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◆王都の港に向かいました
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親子で海中の様子に夢中なリーサさん親子をなんとか引き剥がして、エレベーターに乗り込むと地上へと戻る。
「むぅ~もう少し見ていたかったな」
「リーサさんなら、いつでも見られるでしょ。いいから、クレイグさんのところに行こうよ」
「むぅ仕方ないな」
リーサさんが海中展望台に名残惜しさを感じながらクレイグさんの元へ向かう。
「それでクレイグさんはどこにいるのかな?」
「約束では……あそこだな」
リーサさんが指を差した方向を見るとクレイグさんと一緒にエルフの集団がそこにいた。
「ちゃんといるじゃない。クレイグさん!」
「ケイン君、ひさしぶり!」
「そうだ。クレイグさん。あとで、灯台の下に行ってみてよ。クレイグさんが喜ぶこと間違いなしだからさ」
「僕が喜ぶこと? 本当に?」
「ああ、兄なら喜ぶこと間違いない!」
「へぇ~リーサまでが、そんなこと言うなんてね。なんだろう。楽しみだね」
リーサさんが楽しそうな目でクレイグさんを見る。
「なんなら王都にもあるから、先にそっちを見といた方がいいかもしれないな。なあ、ケイン」
「そうだね。じゃあ、クレイグさんも一緒に王都まで行こうか。この人数なら海中遊覧船でも行けると思うけど、ガンツさん。補修はどんな感じ?」
俺達とマサオにエルフの視察団を合わせると十人ちょっとだからフェリーじゃなくてもいいかなとガンツさんに海中遊覧船が使えないかと聞いてみるとガンツさんが渋い顔になる。
「あれは、まだだ。もう少し待ってくれ」
「そうなんだ。じゃあ、いつも通りにフェリーだね」
「おう、そうなるな」
ガンツさんの返事を聞いてから、岸壁に停泊させているフェリーへと向かう。
「じゃあ、出港準備を手伝ってくれ」
「分かったよ。じゃあ、リーサさんは皆を中に案内してもらえるかな」
「ああ、任せてくれ。じゃあ、母も一緒に来てくれ。兄も早く乗ってくれ」
「分かったよ」
リーサさんに視察団の人達の乗船を手伝ってもらい、係留ロープをビットから外していたら、ジョシュアさんが嬉しそうな顔で側に立っているのに気付く。そして、その後ろにはどこかぐったりしているティーダさんとアルフさんがいた。
「ジョシュアさん、どうしたの? そんな所に立っていられたら邪魔なんだけど」
「ふふふ、これを見てもそんなことが言えるかい?」
「これ?」
「そう、これ!」
ジョシュアさんが誇らしげに『船舶免許二級』を俺に見せてくる。
「ああ、ライセンス取れたんだ。じゃあ、はい!」
「はいって……これは?」
「やっとライセンスが取れたってことは、次はコレを動かせるようにならないとダメでしょ。だから、まずは離岸の為の準備から覚えないとね。ってことで、出港準備を手伝って!」
「あ、ああ、分かった……」
「ティーダさん達も手伝ってよ。ジョシュアさんのことが終わったなら、今は暇でしょ」
「まあ、暇と言えば暇だが……」
「いいよ、手伝うよ。ほら、アルフも」
「ティーダ、後で後悔するぞ」
「何がだ? それより、王都に行くって言うじゃないか。面白そうな匂いがするだろ」
「面白いと思えるかどうかだけどな。はぁ~」
ティーダさん達にも手伝ってもらえたので出港準備はそれほ時間を掛けずに終わらせることが出来たので、ティーダさん達と一緒にフェリーに乗り込むとガンツさんに船内の通信機を使って、出港準備が終わったことを連絡するとガンツさんが返事代わりに汽笛を鳴らし静かに岸壁から離岸する。
「じゃあ、ジョシュアさん達は操舵室に向かってね」
「「「操舵室?」」」
「そう、ガンツさんがいるからさ」
「待て! ジョシュアは分かるが、なんで俺達まで行かなきゃ行けないんだ!」
「ティーダ、だから言っただろ。後悔するって」
「ん? アルフ、それはどういう意味だ?」
「操船のライセンスを持っているのは、ドワーフタウンにはジョシュアを入れて四人だ」
「そうだな。それがどうした?」
「じゃあ、この船を動かせるのは何人だ?」
「それはガンツ一人だろ」
「そうだな。今はガンツ一人だ。そして、ここにガンツ以外の三人がいて、その三人に対して操舵室に向かえとケインが言っている。ここまで言えば分かるだろ?」
「ん? ケイン、どういうことだ?」
「そういうことだよ。ティーダ、図られたんだ。ケインは俺達にこの船の教習もさせるつもりだ。そうだろ? ケイン」
「そうだよ、ごめんね。じゃあ、そういうことでよろしくね」
「俺達が反対することは出来るのか?」
「イヤなの?」
「イヤじゃないが……」
「じゃあ、約束したのは覚えている?」
「「約束?」」
「そう、『指導員が揃うまでは手伝う』って約束」
「確かにしたな。でも、それは船外機の指導員の話だろ?」
「いや、ティーダ。違う。俺達がした約束はケインの言うように『指導員が揃うまで』だ。どの船の指導員とは明確にしていない。やられたな」
「そんな~じゃあ、何か、今度は俺達がガンツから、この船の操船方法を習って、その後は俺達が指導教官として指導員を育てるってことなのか」
「当たり! よく分かったね。じゃあ、そういう訳で操舵室に向かってね」
「「「……」」」
「はい、急ぐ!」
「「「……」」」
ジョシュアさんにティーダさん、アルフさんが「チッ」と軽く舌打ちをしてから操舵室へと向かう。
「むぅ~もう少し見ていたかったな」
「リーサさんなら、いつでも見られるでしょ。いいから、クレイグさんのところに行こうよ」
「むぅ仕方ないな」
リーサさんが海中展望台に名残惜しさを感じながらクレイグさんの元へ向かう。
「それでクレイグさんはどこにいるのかな?」
「約束では……あそこだな」
リーサさんが指を差した方向を見るとクレイグさんと一緒にエルフの集団がそこにいた。
「ちゃんといるじゃない。クレイグさん!」
「ケイン君、ひさしぶり!」
「そうだ。クレイグさん。あとで、灯台の下に行ってみてよ。クレイグさんが喜ぶこと間違いなしだからさ」
「僕が喜ぶこと? 本当に?」
「ああ、兄なら喜ぶこと間違いない!」
「へぇ~リーサまでが、そんなこと言うなんてね。なんだろう。楽しみだね」
リーサさんが楽しそうな目でクレイグさんを見る。
「なんなら王都にもあるから、先にそっちを見といた方がいいかもしれないな。なあ、ケイン」
「そうだね。じゃあ、クレイグさんも一緒に王都まで行こうか。この人数なら海中遊覧船でも行けると思うけど、ガンツさん。補修はどんな感じ?」
俺達とマサオにエルフの視察団を合わせると十人ちょっとだからフェリーじゃなくてもいいかなとガンツさんに海中遊覧船が使えないかと聞いてみるとガンツさんが渋い顔になる。
「あれは、まだだ。もう少し待ってくれ」
「そうなんだ。じゃあ、いつも通りにフェリーだね」
「おう、そうなるな」
ガンツさんの返事を聞いてから、岸壁に停泊させているフェリーへと向かう。
「じゃあ、出港準備を手伝ってくれ」
「分かったよ。じゃあ、リーサさんは皆を中に案内してもらえるかな」
「ああ、任せてくれ。じゃあ、母も一緒に来てくれ。兄も早く乗ってくれ」
「分かったよ」
リーサさんに視察団の人達の乗船を手伝ってもらい、係留ロープをビットから外していたら、ジョシュアさんが嬉しそうな顔で側に立っているのに気付く。そして、その後ろにはどこかぐったりしているティーダさんとアルフさんがいた。
「ジョシュアさん、どうしたの? そんな所に立っていられたら邪魔なんだけど」
「ふふふ、これを見てもそんなことが言えるかい?」
「これ?」
「そう、これ!」
ジョシュアさんが誇らしげに『船舶免許二級』を俺に見せてくる。
「ああ、ライセンス取れたんだ。じゃあ、はい!」
「はいって……これは?」
「やっとライセンスが取れたってことは、次はコレを動かせるようにならないとダメでしょ。だから、まずは離岸の為の準備から覚えないとね。ってことで、出港準備を手伝って!」
「あ、ああ、分かった……」
「ティーダさん達も手伝ってよ。ジョシュアさんのことが終わったなら、今は暇でしょ」
「まあ、暇と言えば暇だが……」
「いいよ、手伝うよ。ほら、アルフも」
「ティーダ、後で後悔するぞ」
「何がだ? それより、王都に行くって言うじゃないか。面白そうな匂いがするだろ」
「面白いと思えるかどうかだけどな。はぁ~」
ティーダさん達にも手伝ってもらえたので出港準備はそれほ時間を掛けずに終わらせることが出来たので、ティーダさん達と一緒にフェリーに乗り込むとガンツさんに船内の通信機を使って、出港準備が終わったことを連絡するとガンツさんが返事代わりに汽笛を鳴らし静かに岸壁から離岸する。
「じゃあ、ジョシュアさん達は操舵室に向かってね」
「「「操舵室?」」」
「そう、ガンツさんがいるからさ」
「待て! ジョシュアは分かるが、なんで俺達まで行かなきゃ行けないんだ!」
「ティーダ、だから言っただろ。後悔するって」
「ん? アルフ、それはどういう意味だ?」
「操船のライセンスを持っているのは、ドワーフタウンにはジョシュアを入れて四人だ」
「そうだな。それがどうした?」
「じゃあ、この船を動かせるのは何人だ?」
「それはガンツ一人だろ」
「そうだな。今はガンツ一人だ。そして、ここにガンツ以外の三人がいて、その三人に対して操舵室に向かえとケインが言っている。ここまで言えば分かるだろ?」
「ん? ケイン、どういうことだ?」
「そういうことだよ。ティーダ、図られたんだ。ケインは俺達にこの船の教習もさせるつもりだ。そうだろ? ケイン」
「そうだよ、ごめんね。じゃあ、そういうことでよろしくね」
「俺達が反対することは出来るのか?」
「イヤなの?」
「イヤじゃないが……」
「じゃあ、約束したのは覚えている?」
「「約束?」」
「そう、『指導員が揃うまでは手伝う』って約束」
「確かにしたな。でも、それは船外機の指導員の話だろ?」
「いや、ティーダ。違う。俺達がした約束はケインの言うように『指導員が揃うまで』だ。どの船の指導員とは明確にしていない。やられたな」
「そんな~じゃあ、何か、今度は俺達がガンツから、この船の操船方法を習って、その後は俺達が指導教官として指導員を育てるってことなのか」
「当たり! よく分かったね。じゃあ、そういう訳で操舵室に向かってね」
「「「……」」」
「はい、急ぐ!」
「「「……」」」
ジョシュアさんにティーダさん、アルフさんが「チッ」と軽く舌打ちをしてから操舵室へと向かう。
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