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第三章 運動会なんだよ
第四話 全部出たかったのよ
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『やったぁ~一番だね。さっすが、アビーね』
『当然だろ。あのアビーだぞ』
『でも、他の子と競争するのは初めてだろうから心配するよね』
『おう、そうだぞ。走る前に絡んできたヤツがいたからな』
『『『あ~いたね』』』
山の中でシルフィー達精霊はウンディーネが水魔法を使って円状の水で作られた膜に映し出されるアビーの様子に少し興奮気味だ。
『そういえば、ピピ達は見えないけど?』
『もしかして……』
『行ってるだろうな。アイツらなら』
『俺も行きてえ……』
シルフィードがいつもアビーと一緒に遊んでいる精霊達がいないことに気付くとウンディーネは思い当たることがあるみたいで、ノームも多分そうだろうと言い、サラマンダーが羨ましそうに自分も行きたいと言いだしシルフィードをチラッと見る。
『ダメだからね。サラ』
『ちっ……分かってるよ。でもよぉ~フィーネだって行きたいだろ?』
『そりゃ、そうよ。叶うのならアビーとはいつもいっしょにいたいわよ』
『私もそうよ』
『俺もだな』
『俺だって、そうだよ。皆が同じ気持ちなら……』
『だから、ダメなんだって! もう、理由はよく分かっているでしょ。困らせないでよ!』
『悪かったよ。あ~アイツらがホント、羨ましいな……』
『まあ、そう言うな。明日になればアビーもここへ来るだろうからな』
『でもな~』
『『『しつこい!』』』
『ごめん……』
ピピ達くらいの精霊なら、精霊教に見つかることもないだろうが力が大きすぎる大精霊と言われるシルフィード達はすぐに見つかってしまうことだろう。だから、結界の外に出ることは他の精霊も危険にさらすことになるのもサラマンダーは十分に分かっている。
サラマンダーは不貞腐れながらも水鏡の向こうのアビーをジッと見ている。
アビーはメアリー達が出ている競技を他の子と一緒に応援していた。
メアリー達が出ていたのは『借り物競走』に『障害物競走』、『パン食い競走』だ。
「ちぇ、僕も出たかったな」
「しょうがないよ。一人一つは出られるようにってことだしな」
「でもさ~」
「まあな、アビーが考えたってのは皆、知っているからさ」
「むぅ~」
楽しそうに競技をしているメアリー達を見ながら、自分も出たかったと愚痴っていたら横に座ったケビンがアビーを慰める。
ケビンに慰められてもなあとアビーは思う。アビーが考えたとは言うが、実際は病院のベッドの上で見たテレビの向こう側で行われていた競技だ。そんな風に生前に出来なかった競技だからこそ、出たかった競技だったのだが「なるべく全員が参加する」という目標もあり、面白そうな競技はすぐに決まってしまいアビーがそこに入ることは出来なかった。
体育座りのままアビーはメアリー達を羨ましそうに見ていたが、メアリーはメアリーで気が気じゃなかった。なぜかと言えば、アビーの横にケビンが座っていたのだから当然だろう。メアリーは競技が終わり次第にすぐに戻ろうとしたが、競技に参加した全員が終わらないと解散とはならないため、ただただ見ているしか出来なかった。
やっと全員が終わったので、メアリーは小走りでアビーの横、ケビンの元へと急ぐがそこにはアビー一人が座っていた。
焦った様子で戻って来たメアリーにアビーはどうしたのかと不思議に思っていたが、メアリーはアビーに「どうして?」と言ってきた。
「どうしてってどういうこと?」
「ケビンよ。さっきまでここにいたんでしょ」
「ああ、ケビンならさっき係に呼ばれて行っちゃったよ」
「え~どうしてよ」
「どうしてって言われても……あ、ほら! あそこで手を振っているよ。ほら!」
「え? どこ?」
「ほら、あそこ!」
メアリーはアビーが指差す先を見ると確かにケビンがこちらに向けて手を振っている。
「ケビン……」
「メアリー?」
「アビー、放っておきなさい」
「そうそう、邪魔したらダメよ」
競技に参加するために他の子と一緒に座っていたケビンを凝視するメアリーにどうしたのかと心配するアビーだったが、サンディとニーナに放っておきなさいと止められる。
放っておけと言われてもアビーにはどうしてなのか分からず不安になる。不安になるが、サンディ達は心配することではないと言う。
「いいや。後でお母さんに聞いてみよう」
アビーは自分の中で、とりあえずの決着を付けると遠くで手を振るケビンを見る。
「まだ、手を振っていたんだ。メアリーも負けずと振っているね。もう、これで一つの競技になりそうだよ」
「アビー、どうしたの?」
「また、何か考えているの?」
「あ、えっとね……」
「確かにね」
「もう、見ているこっちが恥ずかしくなるよね」
互いに手を振り合っているケビンとメアリーの二人に呆れていると、ケビンの競技の順番が回ってきたのかケビンはようやく手を振るのを止めて立ち上がる。
「位置について……用意、ハイ!」
掛け声と共に手を打つ音が『パン!』となり、ケビンと同じくらいの背丈の男の子が一斉に走り出す。
ケビンが参加していたのはさっきの三十メートル走より長い五十メートル走の男子の部だ。そんなケビンが颯爽と走る姿に釘付けなメアリーの目には他の男子が映り込むことはないだろう。
『当然だろ。あのアビーだぞ』
『でも、他の子と競争するのは初めてだろうから心配するよね』
『おう、そうだぞ。走る前に絡んできたヤツがいたからな』
『『『あ~いたね』』』
山の中でシルフィー達精霊はウンディーネが水魔法を使って円状の水で作られた膜に映し出されるアビーの様子に少し興奮気味だ。
『そういえば、ピピ達は見えないけど?』
『もしかして……』
『行ってるだろうな。アイツらなら』
『俺も行きてえ……』
シルフィードがいつもアビーと一緒に遊んでいる精霊達がいないことに気付くとウンディーネは思い当たることがあるみたいで、ノームも多分そうだろうと言い、サラマンダーが羨ましそうに自分も行きたいと言いだしシルフィードをチラッと見る。
『ダメだからね。サラ』
『ちっ……分かってるよ。でもよぉ~フィーネだって行きたいだろ?』
『そりゃ、そうよ。叶うのならアビーとはいつもいっしょにいたいわよ』
『私もそうよ』
『俺もだな』
『俺だって、そうだよ。皆が同じ気持ちなら……』
『だから、ダメなんだって! もう、理由はよく分かっているでしょ。困らせないでよ!』
『悪かったよ。あ~アイツらがホント、羨ましいな……』
『まあ、そう言うな。明日になればアビーもここへ来るだろうからな』
『でもな~』
『『『しつこい!』』』
『ごめん……』
ピピ達くらいの精霊なら、精霊教に見つかることもないだろうが力が大きすぎる大精霊と言われるシルフィード達はすぐに見つかってしまうことだろう。だから、結界の外に出ることは他の精霊も危険にさらすことになるのもサラマンダーは十分に分かっている。
サラマンダーは不貞腐れながらも水鏡の向こうのアビーをジッと見ている。
アビーはメアリー達が出ている競技を他の子と一緒に応援していた。
メアリー達が出ていたのは『借り物競走』に『障害物競走』、『パン食い競走』だ。
「ちぇ、僕も出たかったな」
「しょうがないよ。一人一つは出られるようにってことだしな」
「でもさ~」
「まあな、アビーが考えたってのは皆、知っているからさ」
「むぅ~」
楽しそうに競技をしているメアリー達を見ながら、自分も出たかったと愚痴っていたら横に座ったケビンがアビーを慰める。
ケビンに慰められてもなあとアビーは思う。アビーが考えたとは言うが、実際は病院のベッドの上で見たテレビの向こう側で行われていた競技だ。そんな風に生前に出来なかった競技だからこそ、出たかった競技だったのだが「なるべく全員が参加する」という目標もあり、面白そうな競技はすぐに決まってしまいアビーがそこに入ることは出来なかった。
体育座りのままアビーはメアリー達を羨ましそうに見ていたが、メアリーはメアリーで気が気じゃなかった。なぜかと言えば、アビーの横にケビンが座っていたのだから当然だろう。メアリーは競技が終わり次第にすぐに戻ろうとしたが、競技に参加した全員が終わらないと解散とはならないため、ただただ見ているしか出来なかった。
やっと全員が終わったので、メアリーは小走りでアビーの横、ケビンの元へと急ぐがそこにはアビー一人が座っていた。
焦った様子で戻って来たメアリーにアビーはどうしたのかと不思議に思っていたが、メアリーはアビーに「どうして?」と言ってきた。
「どうしてってどういうこと?」
「ケビンよ。さっきまでここにいたんでしょ」
「ああ、ケビンならさっき係に呼ばれて行っちゃったよ」
「え~どうしてよ」
「どうしてって言われても……あ、ほら! あそこで手を振っているよ。ほら!」
「え? どこ?」
「ほら、あそこ!」
メアリーはアビーが指差す先を見ると確かにケビンがこちらに向けて手を振っている。
「ケビン……」
「メアリー?」
「アビー、放っておきなさい」
「そうそう、邪魔したらダメよ」
競技に参加するために他の子と一緒に座っていたケビンを凝視するメアリーにどうしたのかと心配するアビーだったが、サンディとニーナに放っておきなさいと止められる。
放っておけと言われてもアビーにはどうしてなのか分からず不安になる。不安になるが、サンディ達は心配することではないと言う。
「いいや。後でお母さんに聞いてみよう」
アビーは自分の中で、とりあえずの決着を付けると遠くで手を振るケビンを見る。
「まだ、手を振っていたんだ。メアリーも負けずと振っているね。もう、これで一つの競技になりそうだよ」
「アビー、どうしたの?」
「また、何か考えているの?」
「あ、えっとね……」
「確かにね」
「もう、見ているこっちが恥ずかしくなるよね」
互いに手を振り合っているケビンとメアリーの二人に呆れていると、ケビンの競技の順番が回ってきたのかケビンはようやく手を振るのを止めて立ち上がる。
「位置について……用意、ハイ!」
掛け声と共に手を打つ音が『パン!』となり、ケビンと同じくらいの背丈の男の子が一斉に走り出す。
ケビンが参加していたのはさっきの三十メートル走より長い五十メートル走の男子の部だ。そんなケビンが颯爽と走る姿に釘付けなメアリーの目には他の男子が映り込むことはないだろう。
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