2 / 24
言い寄る魔導師
しおりを挟む
ジルベール王太子は茫然自失しているジュリアをよそに「アンドロイド」の肩と腰を抱き、去って行ってしまった。
後に残されたのは魔導師のミゲルとジュリアのみ。
ジュリアがその場から動けないままでいると、ミゲルが一歩進み出て、彼女のすぐ前に立った。ジルベール王太子と比べるとやや小柄な男性で、背の高さもジュリアより少し高いくらいだった。
「大丈夫ですか? ジュリア伯爵令嬢」
フードに隠れて表情は分からないが、気遣うような口調でそう言うと、彼はそっとジュリアの頬に手を伸ばす。ジュリアははっとして身を引いた。
「な、なんですか? わたくしは大丈夫です。気になさらないで……」
「あ、そ、そうですね、すみません」
魔導師ミゲルは、さっと手を引っ込めて、さっきまでの自信に満ちた様子が嘘のように、おどおどとした口調で謝った。おどおどしているわりには、早口でまくしたてる。
「ひ、ひどい奴ですよね、ジルベール王太子も。何年も婚約している貴方を裏切り、アンドロイドとなんて。だ、だけどジュリア様は政略婚約だと聞いています。ジルベール王太子に未練はないはず……」
「貴方に何が分かるの」
目の前でペラペラしゃべる魔導師に、気がつけばジュリアは反論していた。
「わたくしは、幼少のころから、いずれジルベール様の妻となり、王妃となるために教育され、努力してきたのよ。それなのに、貴方がわけの分からないアンドロイドをこっちの世界に呼んだせいで、全部台無しになってしまった」
言葉にすればするほど、やるせなさと、くやしさが、込み上げてきて、止まらない。
「貴方のせいよ、どうしてくれるの」
ジュリアは薄暗い王宮の廊下で、青年魔導師に言いようのない怒りをぶつけるしかなかった。
「ジュ、ジュリア様は王太子を愛していたんですか?」
ミゲルは困惑を隠せない様子だった。
「ええ、そうよ、そうと言えなくもないわ」
ジュリアは自分の気持ちが自分で分からなくなっていた。婚約破棄されて、わたくしはこれからどうすればいいの?
ジュリアは俯くミゲルをそのままに、その場を去って、自分の屋敷に戻った。
「ジュリア様、僕のことを覚えていませんか」
背後にそう叫ぶミゲルの声を聞いたが、ジュリアは何も答えなかった。覚えているも何も、ジュリアに魔導師の知り合いなど、いなかったからだ。
後に残されたのは魔導師のミゲルとジュリアのみ。
ジュリアがその場から動けないままでいると、ミゲルが一歩進み出て、彼女のすぐ前に立った。ジルベール王太子と比べるとやや小柄な男性で、背の高さもジュリアより少し高いくらいだった。
「大丈夫ですか? ジュリア伯爵令嬢」
フードに隠れて表情は分からないが、気遣うような口調でそう言うと、彼はそっとジュリアの頬に手を伸ばす。ジュリアははっとして身を引いた。
「な、なんですか? わたくしは大丈夫です。気になさらないで……」
「あ、そ、そうですね、すみません」
魔導師ミゲルは、さっと手を引っ込めて、さっきまでの自信に満ちた様子が嘘のように、おどおどとした口調で謝った。おどおどしているわりには、早口でまくしたてる。
「ひ、ひどい奴ですよね、ジルベール王太子も。何年も婚約している貴方を裏切り、アンドロイドとなんて。だ、だけどジュリア様は政略婚約だと聞いています。ジルベール王太子に未練はないはず……」
「貴方に何が分かるの」
目の前でペラペラしゃべる魔導師に、気がつけばジュリアは反論していた。
「わたくしは、幼少のころから、いずれジルベール様の妻となり、王妃となるために教育され、努力してきたのよ。それなのに、貴方がわけの分からないアンドロイドをこっちの世界に呼んだせいで、全部台無しになってしまった」
言葉にすればするほど、やるせなさと、くやしさが、込み上げてきて、止まらない。
「貴方のせいよ、どうしてくれるの」
ジュリアは薄暗い王宮の廊下で、青年魔導師に言いようのない怒りをぶつけるしかなかった。
「ジュ、ジュリア様は王太子を愛していたんですか?」
ミゲルは困惑を隠せない様子だった。
「ええ、そうよ、そうと言えなくもないわ」
ジュリアは自分の気持ちが自分で分からなくなっていた。婚約破棄されて、わたくしはこれからどうすればいいの?
ジュリアは俯くミゲルをそのままに、その場を去って、自分の屋敷に戻った。
「ジュリア様、僕のことを覚えていませんか」
背後にそう叫ぶミゲルの声を聞いたが、ジュリアは何も答えなかった。覚えているも何も、ジュリアに魔導師の知り合いなど、いなかったからだ。
0
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
【完結】召喚された2人〜大聖女様はどっち?
咲雪
恋愛
日本の大学生、神代清良(かみしろきよら)は異世界に召喚された。同時に後輩と思われる黒髪黒目の美少女の高校生津島花恋(つしまかれん)も召喚された。花恋が大聖女として扱われた。放置された清良を見放せなかった聖騎士クリスフォード・ランディックは、清良を保護することにした。
※番外編(後日談)含め、全23話完結、予約投稿済みです。
※ヒロインとヒーローは純然たる善人ではないです。
※騎士の上位が聖騎士という設定です。
※下品かも知れません。
※甘々(当社比)
※ご都合展開あり。
悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。
香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。
皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。
さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。
しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。
それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?
婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~
tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!!
壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは???
一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
結婚前夜に婚約破棄されたけど、おかげでポイントがたまって溺愛されて最高に幸せです❤
凪子
恋愛
私はローラ・クイーンズ、16歳。前世は喪女、現世はクイーンズ公爵家の公爵令嬢です。
幼いころからの婚約者・アレックス様との結婚間近……だったのだけど、従妹のアンナにあの手この手で奪われてしまい、婚約破棄になってしまいました。
でも、大丈夫。私には秘密の『ポイント帳』があるのです!
ポイントがたまると、『いいこと』がたくさん起こって……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる