58 / 131
第二章 動き出す何か
第二十話 タロだから
しおりを挟む
「そんなカラクリがあったなんてな……」
「だよね。俺が思うにはさ。今はまだ、準備中だと思うんだ。で、準備が終わった瞬間に「魔族が侵攻して来ると言うのか?」……だと俺は思ってる」
「ハァ~お前、なんてもんを聞かせるんだよ!」
「何度も言うけど、ギルマスから聞いて来たんだからね」
「なんで聞いちゃったんだろうな~もうないよな?」
「多分ね」
「しかし、見た目がこんな子供の中身が俺と同じ歳とはな~」
「へ~そうなんだ……え? 同じ歳?」
「ああ、そうだ。二十六なら、同じだな」
「……」
ギルマスが生前の俺と同じ歳だと聞いて目が点になる。いや、確かに同じ年代で頭髪が淋しくなっているヤツはいるにはいたが、それは進行形でギルマスのような最終形態ではなかった。だから、ちょっとだけギルマスの頭頂部を可哀想な目で見てしまったのかもしれない。
「なんだよ、その目は! あ! そうだ、お前ノエルの胸に顔を埋めてしまらない顔になっていたな。そうか、それはそういうことだったんだな。そうかそうか、ハンスに「止めてよね!」……ふふふ、それはお前のこれからの態度次第といこうじゃないか。どうだ、悪い話じゃないだろ?」
「信じる人がいればね」
「甘いな。なあ、タロ」
『うん、コータの歳はね「わ~タロ!」……え? ダメだったの?』
ギルマスにのせられたタロが俺の歳を口にしようとして、慌てて止める。でも、単なる柴犬だったタロは俺の年齢を覚えているのだろうか。しかし、ギルマスにはちゃんと言っとかないと。
「タロを使うのはズルくない?」
「ふん! 歳を誤魔化す方が悪い!」
「でも、この見た目で二十六歳はないでしょ? ギルマスもだけど」
「ああ、そうだな……って、俺は関係ないだろ」
「だから、お互い信じられないんだから、痛み分けってことでいいよね?」
「なんだか、丸め込まれた気がするが、まあいい。それで?」
「それで……って?」
「だから、魔法だよ。魔法! どうも俺がこれまで使ってきた魔法と根本的に違うんだろ?」
「どうかな。全く違うって訳でもないと思うよ」
「分からん。どういうことだ?」
歳の話が終わったと思ったら、ギルマスから魔法のことについて聞かれた。要は女神イーシュと女神イースが唱える魔法についての違いを話せということなのだろう。
「えっと、俺のは頭の中で『こんな風に』って想像するでしょ。で、ギルマス達が使っていたのは詠唱を必要とするやり方だよね」
「まあ、そうだな。だから、どこが一緒なんだ?」
「だからね、俺は頭で想像する。ギルマスは詠唱することで想像をちゃんとした形にするって言えばいいのかな」
「ますます分からん」
「え~あ! そうだ、こういうことかも。あのね……」
俺はその場でテーブルに炭を使って『タロ』を書いてみた。
「なにを書いたんだ? 熊か?」
「違うよ! 熊じゃないタロだよ!」
俺はタロだと言い張り、ギルマスにしっかりと見るように言うが「……熊だな」と言う。
「もういい。だから、こういうことなの」
「なにがだ?」
「だから、俺はタロを書いたつもりでもギルマスには熊に見えたんでしょ?」
「まあ、何かと言われたら熊だろうなってレベルだがな」
「そこは熊でいいから。で、何が言いたいかって言うと、俺が頭の中で思い浮かべたのが、ここに書いたタロだってこと。でも、イメージだから人には上手く伝わらないでしょ。でも、詠唱なら、そこに『タロ』だって分かる単語が入るんだから、間違うことはなくなるよね」
「あ~そういうことか。なるほどな。でも、それがどうして魔法の衰退に繋がるんだ?」
俺が考えている大体のイメージはギルマスに伝わったのだろうか。少し怪しいが要はアナログ時計とデジタル時計の差なんだけどね。アナログ時計は見る方向によって、何時何分何秒はあいまいだが、デジタル時計だと一時二分三秒と誰が見ても同じ時間になるってことを説明したかっただけなんけどね。
「要は詠唱魔法が強くないってことじゃないのかな」
「強くない? またわからないな」
「え~とね、要は分かることを最大の目標にしたことで、他のが疎かになったのかもね」
「もう一声!」
「ふぅ~要はね、『火魔法』を使いたいから他の属性の『水魔法』とかが変なイメージとして入り込ませないために『火』であることを間違えないように丁寧にし過ぎたんじゃないかなって」
「じゃあ、『火魔法』を間違わないことが目標になり、術の形態とかが疎かになっているんじゃないかと、そういうことなのか?」
「俺は詠唱の内容を知らないから、多分としか言えないけどね」
「じゃあ、今からやってみるからな」
「え? ここで?」
「「まあ、水魔法だから大した被害にはならないだろ。じゃあ、行くぞ。『水よ水よ。今ここに……』え~となんだったかな?」
「え? もしかして忘れたとか?」
「言うなよ。現役を退いてから数年経っているんだからな」
「じゃあさ、俺の言う通りにやってみてよ。いい? はい、これを頭の中で想像してね」
「これを想像すればいいのか?」
「うん、そう」
俺はギルマスにゴルフボール大の『水球』を見せてイメージしてもらう。
「ん~あっ!」
「だよね。俺が思うにはさ。今はまだ、準備中だと思うんだ。で、準備が終わった瞬間に「魔族が侵攻して来ると言うのか?」……だと俺は思ってる」
「ハァ~お前、なんてもんを聞かせるんだよ!」
「何度も言うけど、ギルマスから聞いて来たんだからね」
「なんで聞いちゃったんだろうな~もうないよな?」
「多分ね」
「しかし、見た目がこんな子供の中身が俺と同じ歳とはな~」
「へ~そうなんだ……え? 同じ歳?」
「ああ、そうだ。二十六なら、同じだな」
「……」
ギルマスが生前の俺と同じ歳だと聞いて目が点になる。いや、確かに同じ年代で頭髪が淋しくなっているヤツはいるにはいたが、それは進行形でギルマスのような最終形態ではなかった。だから、ちょっとだけギルマスの頭頂部を可哀想な目で見てしまったのかもしれない。
「なんだよ、その目は! あ! そうだ、お前ノエルの胸に顔を埋めてしまらない顔になっていたな。そうか、それはそういうことだったんだな。そうかそうか、ハンスに「止めてよね!」……ふふふ、それはお前のこれからの態度次第といこうじゃないか。どうだ、悪い話じゃないだろ?」
「信じる人がいればね」
「甘いな。なあ、タロ」
『うん、コータの歳はね「わ~タロ!」……え? ダメだったの?』
ギルマスにのせられたタロが俺の歳を口にしようとして、慌てて止める。でも、単なる柴犬だったタロは俺の年齢を覚えているのだろうか。しかし、ギルマスにはちゃんと言っとかないと。
「タロを使うのはズルくない?」
「ふん! 歳を誤魔化す方が悪い!」
「でも、この見た目で二十六歳はないでしょ? ギルマスもだけど」
「ああ、そうだな……って、俺は関係ないだろ」
「だから、お互い信じられないんだから、痛み分けってことでいいよね?」
「なんだか、丸め込まれた気がするが、まあいい。それで?」
「それで……って?」
「だから、魔法だよ。魔法! どうも俺がこれまで使ってきた魔法と根本的に違うんだろ?」
「どうかな。全く違うって訳でもないと思うよ」
「分からん。どういうことだ?」
歳の話が終わったと思ったら、ギルマスから魔法のことについて聞かれた。要は女神イーシュと女神イースが唱える魔法についての違いを話せということなのだろう。
「えっと、俺のは頭の中で『こんな風に』って想像するでしょ。で、ギルマス達が使っていたのは詠唱を必要とするやり方だよね」
「まあ、そうだな。だから、どこが一緒なんだ?」
「だからね、俺は頭で想像する。ギルマスは詠唱することで想像をちゃんとした形にするって言えばいいのかな」
「ますます分からん」
「え~あ! そうだ、こういうことかも。あのね……」
俺はその場でテーブルに炭を使って『タロ』を書いてみた。
「なにを書いたんだ? 熊か?」
「違うよ! 熊じゃないタロだよ!」
俺はタロだと言い張り、ギルマスにしっかりと見るように言うが「……熊だな」と言う。
「もういい。だから、こういうことなの」
「なにがだ?」
「だから、俺はタロを書いたつもりでもギルマスには熊に見えたんでしょ?」
「まあ、何かと言われたら熊だろうなってレベルだがな」
「そこは熊でいいから。で、何が言いたいかって言うと、俺が頭の中で思い浮かべたのが、ここに書いたタロだってこと。でも、イメージだから人には上手く伝わらないでしょ。でも、詠唱なら、そこに『タロ』だって分かる単語が入るんだから、間違うことはなくなるよね」
「あ~そういうことか。なるほどな。でも、それがどうして魔法の衰退に繋がるんだ?」
俺が考えている大体のイメージはギルマスに伝わったのだろうか。少し怪しいが要はアナログ時計とデジタル時計の差なんだけどね。アナログ時計は見る方向によって、何時何分何秒はあいまいだが、デジタル時計だと一時二分三秒と誰が見ても同じ時間になるってことを説明したかっただけなんけどね。
「要は詠唱魔法が強くないってことじゃないのかな」
「強くない? またわからないな」
「え~とね、要は分かることを最大の目標にしたことで、他のが疎かになったのかもね」
「もう一声!」
「ふぅ~要はね、『火魔法』を使いたいから他の属性の『水魔法』とかが変なイメージとして入り込ませないために『火』であることを間違えないように丁寧にし過ぎたんじゃないかなって」
「じゃあ、『火魔法』を間違わないことが目標になり、術の形態とかが疎かになっているんじゃないかと、そういうことなのか?」
「俺は詠唱の内容を知らないから、多分としか言えないけどね」
「じゃあ、今からやってみるからな」
「え? ここで?」
「「まあ、水魔法だから大した被害にはならないだろ。じゃあ、行くぞ。『水よ水よ。今ここに……』え~となんだったかな?」
「え? もしかして忘れたとか?」
「言うなよ。現役を退いてから数年経っているんだからな」
「じゃあさ、俺の言う通りにやってみてよ。いい? はい、これを頭の中で想像してね」
「これを想像すればいいのか?」
「うん、そう」
俺はギルマスにゴルフボール大の『水球』を見せてイメージしてもらう。
「ん~あっ!」
81
あなたにおすすめの小説
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします
雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました!
(書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です)
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
ランド犬
ファンタジー
異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。
気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国の辺境で、ただ静かに生き延びたいと願う少年、ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、前世の記憶と、母が遺した『物理法則を応用した高圧魔力』という危険な理論だけだ。
敵の大軍が迫る中、ヴァンは剣も振るわず、補給線と心理を切り裂く。
結果、敵軍は撤退。代償も、喝采も、彼には無意味だった。
だが、その「効率的すぎる勝利」は帝国の目に留まり、彼は最高峰の『帝国軍事学院』へと引きずり出される。
「英雄になりたいわけじゃない。生き残りたいだけだ」
謎の仮面メイド『シンカク』、命を取引に差し出した狼耳の少女『アイリ』。
少年は選択する。正義ではなく、最も費用対効果の高い道を。
これは、合理が英雄譚を侵食していく、学園ミリタリーファンタジー。
【※作者は日本語を勉強中の外国人です。翻訳ソフトと辞書を駆使して執筆しています。至らない点もあるかと思いますが、物語を楽しんでいただければ幸いです。】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる