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「王太子、婚約破棄っていったいどういうことですか!」
伯爵令嬢ルルーは、王宮の一室で、はしたなくも叫んでしまった。
叫びながら立ち上がったので、その勢いで紅茶の入ったカップが倒れ、中身がテーブル上にこぼれる。
目の前に座る婚約者は、申し訳なさそうにうなだれ、こぼれた紅茶に目を落としていた。
「すまない……誠に申し訳なく思っている。……が、我が国で『占い』は絶対だ」
立ち上がったまま、説明を待っているルルーに向かって、ウラーナ王国王太子アレンはしぼりだすような弱弱しい声で、そう言った。
「占い……ですか」
「そうだ。君もこの国の貴族令嬢なら分かっているはずだ。昨日、占術士から報告があったんだ。君と婚約破棄しなければ、いずれ、国が滅ぶと」
ルルーは青ざめて固まった。
「そんな……」
ウラーナ王国は小さな国だが、まわりの国に攻められることもなく平和が続き、また経済もそこそこ発展している。それはなにより「占い」のおかげだった。
国には、古代より、神の声を聞くことができる「占術士」という存在があって、彼らの占う結果の導くままに、国の王は今まで政治を行ってきた。それに背くと大きな災いが起こり、国は滅亡するのだ。
「占いの結果」を持ち出されてしまっては、ルルーも納得せざるを得ない。
怒った顔が一転、しゅんとし、再び席に着くルルーに、アレンは涙声で謝罪した。
「占いで婚約破棄になってしまうけれど、僕が愛しているのは君だけだ。本当にすまない。信じてくれ」
王太子の頬に一筋の涙が伝う。それを見たルルーは心を打たれたようなはっとした顔になり、
「アレン殿下……。私のことを、そこまで……。辛いのは私も殿下も同じなのですね、分かりました。お別れしましょう。だけど、私が真に愛するのはアレン様だけです。それだけは、お願いですから、覚えておいてくださいね。どうか、お元気で」
と、大きな瞳に涙を浮かべ、王太子に別れを告げた。
伯爵令嬢ルルーは、王宮の一室で、はしたなくも叫んでしまった。
叫びながら立ち上がったので、その勢いで紅茶の入ったカップが倒れ、中身がテーブル上にこぼれる。
目の前に座る婚約者は、申し訳なさそうにうなだれ、こぼれた紅茶に目を落としていた。
「すまない……誠に申し訳なく思っている。……が、我が国で『占い』は絶対だ」
立ち上がったまま、説明を待っているルルーに向かって、ウラーナ王国王太子アレンはしぼりだすような弱弱しい声で、そう言った。
「占い……ですか」
「そうだ。君もこの国の貴族令嬢なら分かっているはずだ。昨日、占術士から報告があったんだ。君と婚約破棄しなければ、いずれ、国が滅ぶと」
ルルーは青ざめて固まった。
「そんな……」
ウラーナ王国は小さな国だが、まわりの国に攻められることもなく平和が続き、また経済もそこそこ発展している。それはなにより「占い」のおかげだった。
国には、古代より、神の声を聞くことができる「占術士」という存在があって、彼らの占う結果の導くままに、国の王は今まで政治を行ってきた。それに背くと大きな災いが起こり、国は滅亡するのだ。
「占いの結果」を持ち出されてしまっては、ルルーも納得せざるを得ない。
怒った顔が一転、しゅんとし、再び席に着くルルーに、アレンは涙声で謝罪した。
「占いで婚約破棄になってしまうけれど、僕が愛しているのは君だけだ。本当にすまない。信じてくれ」
王太子の頬に一筋の涙が伝う。それを見たルルーは心を打たれたようなはっとした顔になり、
「アレン殿下……。私のことを、そこまで……。辛いのは私も殿下も同じなのですね、分かりました。お別れしましょう。だけど、私が真に愛するのはアレン様だけです。それだけは、お願いですから、覚えておいてくださいね。どうか、お元気で」
と、大きな瞳に涙を浮かべ、王太子に別れを告げた。
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