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そして誰もいなくなった? 4
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フェリシアとミランは魔法通話があった団員の部屋へ急いだ。
部屋にはべろべろに酔っぱらった団員がひとりでたたずんでいた。色黒で、編みこんだ黒髪をヘアピンで留めた髪型をしているが、その髪型も崩れ気味だ。
「すみまへん、だんちょー、ミラン殿下と、お楽しみのところ……」
「君一人か? 三人が消えたって、どういうこと? しっかりしなさい!」
フェリシアはべろべろ団員の肩を揺さぶって、活を入れた。団員はハッとして、ちょっとだけ真面目な顔つきになった。
「は、はい団長。俺たち四人で今まで王都で飲んでました。四人いたんですよ」
「うん」
「時間も時間だから王宮に戻って俺の部屋でまた飲もうって話になったんです。四人で俺の部屋に向かってたんです」
「それで?」
「俺の部屋にたどり着いたら、俺しかいないんです。みんな揃って王宮に入ったから、外ではぐれたわけじゃないと思うんですけど」
「全員酔っていたんでしょう? 自分の部屋に無意識に戻って、そのまま眠ってしまったんじゃないの?」
フェリシアは最も可能性の高い推理を披露した。
とりあえず、消えた三人の部屋へ向かうことに。
「これで三人が忽然と消えたら、ミステリーだな。そしてまたひとり、またひとりと消え、ついに魔法師団は誰もいなくなった、か」
「ミラン殿下、ずっと黙ってるなと思ってたら、そんなこと考えてたんですか」
ミランは顎に手を当てたポーズで、にやりとした。
「どう? ギャップ萌え」
「はいはい、萌えました。私、先に行きますね」
「ごめんってフェリシア!」
――三人の部屋にはみな鍵が掛かっていた。ノックしても反応がない。
「潰れて眠っちゃってるのかな……。それにしても、物音とか、寝息が聞こえないな」
団員が困ったような顔をする。
魔法で鍵を開けることもできるが、そこまではしたくない。
「とにかく、明日まで待とう。君はもう休みなさい」
フェリシアが黒髪の団員にそう言ったとき、何かが廊下を滑って来るのが見えた。
王宮内の廊下は夜中になると魔力節約のため、薄暗くなる。
フェリシアが滑って来るそれを「ルルンバ」だと認めるまで、時間がかかった。
「これって、ユリアン兄貴が作ったっていう魔道具だろう? 夕食のとき自慢してた」
ミランが呆れたように言った。
正しくは「考案した」で作ったのは技術者だろうが、フェリシアは訂正しなかった。そのかわり「ルルンバ」を見つめがら、気になったことをミランに聞いた。
「ミラン殿下、このルルンバ、ができる前、王宮は何で掃除していたんですか? ほうき?」
ミランはきょとんとした。
「そんなわけないだろう。大型の掃除魔道具だよ。魔力源コードから、魔力を引っ張って、掃除するやつ(コード付きの掃除機だと思って下さい)」
「ああ、あのホースの先にゴミを吸い込む装置(クリーナーヘッド)がついていて、ホースの後ろのゴミを貯めるところ(本体)に送られるやつですね」
「君の実家でも使っていただろう?」
「いえ、うちはほうきでした……私の家は、貧乏なので」
フェリシアの言葉にどう対応していいか分からないミランは、ルルンバを見つめながら、ふと、呟いた。
「このルルンバが使われるようになったら、以前の掃除魔道具お払い箱ってわけか。何だか可哀想だな」
今度はフェリシアがきょとんとした。
「殿下、魔道具に感情はありませんよ。生物じゃなくて、道具ですから」
「まあそうなんだけど……」
「うわーーーーーーーー!!」
そのとき、若い男の悲鳴が王宮の廊下に響き渡った。
「あの声は……」
団長のフェリシアにはすぐに分かった。あの黒髪ヘアピンの団員だ。
フェリシアとミランは声がした方向に急いだ。
しかし、薄暗い王宮の廊下が続くばかり。
その廊下に、見覚えのあるヘアピンがひとつ、落ちていた。
「これは、団員の……」
あたりを探しても、黒髪ヘアピン団員はとうとう見つからなかった。
魔法師団団員の行方不明者数は、計九人となった。
部屋にはべろべろに酔っぱらった団員がひとりでたたずんでいた。色黒で、編みこんだ黒髪をヘアピンで留めた髪型をしているが、その髪型も崩れ気味だ。
「すみまへん、だんちょー、ミラン殿下と、お楽しみのところ……」
「君一人か? 三人が消えたって、どういうこと? しっかりしなさい!」
フェリシアはべろべろ団員の肩を揺さぶって、活を入れた。団員はハッとして、ちょっとだけ真面目な顔つきになった。
「は、はい団長。俺たち四人で今まで王都で飲んでました。四人いたんですよ」
「うん」
「時間も時間だから王宮に戻って俺の部屋でまた飲もうって話になったんです。四人で俺の部屋に向かってたんです」
「それで?」
「俺の部屋にたどり着いたら、俺しかいないんです。みんな揃って王宮に入ったから、外ではぐれたわけじゃないと思うんですけど」
「全員酔っていたんでしょう? 自分の部屋に無意識に戻って、そのまま眠ってしまったんじゃないの?」
フェリシアは最も可能性の高い推理を披露した。
とりあえず、消えた三人の部屋へ向かうことに。
「これで三人が忽然と消えたら、ミステリーだな。そしてまたひとり、またひとりと消え、ついに魔法師団は誰もいなくなった、か」
「ミラン殿下、ずっと黙ってるなと思ってたら、そんなこと考えてたんですか」
ミランは顎に手を当てたポーズで、にやりとした。
「どう? ギャップ萌え」
「はいはい、萌えました。私、先に行きますね」
「ごめんってフェリシア!」
――三人の部屋にはみな鍵が掛かっていた。ノックしても反応がない。
「潰れて眠っちゃってるのかな……。それにしても、物音とか、寝息が聞こえないな」
団員が困ったような顔をする。
魔法で鍵を開けることもできるが、そこまではしたくない。
「とにかく、明日まで待とう。君はもう休みなさい」
フェリシアが黒髪の団員にそう言ったとき、何かが廊下を滑って来るのが見えた。
王宮内の廊下は夜中になると魔力節約のため、薄暗くなる。
フェリシアが滑って来るそれを「ルルンバ」だと認めるまで、時間がかかった。
「これって、ユリアン兄貴が作ったっていう魔道具だろう? 夕食のとき自慢してた」
ミランが呆れたように言った。
正しくは「考案した」で作ったのは技術者だろうが、フェリシアは訂正しなかった。そのかわり「ルルンバ」を見つめがら、気になったことをミランに聞いた。
「ミラン殿下、このルルンバ、ができる前、王宮は何で掃除していたんですか? ほうき?」
ミランはきょとんとした。
「そんなわけないだろう。大型の掃除魔道具だよ。魔力源コードから、魔力を引っ張って、掃除するやつ(コード付きの掃除機だと思って下さい)」
「ああ、あのホースの先にゴミを吸い込む装置(クリーナーヘッド)がついていて、ホースの後ろのゴミを貯めるところ(本体)に送られるやつですね」
「君の実家でも使っていただろう?」
「いえ、うちはほうきでした……私の家は、貧乏なので」
フェリシアの言葉にどう対応していいか分からないミランは、ルルンバを見つめながら、ふと、呟いた。
「このルルンバが使われるようになったら、以前の掃除魔道具お払い箱ってわけか。何だか可哀想だな」
今度はフェリシアがきょとんとした。
「殿下、魔道具に感情はありませんよ。生物じゃなくて、道具ですから」
「まあそうなんだけど……」
「うわーーーーーーーー!!」
そのとき、若い男の悲鳴が王宮の廊下に響き渡った。
「あの声は……」
団長のフェリシアにはすぐに分かった。あの黒髪ヘアピンの団員だ。
フェリシアとミランは声がした方向に急いだ。
しかし、薄暗い王宮の廊下が続くばかり。
その廊下に、見覚えのあるヘアピンがひとつ、落ちていた。
「これは、団員の……」
あたりを探しても、黒髪ヘアピン団員はとうとう見つからなかった。
魔法師団団員の行方不明者数は、計九人となった。
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