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第六章 いざ、王都へ

第10話 もう、お代わりですか

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 領主代行に遅くなったことと野盗討伐の報告を済ませた後は、近くの宿場まで移動しなんとか初日を終えることが出来た。

 翌朝、ゴルドを迎えに行き護衛のメンバーはソルト、ゴルド、レイ、シルヴァ、ブランカ、ノアだった。ソルトとゴルド以外、ガラッと護衛メンバーが入れ替わったことに気付いた領主代行は不思議そうにしていたがソルト達のすることを一々気にしてもしょうがないと気にすることを止めた。

「なあ、ソルト。ヒマなんだけど~」
「おう、それは奇遇だな。俺もそう思っていたところだ」
「お前達、ヒマならその辺を走って来いよ」
「「……あ!」」

 早朝、宿場町を出た一行は昨日と同じように景色も変わらない峠道をゆっくり進んでいたが、御者席に座るソルトとゴルドの後ろから、シルヴァがヒマだと声を掛けてきたが、ゴルドに注意される。だが、その時にシルヴァとソルトは同時に何かを感じ取る。

「ゴルドさん、お客さんだよ」
「もうか? そんなに宿場町から離れていないぞ」
「そんなこと俺に言われても知らないよ。でも、人数が少ないから単なる偵察かもよ」
「そうだな。それも考えられるか。よし、ソルト。引き続き警戒してくれ」
「は~い」

 ゴルドに野盗お客さんが来たことを告げると、ゴルドは引き続き警戒するようにソルトに言うがシルヴァはその話を聞いてから、どこかソワソワしている。

「なあ、ソルト「ダメ!」……まだ何も言ってないだろ」
「どうせ、偵察者あいつらを相手にしたいってことなんだろ」
「分かっているじゃないか。なら「だから、ダメなの」……なんでだよ!」
「まだ、こっちが何かされた訳じゃないからだよ」
「え~何かされてからじゃ遅いじゃん!」
「へ~シルヴァはアイツらに何かされるんだ。ふ~ん、そうなんだ」
「な、なんだよ。俺がアイツらに傷を負わせられるとでも言うのか!」
「俺にはシルヴァがそう言っているように聞こえたけど?」
「な、何を!」
「いいから、シルヴァお座り!」
「な、なんだよ。ブランカまで」
「もう、うるさいのよ。いいからノアも見てるでしょ」
「あ……」

 シルヴァはブランカからノアが見ているんだから、黙って座ってなさいと言われ凹んでしまう。

「もう、シルヴァ。そんなに落ち込まないでもいいから。直ぐに出番は来るからさ」
「すぐってどれくらいだよ!」
「さあ? 俺に言われても分からないよ」
「なんだよ、それ!」
「でも、偵察しているくらいだから、宿場町から離れてからだと思うよ」
「だから、それは何時なんだよ!」
「もうシルヴァ、ハウス!」
「ぐっ……」

 ヒマを持て余していたところにソルト達の馬車を監視している連中がいる。なら、それを始末しても問題ないと思ったシルヴァだが、まだ手を出すなとソルトに止められる。なら、それは何時になるんだとソルトに問い質せばソルトもそれは分からないと言う。そんなソルトに食ってかかるシルヴァが鬱陶しくなったのかブランカから大人しくするように言われてしまいシュンとなる。

「まったく少しも落ち着いていないんだな」
「何、他人事みたいに。ゴルドさんは俺達の仲間パーティーなんだから一緒でしょ」
「……ああ、そういやそうだった。だから、こうしているんだしな。ハァ~どこでどう間違ったんだか……帰りたい」
「ゴルドさん、もうホームシックなの?」
「違うわ! もういい。お前達とまともに対応していたらすり減っちまうわ」
「そうだよね。俺も同じだよ」
「……」
「え? 何? どうしたの? なんでそんな目で俺を見るの? 怖いよゴルドさん」
「……ハァ~一番のやらかしが自覚無しだもんな。ハァ~」
「ゴルドさん?」

 シルヴァとの一騒動の後にゴルドはなんでこんなことにと呟くが、その切っ掛けとなった張本人はゴルドの横で自分には関係ないとばかりに他人事だ。そんな自由なソルトを見てゴルドは溜め息しか出てこなかった。

 しばらく馬車を走らせ、陽が真上に来た頃に昼食の為の休憩場所を探してから食事休憩を取る。

「まだ、こっちを見ているのか?」
「うん、継続中だね。一人外れたから、報告にでも戻ったのかな」
「なら、この先で襲われる可能性があるってことか」
「多分ね。よかったね、シルヴァ」
「ふん! ま、来たら来たで俺一人で十分だ。ソルト、手を出すんじゃないぞ」
「え、いいの?」
「ああ、全部俺に任せろ。ギッタギッタの「はいはい、いいから食べましょうね」……ブランカ」

 食事を終え、しばらく馬車を走らせると峠道が狭くなり、見通しも悪くなる。

「もう少ししたら来るかな。ここは定番通りに壊れた馬車とかで道を塞いで……あちゃ~まんまだよ」
「そうだな。じゃあ、停めるぞ。ソルト、後ろにも連絡よろしく!」
「もう、ゴルドさんも念話出来るんだから、してもいいじゃない!」
「俺は御者だからな。ほら、早くしないと止まっちまうぞ」
「もう、分かったよ」

 ソルトは領主代行の側付きのオジサンに念話で、この先で急襲されるから馬車を停めることを告げる。

「じゃあ、シルヴァ任せるけどホントにいいの?」
「ああ、任せておけって」

 シルヴァはそう言うと馬車からゆっくりと降りる。

「お~い、こっちはいつでもいいぞ!」
『『『……』』』

 ソルトはこちらを監視している連中に妙な緊張感が走ったのを感じ取った。
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