3 / 51
第一章 転生先は……どこ?
第三話 聞こえてますよ
しおりを挟む
歩ことアビーは光っている十センチメートルほどの背中から羽を生やした何かをジッと目で追い掛けている。
この三体の人型の何かは歩の目が輪郭を捉えられるようになってから、度々見かけていたのだが、こうしてハッキリ人型と認識出来たのは最近のことだ。
『ねえ、ププ。この子は私達が見えているだけじゃなく、話も聞こえているみたいよ』
『なに言ってんのポポ。そんなことあるわけないでしょ。まだ、話すことも出来ないってのに。ねえ、ピピ』
『そうだよ。ププの言う通りよ。ほら、この子だって私達を珍しがって見ているだけよ。ねえ、あなたもそうよね?』
「あう~きゃっきゃっ」
『『『返事した?……』』』
「あぅ~」
アビーは人型の何かに問い掛けられ『そうだよ』と言ったつもりでも、口からは思いとは別に「あう~」としか言えないが、三人には分かってもらえたようだ。
『やっぱり。ねえ、あなたは私達が見えてるのね?』
「あぃ~」
『うん。ちゃんと見えてるし聞こえているみたいね』
『じゃあさ、話は理解出来るの?』
「あぃ~」
『私はププ。言ってみて!』
「ヴウ~」
『ずるい! 次は私! ピピよ』
「イィ~」
『もう二人とも。ズルい! ポポ。ポポよ』
「オォ~」
『うん、もう疑いようがないわね。私達の姿も見えるし、声も聞こえるし、内容もちゃんと理解しているわ』
『もう、ピピが赤ちゃん見たいって言うから来たけどさ、もし人間に捕まったらどうするのよ』
『ポポは心配し過ぎ。こんな赤ちゃんだもん。まだ、何も出来ないわよ。ねえ?』
「あぃ~」
『『『ん~可愛い!』』』
三人がアビーの可愛さにメロメロになっていると、アビーの母親であるジュディが部屋に入ってくる。
「あら、アビー。随分、ご機嫌ね。もしかして精霊にでも会えたのかしら?」
「あぃ~」
アビーはジュディの言葉にある一点を指差すが、ジュディは気付かない。
「うふふ。そう、お母さんに教えてくれているのね。じゃあ、精霊さんにもう少し遊んでいてってお願いしておこうかしら」
「あぃ!」
「うん、そうね。いっぱい遊んでもらおうね」
「あぃ!」
ジュディはアビーのオムツを確認し、ベビーベッドを直すと部屋から出て行く。
『『『ふ~ビックリした!』』』
「あぅ~」
『あんた、さっき私達の場所を教えたでしょ!』
「あぃ!」
『もう、いくら私達の姿が普通の人に見えないって言っても、分かる人には分かるんだから、教えちゃダメでしょ!』
「あぅ……」
『もう、ポポ。言い過ぎよ。ねえ、ごめんね~』
「あぃ!」
『……悪かったわよ。でも、本当に他の人に教えないでよ。いい?』
「あぃあぃ!」
『驚いた。本当に会話出来るのね』
「あぃ!」
それからの日中はジュディがいない間は三人の精霊がアビーの相手をしてくれているので、普通ならむずがって泣くことが多いはずの赤ん坊が全然泣かないことにジュディは気付く。
「もしかして、本当に精霊が来てくれているのかしら?」
「もし、そうなら、精霊にお礼として蜂蜜とかお菓子を用意してあげるといいらしいよ」
ジュディの悩みともなんとも言えないことに夫であるマークが、昔祖母に聞いたことがあると言って、ジュディに提案してくれた。
「そうね。もし精霊がこの家に来てくれているのなら、嬉しいことだもんね」
「ああ、そんな精霊に祝福されているのなら、アビーは大物になるのかもな」
「もう、マークったら。アビーにはそんなこと期待していないの。元気ならそれでいいんだから」
「それもそうだな。でも……」
「いいの。それにもし精霊がアビーを本当に祝福してくれているのなら、バレないようにしないと大変よ」
「ふふふ、それこそ。心配しすぎだよ。いくら、『精霊教』でもこんな奥深い村まで来ることはないさ」
「それでもよ。心配し過ぎても困ることでもないんだし」
「分かったよ。でも、精霊が来てくれるって、誰かに自慢したくならない?」
「マーク……本当にやめてよ?」
「わ、分かったから。な、冗談だって」
「例え、冗談でも言わないでよ」
「……」
「返事は?」
「はい!」
マークの言動に少しだけ不安を覚えたジュディは、マークに気付かれないように精霊達にお礼をすることをそっと心に誓う。
『聞いた?』
『聞いた! ヤバいわよ』
『ヤバいわね』
二人の会話を盗み聞きするつもりは無かったが、おやすみの挨拶をアビーにしに来たところを偶然にも聞いてしまったのだ。
『精霊教ってあのアレでしょ?』
『そう。話に聞くところだと、どうも私達を捕まえて無理矢理言うことをきかせようとするみたいよ』
『噂じゃ、大精霊様も捕まっているとか聞くけど本当かな?』
『どうかな。それよりもアビーがそんな連中に捕まらないようにしないとね』
『『うん!』』
三人の精霊はアビーを守ることを密かに誓い合うと森の方へと帰って行く。
翌朝、アビーが目を覚ますと、アビーの顔をジッと覗き込んでいた三人の精霊と目が合う。
「あぃ~」
『うん。今日も元気ね』
『ねえ、それよりさ、こんなのが置いてあったわよ。これって私達に用意してくれたのよね』
『え~何? うわぁ~美味しそう!』
精霊は洋服ダンスの上に置かれていたたっぷりの蜂蜜が入った小皿に群がる。
『多分、この子の母親からの贈り物なんでしょうね』
『じゃあ、もらってもいいのよね?』
『いいに決まっているの!』
『もう、慌てないの。先ずは小皿から離して……』
「お?」
『それから、三つに分けて……』
「おぉ!」
『じゃあ、頂きます!』
『『頂きます!』』
蜂蜜を前に気分が高揚してしまうピピとププをポポが落ち着かせるとポポは蜂蜜全体を小皿から離すと球状にして宙に浮かせると、今度はそれを三つに分けて、ピピとププに渡す。その様子を見ていたアビーはポポが何かをする度に感心したような声が漏れる。
『ふぅ~ごちそうさまでした』
『『でした!』』
「あぃ~」
『とても美味しかったわ。お母様によろしくね』
「あぁ~」
『もしかして、さっきの魔法に興味があるの?』
「あぃ~」
この三体の人型の何かは歩の目が輪郭を捉えられるようになってから、度々見かけていたのだが、こうしてハッキリ人型と認識出来たのは最近のことだ。
『ねえ、ププ。この子は私達が見えているだけじゃなく、話も聞こえているみたいよ』
『なに言ってんのポポ。そんなことあるわけないでしょ。まだ、話すことも出来ないってのに。ねえ、ピピ』
『そうだよ。ププの言う通りよ。ほら、この子だって私達を珍しがって見ているだけよ。ねえ、あなたもそうよね?』
「あう~きゃっきゃっ」
『『『返事した?……』』』
「あぅ~」
アビーは人型の何かに問い掛けられ『そうだよ』と言ったつもりでも、口からは思いとは別に「あう~」としか言えないが、三人には分かってもらえたようだ。
『やっぱり。ねえ、あなたは私達が見えてるのね?』
「あぃ~」
『うん。ちゃんと見えてるし聞こえているみたいね』
『じゃあさ、話は理解出来るの?』
「あぃ~」
『私はププ。言ってみて!』
「ヴウ~」
『ずるい! 次は私! ピピよ』
「イィ~」
『もう二人とも。ズルい! ポポ。ポポよ』
「オォ~」
『うん、もう疑いようがないわね。私達の姿も見えるし、声も聞こえるし、内容もちゃんと理解しているわ』
『もう、ピピが赤ちゃん見たいって言うから来たけどさ、もし人間に捕まったらどうするのよ』
『ポポは心配し過ぎ。こんな赤ちゃんだもん。まだ、何も出来ないわよ。ねえ?』
「あぃ~」
『『『ん~可愛い!』』』
三人がアビーの可愛さにメロメロになっていると、アビーの母親であるジュディが部屋に入ってくる。
「あら、アビー。随分、ご機嫌ね。もしかして精霊にでも会えたのかしら?」
「あぃ~」
アビーはジュディの言葉にある一点を指差すが、ジュディは気付かない。
「うふふ。そう、お母さんに教えてくれているのね。じゃあ、精霊さんにもう少し遊んでいてってお願いしておこうかしら」
「あぃ!」
「うん、そうね。いっぱい遊んでもらおうね」
「あぃ!」
ジュディはアビーのオムツを確認し、ベビーベッドを直すと部屋から出て行く。
『『『ふ~ビックリした!』』』
「あぅ~」
『あんた、さっき私達の場所を教えたでしょ!』
「あぃ!」
『もう、いくら私達の姿が普通の人に見えないって言っても、分かる人には分かるんだから、教えちゃダメでしょ!』
「あぅ……」
『もう、ポポ。言い過ぎよ。ねえ、ごめんね~』
「あぃ!」
『……悪かったわよ。でも、本当に他の人に教えないでよ。いい?』
「あぃあぃ!」
『驚いた。本当に会話出来るのね』
「あぃ!」
それからの日中はジュディがいない間は三人の精霊がアビーの相手をしてくれているので、普通ならむずがって泣くことが多いはずの赤ん坊が全然泣かないことにジュディは気付く。
「もしかして、本当に精霊が来てくれているのかしら?」
「もし、そうなら、精霊にお礼として蜂蜜とかお菓子を用意してあげるといいらしいよ」
ジュディの悩みともなんとも言えないことに夫であるマークが、昔祖母に聞いたことがあると言って、ジュディに提案してくれた。
「そうね。もし精霊がこの家に来てくれているのなら、嬉しいことだもんね」
「ああ、そんな精霊に祝福されているのなら、アビーは大物になるのかもな」
「もう、マークったら。アビーにはそんなこと期待していないの。元気ならそれでいいんだから」
「それもそうだな。でも……」
「いいの。それにもし精霊がアビーを本当に祝福してくれているのなら、バレないようにしないと大変よ」
「ふふふ、それこそ。心配しすぎだよ。いくら、『精霊教』でもこんな奥深い村まで来ることはないさ」
「それでもよ。心配し過ぎても困ることでもないんだし」
「分かったよ。でも、精霊が来てくれるって、誰かに自慢したくならない?」
「マーク……本当にやめてよ?」
「わ、分かったから。な、冗談だって」
「例え、冗談でも言わないでよ」
「……」
「返事は?」
「はい!」
マークの言動に少しだけ不安を覚えたジュディは、マークに気付かれないように精霊達にお礼をすることをそっと心に誓う。
『聞いた?』
『聞いた! ヤバいわよ』
『ヤバいわね』
二人の会話を盗み聞きするつもりは無かったが、おやすみの挨拶をアビーにしに来たところを偶然にも聞いてしまったのだ。
『精霊教ってあのアレでしょ?』
『そう。話に聞くところだと、どうも私達を捕まえて無理矢理言うことをきかせようとするみたいよ』
『噂じゃ、大精霊様も捕まっているとか聞くけど本当かな?』
『どうかな。それよりもアビーがそんな連中に捕まらないようにしないとね』
『『うん!』』
三人の精霊はアビーを守ることを密かに誓い合うと森の方へと帰って行く。
翌朝、アビーが目を覚ますと、アビーの顔をジッと覗き込んでいた三人の精霊と目が合う。
「あぃ~」
『うん。今日も元気ね』
『ねえ、それよりさ、こんなのが置いてあったわよ。これって私達に用意してくれたのよね』
『え~何? うわぁ~美味しそう!』
精霊は洋服ダンスの上に置かれていたたっぷりの蜂蜜が入った小皿に群がる。
『多分、この子の母親からの贈り物なんでしょうね』
『じゃあ、もらってもいいのよね?』
『いいに決まっているの!』
『もう、慌てないの。先ずは小皿から離して……』
「お?」
『それから、三つに分けて……』
「おぉ!」
『じゃあ、頂きます!』
『『頂きます!』』
蜂蜜を前に気分が高揚してしまうピピとププをポポが落ち着かせるとポポは蜂蜜全体を小皿から離すと球状にして宙に浮かせると、今度はそれを三つに分けて、ピピとププに渡す。その様子を見ていたアビーはポポが何かをする度に感心したような声が漏れる。
『ふぅ~ごちそうさまでした』
『『でした!』』
「あぃ~」
『とても美味しかったわ。お母様によろしくね』
「あぁ~」
『もしかして、さっきの魔法に興味があるの?』
「あぃ~」
11
あなたにおすすめの小説
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる