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第3章 ただいま、放浪中
第49話 去る者は追わず
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ルリが窓辺に近付き窓の外を覗き見るが、その第一声は「何も見えないのじゃ」だったので皆が「え?」となり「そんなバカな」と窓辺に集まるが「ああ、確かに」と納得してしまう。
先輩は何がどうなっているのか分からない様だけど、俺が絵に描いてそれぞれの世界樹の位置関係を説明すると「あ~時差があるのね」と納得してくれた。
「時差とはなんじゃ?」
「それは、ちょっと面倒だから後回しで」
「後回し? それは妾を謀っているのではないじゃろうな?」
「何の為に?」
「何の為って……それは……その……」
「まあ、取り敢えずは外はもう暗いし確かめてもらうにも見えないって言うか見づらいんじゃ証明にはならないよね。でもさ、この部屋……この建物は知らないでしょ?」
「うむ、それはそうじゃな……ってことは……ここはホントに世界樹の外の世界なのじゃな!」
「はい、よく出来ました。ちなみにここから一番近い世界樹はリーアさんが管理する世界樹だね」
「次が俺のな」
「……」
「ルリ?」
なんとなくここが自分が管理している世界樹から遠く離れた場所……位置的にはリーアさんの世界樹の反対になる場所……裏側になることはさっき絵に描いた簡単な地図で分かってくれたとは思う。
だけど、あんなに出たがっていたルリは喜ぶでもなく、どこか悲壮感と言うか喪失感がにじみ出ている。
今のルリは窓辺から離れつま先を若干開きハの字にして両手を下に下ろし握りしめ俯きがちになり、その肩は小刻みに震えていた。
そして「やってしまったのじゃ」と頭を抱え、その場に蹲る。
「えっと、リーアさん。これは?」
「まあ、恐らくですが……ホントに出られると思っていなかったのに気付けば裏側にまで来てしまったことを実感したところで、戻られるのか心配になり、世界樹から離れてしまったことで世界樹の管理はどうなるのかとか、色んなことが不安材料として頭の中を埋め尽くしているのだと思います」
「へぇ~だから『やっちまった』ってことでしょうか」
「うふふ、そういうことです」
「でも、リーアさん達はそこまで不安視していなかったですよね」
「はい。これまで何もなかったのですから、ホンの数日、数年くらい留守にしても何も起こらないのではと考えていますので」
「おう、俺もそうだぜ」
「でも、それって盛大なフラグにも思えなくもないんですが……」
「だよねぇ~私ならそれぞれの守人がいなくなったら、その隙にって思わなくもないわね」
「そうですか。では、お尋ねしますがソノ世界樹を狙うモノとは一体なんなのでしょうか?」
「だな。俺も永く守人をやっているが、襲われたってことは今まで一度もないな。それに狙っているって話どころか噂すら聞いたことがないぞ」
「いや、私に言われも……ヒロォ~」
「はいはい、ちょっと黙ってましょうねぇ~」
「もぉ~」
今のルリの状況をリーアさんに説明してもらい、なんとなく理解はしたけど先輩が言うように、もし敵役がいるとしたなら守人の留守を狙うと言うのは分かる。
分かるけど、じゃあそれはナニ? となってしまう。
「では、妾の世界樹も……」
「ええ。絶対に……とは言えませんが、それほど気にすることでもないと思います」
「じゃが、これだけ離れていると何かあった時にどうするのじゃ!」
「ふふふ、ではそれも試して見てはどうですか?」
「試す? 試すとはどういうことじゃ?」
「実はですね……」
「なんと! そういうことなのじゃな。よし、分かったのじゃ。やってみるのじゃ!」
「「「あ……」」」
リーアさんから、自分が管理している世界樹に何か問題があれば、通知が来るらしいのだが、今までは何もなかったから実際に通知を受け取ったことはないらしい。
そして、実際に問題があれば自分達が管理する世界樹の元へと一瞬で転移出来ると説明されたルリは「よし!」と言った瞬間にその場から消えてしまった。
恐らくだが、ルリは自分の世界樹へと転移したのだろう。
「えっと、ヒロ。いいの?」
「え? 何が?」
「何がって……せっかく連れて来たのに直ぐに帰しちゃったじゃない」
「あぁ~せっかくって……でも別にいいでしょ」
「え、いいの? だって「ちょっと、落ち着きましょうか」……いや、でも」
「その前に『せっかく』とか妙なキーワードが気になるんですけど?」
「だって、集めているんでしょ?」
「は?」
ルリがいなくなったことを先輩が「それでいいの?」と意味深なことを言ってきたが、大体何を言いたいかは分かるが、理解したくないし集めている訳でもないから、何を言っているのかと先輩の顔をジッと見てしまう。
「ちょ、ちょっとそんなに見ないでよ!」
「ハァ~ったく……いいですか。何度でも言いますけど、俺からはアプローチしていないですからね。だから、集めているとか止めて下さい!」
「でも、結果的には……もう、八分の三でしょ。なら「だから、違いますって!」……そうは言ってもさ」
「ハァ~もういいです。でも、俺主導じゃないってことだけは理解して下さいね」
「分かってる、分かっているって!」
で、その頃……自分が管理する世界樹へと戻って来たルリは「ほ、ホントなのじゃ! 凄いのじゃ! のぉ……あ……」とさっきまで側にいたリーアに相槌を求めたのだが、そこには誰もおらず伸ばした手が空を切るのだった。
「……淋しいのじゃ……さっきまでは楽しかったのじゃ……じゃが、もうあそこには行けないのじゃ……うわぁぁぁ~~~ん!」
「よっと、納得出来た? じゃ、もう一度行こうか」
「へ?」
先輩は何がどうなっているのか分からない様だけど、俺が絵に描いてそれぞれの世界樹の位置関係を説明すると「あ~時差があるのね」と納得してくれた。
「時差とはなんじゃ?」
「それは、ちょっと面倒だから後回しで」
「後回し? それは妾を謀っているのではないじゃろうな?」
「何の為に?」
「何の為って……それは……その……」
「まあ、取り敢えずは外はもう暗いし確かめてもらうにも見えないって言うか見づらいんじゃ証明にはならないよね。でもさ、この部屋……この建物は知らないでしょ?」
「うむ、それはそうじゃな……ってことは……ここはホントに世界樹の外の世界なのじゃな!」
「はい、よく出来ました。ちなみにここから一番近い世界樹はリーアさんが管理する世界樹だね」
「次が俺のな」
「……」
「ルリ?」
なんとなくここが自分が管理している世界樹から遠く離れた場所……位置的にはリーアさんの世界樹の反対になる場所……裏側になることはさっき絵に描いた簡単な地図で分かってくれたとは思う。
だけど、あんなに出たがっていたルリは喜ぶでもなく、どこか悲壮感と言うか喪失感がにじみ出ている。
今のルリは窓辺から離れつま先を若干開きハの字にして両手を下に下ろし握りしめ俯きがちになり、その肩は小刻みに震えていた。
そして「やってしまったのじゃ」と頭を抱え、その場に蹲る。
「えっと、リーアさん。これは?」
「まあ、恐らくですが……ホントに出られると思っていなかったのに気付けば裏側にまで来てしまったことを実感したところで、戻られるのか心配になり、世界樹から離れてしまったことで世界樹の管理はどうなるのかとか、色んなことが不安材料として頭の中を埋め尽くしているのだと思います」
「へぇ~だから『やっちまった』ってことでしょうか」
「うふふ、そういうことです」
「でも、リーアさん達はそこまで不安視していなかったですよね」
「はい。これまで何もなかったのですから、ホンの数日、数年くらい留守にしても何も起こらないのではと考えていますので」
「おう、俺もそうだぜ」
「でも、それって盛大なフラグにも思えなくもないんですが……」
「だよねぇ~私ならそれぞれの守人がいなくなったら、その隙にって思わなくもないわね」
「そうですか。では、お尋ねしますがソノ世界樹を狙うモノとは一体なんなのでしょうか?」
「だな。俺も永く守人をやっているが、襲われたってことは今まで一度もないな。それに狙っているって話どころか噂すら聞いたことがないぞ」
「いや、私に言われも……ヒロォ~」
「はいはい、ちょっと黙ってましょうねぇ~」
「もぉ~」
今のルリの状況をリーアさんに説明してもらい、なんとなく理解はしたけど先輩が言うように、もし敵役がいるとしたなら守人の留守を狙うと言うのは分かる。
分かるけど、じゃあそれはナニ? となってしまう。
「では、妾の世界樹も……」
「ええ。絶対に……とは言えませんが、それほど気にすることでもないと思います」
「じゃが、これだけ離れていると何かあった時にどうするのじゃ!」
「ふふふ、ではそれも試して見てはどうですか?」
「試す? 試すとはどういうことじゃ?」
「実はですね……」
「なんと! そういうことなのじゃな。よし、分かったのじゃ。やってみるのじゃ!」
「「「あ……」」」
リーアさんから、自分が管理している世界樹に何か問題があれば、通知が来るらしいのだが、今までは何もなかったから実際に通知を受け取ったことはないらしい。
そして、実際に問題があれば自分達が管理する世界樹の元へと一瞬で転移出来ると説明されたルリは「よし!」と言った瞬間にその場から消えてしまった。
恐らくだが、ルリは自分の世界樹へと転移したのだろう。
「えっと、ヒロ。いいの?」
「え? 何が?」
「何がって……せっかく連れて来たのに直ぐに帰しちゃったじゃない」
「あぁ~せっかくって……でも別にいいでしょ」
「え、いいの? だって「ちょっと、落ち着きましょうか」……いや、でも」
「その前に『せっかく』とか妙なキーワードが気になるんですけど?」
「だって、集めているんでしょ?」
「は?」
ルリがいなくなったことを先輩が「それでいいの?」と意味深なことを言ってきたが、大体何を言いたいかは分かるが、理解したくないし集めている訳でもないから、何を言っているのかと先輩の顔をジッと見てしまう。
「ちょ、ちょっとそんなに見ないでよ!」
「ハァ~ったく……いいですか。何度でも言いますけど、俺からはアプローチしていないですからね。だから、集めているとか止めて下さい!」
「でも、結果的には……もう、八分の三でしょ。なら「だから、違いますって!」……そうは言ってもさ」
「ハァ~もういいです。でも、俺主導じゃないってことだけは理解して下さいね」
「分かってる、分かっているって!」
で、その頃……自分が管理する世界樹へと戻って来たルリは「ほ、ホントなのじゃ! 凄いのじゃ! のぉ……あ……」とさっきまで側にいたリーアに相槌を求めたのだが、そこには誰もおらず伸ばした手が空を切るのだった。
「……淋しいのじゃ……さっきまでは楽しかったのじゃ……じゃが、もうあそこには行けないのじゃ……うわぁぁぁ~~~ん!」
「よっと、納得出来た? じゃ、もう一度行こうか」
「へ?」
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