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第二章 動き出す何か
第二十一話 女神イースの思惑
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唸りながらもギルマスの手の平には俺の見本と同じくらいのゴルフボール大の『水球』が浮かんでいる。
「俺にも出来た……嘘だろ」
「いや、出来てるし」
「そうなんだが、出来るとは思ってなかったからな」
「で、感想はどう?」
「俺にも出来た……って感じだな。でも、なんでこんなに簡単に出来たのに廃れたんだろうな」
「そうだよね。俺もそこが不思議だったんだけど、さっきの教え方ってどう思った?」
「どう思ったかって、そりゃ……分かるヤツには分かるんだろうな」
「だよね~」
「分かっていたのか?」
今更だけど、俺はこの世界の魔法体系のことは全く知らない。だけど、女神イーシュが魔法を理論的に教えることは無理だろと思う。そう思うのは何故かと言えば、『バーンと打っちゃいなよ』って感じで教えるのが女神イーシュの考え方だから。
こんな教え方で分かるのは脳筋同士でしか分かり合えないと思う。
「昔なら」そう言った人は多くいただろう。前世の日本でも良く聞こえていた。「昔だったら」「俺達の若い頃はこうじゃなかった」「今の若いヤツらは楽しすぎだろう」と、こっちの世界でもそんな声が聞こえてきそうな気がする。
俺が何を言いたいかというと、マニュアル化した女神イースの魔法が持て囃され職人芸と化した脳筋系の女神イーシュの魔法が廃れ始めたことが代替わりへと進む綻びだったのかも知れない。
「ちょっと、待て」
「何?」
「女神イースが魔法を使えるヤツ、魔法の威力を落としたんじゃないかというのはなんとなくだが、分かった気がするがな」
「何か引っ掛かるの?」
「ああ、そうだ。どうして、女神イースは俺達を魔族を使ってまで襲撃しようとしているんだ?」
「あ~そこに気付いちゃう?」
「いや、大事なとこだろ」
「ん~どう言えばいいかな。ねえ、ギルマスは模型とか木工とかで何か作ったりする?」
「模型はないが、たまに棚とかは作ったりするな。それがどうした?」
「あのね、人は大体三つに分類されると思うんだ。何かというと……」
俺はギルマスに棚を作った場合の話をした。一つは棚の形を為すモノを作って満足する者。二つ目は実用的な棚を仕上げて満足する者。三つ目はその実用的な棚に不要とも思える塗装や彫刻などの手を入れて満足する者がいることを話す。
そして、俺は四つ目として、不完全な物を作ってしまった場合にソレを修繕する者と、ソレを壊してしまう者がいることを話す。
俺は女神イースは、この『四つ目』の不完全なモノならば壊して作り直せばいいと考えているんじゃないかということをギルマスに話した後に『肯定します』といつものメッセージが流れた。
「待て!」
「どうしたの?」
「どうして、そうなるんだ?」
「それを俺に言われても困るんだけど……」
「だから、女神イーシュが作った世界をどうして、女神イースが気に食わないと壊すんだ?」
「あ~多分だけど……」
確かに俺もその辺りが気にはなったが、あのロリ駄女神の性格から考えたあらすじはこうだ。
女神イーシュは嬉々として色んな種族をこの世界に創り興味がなくなったのではないかと思う。創るモノは創ったから、後は個々に繁栄するだろうと放置したのだろう。
だが、放置された生き物達には必要なモノが欠けていた。それは「どんな状態でも生き抜く生存本能」だったのだろう。
女神イーシュが創った世界では、弱肉強食や食物連鎖と言う根本的な考えが抜けていた。その為に女神イーシュに依って創られた種族はすぐに絶滅の危機に瀕した。
だが、そこでも女神イーシュは気にすることもなかった。既に興味は失せていたのでどうでもよかったのだろう。そこで、女神イースは生きとし生けるもの全てに『生存本能』を埋め込み『生きるためには喰らう』ことを第一の教えとした。
だが、それだけでは同種族での共喰いという潰し合いが発生するために『同種族に対する禁忌』を教えとした。
同種族に対する戒めが強められたことで他種属に対し、必要以上に攻撃を加えることもあった。そこで『食べる為以外は不殺』を教えとした。
これにより、弱い種族が寄り添う様に集まりいつしか集団を形成するようになる。
それが今の国家形成の礎となる。
だが、女神イースは世界が歪に思えた。このままでは弱い者はずっと搾取される側になってしまい、世界としては循環しないのではないかと。
実際には食物連鎖が形成されたことで、弱い者だけが不当な扱いを受けることはなかったのだが、表面的にしか世界を見ていない女神イースには分からなかった。
そこで、事実上の最上位となっていた人を含む人型の生き物、人、獣人にエルフにドワーフに魔族などの亜人と呼ばれる種族に対抗するべく『魔物』を登場させ緊張を持ち込みことに成功した。
一見、調和が保たれた様に見えた世界で女神イースだけが首を傾げる。
「どうして、人族だけが寿命も短い人生を楽しんでいるのだろうか」
人族に比べ、他種族は寿命が長い。人の平均が七十歳くらいとすれば、獣人がその二倍から三倍、ドワーフは平均で三百歳から五百歳、エルフに至っては千歳に到達する者も珍しくない。だが、人族は他の種族に比べ、その寿命を幸せそうに笑いながら全うしている。
女神イースはその理由を知りたかった。そして知ったのは人族が他の種族に比べ寿命が短いために、その他の亜人に比べ短命とも言える人生を楽しんでいること。そして短命であるが故に子孫へとその夢を引き継ぐことを糧としていることを知った。
ならばと女神イースは人族の寿命を延ばしてやろうと、ある一人の老人に話してみた。
だが、老人から得られた答えは違った。
「ワシはもう満足に目も見えませんし、人の声もよく聞き取れません。おまけに体もこの通り、杖をなくしては歩くこともままなりません。このような、状態でいたずらに延命だけされたなら、自ら命を絶つでしょうな」
「ならば、身体が動くようにしましょう」
「それもまたお断りさせて頂きます」
「なぜだ?」
「私は今まで自分の為、家族が出来てからは家族の為と頑張ってまいりました。もう、楽になりたいと思うのは罪でしょうか」
「……」
女神イースは言葉が出なかった。言葉は出なかったが『平等な世界ではない』と感じた。ならば、壊して作り直せばいい。私の望む世界に!。
『肯定します』
「俺にも出来た……嘘だろ」
「いや、出来てるし」
「そうなんだが、出来るとは思ってなかったからな」
「で、感想はどう?」
「俺にも出来た……って感じだな。でも、なんでこんなに簡単に出来たのに廃れたんだろうな」
「そうだよね。俺もそこが不思議だったんだけど、さっきの教え方ってどう思った?」
「どう思ったかって、そりゃ……分かるヤツには分かるんだろうな」
「だよね~」
「分かっていたのか?」
今更だけど、俺はこの世界の魔法体系のことは全く知らない。だけど、女神イーシュが魔法を理論的に教えることは無理だろと思う。そう思うのは何故かと言えば、『バーンと打っちゃいなよ』って感じで教えるのが女神イーシュの考え方だから。
こんな教え方で分かるのは脳筋同士でしか分かり合えないと思う。
「昔なら」そう言った人は多くいただろう。前世の日本でも良く聞こえていた。「昔だったら」「俺達の若い頃はこうじゃなかった」「今の若いヤツらは楽しすぎだろう」と、こっちの世界でもそんな声が聞こえてきそうな気がする。
俺が何を言いたいかというと、マニュアル化した女神イースの魔法が持て囃され職人芸と化した脳筋系の女神イーシュの魔法が廃れ始めたことが代替わりへと進む綻びだったのかも知れない。
「ちょっと、待て」
「何?」
「女神イースが魔法を使えるヤツ、魔法の威力を落としたんじゃないかというのはなんとなくだが、分かった気がするがな」
「何か引っ掛かるの?」
「ああ、そうだ。どうして、女神イースは俺達を魔族を使ってまで襲撃しようとしているんだ?」
「あ~そこに気付いちゃう?」
「いや、大事なとこだろ」
「ん~どう言えばいいかな。ねえ、ギルマスは模型とか木工とかで何か作ったりする?」
「模型はないが、たまに棚とかは作ったりするな。それがどうした?」
「あのね、人は大体三つに分類されると思うんだ。何かというと……」
俺はギルマスに棚を作った場合の話をした。一つは棚の形を為すモノを作って満足する者。二つ目は実用的な棚を仕上げて満足する者。三つ目はその実用的な棚に不要とも思える塗装や彫刻などの手を入れて満足する者がいることを話す。
そして、俺は四つ目として、不完全な物を作ってしまった場合にソレを修繕する者と、ソレを壊してしまう者がいることを話す。
俺は女神イースは、この『四つ目』の不完全なモノならば壊して作り直せばいいと考えているんじゃないかということをギルマスに話した後に『肯定します』といつものメッセージが流れた。
「待て!」
「どうしたの?」
「どうして、そうなるんだ?」
「それを俺に言われても困るんだけど……」
「だから、女神イーシュが作った世界をどうして、女神イースが気に食わないと壊すんだ?」
「あ~多分だけど……」
確かに俺もその辺りが気にはなったが、あのロリ駄女神の性格から考えたあらすじはこうだ。
女神イーシュは嬉々として色んな種族をこの世界に創り興味がなくなったのではないかと思う。創るモノは創ったから、後は個々に繁栄するだろうと放置したのだろう。
だが、放置された生き物達には必要なモノが欠けていた。それは「どんな状態でも生き抜く生存本能」だったのだろう。
女神イーシュが創った世界では、弱肉強食や食物連鎖と言う根本的な考えが抜けていた。その為に女神イーシュに依って創られた種族はすぐに絶滅の危機に瀕した。
だが、そこでも女神イーシュは気にすることもなかった。既に興味は失せていたのでどうでもよかったのだろう。そこで、女神イースは生きとし生けるもの全てに『生存本能』を埋め込み『生きるためには喰らう』ことを第一の教えとした。
だが、それだけでは同種族での共喰いという潰し合いが発生するために『同種族に対する禁忌』を教えとした。
同種族に対する戒めが強められたことで他種属に対し、必要以上に攻撃を加えることもあった。そこで『食べる為以外は不殺』を教えとした。
これにより、弱い種族が寄り添う様に集まりいつしか集団を形成するようになる。
それが今の国家形成の礎となる。
だが、女神イースは世界が歪に思えた。このままでは弱い者はずっと搾取される側になってしまい、世界としては循環しないのではないかと。
実際には食物連鎖が形成されたことで、弱い者だけが不当な扱いを受けることはなかったのだが、表面的にしか世界を見ていない女神イースには分からなかった。
そこで、事実上の最上位となっていた人を含む人型の生き物、人、獣人にエルフにドワーフに魔族などの亜人と呼ばれる種族に対抗するべく『魔物』を登場させ緊張を持ち込みことに成功した。
一見、調和が保たれた様に見えた世界で女神イースだけが首を傾げる。
「どうして、人族だけが寿命も短い人生を楽しんでいるのだろうか」
人族に比べ、他種族は寿命が長い。人の平均が七十歳くらいとすれば、獣人がその二倍から三倍、ドワーフは平均で三百歳から五百歳、エルフに至っては千歳に到達する者も珍しくない。だが、人族は他の種族に比べ、その寿命を幸せそうに笑いながら全うしている。
女神イースはその理由を知りたかった。そして知ったのは人族が他の種族に比べ寿命が短いために、その他の亜人に比べ短命とも言える人生を楽しんでいること。そして短命であるが故に子孫へとその夢を引き継ぐことを糧としていることを知った。
ならばと女神イースは人族の寿命を延ばしてやろうと、ある一人の老人に話してみた。
だが、老人から得られた答えは違った。
「ワシはもう満足に目も見えませんし、人の声もよく聞き取れません。おまけに体もこの通り、杖をなくしては歩くこともままなりません。このような、状態でいたずらに延命だけされたなら、自ら命を絶つでしょうな」
「ならば、身体が動くようにしましょう」
「それもまたお断りさせて頂きます」
「なぜだ?」
「私は今まで自分の為、家族が出来てからは家族の為と頑張ってまいりました。もう、楽になりたいと思うのは罪でしょうか」
「……」
女神イースは言葉が出なかった。言葉は出なかったが『平等な世界ではない』と感じた。ならば、壊して作り直せばいい。私の望む世界に!。
『肯定します』
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