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◆約束が出来ませんでした
ガンツさんに少しイラッとしながら、なんとか仕組みを考える。
まずは活版を台に固定し、その上をインクを染み込ませたローラーを通過させ活版にインクを載せる。
「ここまではいい。問題はこの後だよな。さて、どうやって、紙を固定させるかだよな」
『そんなん両端をピ~ンと張ればいいだけなんじゃねえのか?』
「マサオ! お前凄いな。単純すぎて気付かなかったよ」
紙送りの方法は複合機で実現出来ているから、後は両端を引っ張る仕掛けか。
いや、別に引っ張らなくてもガイドに合わせるだけで固定はされるか。
なら、これで出来そうだな。
「よし。ガンツさん出番だよ」
「お! やっとワシの出番か。で、どこから手を付ければいい?」
「まずは大きめの台が必要だね」
「また、適当な。で、大きめってどれくらいだ?」
「じゃあ、一メートル四方くらいで」
「適当じゃな」
すぐにガンツさんが台を用意して、持ってくる。
「ほれ、こんな物でいいのか?」
「いいよ。上等上等。そしたら、ここに活版を固定する仕組みが欲しいんだ。出来れば大きさは変えられるようにして欲しい」
「今度はまともじゃな」
「あ、でも基準点はちゃんとしてよ」
「基準点? それはどういうことじゃ?」
ガンツさんにいつもの様にメモ紙を使って説明する。
「これに印刷するとしてだよ。この右手のメモ紙と左手のメモ紙に印刷する位置がずれたら、それは失敗扱いになるよね」
「まあな。で、その基準点てのがどう関わってくるんだ?」
「だからだよ、例えばこのメモ紙の左上をその基準点に合わせて印刷すれば、全部同じ位置に印刷されるでしょ」
「なるほどな。そういうことなら分かった。精度が必要なら、確かにワシの仕事だ。任せろ」
「ちゃんと基準点を起点に水平、垂直にね」
「任せろって!」
ガンツさんが作業している間にインクを載せるローラーの仕組みを考える。
が、そんな暇もなくガンツさんから出来たと報告される。
「どうじゃ、その基準点とやらに合わせてガイドも固定する仕組みも出来たぞ」
「どれどれ」
固定枠を触り、実際に活版をセットし簡単にずれないことを確認する。
「いいね。ガッチリ固定されているから、印刷する時の衝撃でずれることもなさそうだね」
固定はできたから、今度は活版にインクを載せるローラー部分をガンツさんに作ってもらう。
「今度はなんじゃ?」
「これ、インクを染み込ませたローラーね。これを活版の上を通らせて活版全体にインクを付ける物なんだ」
「分かった。今度は、このローラー部分を追加するんじゃな」
「そう、ちゃんとインクを着けて垂らすことなく活版全体を通ってインクを着けたら元の位置に戻るようにするんだよ。あまり圧力も掛けないようにね」
「注文が多いの~でも、多ければ多いほど燃えるもんじゃ!」
ガンツさんが困った困ったと言いながら、嬉しそうに作業に戻る。
ガンツさんが作業している間に紙送りの部分を作ってしまう為に作業に入る。
さて、まずは給紙だよな。枚数は百枚単位で置ける様にしてと。紙送りは上から順番に送る仕掛けにして、紙束はなるべく上に持ち上がるように軽めのスプリングを紙束の底板に追加する。
「これで給紙の仕掛けは大丈夫。次は印刷台に送って出す、給排紙の仕掛けだけど、そこは複合機からの流用で済ませられるから、これでよし!」
ガンツさんの様子を見ると、まだ四苦八苦している様だった。
「ガンツさん、お困りですか~」
「おう、ケイン。いやな、ローラーをインクに着けて持ち上げるところまではいいんじゃが、均等にするための水平移動がうまくいかないんじゃ」
「へ~意外。そんなことで躓いているなんて」
「そうは言うがな、これがなかなか難しくてな」
「それならさ、水平移動するためのガイドを横に付ければいいんじゃないの?」
「ガイドか。なるほどの~そいつは思い付かんかった。じゃ、早速付けてみるか」
「手伝うよ」
「すまんの~」
これで活版印刷の主要部分は揃った。
「どれ、早速試そうかの」
「じゃ、動かすね」
「おう、やってくれ」
「久々の『ポチッ』とな」
『ブ~ン』と魔導モーターが低い音で唸ると続いて『ガッチャンガッチャン』と活版印刷機が動き出す。
一枚目の紙が送られ、活版の上で押されて印刷されると、下向きになっていた表面が上になり排紙されてきた。
「どれ」
ガンツさんが記念すべき一枚目を手に取り確認する。
「うん、いいじゃろ。ケインも見てみろ」
ガンツさんから、印刷されたばかりのメモ紙を見る。
「やっぱり、インクが乾いてないね」
「そりゃそうじゃろ。そんなにすぐには乾かんぞ」
「あ、じゃあすぐに止めないと!」
「なんだと……あ、ああ、重なってる……」
慌てて活版印刷機の動力を止めるが、間に合わずインクが表と裏にベッタリと付いたメモ紙の山がそこにあった。
「これじゃあ、使い物にならんの~」
「乾くのが遅いなら、無理にでも乾かせばいいんだよね」
「なにか考えがあるのか?」
「うん、乾かすのなら、その時間は表面になにも載せなきゃいいんでしょ。なら、印刷した後に乾燥ゾーンを通ってもらえばいいんだよ」
「なにを言っているのか、ワシにはさっぱりじゃ」
「まあ、見ててよ」
活版印刷機から、排出された紙をベルトコンベアーに載せて魔道具を使って表面に弱めの熱風をかける仕掛けを思い付く。
これを余裕をみて、長さ5メートルのベルトコンベアーを用意してその上全部に熱風の魔道具を用意する。
排出口にベルトコンベアーの入口を取り付け、活版印刷機を動かす。
やがて、印刷されたばかりのメモ紙が乾燥ゾーンのベルトコンベアーに乗って、反対側の出口から出てくる。
それをガンツさんが手に取り一言発する。
「乾いてる」
「じゃ、成功だね」
『腹減った~』
時間を確認するとお昼を少し回っていた。
「じゃ、昼にするかの」
「そうだね」
『飯、飯~』
ガンツさんと一緒に弁当を広げ、食べようとするとマサオが騒ぐ。
『ない! 俺の飯はどこ?』
「ないよ。その辺で捕まえてきなよ」
『ええ! まさかの放置……』
「なんじゃ、ケインはマサオの分は用意しとらんのか」
「リーサさんもそこまでは気を回してくれなかったみたいだね」
『なあ、腹減った! なにか食わせろよ~』
「もう、しょうがないな~俺のを少しやるから、それで我慢しろ」
『こんなんじゃ全然足りね~』
「後で王都に行ったら、なにか食わせてやるから。それまで我慢してくれよ」
『本当だな! 約束だぞ!』
「ああ、約束だ。ほら」
そう言って、右手の小指をマサオの前に突き出す。
『あ、これって約束の儀式だろ! よし、これなら破ることはないな……なあ、俺の小指じゃ絡められない……』
「そうか、なら約束は無理だな」
『そんな……』
「ケイン、揶揄いすぎると捻くれてしまうぞ。マサオ、心配せんでもワシも着いとる」
『ガンツ、ありがとうな』
まずは活版を台に固定し、その上をインクを染み込ませたローラーを通過させ活版にインクを載せる。
「ここまではいい。問題はこの後だよな。さて、どうやって、紙を固定させるかだよな」
『そんなん両端をピ~ンと張ればいいだけなんじゃねえのか?』
「マサオ! お前凄いな。単純すぎて気付かなかったよ」
紙送りの方法は複合機で実現出来ているから、後は両端を引っ張る仕掛けか。
いや、別に引っ張らなくてもガイドに合わせるだけで固定はされるか。
なら、これで出来そうだな。
「よし。ガンツさん出番だよ」
「お! やっとワシの出番か。で、どこから手を付ければいい?」
「まずは大きめの台が必要だね」
「また、適当な。で、大きめってどれくらいだ?」
「じゃあ、一メートル四方くらいで」
「適当じゃな」
すぐにガンツさんが台を用意して、持ってくる。
「ほれ、こんな物でいいのか?」
「いいよ。上等上等。そしたら、ここに活版を固定する仕組みが欲しいんだ。出来れば大きさは変えられるようにして欲しい」
「今度はまともじゃな」
「あ、でも基準点はちゃんとしてよ」
「基準点? それはどういうことじゃ?」
ガンツさんにいつもの様にメモ紙を使って説明する。
「これに印刷するとしてだよ。この右手のメモ紙と左手のメモ紙に印刷する位置がずれたら、それは失敗扱いになるよね」
「まあな。で、その基準点てのがどう関わってくるんだ?」
「だからだよ、例えばこのメモ紙の左上をその基準点に合わせて印刷すれば、全部同じ位置に印刷されるでしょ」
「なるほどな。そういうことなら分かった。精度が必要なら、確かにワシの仕事だ。任せろ」
「ちゃんと基準点を起点に水平、垂直にね」
「任せろって!」
ガンツさんが作業している間にインクを載せるローラーの仕組みを考える。
が、そんな暇もなくガンツさんから出来たと報告される。
「どうじゃ、その基準点とやらに合わせてガイドも固定する仕組みも出来たぞ」
「どれどれ」
固定枠を触り、実際に活版をセットし簡単にずれないことを確認する。
「いいね。ガッチリ固定されているから、印刷する時の衝撃でずれることもなさそうだね」
固定はできたから、今度は活版にインクを載せるローラー部分をガンツさんに作ってもらう。
「今度はなんじゃ?」
「これ、インクを染み込ませたローラーね。これを活版の上を通らせて活版全体にインクを付ける物なんだ」
「分かった。今度は、このローラー部分を追加するんじゃな」
「そう、ちゃんとインクを着けて垂らすことなく活版全体を通ってインクを着けたら元の位置に戻るようにするんだよ。あまり圧力も掛けないようにね」
「注文が多いの~でも、多ければ多いほど燃えるもんじゃ!」
ガンツさんが困った困ったと言いながら、嬉しそうに作業に戻る。
ガンツさんが作業している間に紙送りの部分を作ってしまう為に作業に入る。
さて、まずは給紙だよな。枚数は百枚単位で置ける様にしてと。紙送りは上から順番に送る仕掛けにして、紙束はなるべく上に持ち上がるように軽めのスプリングを紙束の底板に追加する。
「これで給紙の仕掛けは大丈夫。次は印刷台に送って出す、給排紙の仕掛けだけど、そこは複合機からの流用で済ませられるから、これでよし!」
ガンツさんの様子を見ると、まだ四苦八苦している様だった。
「ガンツさん、お困りですか~」
「おう、ケイン。いやな、ローラーをインクに着けて持ち上げるところまではいいんじゃが、均等にするための水平移動がうまくいかないんじゃ」
「へ~意外。そんなことで躓いているなんて」
「そうは言うがな、これがなかなか難しくてな」
「それならさ、水平移動するためのガイドを横に付ければいいんじゃないの?」
「ガイドか。なるほどの~そいつは思い付かんかった。じゃ、早速付けてみるか」
「手伝うよ」
「すまんの~」
これで活版印刷の主要部分は揃った。
「どれ、早速試そうかの」
「じゃ、動かすね」
「おう、やってくれ」
「久々の『ポチッ』とな」
『ブ~ン』と魔導モーターが低い音で唸ると続いて『ガッチャンガッチャン』と活版印刷機が動き出す。
一枚目の紙が送られ、活版の上で押されて印刷されると、下向きになっていた表面が上になり排紙されてきた。
「どれ」
ガンツさんが記念すべき一枚目を手に取り確認する。
「うん、いいじゃろ。ケインも見てみろ」
ガンツさんから、印刷されたばかりのメモ紙を見る。
「やっぱり、インクが乾いてないね」
「そりゃそうじゃろ。そんなにすぐには乾かんぞ」
「あ、じゃあすぐに止めないと!」
「なんだと……あ、ああ、重なってる……」
慌てて活版印刷機の動力を止めるが、間に合わずインクが表と裏にベッタリと付いたメモ紙の山がそこにあった。
「これじゃあ、使い物にならんの~」
「乾くのが遅いなら、無理にでも乾かせばいいんだよね」
「なにか考えがあるのか?」
「うん、乾かすのなら、その時間は表面になにも載せなきゃいいんでしょ。なら、印刷した後に乾燥ゾーンを通ってもらえばいいんだよ」
「なにを言っているのか、ワシにはさっぱりじゃ」
「まあ、見ててよ」
活版印刷機から、排出された紙をベルトコンベアーに載せて魔道具を使って表面に弱めの熱風をかける仕掛けを思い付く。
これを余裕をみて、長さ5メートルのベルトコンベアーを用意してその上全部に熱風の魔道具を用意する。
排出口にベルトコンベアーの入口を取り付け、活版印刷機を動かす。
やがて、印刷されたばかりのメモ紙が乾燥ゾーンのベルトコンベアーに乗って、反対側の出口から出てくる。
それをガンツさんが手に取り一言発する。
「乾いてる」
「じゃ、成功だね」
『腹減った~』
時間を確認するとお昼を少し回っていた。
「じゃ、昼にするかの」
「そうだね」
『飯、飯~』
ガンツさんと一緒に弁当を広げ、食べようとするとマサオが騒ぐ。
『ない! 俺の飯はどこ?』
「ないよ。その辺で捕まえてきなよ」
『ええ! まさかの放置……』
「なんじゃ、ケインはマサオの分は用意しとらんのか」
「リーサさんもそこまでは気を回してくれなかったみたいだね」
『なあ、腹減った! なにか食わせろよ~』
「もう、しょうがないな~俺のを少しやるから、それで我慢しろ」
『こんなんじゃ全然足りね~』
「後で王都に行ったら、なにか食わせてやるから。それまで我慢してくれよ」
『本当だな! 約束だぞ!』
「ああ、約束だ。ほら」
そう言って、右手の小指をマサオの前に突き出す。
『あ、これって約束の儀式だろ! よし、これなら破ることはないな……なあ、俺の小指じゃ絡められない……』
「そうか、なら約束は無理だな」
『そんな……』
「ケイン、揶揄いすぎると捻くれてしまうぞ。マサオ、心配せんでもワシも着いとる」
『ガンツ、ありがとうな』
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※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。