異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました

ももがぶ

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第二章 動き出す何か

第二十話 タロだから

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「そんなカラクリがあったなんてな……」
「だよね。俺が思うにはさ。今はまだ、準備中だと思うんだ。で、準備が終わった瞬間に「魔族が侵攻して来ると言うのか?」……だと俺は思ってる」
「ハァ~お前、なんてもんを聞かせるんだよ!」
「何度も言うけど、ギルマスから聞いて来たんだからね」
「なんで聞いちゃったんだろうな~もうないよな?」
「多分ね」
「しかし、見た目がこんな子供の中身が俺と同じ歳とはな~」
「へ~そうなんだ……え? 同じ歳?」
「ああ、そうだ。二十六なら、同じだな」
「……」

 ギルマスが生前の俺と同じ歳だと聞いて目が点になる。いや、確かに同じ年代で頭髪が淋しくなっているヤツはいるにはいたが、それは進行形でギルマスのような最終形態ではなかった。だから、ちょっとだけギルマスの頭頂部を可哀想な目で見てしまったのかもしれない。

「なんだよ、その目は! あ! そうだ、お前ノエルの胸に顔を埋めてしまらない顔になっていたな。そうか、それはそういうことだったんだな。そうかそうか、ハンスに「止めてよね!」……ふふふ、それはお前のこれからの態度次第といこうじゃないか。どうだ、悪い話じゃないだろ?」
「信じる人がいればね」
「甘いな。なあ、タロ」
『うん、コータの歳はね「わ~タロ!」……え? ダメだったの?』

 ギルマスにのせられたタロが俺の歳を口にしようとして、慌てて止める。でも、単なる柴犬だったタロは俺の年齢を覚えているのだろうか。しかし、ギルマスにはちゃんと言っとかないと。

「タロを使うのはズルくない?」
「ふん! 歳を誤魔化す方が悪い!」
「でも、この見た目で二十六歳はないでしょ? ギルマスもだけど」
「ああ、そうだな……って、俺は関係ないだろ」
「だから、お互い信じられないんだから、痛み分けってことでいいよね?」
「なんだか、丸め込まれた気がするが、まあいい。それで?」
「それで……って?」

「だから、魔法だよ。魔法! どうも俺がこれまで使ってきた魔法と根本的に違うんだろ?」
「どうかな。全く違うって訳でもないと思うよ」
「分からん。どういうことだ?」

 歳の話が終わったと思ったら、ギルマスから魔法のことについて聞かれた。要は女神イーシュと女神イースが唱える魔法についての違いを話せということなのだろう。

「えっと、俺のは頭の中で『こんな風に』って想像イメージするでしょ。で、ギルマス達が使っていたのは詠唱を必要とするやり方だよね」
「まあ、そうだな。だから、どこが一緒なんだ?」
「だからね、俺は頭で想像する。ギルマスは詠唱することで想像をちゃんとした形にするって言えばいいのかな」
「ますます分からん」
「え~あ! そうだ、こういうことかも。あのね……」

 俺はその場でテーブルに炭を使って『タロ』を書いてみた。

「なにを書いたんだ? 熊か?」
「違うよ! 熊じゃないタロだよ!」

 俺はタロだと言い張り、ギルマスにしっかりと見るように言うが「……熊だな」と言う。

「もういい。だから、こういうことなの」
「なにがだ?」
「だから、俺はタロを書いたつもりでもギルマスには熊に見えたんでしょ?」
「まあ、何かと言われたら熊だろうなってレベルだがな」
「そこは熊でいいから。で、何が言いたいかって言うと、俺が頭の中で思い浮かべたのが、ここに書いたタロだってこと。でも、イメージだから人には上手く伝わらないでしょ。でも、詠唱なら、そこに『タロ』だって分かる単語が入るんだから、間違うことはなくなるよね」
「あ~そういうことか。なるほどな。でも、それがどうして魔法の衰退に繋がるんだ?」

 俺が考えている大体のイメージはギルマスに伝わったのだろうか。少し怪しいが要はアナログ時計とデジタル時計の差なんだけどね。アナログ時計は見る方向によって、何時何分何秒はあいまいだが、デジタル時計だと一時二分三秒と誰が見ても同じ時間になるってことを説明したかっただけなんけどね。

「要は詠唱魔法が強くないってことじゃないのかな」
「強くない? またわからないな」
「え~とね、要は分かることを最大の目標にしたことで、他のが疎かになったのかもね」
「もう一声!」
「ふぅ~要はね、『火魔法』を使いたいから他の属性の『水魔法』とかが変なイメージとして入り込ませないために『火』であることを間違えないように丁寧にし過ぎたんじゃないかなって」
「じゃあ、『火魔法』を間違わないことが目標になり、術の形態とかが疎かになっているんじゃないかと、そういうことなのか?」
「俺は詠唱の内容を知らないから、多分としか言えないけどね」
「じゃあ、今からやってみるからな」
「え? ここで?」
「「まあ、水魔法だから大した被害にはならないだろ。じゃあ、行くぞ。『水よ水よ。今ここに……』え~となんだったかな?」
「え? もしかして忘れたとか?」
「言うなよ。現役を退いてから数年経っているんだからな」
「じゃあさ、俺の言う通りにやってみてよ。いい? はい、これを頭の中で想像してね」
「これを想像すればいいのか?」
「うん、そう」

 俺はギルマスにゴルフボール大の『水球ウォーターボール』を見せてイメージしてもらう。

「ん~あっ!」
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