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◆試食しました
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「あの……」
「……」
「オズワルド様?」
「……あ、すまない。で、どうした?」
「どうしたじゃなくてですね。なぜ、この場所にいるんでしょうか?」
「それか。今、言わないとダメか?」
王太子はそう言いながらも視線はテーブルの上のチョコレートに釘付けで、俺達の方を見ようともしない王太子の様子にデューク様も嘆息するしかなく、俺の方を見やると黙って頷く。これは王太子の目の前にあるチョコレートをどうにかするまでは話にならないということだろう。ならば、紹介しようじゃないか。王太子だけでなくアリー様やメイドさん達も興味津々という感じだ。
「では、説明する前にこちらを一つ召し上がって下さい」
「ん? どれでもいいんじゃないのか? 何か意味があるのか?」
王太子から質問されたので、先程のカカオの割合のことを再度、説明する。そして、勧めた皿はカカオの割合を一番高くした物で、七割ほど含まれていてとても苦い。だけど、抗酸化作用が高まるため、肌にはいいことを話す。そして、他の皿はカカオの割合を六割、五割、四割、三割と低くした物を並べていて、カカオの割合が低くなれば甘みが強くなることを話す。
そこまで話すと王太子はやっと俺の方を見るが、アリー様達女性陣は高カカオチョコレートの皿に釘付けだ。
「では、いただくとしよう」
王太子が高カカオチョコレートの皿から板チョコを分割して二センチメートル四方のサイズになった一つを摘まむと、そのまま口の中へと放り込む。そして、周りの人達は王太子の反応に注目している。
「ん……確かに甘くはない。甘くはないが、今まで食したことがない味だな。これで割合を変えると甘くなるのだな。どれ」
王太子はそう言うと、六割のチョコレートを摘まむと口に入れ、五割のチョコレートを口に入れ……三割のチョコレートを口に入れたところで「ふむ」と頷く。
「ケインが言うように確かに割合を抑えた方が甘くて美味しいな。いっそ、三割と七割だけでいいんじゃないのか。六割にした所で、余り甘くはならないし四割も同じようなもんだな」
「そうですか、分かりました。参考にさせてもらいます」
王太子は目新しい物が食べられたことでご機嫌な感じだが、口元にチョコレートが付いたままだ。なんで誰も言わないのかな? もしかして、指摘すると不敬罪とか言われたりするんだろうかとか考えていると、脇をチョンチョンと突かれる。なんだろうと思えば、アリー様が何か言いたげに見ていた。ああ、王太子が食べるまでは手を着けることも出来ないし、了解を得られないとダメとかあるのかなと、俺の方からご機嫌な王太子に確認を取ってみる。
「あの、他の人達にも確認してもらいたいのですが、よろしいですか?」
「ああ、これはすまない。遠慮せずに食すがいい」
王太子の言葉にまずはアリー様が高カカオチョコレートに手を伸ばす。デューク様も手を出そうとしたが、その手はメイドさん達に払われる。
「え? なんでだ?」
「旦那様、今は我慢です。下手に刺激しない方がよろしいかと……」
「セバス、そう言うが俺は一応、ここの主人なんだぞ」
「ええ。心得ております。ですが、アレには逆らわない方がいいかと」
「……ふぅまあ確かにそうだな」
俺が肌にいいと言ったばかりにアリー様だけでなく、側にいたメイドさん達が王太子がいるのにも関わらず高カカオチョコレートに集中してしまったのだ。俺は悪いことしたかなとデューク様の前に三割の甘いチョコレートの皿を差し出す。
「すまんな。どれ……うん、確かに今まで感じたことのない甘さだな。どれ、もう一つ……おい、どうして邪魔をする」
「止めといた方がいいですよ」
「勧めといて止めとけとはまた妙なことを言うな。何か意味があるのか?」
「はい。実は……」
デューク様がもう一つと手を伸ばした所で、俺が皿を引き寄せると怪訝そうな顔で質問してきたので、チョコレートの罠について話す。
「先程、肌にいいと言いましたが、限度というものがあります」
「まあ、そうだろうな。で、度を超すとどうなる?」
俺がそう言った瞬間に高カカオチョコレートに群がっていた女性陣の動きが止まったような気がするが構わずに話を続ける。
「お分かりと思いますが、このチョコレート自体甘みはありません。なので、それを補うためにたくさんの砂糖を使います」
「まあ、そうだろうな。それで?」
大量の砂糖という言葉にまた、女性陣の動きが止まる。俺は次も大事なことだと少し声を大きくして話す。
「そして、チョコレートの原料のカカオには脂が含まれています」
「脂か……要するに食べ過ぎると太ると。そう言いたいのか?」
「はい。それだけではなく、余分な脂は肌が荒れる原因にもなるので……ヒッ!」
「オッ!」
そこまで話した所で、アリー様を始め女性陣が俺を囲む様に立ち並び俺とデューク様を睨んでいた。王太子がいるの忘れていないよね。
「これだから、ケイン君は面白いよね」
「はい。その通りです」
王太子の言葉に頷くセバス様が見えた。
「……」
「オズワルド様?」
「……あ、すまない。で、どうした?」
「どうしたじゃなくてですね。なぜ、この場所にいるんでしょうか?」
「それか。今、言わないとダメか?」
王太子はそう言いながらも視線はテーブルの上のチョコレートに釘付けで、俺達の方を見ようともしない王太子の様子にデューク様も嘆息するしかなく、俺の方を見やると黙って頷く。これは王太子の目の前にあるチョコレートをどうにかするまでは話にならないということだろう。ならば、紹介しようじゃないか。王太子だけでなくアリー様やメイドさん達も興味津々という感じだ。
「では、説明する前にこちらを一つ召し上がって下さい」
「ん? どれでもいいんじゃないのか? 何か意味があるのか?」
王太子から質問されたので、先程のカカオの割合のことを再度、説明する。そして、勧めた皿はカカオの割合を一番高くした物で、七割ほど含まれていてとても苦い。だけど、抗酸化作用が高まるため、肌にはいいことを話す。そして、他の皿はカカオの割合を六割、五割、四割、三割と低くした物を並べていて、カカオの割合が低くなれば甘みが強くなることを話す。
そこまで話すと王太子はやっと俺の方を見るが、アリー様達女性陣は高カカオチョコレートの皿に釘付けだ。
「では、いただくとしよう」
王太子が高カカオチョコレートの皿から板チョコを分割して二センチメートル四方のサイズになった一つを摘まむと、そのまま口の中へと放り込む。そして、周りの人達は王太子の反応に注目している。
「ん……確かに甘くはない。甘くはないが、今まで食したことがない味だな。これで割合を変えると甘くなるのだな。どれ」
王太子はそう言うと、六割のチョコレートを摘まむと口に入れ、五割のチョコレートを口に入れ……三割のチョコレートを口に入れたところで「ふむ」と頷く。
「ケインが言うように確かに割合を抑えた方が甘くて美味しいな。いっそ、三割と七割だけでいいんじゃないのか。六割にした所で、余り甘くはならないし四割も同じようなもんだな」
「そうですか、分かりました。参考にさせてもらいます」
王太子は目新しい物が食べられたことでご機嫌な感じだが、口元にチョコレートが付いたままだ。なんで誰も言わないのかな? もしかして、指摘すると不敬罪とか言われたりするんだろうかとか考えていると、脇をチョンチョンと突かれる。なんだろうと思えば、アリー様が何か言いたげに見ていた。ああ、王太子が食べるまでは手を着けることも出来ないし、了解を得られないとダメとかあるのかなと、俺の方からご機嫌な王太子に確認を取ってみる。
「あの、他の人達にも確認してもらいたいのですが、よろしいですか?」
「ああ、これはすまない。遠慮せずに食すがいい」
王太子の言葉にまずはアリー様が高カカオチョコレートに手を伸ばす。デューク様も手を出そうとしたが、その手はメイドさん達に払われる。
「え? なんでだ?」
「旦那様、今は我慢です。下手に刺激しない方がよろしいかと……」
「セバス、そう言うが俺は一応、ここの主人なんだぞ」
「ええ。心得ております。ですが、アレには逆らわない方がいいかと」
「……ふぅまあ確かにそうだな」
俺が肌にいいと言ったばかりにアリー様だけでなく、側にいたメイドさん達が王太子がいるのにも関わらず高カカオチョコレートに集中してしまったのだ。俺は悪いことしたかなとデューク様の前に三割の甘いチョコレートの皿を差し出す。
「すまんな。どれ……うん、確かに今まで感じたことのない甘さだな。どれ、もう一つ……おい、どうして邪魔をする」
「止めといた方がいいですよ」
「勧めといて止めとけとはまた妙なことを言うな。何か意味があるのか?」
「はい。実は……」
デューク様がもう一つと手を伸ばした所で、俺が皿を引き寄せると怪訝そうな顔で質問してきたので、チョコレートの罠について話す。
「先程、肌にいいと言いましたが、限度というものがあります」
「まあ、そうだろうな。で、度を超すとどうなる?」
俺がそう言った瞬間に高カカオチョコレートに群がっていた女性陣の動きが止まったような気がするが構わずに話を続ける。
「お分かりと思いますが、このチョコレート自体甘みはありません。なので、それを補うためにたくさんの砂糖を使います」
「まあ、そうだろうな。それで?」
大量の砂糖という言葉にまた、女性陣の動きが止まる。俺は次も大事なことだと少し声を大きくして話す。
「そして、チョコレートの原料のカカオには脂が含まれています」
「脂か……要するに食べ過ぎると太ると。そう言いたいのか?」
「はい。それだけではなく、余分な脂は肌が荒れる原因にもなるので……ヒッ!」
「オッ!」
そこまで話した所で、アリー様を始め女性陣が俺を囲む様に立ち並び俺とデューク様を睨んでいた。王太子がいるの忘れていないよね。
「これだから、ケイン君は面白いよね」
「はい。その通りです」
王太子の言葉に頷くセバス様が見えた。
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