転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!

ももがぶ

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◆かまって欲しかった

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昨夜、約束していたので今日は久しぶりにリーサさんが工房に来ている。そして、その横ではジョシュアさんが硬直している。
「おはよう、リーサさん早いね」
「おはようケイン。まあ、少しだけ気が急いていたのかもしれないな」
「で、ジョシュアさんはどうしたの?」
座ってお茶を飲んでいたリーサさんに声を掛けてから、硬直していたジョシュアさんを見るとジョシュアさんが待ってましたとばかりに俺に食い付いてくる。
「ケイン君は、この方と知り合いなのか?」
「えっと、この方ってリーサさんのこと?」
「そう、なんだか随分親しいようだけど?」
「なんじゃ、ジョシュアは知らんかったのか。コイツは、ケインのこれじゃよ」
そう言って、ガンツさんが右手の小指だけ立ててジョシュアさんに見せる。
「え? それって……」
「ああ、コイツはケインの婚約者だ。ケインより少しばかり年上だがな、くくくっ」
「ガンツ!」
ガンツさんがジョシュアさんにリーサさんを紹介するが、その内容に少しばかり苛立つリーサさんを見て、こういうやり取りも久しぶりだなと思っていたらリーサさんに睨まれた。
「ケインは隣で私がガンツに酷い扱いを受けているのに助けてはくれないんだな」
「い、いや、そんなことはないよ。ガンツさんもそのくらいで。ね」
「ほう、随分、尻に敷かれたもんだな。ケインよ」
「あ~ガンツさん、言ったね。リーサさんも聞いたよね?」
「ああ、しっかりと聞いた。なんならアンジェの前で再現してやってもいいぞ」
「お、お前ら、それは汚いだろう! なんでここにアンジェが出てくるんだよ!」
「あれ? ガンツさん、それ本気で言ってる? ちょっと、自己認識が甘いよガンツさん。ねえ、リーサさん」
「うん、そうだな。ケインの言う通りだ。そんなガンツにケインが『尻に敷かれている』と言われるのは屈辱だな」
「な、なんでだよ」
「なら、アンジェさんに来てもらう?」
「いや、そこまでは……それにアンジェも仕事で大変だろうし……」
「あれ? ガンツさん、どうしたんですか? なんか萎んでますけど?」
「ジョシュア、それよりそろそろ教習の時間だろ! ほら急がんと」
「え~そんなぁもう少しいいじゃないですか~」
「いいから、早く行け!」
「ケイン君、後で聞かせてね」
「まだいるのか!」
「はい! 今出ます。じゃ、ケイン君またね!」
ジョシュアさんがガンツさんに追い払われるように船の教習へと出掛けると同時にガンツさんが「すまなかった」とリーサさんに頭を下げる。
「分かった。アンジェには言わない。約束しよう」
「ありがとう。本当にすまなかった」
「ガンツさんはアンジェさんが好きなのに怖いの?」
「ふぅ……若いな。ケインも直に分かるだろうよ」
そう言って、リーサさんを一瞥するガンツさん。よく恋愛期間が終わって結婚してからは変わると言うけど、それなのかな。まあ、今からそんなことを考えてもしょうがないけどね。
「ケイン、ガンツの話は適当に聞いておけ。それより里に行くんだろ」
「そうだね。じゃ、ガンツさん。また、後でね」
「ん? どこに行くんだ?」
「ちょっと、エルフの里にスカウトしに行くんだ」
「ワシは聞いてないぞ」
「だって、ガンツさんは船の改修で忙しいんでしょ?」
「むっ……確かにそれはそうだが」
「じゃ、そういうことで」
「うん、またなガンツ」
転移ゲートをエルフの里に繋いで潜ろうとした所で、ガンツさんが先にその転移ゲートへと入っていく。そして、その穴の向こうでガンツさんが俺達を多招きしている。
「「……」」
「何をしている? 早く来い!」
リーサさんと二人で何が起きたのか分からないまま呆然としていると、転移ゲートの向こうでガンツさんが手招きしている。
「ケイン、これはどういうことだ?」
「多分、拗ねたんじゃないのかな?」
「拗ねる? それはどうしてだ?」
「ここのところ、ガンツさんと別行動だったからね」
「ふむ、要はガンツが淋しかったと言う訳か」
「そう言っちゃうと身も蓋もないけど、そういうことだね」
二人の間で確信は持てたが、ずっと手招きしているガンツさんに少しイラッとしながらも転移ゲートを潜る。
「何をしているんだ! さっさと来ないか!」
「で、ガンツさんはどうして来たの?」
「そうだ、ガンツはしたいことがあったんじゃないのか?」
「いいだろ、別に。それに気が変わっただけだし。それより、ほら、行くんだろ?」
何故かガンツさんが主導権を握り俺に次はどこだと言ってくる。
「もう、淋しいんなら言えばいいのに。ホントに素直じゃないな~」
「ふふふ、アンジェへのいい土産話が出来たな」
「アンジェは関係ないだろ。ほれ、次はどこだ?」
「まずはリーサさんの家だね」
「リーサの家か……大丈夫なのか? そこにはあの母親がいるんだろ?」
「それは大丈夫だ。今は状態が落ち着いているからな」
「そうなのか? だが、俄には信じられないな」
「俺もリーサさんから話を聞いた時には信じられなかったけどね。まあ、行ってみれば分かるよ」
「それもそうか」
ガンツさんが疑い、俺も半信半疑なのを見て、リーサさんが呟く。
「本当なんだがな……」
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