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95 恥ずかしさの残る朝
柔らかな朝の光がカーテン越しに差し込み、寝室をそっと包み込む。
家の庇に止まった小鳥たちが、1日の始まりを喜ぶかのように囀っている。
遥はゆっくりと目を開けた。
目の前にある慎一の胸に、そっと額を押し当て、もう一度目を閉じる。
さらりと髪を撫でていく優しい手を感じながら、深く息を吐いた。
まどろみの中に落ちていきそうになったそのとき、体の違和感に気づく。
全身が重く、首を動かすと、わずかな痛みが走った。
――どうしてだろう。
ふわふわと定まらない意識の中、原因を考えながら再び目を開ける。
ゆっくり顔を上げると、慎一の顔が目に入った。その瞬間、遥の口元には自然と緩やかな笑みが浮かぶ。
「おはよう、遥くん。体は大丈夫かな?」
「慎一さん、おはようござ――」
声を出した瞬間、喉に違和感を覚えた。
掠れていて、声が出しにくい。慎一にそれを伝えようとした時に、ようやく昨夜のことを思い出した。
次の瞬間、遥の顔は一瞬でりんごのように真っ赤に染まり、体にかかっていた毛布を勢いよく引っ張り上げてその中に隠れた。
(ううっ、どうしよう……)
昨夜のことをすべて鮮明に覚えているわけではない。
ただ、自分が何をしたのかは、はっきりと覚えている。
おねしょをしたと勘違いして、慎一を泣きながら起こした。
そして、初めてのヒートが始まった。とにかく慎一に、いろんなことをおねだりした。
思い出すのも恥ずかしいようなことを、口にしてしまった記憶がある。
まるで、自分が自分じゃなくなったみたいだった。
思い返すたびに、全身がじわりと熱を帯びる。
でも――
覚悟していたのに、全然痛くなかったし、怖くもなかった。
ただただ気持ちよくて、慎一にくっついていたくてたまらなかった。
怜二としていたこととは、まるで違った。正反対だった。
「遥くん、大丈夫?」
毛布にすっぽりと頭まで覆われていた遥に、慎一が外から声をかける。
遥は慌てて、かすれた声で返事をした。
「――は、はい。大丈夫です」
毛布の上から、優しく撫でられる感触が伝わってくる。
「遥くんの顔が見たいから、出てきてほしいな」
慎一の声に、遥は覚悟を決める。
そっと毛布の端を持ち、ゆっくりと目元まで下ろしていった。
「ぼく、恥ずかしくて……ここまでで、ごめんなさい」
ギリギリ毛布から出した目で、何度も瞬きする。
恥ずかしくて、慎一の顔を直視できない。
「ふふっ、かわいいね」
遥はますます恥ずかしくなり、再び毛布を視界の半分まで引き上げた。
慎一は優しく微笑みながら、遥の髪を撫でる。
「痛いところはないかな?」
「……あ、はぃ。大丈夫です」
毛布の中から、小さくくぐもった返事を返す。
身体には多少の違和感や痛みはあるが、診療所に行くほどではないだろう。
それよりも、羞恥心の方が勝っていて、自分の状態がよく分からない。
「ほんと? それならよかったけど……うなじをしっかり噛んでしまったからね……」
「――あっ」
そうだ。慎一と遥は、とうとう「番」になったのだ。
その事実を思い出した途端、うなじがじんわりと疼き始める。
この感じる痛みは――慎一がつけてくれた、番の証。
下半身のだるさも、掠れた声も、遥がヒートを迎えた証だ。
そう思うと、この体の違和感さえ、どこか嬉しく感じられる。
少しずつ実感が湧いてきて、遥の胸の奥がじんわりと温かくなっていく。
どう表現すればいいのか分からない感情が、胸の奥から溢れてきた。
その時、ふわりと鼻先に漂ってきたのは、慎一の香り。
いつもより強く感じる気がして、遥は意識して大きく鼻から息を吸い込んだ。
少し甘くて、でもどこかすっきりしているいつもの香り。
――けれど今日は、それに加えて蜂蜜のような香りも混じっているような気がした。
濃厚で甘くとろりとしていて、口にすれば幸せがずっと残るような……そんな香り。
「……慎一さんから、はちみつみたいないい匂いがします」
毛布から鼻先を出した遥は、甘い匂いに誘われた子ぐまのように、そっと慎一の胸元へ顔を寄せる。すーっと深く息を吸い込んでから、満足げに息を吐いた。
「ああ、番になって、感じ方が少し変わったのかな? 私も、今までより遥くんの匂いを強く感じるよ」
「……僕って、どんな匂いがするんですか?」
自分の匂いは、自分では分からない。
慎一の好みの香りだったらいいな、と思いながら遥は尋ねた。
「んー、そうだな……バニラみたいな、甘くて、嗅いだだけでとても幸せになる香りだよ」
「んふふっ、よかったです」
慎一が気に入ってくれているようで、遥は嬉しくて微笑んだ。
もう一度、その香りを確かめるように鼻を寄せると、慎一がそっと遥を抱きしめ、ゆっくりと体を起こした。
慎一の膝の上に、遥の体が横向きに収まる。
「お水を飲もうか。喉、少し痛いでしょ?」
そう言って慎一は腕を伸ばし、ヘッドボードに置いていた遥のカップを手に取った。
昨夜、寝る前に持ってきたものだ。結局、薬を飲むことはなかった。
上にかぶせていたシリコンの蓋を取り、慎一はカップを遥へと差し出す。
「どうぞ」
「ありがとうございます。……ほんとは、ちょっとだけ喉が痛かったんです……」
素直に白状した遥は、カップを受け取ると口をつけ、ごくごくと飲み干した。
その様子を、慎一は優しく微笑みながら見守る。
ふわりと、また蜂蜜のような甘い香りが遥の鼻先をくすぐった。
飲み干したカップを慎一が受け取り、ヘッドボードに戻す。
礼を言いながらその動きを目で追っていた遥は、「あっ」と声を上げた。
「ん、どうしたの?」
「え、あ、いえ、その……チョコのこと、忘れてました……」
昨夜抱いたまま眠りについたはずのチョコは、ヘッドボードの上で壁の方を向いて、行儀よく座っていた。
汚れている様子もないし、昨夜のことを見られていなさそうで、遥はほっと胸を撫で下ろす。
もちろんチョコはぬいぐるみで、見えているわけではないと分かっている。
それでも、なんとなく恥ずかしかった。
「ちゃんと、そこに座らせておいたから大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
慎一はカップを置いた手でチョコを取り、遥に手渡した。
遥はそれをぎゅっと抱きしめ、顔を埋める。とっても甘くて、幸せな匂いがした。
そのとき――ぐぅ、と小さな音が遥のお腹から鳴った。
「ふふっ、お腹空いたかな? 何か食べたいものはある?」
遥は頬を染めながら、答えた。
「はちみつが、食べたいです!」
家の庇に止まった小鳥たちが、1日の始まりを喜ぶかのように囀っている。
遥はゆっくりと目を開けた。
目の前にある慎一の胸に、そっと額を押し当て、もう一度目を閉じる。
さらりと髪を撫でていく優しい手を感じながら、深く息を吐いた。
まどろみの中に落ちていきそうになったそのとき、体の違和感に気づく。
全身が重く、首を動かすと、わずかな痛みが走った。
――どうしてだろう。
ふわふわと定まらない意識の中、原因を考えながら再び目を開ける。
ゆっくり顔を上げると、慎一の顔が目に入った。その瞬間、遥の口元には自然と緩やかな笑みが浮かぶ。
「おはよう、遥くん。体は大丈夫かな?」
「慎一さん、おはようござ――」
声を出した瞬間、喉に違和感を覚えた。
掠れていて、声が出しにくい。慎一にそれを伝えようとした時に、ようやく昨夜のことを思い出した。
次の瞬間、遥の顔は一瞬でりんごのように真っ赤に染まり、体にかかっていた毛布を勢いよく引っ張り上げてその中に隠れた。
(ううっ、どうしよう……)
昨夜のことをすべて鮮明に覚えているわけではない。
ただ、自分が何をしたのかは、はっきりと覚えている。
おねしょをしたと勘違いして、慎一を泣きながら起こした。
そして、初めてのヒートが始まった。とにかく慎一に、いろんなことをおねだりした。
思い出すのも恥ずかしいようなことを、口にしてしまった記憶がある。
まるで、自分が自分じゃなくなったみたいだった。
思い返すたびに、全身がじわりと熱を帯びる。
でも――
覚悟していたのに、全然痛くなかったし、怖くもなかった。
ただただ気持ちよくて、慎一にくっついていたくてたまらなかった。
怜二としていたこととは、まるで違った。正反対だった。
「遥くん、大丈夫?」
毛布にすっぽりと頭まで覆われていた遥に、慎一が外から声をかける。
遥は慌てて、かすれた声で返事をした。
「――は、はい。大丈夫です」
毛布の上から、優しく撫でられる感触が伝わってくる。
「遥くんの顔が見たいから、出てきてほしいな」
慎一の声に、遥は覚悟を決める。
そっと毛布の端を持ち、ゆっくりと目元まで下ろしていった。
「ぼく、恥ずかしくて……ここまでで、ごめんなさい」
ギリギリ毛布から出した目で、何度も瞬きする。
恥ずかしくて、慎一の顔を直視できない。
「ふふっ、かわいいね」
遥はますます恥ずかしくなり、再び毛布を視界の半分まで引き上げた。
慎一は優しく微笑みながら、遥の髪を撫でる。
「痛いところはないかな?」
「……あ、はぃ。大丈夫です」
毛布の中から、小さくくぐもった返事を返す。
身体には多少の違和感や痛みはあるが、診療所に行くほどではないだろう。
それよりも、羞恥心の方が勝っていて、自分の状態がよく分からない。
「ほんと? それならよかったけど……うなじをしっかり噛んでしまったからね……」
「――あっ」
そうだ。慎一と遥は、とうとう「番」になったのだ。
その事実を思い出した途端、うなじがじんわりと疼き始める。
この感じる痛みは――慎一がつけてくれた、番の証。
下半身のだるさも、掠れた声も、遥がヒートを迎えた証だ。
そう思うと、この体の違和感さえ、どこか嬉しく感じられる。
少しずつ実感が湧いてきて、遥の胸の奥がじんわりと温かくなっていく。
どう表現すればいいのか分からない感情が、胸の奥から溢れてきた。
その時、ふわりと鼻先に漂ってきたのは、慎一の香り。
いつもより強く感じる気がして、遥は意識して大きく鼻から息を吸い込んだ。
少し甘くて、でもどこかすっきりしているいつもの香り。
――けれど今日は、それに加えて蜂蜜のような香りも混じっているような気がした。
濃厚で甘くとろりとしていて、口にすれば幸せがずっと残るような……そんな香り。
「……慎一さんから、はちみつみたいないい匂いがします」
毛布から鼻先を出した遥は、甘い匂いに誘われた子ぐまのように、そっと慎一の胸元へ顔を寄せる。すーっと深く息を吸い込んでから、満足げに息を吐いた。
「ああ、番になって、感じ方が少し変わったのかな? 私も、今までより遥くんの匂いを強く感じるよ」
「……僕って、どんな匂いがするんですか?」
自分の匂いは、自分では分からない。
慎一の好みの香りだったらいいな、と思いながら遥は尋ねた。
「んー、そうだな……バニラみたいな、甘くて、嗅いだだけでとても幸せになる香りだよ」
「んふふっ、よかったです」
慎一が気に入ってくれているようで、遥は嬉しくて微笑んだ。
もう一度、その香りを確かめるように鼻を寄せると、慎一がそっと遥を抱きしめ、ゆっくりと体を起こした。
慎一の膝の上に、遥の体が横向きに収まる。
「お水を飲もうか。喉、少し痛いでしょ?」
そう言って慎一は腕を伸ばし、ヘッドボードに置いていた遥のカップを手に取った。
昨夜、寝る前に持ってきたものだ。結局、薬を飲むことはなかった。
上にかぶせていたシリコンの蓋を取り、慎一はカップを遥へと差し出す。
「どうぞ」
「ありがとうございます。……ほんとは、ちょっとだけ喉が痛かったんです……」
素直に白状した遥は、カップを受け取ると口をつけ、ごくごくと飲み干した。
その様子を、慎一は優しく微笑みながら見守る。
ふわりと、また蜂蜜のような甘い香りが遥の鼻先をくすぐった。
飲み干したカップを慎一が受け取り、ヘッドボードに戻す。
礼を言いながらその動きを目で追っていた遥は、「あっ」と声を上げた。
「ん、どうしたの?」
「え、あ、いえ、その……チョコのこと、忘れてました……」
昨夜抱いたまま眠りについたはずのチョコは、ヘッドボードの上で壁の方を向いて、行儀よく座っていた。
汚れている様子もないし、昨夜のことを見られていなさそうで、遥はほっと胸を撫で下ろす。
もちろんチョコはぬいぐるみで、見えているわけではないと分かっている。
それでも、なんとなく恥ずかしかった。
「ちゃんと、そこに座らせておいたから大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
慎一はカップを置いた手でチョコを取り、遥に手渡した。
遥はそれをぎゅっと抱きしめ、顔を埋める。とっても甘くて、幸せな匂いがした。
そのとき――ぐぅ、と小さな音が遥のお腹から鳴った。
「ふふっ、お腹空いたかな? 何か食べたいものはある?」
遥は頬を染めながら、答えた。
「はちみつが、食べたいです!」
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