコルムを見上げたまま震える。
目に入る、はだけたシャツからのぞく肩の盛り上がった筋肉や胸筋、その下に続く腹筋と、その下のズボンの上からもわかる膨らみ───。
「うそ・・・」
それから目を逸らした。
今がどんな状況なのか、ようやく理解した。
「・・・オレ、女じゃない」
声が震えた。
「知ってる。女なんか足元にも及ばないほど、綺麗だ。ずっと、前から」
ベイラ、と耳元で囁きながら体を重ねてくる。
コルムの体温が、火傷しそうなほど熱く感じる。
耳たぶを咥えられた。
そのまま吸われ、コルムの口の中で舐め回される。味わったことのない不思議な感覚に目眩がした。
「・・・っ、・・んっ、」
でかい体にたやすく巻き込まれたオレのひょろりとした体は満足に抵抗もできない。何とかすき間から片腕を出すと、思い切りコルムの背に爪を立てた。
はっ、と体を離したコルムはその一瞬後、不敵な笑みを見せた。
「煽るのが上手だね、ベイラ」
がっ、とでかい両手で頭を固定され、口を塞がれた。荒々しい口づけ。痛いほど舌を吸われた。
オレの抵抗なんて少しも響いていない。
「いいよ、もっと嫌がって。俺から逃げて。──俺は絶対にベイラを逃さないから」
「・・・ううっ、」
ニヤリとするその表情が恐ろしい。
オレの目からは、堪えきれず涙が溢れ出た。
なんだコレ。
コルムは、オレより小さくて不器用で、いや昔も今も不器用はオレだ。でもいつもオレが助けて、──たっけ・・・?。逆に助けられてたような。
──そうだ。よく泣きべそかいて抱きついてきた。いい子いい子と何度も頭を撫でてなぐさめてやったぞ。それなのに。
なんでこんなにでかく育ってるんだ。しかも、全部筋肉に覆われてるのか、固くて重くて当たると痛い。
「コ、コルムのばがああっっ!オレがっ、お兄ちゃんなのにいいいぃーっ!」
ふええぇぇっ、半泣きで爆発した。あまりにも恐くて。
「うおっ!急になんだ!お兄ちゃんって、同い年だろう。生まれ月だとしても俺が先だ」
「お世話した方がお兄ちゃんだぁーっ!ふえっ、ふえっ」
「世話をされた覚えはない」
「したもん!いい子いい子って!お兄ちゃんにひどいことしちゃダメでしょー!めーっ!」
もう自分でもわけがわからない。
本格的にふえふえ泣くオレにコルムも素にもどって目を丸くした。
「小さくて、あんなに可愛かったのにいいぃっ」
「どんだけ昔のこと言ってんの。今はベイラより大きいし。それに、可愛いのもベイラだ。ベイラの涙、危険すぎる!」
俺以外に絶対に見せちゃダメだ、とぎゅうぎゅう絞め技をかけられる。
「ぐえ。お、終わりにするって、なんだよそれ!」
「それは、・・・」
「オレがいおうと思っていたのにいっ」
「・・・はあ!?」
「バカあっ!オレなんてお前のせいでいっつも女の子たちに冷たくされてるんだからなっ。
お前に気を遣って黙ってたけど、もう終わりにするんだから。
お前の欠点もみーんな喋っちゃうし。そしたら、もう放課後に呼び出されないもん。せ、せいせいするううっ!うっ、うっ」
「──放課後に呼び出されて、ってどういうことだ?いつも裏庭で告白されてたんだろ?」
「いっつも裏庭でいびられてたんだよっ。告白されてるのはお前だろっ」
「告白なんて最近は全然だ。──好きな人がいるって言ったから」
噛み合わない会話の先に、まさかの発言だった。
「・・・え、言ったの?」
混乱するオレにコルムは体をぴたりと寄せ、ぎゅっと抱きしめてきた。
コルムの肌が熱い。
「──お前の好きな人って、だって。・・・オレの母様だよな?それも言ったの?それってけっこう変態だよ?」
コルムがぷ、と吹き出す。
「笑い事?オレ、さすがにそこまでバラそうとは思ってなかったんだけど」
「いやだって、俺が好きになった人は本当に可愛い」
「・・・え、」
「変な勘違いまでして。なぜ今まで気付かないのか、本当に不思議だよ」
「え?」
「ベイラだよ。ベイラしかいないだろう?小さい時から好きだった。可愛くてわがままで、すぐ泣くのに強がって、可愛くて」
可愛い2回言ったな。いや、あまりのことに涙が引っ込んだ。
「少しでもベイラに釣り合うようになりたくて俺なりに頑張っていたところだったのに──」
コルムがぐっと声を落とし、耳もとで囁いた。
『駄目だろう?そんな俺の前にお尻を出したまま寝ているなんて』
「・・・っ」
くすぐったさが背中を走りビクンと体が跳ねた。
「──嘘だっ。お前、母様の姿絵を部屋に隠してたじゃないか。しかも、今も大事に持っているの知ってるぞ」
力を込めて身じろぐが、びくともせずにコルムは楽しそうに俺の上でくすくすと笑った。
「確かに昔から大事に持っている姿絵はある。でも俺が毎日眺めているのは聖女様に抱かれた天使のように可愛いベイラだ」
「──え?え?」
ええええええぇぇぇっっ!!
はっ、とコルムをふり返った。
それはオレがいうはずの言葉だった。
「・・・終わりに、って」
コルムの態度から、表情から、オレだけじゃなくコルムもそう思っているとは感じていたが、言葉にされるとなかなかの威力があって、オレの目にはじんわりと涙が滲んた。
それを隠すようにコルムから顔を背ける。
「友達なんかじゃいられない。足りない」
ふ、と体にかかっていた重みが消え、うつ伏せのまま振り返るとコルムが引き剥がすようにして自分の服を脱いでいた。力任せにするからボタンが何個か飛んだ。
恐怖でベッドから転げるように降りようとしたら、その前に体を引き戻された。反動で仰向けになる。
その力の強さ。
圧倒されて、ベッドの上でコルムを見上げたまま震える。
目に入る、はだけたシャツからのぞく肩の盛り上がった筋肉や胸筋、その下に続く腹筋と、その下のズボンの上からもわかる膨らみ───。
「うそ・・・」
それから目を逸らした。
今がどんな状況なのか、ようやく理解した。
「・・・オレ、女じゃない」
声が震えた。
「知ってる。女なんか足元にも及ばないほど、綺麗だ。ずっと、前から」
ベイラ、と耳元で囁きながら体を重ねてくる。
コルムの体温が、火傷しそうなほど熱く感じる。
耳たぶを咥えられた。
そのまま吸われ、コルムの口の中で舐め回される。味わったことのない不思議な感覚に目眩がした。
「・・・っ、・・んっ、」
でかい体にたやすく巻き込まれたオレのひょろりとした体は満足に抵抗もできない。何とかすき間から片腕を出すと、思い切りコルムの背に爪を立てた。
はっ、と体を離したコルムはその一瞬後、不敵な笑みを見せた。
「煽るのが上手だね、ベイラ」
がっ、とでかい両手で頭を固定され、口を塞がれた。荒々しい口づけ。痛いほど舌を吸われた。
オレの抵抗なんて少しも響いていない。
「いいよ、もっと嫌がって。俺から逃げて。──俺は絶対にベイラを逃さないから」
「・・・ううっ、」
ニヤリとするその表情が恐ろしい。
オレの目からは、堪えきれず涙が溢れ出た。
なんだコレ。
コルムは、オレより小さくて不器用で、いや昔も今も不器用はオレだ。でもいつもオレが助けて、──たっけ・・・?。逆に助けられてたような。
──そうだ。よく泣きべそかいて抱きついてきた。いい子いい子と何度も頭を撫でてなぐさめてやったぞ。それなのに。
なんでこんなにでかく育ってるんだ。しかも、全部筋肉に覆われてるのか、固くて重くて当たると痛い。
「コ、コルムのばがああっっ!オレがっ、お兄ちゃんなのにいいいぃーっ!」
ふええぇぇっ、半泣きで爆発した。あまりにも恐くて。
「うおっ!急になんだ!お兄ちゃんって、同い年だろう。生まれ月だとしても俺が先だ」
「お世話した方がお兄ちゃんだぁーっ!ふえっ、ふえっ」
「世話をされた覚えはない」
「したもん!いい子いい子って!お兄ちゃんにひどいことしちゃダメでしょー!めーっ!」
もう自分でもわけがわからない。
本格的にふえふえ泣くオレにコルムも素にもどって目を丸くした。
「小さくて、あんなに可愛かったのにいいぃっ」
「どんだけ昔のこと言ってんの。今はベイラより大きいし。それに、可愛いのもベイラだ。ベイラの涙、危険すぎる!」
俺以外に絶対に見せちゃダメだ、とぎゅうぎゅう絞め技をかけられる。
「ぐえ。お、終わりにするって、なんだよそれ!」
「それは、・・・」
「オレがいおうと思っていたのにいっ」
「・・・はあ!?」
「バカあっ!オレなんてお前のせいでいっつも女の子たちに冷たくされてるんだからなっ。
お前に気を遣って黙ってたけど、もう終わりにするんだから。
お前の欠点もみーんな喋っちゃうし。そしたら、もう放課後に呼び出されないもん。せ、せいせいするううっ!うっ、うっ」
「──放課後に呼び出されて、ってどういうことだ?いつも裏庭で告白されてたんだろ?」
「いっつも裏庭でいびられてたんだよっ。告白されてるのはお前だろっ」
「告白なんて最近は全然だ。──好きな人がいるって言ったから」
噛み合わない会話の先に、まさかの発言だった。
「・・・え、言ったの?」
混乱するオレにコルムは体をぴたりと寄せ、ぎゅっと抱きしめてきた。
コルムの肌が熱い。
「──お前の好きな人って、だって。・・・オレの母様だよな?それも言ったの?それってけっこう変態だよ?」
コルムがぷ、と吹き出す。
「笑い事?オレ、さすがにそこまでバラそうとは思ってなかったんだけど」
「いやだって、俺が好きになった人は本当に可愛い」
「・・・え、」
「変な勘違いまでして。なぜ今まで気付かないのか、本当に不思議だよ」
「え?」
「ベイラだよ。ベイラしかいないだろう?小さい時から好きだった。可愛くてわがままで、すぐ泣くのに強がって、可愛くて」
可愛い2回言ったな。いや、あまりのことに涙が引っ込んだ。
「少しでもベイラに釣り合うようになりたくて俺なりに頑張っていたところだったのに──」
コルムがぐっと声を落とし、耳もとで囁いた。
『駄目だろう?そんな俺の前にお尻を出したまま寝ているなんて』
「・・・っ」
くすぐったさが背中を走りビクンと体が跳ねた。
「──嘘だっ。お前、母様の姿絵を部屋に隠してたじゃないか。しかも、今も大事に持っているの知ってるぞ」
力を込めて身じろぐが、びくともせずにコルムは楽しそうに俺の上でくすくすと笑った。
「確かに昔から大事に持っている姿絵はある。でも俺が毎日眺めているのは聖女様に抱かれた天使のように可愛いベイラだ」
「──え?え?」
ええええええぇぇぇっっ!!
26
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
僕の番
結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが――
※他サイトにも掲載
冒険者の幼馴染と、ずっとその隣にいたい男の話
くろねこや
BL
お前の隣で、一緒に歳をとって生きていくんだと思ってた。
例えお前が誰かと結婚しても、子どもが生まれても。
◇
15歳になると神様から魔法が与えられる世界で、たった一人魔法が使えないイスト。
火魔法と氷魔法を授かった幼馴染は冒険者になった。
オレにあるのは畑や動物たちをちょこっと元気にする力だけ…。
ところが、そこへ謎の老婆が現れて…。
え? オレも冒険者になれるの?
“古代種様”って何?!
※『横書き』方向に設定してお読みください。
※『設定 こぼれ話』は情報を追加・修正することがあります。
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 一月十日のアルファポリス規約改定を受け、サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をこちらへ移しましたm(__)m サブ垢の『バウムクーヘンエンド』はこちらへ移動が出来次第、非公開となりますm(__)m)
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である
お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら
夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。
テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。
Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。
執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる