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第8話 どっちもどっち
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ケイン君がボッチだと分かったところで、遊んでくれる子供達がいる場所に移動することになったんだけど、気が付けば僕達はガンボさんがいる学校の校長室にいた。
「なあ、ケイン。ワシは何度も何度も言ったハズじゃぞ。ハァ~で、今日はなんだ?」
「ガンボさん、今日は俺じゃないよ」
「ガンツがやらせたにしてもだ! いいから、用件を言え!」
「は~い、じゃサンガンさん出番ですよ!」
「ケイン君……ガンボさんお久しぶりです」
「サンガンか……久しぶりだな。で、なんでお前がガンツ達と一緒にいるんだ?」
「実は……」
ガンボさんに僕が玩具屋になったこと、そして玩具のモニターを子供達にお願いしに来たこと、それとパッケージデザインを美術教師のリディアさんにお願いしたいと話す。
「ふむ、なるほどの」とガンボさんが手を差し出す。
その手を握るとガンボさんは「止めんか!」と僕の手を払いのけたので「あ、そうか。不勉強でした」と財布からお金を出そうとしたら「アホか!」と怒鳴られたので首を傾げてしまう。
「何を勘違いしているか知らんが、その玩具を出せ!」
「あ~はい……あ!」
そう、いきなり連れて来られたから僕は手ぶらだ。
「なんだ? 持って来てないのか?」
「……ケイン君」
「はい、これ」
ケイン君に助けを求めると、ケイン君はニコリと笑いながら、大小様々なボールをガンボさんの前に並べる。
「随分とまあ、色々なサイズがあるが何か意味があるのか? それに随分と柔らかいな」
「当たっても痛くないようにね」
「ん? それはまた物騒だな」
「いや、ガンボさん。これはですね……」
ケイン君の説明だけでは危険と判断されるかもと不十分ながらもなんとか危険性がないことを説明し終える。
「で、遊び方は?」
「えっとね、この小さいのは……」
ケイン君が説明し終えると「なるほど体育の授業に使えそうだな」とガンボさんは前向きに考えてくれるみたいだ。
「じゃあ、そろそろ体育の授業が始まる頃だから、グラウンドに出て子供達の前で説明してくれ」
「僕が?」
「お前が……だ」
「ケイン君……」
「なんとかなるんじゃない?」
「出たよ。出たとこ勝負の他人任せ」
「ガンツさん、もう……」
「「「褒めてないから!」」」
「えぇ~」
ガンボさんを先頭にグラウンドに出ると、もうそこには運動着に着替えた子供達があちこち走り回っていた。
パンパンと手を叩いてガンボさんが注目を集めると「校長先生だぁ!」と子供達が一斉に集まってくる。
するとケイン君が子供達に向かって小さめのボールをいくつか山なりに高く放り投げると、子供達は「???」と不思議そうにしたけど何人かがボールを手で掴み、先ずはその感触を確かめ「やわらか~い」と手で弄んでいると「向かい合って投げてみて」とケイン君が声を掛ける。
子供達は恐る恐るといった感じでケイン君の言う通りにボールを持った子達が少し離れた位置で向かい合いボールを投げ合って遊び出す。
「じゃあ、ボールを持ってない子達はこっちに来て」
ケイン君があぶれた子達を集めて、地面につま先で大きな長方形を描くと真ん中に線を引く。
「え~と、じゃあ最初は同じ人数になるように分かれて」
「「「は~い!」」」
「じゃ、今度は半分は線の内側に残って、もう半分は向こう側の外側に行ってね」
「「「は~い!」」」
子供達はケイン君の意図が分からないながらもケイン君の指示通りに動いてみせる。
するとケイン君は直径が二十センチメートル程のボールを持つと中央に引いた線の上に立つと分けた二つのチームから一人ずつを選んで中央で向かい合わせると子供達に何やら説明し手に持ったボールをポンと上に放り投げる。
その場で跳んで先にボールを掴んだ少年は持ったはいいが、どうしていいか分からずケイン君をジッと見れば「相手にぶつける気持ちで投げて!」と言われた少年は一瞬躊躇したが直ぐに相手陣地を見るとニヤリとして「ふん!」とボールを投げる。
「アイタッ!」
「はい、アウト! 当たった子は陣地の外に出て、相手陣地の外側に行ってね」
「え~」
ある程度の流れが終わったところでケイン君から、この遊びのルールを説明する。
僕も横で聞いていて分かったのは、この競技の名は「ドッジボール」と言うらしい。
単純に大きめのボールを投げ合い、陣地の中にいる人の身体に当ててボールが地面に落ちればアウトで、落とさずに受け止めればセーフ。
そして、そのままゲームは続行して相手陣地目掛けてボールを投げるか、相手陣地の外にいる仲間にパスして、その仲間が相手に当てれば当てた子は陣地の中に戻るという単純なルールだった。
ルール説明を受けた子供達は、いくつかのグループに分かれてさっきケイン君がした様に地面に線を引き長方形を作ると二つに分かれ遊び始めた。
「なあ、これって大人はやっちゃダメなのかな」
「何、遊びたいの?」
「ああ、ガンボ目掛けて投げたら気持ち良さそうじゃないか。なあ、ガンボ」
「ふん! 投げるのは構わないが、当てられたらの話だろ! 第一、お前のその短い手足に樽の様な体型じゃ避けることは出来ないだろうがな!」
「ほう、ワシの体型をバカにするほど、お前の体型は自慢出来るのか?」
「当たり前だ! 見ろ、この身体を!」
「ワシこそ!」
ケイン君と顔を見合わせ「はぁ~」と嘆息するしかなかった。
「なあ、ケイン。ワシは何度も何度も言ったハズじゃぞ。ハァ~で、今日はなんだ?」
「ガンボさん、今日は俺じゃないよ」
「ガンツがやらせたにしてもだ! いいから、用件を言え!」
「は~い、じゃサンガンさん出番ですよ!」
「ケイン君……ガンボさんお久しぶりです」
「サンガンか……久しぶりだな。で、なんでお前がガンツ達と一緒にいるんだ?」
「実は……」
ガンボさんに僕が玩具屋になったこと、そして玩具のモニターを子供達にお願いしに来たこと、それとパッケージデザインを美術教師のリディアさんにお願いしたいと話す。
「ふむ、なるほどの」とガンボさんが手を差し出す。
その手を握るとガンボさんは「止めんか!」と僕の手を払いのけたので「あ、そうか。不勉強でした」と財布からお金を出そうとしたら「アホか!」と怒鳴られたので首を傾げてしまう。
「何を勘違いしているか知らんが、その玩具を出せ!」
「あ~はい……あ!」
そう、いきなり連れて来られたから僕は手ぶらだ。
「なんだ? 持って来てないのか?」
「……ケイン君」
「はい、これ」
ケイン君に助けを求めると、ケイン君はニコリと笑いながら、大小様々なボールをガンボさんの前に並べる。
「随分とまあ、色々なサイズがあるが何か意味があるのか? それに随分と柔らかいな」
「当たっても痛くないようにね」
「ん? それはまた物騒だな」
「いや、ガンボさん。これはですね……」
ケイン君の説明だけでは危険と判断されるかもと不十分ながらもなんとか危険性がないことを説明し終える。
「で、遊び方は?」
「えっとね、この小さいのは……」
ケイン君が説明し終えると「なるほど体育の授業に使えそうだな」とガンボさんは前向きに考えてくれるみたいだ。
「じゃあ、そろそろ体育の授業が始まる頃だから、グラウンドに出て子供達の前で説明してくれ」
「僕が?」
「お前が……だ」
「ケイン君……」
「なんとかなるんじゃない?」
「出たよ。出たとこ勝負の他人任せ」
「ガンツさん、もう……」
「「「褒めてないから!」」」
「えぇ~」
ガンボさんを先頭にグラウンドに出ると、もうそこには運動着に着替えた子供達があちこち走り回っていた。
パンパンと手を叩いてガンボさんが注目を集めると「校長先生だぁ!」と子供達が一斉に集まってくる。
するとケイン君が子供達に向かって小さめのボールをいくつか山なりに高く放り投げると、子供達は「???」と不思議そうにしたけど何人かがボールを手で掴み、先ずはその感触を確かめ「やわらか~い」と手で弄んでいると「向かい合って投げてみて」とケイン君が声を掛ける。
子供達は恐る恐るといった感じでケイン君の言う通りにボールを持った子達が少し離れた位置で向かい合いボールを投げ合って遊び出す。
「じゃあ、ボールを持ってない子達はこっちに来て」
ケイン君があぶれた子達を集めて、地面につま先で大きな長方形を描くと真ん中に線を引く。
「え~と、じゃあ最初は同じ人数になるように分かれて」
「「「は~い!」」」
「じゃ、今度は半分は線の内側に残って、もう半分は向こう側の外側に行ってね」
「「「は~い!」」」
子供達はケイン君の意図が分からないながらもケイン君の指示通りに動いてみせる。
するとケイン君は直径が二十センチメートル程のボールを持つと中央に引いた線の上に立つと分けた二つのチームから一人ずつを選んで中央で向かい合わせると子供達に何やら説明し手に持ったボールをポンと上に放り投げる。
その場で跳んで先にボールを掴んだ少年は持ったはいいが、どうしていいか分からずケイン君をジッと見れば「相手にぶつける気持ちで投げて!」と言われた少年は一瞬躊躇したが直ぐに相手陣地を見るとニヤリとして「ふん!」とボールを投げる。
「アイタッ!」
「はい、アウト! 当たった子は陣地の外に出て、相手陣地の外側に行ってね」
「え~」
ある程度の流れが終わったところでケイン君から、この遊びのルールを説明する。
僕も横で聞いていて分かったのは、この競技の名は「ドッジボール」と言うらしい。
単純に大きめのボールを投げ合い、陣地の中にいる人の身体に当ててボールが地面に落ちればアウトで、落とさずに受け止めればセーフ。
そして、そのままゲームは続行して相手陣地目掛けてボールを投げるか、相手陣地の外にいる仲間にパスして、その仲間が相手に当てれば当てた子は陣地の中に戻るという単純なルールだった。
ルール説明を受けた子供達は、いくつかのグループに分かれてさっきケイン君がした様に地面に線を引き長方形を作ると二つに分かれ遊び始めた。
「なあ、これって大人はやっちゃダメなのかな」
「何、遊びたいの?」
「ああ、ガンボ目掛けて投げたら気持ち良さそうじゃないか。なあ、ガンボ」
「ふん! 投げるのは構わないが、当てられたらの話だろ! 第一、お前のその短い手足に樽の様な体型じゃ避けることは出来ないだろうがな!」
「ほう、ワシの体型をバカにするほど、お前の体型は自慢出来るのか?」
「当たり前だ! 見ろ、この身体を!」
「ワシこそ!」
ケイン君と顔を見合わせ「はぁ~」と嘆息するしかなかった。
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