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第7話 お友達と遊ぼう
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ケイン君から一通り玩具の説明を受けて思ったことは「ホントに僕がやるの?」だった。
「サンガン、気持ちは分かるがな」
「父さん、もちろん手伝ってくれるんだよね?」
「ワシが?」
「え、ダメなの? だって、生産ラインとか色々相談したいのに……」
「それなら、イーガンがいるだろ」
「いや、工場で作れるのはそうだけど、積み木とか木工で作るのはムリでしょ」
「それなら、アルガンに言えばいい」
「あ……」
「ほれ、ワシが手伝う隙がないだろ? あ~困った困った。手伝いたくても手伝えることがないんじゃしょうがないなぁ~」
「ガンツさん、棒読みが過ぎるよ」
「そうか? ケインほどじゃないと思うけどな」
「もう、褒めないでよ」
「「褒めてない!」」
テーブルの上一杯に並べられた玩具の種類に驚きはしたけど、問題はこの玩具達を作って店に並べないと買ってもらえないってことだ。
だから、僕は作るのを父さんに手伝ってもらえるのかと聞いたんだけど、父さんとケイン君は工房とは別の所属で好き勝手にやっているから、生産ラインを作るならイーガン兄さんとボビーさんに相談しろと言われてしまう。
でも、玩具の中には木工で作られた物もあるんだけどと父さんに言えば、そういうのはアルガン兄さんと相談しろと一蹴されてしまう。
領都に来た時は父さんの工房で好き勝手していたところを父さんに怒られてからは心を入れ替えて木工の道に進んだとは聞いていたけど、大丈夫だろうか。
「ふぅ分かったよ。それでケイン君、相談なんだけどさ」
「はい?」
「こういう玩具をいきなり売ったとしても遊び方なんか分からないと思うんだ」
「あ!」
「だからね、出来れば子供達に遊んでもらうのが先だと思うんだけど、いいかな?」
「そういうことなら、問題ないよ。アンジェさんがお世話している保育所やガンボさんに言えば学校でも問題なく遊んでもらえると思うから」
「そう、分かった。じゃ、後は屋外で遊べる物を学校の子供達に遊んでもらうのはいいとして、遊び方はどうやって教えたらいいんだろう。僕も遊び方は知らないし」
僕は言い終わってケイン君の顔を見ればケイン君はなんともないって感じで「特に教えなくても勝手に遊び出すんじゃないかな」と言う。
「え、そうなの?」
「サンガン、お前も工房で勝手に遊んでいただろ。アレと同じだよ」
「あぁ~そうか、そうだよね」
「それにな、ケインに友達との遊び方を聞いても無駄だぞ」
「え?」
僕は父さんが言ったことが分からずに思わず聞き返してしまう。
「え? それはどういう意味?」
「どういうも何もソイツはボッチだ。しかも『超』の付くほどのボッチだぞ」
「え……ケイン君、そうなの?」
「ガンツさん、ガンツさんにも責任があるんだからね!」
「ワ、ワシが何をしたと言うんじゃ!」
理由は凄く単純でケイン君には同世代の友達がいないと父さんの口から出るが、その原因は父さんにあるとケイン君から返り討ちに遭う。
「だって、五歳になったばかりの俺に他所の子と遊ぶ暇もないくらいに仕事させたのはガンツさんでしょ!」
「五歳の頃……ってことは大体三年前だから……それって父さんの送金額が増え出した頃だよね?」
ケイン君が八歳だと聞いていたから、五歳の時となれば大体三年ほど前で、父さんから家への送金額が増え出した頃だなと頭の中で計算すれば、父さんがケイン君を指差して騒ぎ出す。
「サ、サンガン。コイツの言っていることは信じるな! ワシは決してケインを友達から遠ざけるようなマネはしていないからな!」
「でも、一日中工房に閉じ込めていたんでしょ?」
「いやいやいや、それは違うぞ。正確にはコイツが自らの意思で工房の中に篭もっていたんだからな」
「だって、仕上げないとダメだって……ガンツさんが言うから……」
「オイ!!!」
ケイン君の口から聞きたくなかった事実を聞かされた。
「父さん……いくらなんでも五歳の子を閉じ込めるって」
「おいおいおい、ちゃんと聞けよ!」
「ガンツさん、ヒドいよ!」
「あ、ケイン……コイツ……」
「辛かったんだねケイン君……」
「サンガンさん……」
僕は思わずケイン君を抱きしめ優しく背中を摩っていると父さんがまだウソだと訴えている。
「だから、違うって言ってるだろ! サンガン、騙されるな! コイツはそう言いながらも婚約者が三人もいたんだからな!」
「え、ケイン君ってジゴロなの?」
「違うよ。ガンツさんがウソ言ってるだけだから」
「父さん……」
「あ、クソ! サンガン、聞け! コイツは男友達も作らずに婚約者を作る様なヤツだぞ。そんなヤツの言うことと父親のどっちを信じるんだ!」
「父親……父親ってお金さえ出せばいいって思っている存在なら一人は知っているけど」
「おま、お前までアンジェと同じ事を口にするのか!」
「ねえ、ケイン君。僕の血縁上の父がしてきたことを許してとは言わないけど、ここは僕に免じて「なんのこと?」……へ?」
僕がケイン君に父さんに代わって今までのことを謝罪しようとするが、当のケイン君はキョトンとしている。
「俺が好きで工房に篭もっていたのは本当だけど仕上げないと帰してもらえないってのは、俺がちゃんと作り上げないとガンツさんが好き勝手にしちゃうから、それがイヤだったってだけ。それに婚約者が三人って言っていたけど、俺にはリーサさん一人だからね。そりゃ、途中でデューク様の家に入れって言われてお嬢さん達と一時期婚約はしていたけど、それでも二人同時で三人同時じゃないからね」
「ケイン君……ダウト!」
「え?」
「サンガン、気持ちは分かるがな」
「父さん、もちろん手伝ってくれるんだよね?」
「ワシが?」
「え、ダメなの? だって、生産ラインとか色々相談したいのに……」
「それなら、イーガンがいるだろ」
「いや、工場で作れるのはそうだけど、積み木とか木工で作るのはムリでしょ」
「それなら、アルガンに言えばいい」
「あ……」
「ほれ、ワシが手伝う隙がないだろ? あ~困った困った。手伝いたくても手伝えることがないんじゃしょうがないなぁ~」
「ガンツさん、棒読みが過ぎるよ」
「そうか? ケインほどじゃないと思うけどな」
「もう、褒めないでよ」
「「褒めてない!」」
テーブルの上一杯に並べられた玩具の種類に驚きはしたけど、問題はこの玩具達を作って店に並べないと買ってもらえないってことだ。
だから、僕は作るのを父さんに手伝ってもらえるのかと聞いたんだけど、父さんとケイン君は工房とは別の所属で好き勝手にやっているから、生産ラインを作るならイーガン兄さんとボビーさんに相談しろと言われてしまう。
でも、玩具の中には木工で作られた物もあるんだけどと父さんに言えば、そういうのはアルガン兄さんと相談しろと一蹴されてしまう。
領都に来た時は父さんの工房で好き勝手していたところを父さんに怒られてからは心を入れ替えて木工の道に進んだとは聞いていたけど、大丈夫だろうか。
「ふぅ分かったよ。それでケイン君、相談なんだけどさ」
「はい?」
「こういう玩具をいきなり売ったとしても遊び方なんか分からないと思うんだ」
「あ!」
「だからね、出来れば子供達に遊んでもらうのが先だと思うんだけど、いいかな?」
「そういうことなら、問題ないよ。アンジェさんがお世話している保育所やガンボさんに言えば学校でも問題なく遊んでもらえると思うから」
「そう、分かった。じゃ、後は屋外で遊べる物を学校の子供達に遊んでもらうのはいいとして、遊び方はどうやって教えたらいいんだろう。僕も遊び方は知らないし」
僕は言い終わってケイン君の顔を見ればケイン君はなんともないって感じで「特に教えなくても勝手に遊び出すんじゃないかな」と言う。
「え、そうなの?」
「サンガン、お前も工房で勝手に遊んでいただろ。アレと同じだよ」
「あぁ~そうか、そうだよね」
「それにな、ケインに友達との遊び方を聞いても無駄だぞ」
「え?」
僕は父さんが言ったことが分からずに思わず聞き返してしまう。
「え? それはどういう意味?」
「どういうも何もソイツはボッチだ。しかも『超』の付くほどのボッチだぞ」
「え……ケイン君、そうなの?」
「ガンツさん、ガンツさんにも責任があるんだからね!」
「ワ、ワシが何をしたと言うんじゃ!」
理由は凄く単純でケイン君には同世代の友達がいないと父さんの口から出るが、その原因は父さんにあるとケイン君から返り討ちに遭う。
「だって、五歳になったばかりの俺に他所の子と遊ぶ暇もないくらいに仕事させたのはガンツさんでしょ!」
「五歳の頃……ってことは大体三年前だから……それって父さんの送金額が増え出した頃だよね?」
ケイン君が八歳だと聞いていたから、五歳の時となれば大体三年ほど前で、父さんから家への送金額が増え出した頃だなと頭の中で計算すれば、父さんがケイン君を指差して騒ぎ出す。
「サ、サンガン。コイツの言っていることは信じるな! ワシは決してケインを友達から遠ざけるようなマネはしていないからな!」
「でも、一日中工房に閉じ込めていたんでしょ?」
「いやいやいや、それは違うぞ。正確にはコイツが自らの意思で工房の中に篭もっていたんだからな」
「だって、仕上げないとダメだって……ガンツさんが言うから……」
「オイ!!!」
ケイン君の口から聞きたくなかった事実を聞かされた。
「父さん……いくらなんでも五歳の子を閉じ込めるって」
「おいおいおい、ちゃんと聞けよ!」
「ガンツさん、ヒドいよ!」
「あ、ケイン……コイツ……」
「辛かったんだねケイン君……」
「サンガンさん……」
僕は思わずケイン君を抱きしめ優しく背中を摩っていると父さんがまだウソだと訴えている。
「だから、違うって言ってるだろ! サンガン、騙されるな! コイツはそう言いながらも婚約者が三人もいたんだからな!」
「え、ケイン君ってジゴロなの?」
「違うよ。ガンツさんがウソ言ってるだけだから」
「父さん……」
「あ、クソ! サンガン、聞け! コイツは男友達も作らずに婚約者を作る様なヤツだぞ。そんなヤツの言うことと父親のどっちを信じるんだ!」
「父親……父親ってお金さえ出せばいいって思っている存在なら一人は知っているけど」
「おま、お前までアンジェと同じ事を口にするのか!」
「ねえ、ケイン君。僕の血縁上の父がしてきたことを許してとは言わないけど、ここは僕に免じて「なんのこと?」……へ?」
僕がケイン君に父さんに代わって今までのことを謝罪しようとするが、当のケイン君はキョトンとしている。
「俺が好きで工房に篭もっていたのは本当だけど仕上げないと帰してもらえないってのは、俺がちゃんと作り上げないとガンツさんが好き勝手にしちゃうから、それがイヤだったってだけ。それに婚約者が三人って言っていたけど、俺にはリーサさん一人だからね。そりゃ、途中でデューク様の家に入れって言われてお嬢さん達と一時期婚約はしていたけど、それでも二人同時で三人同時じゃないからね」
「ケイン君……ダウト!」
「え?」
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