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第三章 旅の始まり
第二十六話 頭が高すぎ!
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「さて……」
王が俺の方を見ながら口を開く。そして、それに合わせる様に息子である王太子達も俺の方を見る。
「そなたの名はなんと言ったかな?」
「……コータだ」
「そうか」
「貴様は陛下に対して!」
「よい」
「しかし……」
「よいと言っている」
「……分かりました」
俺の名前すら覚えてないのかよと心の中で悪態を付くが、当の王様はそれほど気にしていないようで「そうか」と呟き、顎を触りながら俺をまたジッと見る。
だが、そんな俺の態度が余程気に障ったのか、王太子であるヘリオが俺に食ってかかろうとするが、王がそれをやんわりと止める。
「そなたは娘を救ってくれたばかりか、簒奪を目論んでいたジャミールからも余を、この国を救ってくれた。褒美を取らせよう。何が望みだ」
「なら、まずは頭を下げなよ」
「貴様! もう勘弁ならぬ!」
「ヘリオ!」
「陛下! 止めません! コイツは陛下に対し何度も何度も「よいと言っておる」……しかし……」
「コータよ。褒美はいらぬのか?」
「だから、そんなのの前にさ。先ずは親として……国王として俺に頭を下げて礼を言うのが先じゃないのかと言ってんだよ。それとも貴族であり、王様だからイチ平民である俺に下げる頭はないってことなの?」
「貴様~!」
「ヘリオ!」
「しかし、陛下……」
こいつも学習しないやつだなと激昂するヘリオをまた王がやんわりと止めるが、今度は無理矢理にでも制止を振り払ってきそうな感じだ。
『肯定します』
そして、そんな様子を感じ取ったのか、俺の隣でアオイが指を鳴らしながら何かが始まるのを期待しているようにも思える。
だが、弟であるマリオはそんな兄を残念なものでも見るような感じで俺と王とのやり取りを腕を組んだまま楽しそうに見ていた。
俺はそんな王達に辟易しながら、これまでの不満を口にする。
「あのな、俺は姫さんを助けてからというもの、誰からもお礼を言われてないんだよ。しかもお礼は必ずするからと言われてキンバリー領からクレイヴ領まで同行したのに、結局はお礼どころか、『ありがとう』の一言もなしだよ。あ、いや。クリフさんだけは言ってくれたか。でも、姫さんの母親はお礼どころか顔すら見せなかったぞ。どうなってんだよ」
俺の告白に王は一瞬だけ顔を顰めるが、思うところがあったのか口を開く。
「うむ、言われてみればその通りだな。コータよ、娘を助けてくれてありが「違う!」……ん?」
「だから、違うダロ!」
「貴様! もう許せん!」
「ヘリオ!」
「陛下、もう止めないで下さい! 私は陛下が……この国がここまで侮辱されているのを黙って見過ごすわけには行きません! えいっ! へ?」
『ガキッ』
俺の王に対する態度に我慢出来なくなったヘリオが腰に下げていたレイピアを抜くと、上段に振りかぶり、そのまま俺を目掛けて振り下ろすが、その刃が俺に届くことはなかった。
「コータに何をする!」
「え? ウソ……」
『ボグッ』
俺に振り下ろされた剣はアオイの右腕に遮られ、剰えアオイはそのままヘリオの右頬に左拳をめり込ませると、ヘリオはそのまま殴り飛ばされる。
「あ~あ、なんで大人しく出来ないのかな。兄さんはこういうところが間が抜けているというか、単純というか。話を最後まで聞かないから……ね?」
「……」
殴り飛ばされたヘリオの方を一瞥したマリオがそんなことを言いながら、俺に同意を求めてくるが、俺が今話しているのはコイツじゃない。
「邪魔が入ったけど、違うだろ」
「ふむ、分からん。余はそなたが言うように頭を下げて礼を述べたと思うが、それの何が間違っていると言うのだ?」
「ハァ~これだから……いいか? 少なくとも俺はあんたの娘の命どころか、その世話役であるクリフやお付きのメイドや護衛達の命を救った。これは分かるよな?」
「ああ、そう聞いている。だから、こうやって「だから、それが違うとさっきから言ってんだ!」……分からぬ。何が違うと言うんだ?」
「あのな、言わなきゃ分からないってあんた、相当だぞ」
「……」
王に対し俺が「違う」と言っても王は相変わらず俺が言っている言葉の意味が分からないようで腕を組んで考え込む。
そしてそれは王だけでなく、回りに控えている連中も俺が言っている言葉の意味が分かっていないらしい。なので俺は王に対し何が違うのかを説明することにした。
「あのな、少なくとも俺はあんたの娘の命の恩人で、この国を簒奪者から救った英雄でもあるわけだ」
「だから、こうやって頭を「だから、それが違うと言ってんだろ!」……さっきから違う違うと言われても余にはそなたが言っていることが理解できないのだが」
「だから、なんでそんな高い場所から俺を見下ろしているんだってことだよ。礼を言うのなら、ちゃんと俺の前に来て頭を下げるのが当たり前の話だろうが!」
「……」
「おぉ~言い切ったね」
俺が言った「違う」の意味を理解したのか、王はポカンとした顔になり、マリオは面白いモノが見られるといった期待がより一層に膨れ上がっているみたいだ。
『肯定します』
「そうか。そうであるか……うむ。確かにそなたの言う通りだな」
「「「陛下!」」」
王が玉座から立ち上がり、ゆっくりと俺の方に向かって歩き出すとこれからのことを想像したのか、側使いの人達が慌て出す。王は、それを手でやんわりと制しながら俺の前まで来ると「コータよ、ありがとう」と頭を下げた。
「うん、それでいいんだよ。じゃ」
「「「え?」」」
王が俺にお礼を言って頭を下げたのを見て満足出来たので、こんな所からはさっさと出て行くに限るとばかりに、そのまま踵を返し謁見の間から出ようとしたところで、王から「待つのだ」と呼び止められる。
このまま無視して行こうかと思ったが、俺の目の前にはいつの間にか、マリオが立っていたので「ハァ~」と嘆息してから王の方へと振り返る。
「コータよ。まだ其方には十分な礼をしておらん」
「いいよ」
「しかし……」
「だから、いいって。これまでも礼をするからと期待させるだけさせられて何もなかったんだから。だから、もうお礼はいらない。じゃ」
「いや、ダメだ! 其方は先程、自らを『救国の英雄』だと名乗ったではないか! それに魔族についても何も説明されておらぬ」
「あ~そういや、そうか。で、どうすればいいの?」
「ん?」
「だから、魔族の話を聞きたいんでしょ。誰が、聞くの? ここで話せばいいの? その前に喉が渇いたんだけど?」
「そ、そうだな。誰か」
「はい、陛下」
王は側使いの人に何やら二言三言話すと、その側使いが謁見の間を出て行くのを見送り、王が俺に向き直る。
「今、部屋を準備させているので、しばし待たれよ」
「いいよ。で、あそこで寝転がっているのはどうするの? 一応、跡継ぎなんでしょ。話は聞かせないでいいの?」
「……もう、手は出さないか?」
「ふぅ~あのね、先に手を出したのは向こうでしょ。だから、確認するなら、ちゃんと息子さんに聞きなよ」
「む、それもそうか。あ~悪いが、アイツを起こしてくれ」
「ハッ、分かりました」
衛士の一人が壁の側で寝ているヘリオの元へと小走りで駆け寄っていくのを見ながら「今日は無理だけど明日も王都から出るのは無理かな」と零せばいつもの『肯定します』が視界の端っこに流れる。
「あ~やっぱりだ……」
王が俺の方を見ながら口を開く。そして、それに合わせる様に息子である王太子達も俺の方を見る。
「そなたの名はなんと言ったかな?」
「……コータだ」
「そうか」
「貴様は陛下に対して!」
「よい」
「しかし……」
「よいと言っている」
「……分かりました」
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だが、そんな俺の態度が余程気に障ったのか、王太子であるヘリオが俺に食ってかかろうとするが、王がそれをやんわりと止める。
「そなたは娘を救ってくれたばかりか、簒奪を目論んでいたジャミールからも余を、この国を救ってくれた。褒美を取らせよう。何が望みだ」
「なら、まずは頭を下げなよ」
「貴様! もう勘弁ならぬ!」
「ヘリオ!」
「陛下! 止めません! コイツは陛下に対し何度も何度も「よいと言っておる」……しかし……」
「コータよ。褒美はいらぬのか?」
「だから、そんなのの前にさ。先ずは親として……国王として俺に頭を下げて礼を言うのが先じゃないのかと言ってんだよ。それとも貴族であり、王様だからイチ平民である俺に下げる頭はないってことなの?」
「貴様~!」
「ヘリオ!」
「しかし、陛下……」
こいつも学習しないやつだなと激昂するヘリオをまた王がやんわりと止めるが、今度は無理矢理にでも制止を振り払ってきそうな感じだ。
『肯定します』
そして、そんな様子を感じ取ったのか、俺の隣でアオイが指を鳴らしながら何かが始まるのを期待しているようにも思える。
だが、弟であるマリオはそんな兄を残念なものでも見るような感じで俺と王とのやり取りを腕を組んだまま楽しそうに見ていた。
俺はそんな王達に辟易しながら、これまでの不満を口にする。
「あのな、俺は姫さんを助けてからというもの、誰からもお礼を言われてないんだよ。しかもお礼は必ずするからと言われてキンバリー領からクレイヴ領まで同行したのに、結局はお礼どころか、『ありがとう』の一言もなしだよ。あ、いや。クリフさんだけは言ってくれたか。でも、姫さんの母親はお礼どころか顔すら見せなかったぞ。どうなってんだよ」
俺の告白に王は一瞬だけ顔を顰めるが、思うところがあったのか口を開く。
「うむ、言われてみればその通りだな。コータよ、娘を助けてくれてありが「違う!」……ん?」
「だから、違うダロ!」
「貴様! もう許せん!」
「ヘリオ!」
「陛下、もう止めないで下さい! 私は陛下が……この国がここまで侮辱されているのを黙って見過ごすわけには行きません! えいっ! へ?」
『ガキッ』
俺の王に対する態度に我慢出来なくなったヘリオが腰に下げていたレイピアを抜くと、上段に振りかぶり、そのまま俺を目掛けて振り下ろすが、その刃が俺に届くことはなかった。
「コータに何をする!」
「え? ウソ……」
『ボグッ』
俺に振り下ろされた剣はアオイの右腕に遮られ、剰えアオイはそのままヘリオの右頬に左拳をめり込ませると、ヘリオはそのまま殴り飛ばされる。
「あ~あ、なんで大人しく出来ないのかな。兄さんはこういうところが間が抜けているというか、単純というか。話を最後まで聞かないから……ね?」
「……」
殴り飛ばされたヘリオの方を一瞥したマリオがそんなことを言いながら、俺に同意を求めてくるが、俺が今話しているのはコイツじゃない。
「邪魔が入ったけど、違うだろ」
「ふむ、分からん。余はそなたが言うように頭を下げて礼を述べたと思うが、それの何が間違っていると言うのだ?」
「ハァ~これだから……いいか? 少なくとも俺はあんたの娘の命どころか、その世話役であるクリフやお付きのメイドや護衛達の命を救った。これは分かるよな?」
「ああ、そう聞いている。だから、こうやって「だから、それが違うとさっきから言ってんだ!」……分からぬ。何が違うと言うんだ?」
「あのな、言わなきゃ分からないってあんた、相当だぞ」
「……」
王に対し俺が「違う」と言っても王は相変わらず俺が言っている言葉の意味が分からないようで腕を組んで考え込む。
そしてそれは王だけでなく、回りに控えている連中も俺が言っている言葉の意味が分かっていないらしい。なので俺は王に対し何が違うのかを説明することにした。
「あのな、少なくとも俺はあんたの娘の命の恩人で、この国を簒奪者から救った英雄でもあるわけだ」
「だから、こうやって頭を「だから、それが違うと言ってんだろ!」……さっきから違う違うと言われても余にはそなたが言っていることが理解できないのだが」
「だから、なんでそんな高い場所から俺を見下ろしているんだってことだよ。礼を言うのなら、ちゃんと俺の前に来て頭を下げるのが当たり前の話だろうが!」
「……」
「おぉ~言い切ったね」
俺が言った「違う」の意味を理解したのか、王はポカンとした顔になり、マリオは面白いモノが見られるといった期待がより一層に膨れ上がっているみたいだ。
『肯定します』
「そうか。そうであるか……うむ。確かにそなたの言う通りだな」
「「「陛下!」」」
王が玉座から立ち上がり、ゆっくりと俺の方に向かって歩き出すとこれからのことを想像したのか、側使いの人達が慌て出す。王は、それを手でやんわりと制しながら俺の前まで来ると「コータよ、ありがとう」と頭を下げた。
「うん、それでいいんだよ。じゃ」
「「「え?」」」
王が俺にお礼を言って頭を下げたのを見て満足出来たので、こんな所からはさっさと出て行くに限るとばかりに、そのまま踵を返し謁見の間から出ようとしたところで、王から「待つのだ」と呼び止められる。
このまま無視して行こうかと思ったが、俺の目の前にはいつの間にか、マリオが立っていたので「ハァ~」と嘆息してから王の方へと振り返る。
「コータよ。まだ其方には十分な礼をしておらん」
「いいよ」
「しかし……」
「だから、いいって。これまでも礼をするからと期待させるだけさせられて何もなかったんだから。だから、もうお礼はいらない。じゃ」
「いや、ダメだ! 其方は先程、自らを『救国の英雄』だと名乗ったではないか! それに魔族についても何も説明されておらぬ」
「あ~そういや、そうか。で、どうすればいいの?」
「ん?」
「だから、魔族の話を聞きたいんでしょ。誰が、聞くの? ここで話せばいいの? その前に喉が渇いたんだけど?」
「そ、そうだな。誰か」
「はい、陛下」
王は側使いの人に何やら二言三言話すと、その側使いが謁見の間を出て行くのを見送り、王が俺に向き直る。
「今、部屋を準備させているので、しばし待たれよ」
「いいよ。で、あそこで寝転がっているのはどうするの? 一応、跡継ぎなんでしょ。話は聞かせないでいいの?」
「……もう、手は出さないか?」
「ふぅ~あのね、先に手を出したのは向こうでしょ。だから、確認するなら、ちゃんと息子さんに聞きなよ」
「む、それもそうか。あ~悪いが、アイツを起こしてくれ」
「ハッ、分かりました」
衛士の一人が壁の側で寝ているヘリオの元へと小走りで駆け寄っていくのを見ながら「今日は無理だけど明日も王都から出るのは無理かな」と零せばいつもの『肯定します』が視界の端っこに流れる。
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