転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!

ももがぶ

文字の大きさ
422 / 468
連載

◆説明し終わりました

しおりを挟む
テーブルの上に出された紅白饅頭に気付いた王太子がスッと手を伸ばしうっすら赤い方の饅頭を手に取る。

「殿下……」
「まあ、よいではないか。別に毒になるような物は入っていないのだろう。それにもし何かあったとしてもケインが対処してくれるだろうさ。なあ?」
「ええ、まあ……」
「ふふふ、じゃあ頂いてみるか……」

王太子は新入生に用意された紅白饅頭の赤い方を手に取ると先ずはそれの臭いを確認する。

「ふむ、臭いはそれほど強くはないが……う~ん、嗅いだことがない臭いだな」

そう言うと今度は饅頭を両手で持ち、二つに分ける。

「おや? この黒いのはなんだ?」
「それは餡子です。白い方は白餡ですね」
「ほう、ならば先ずは味見だな」

そう言うなり、二つに分けた方の右手に持っている饅頭を口に含む。

「おお! これは甘いな。今まで食したことがない甘さだ。それに甘いと言ってもしつこさも感じない。新しい甘味だな。そして、白い方はまた違う餡だと言っていたな」

王太子は俺が返事をする前に右手に持っていた食べかけの饅頭と左手に持っていた半分の饅頭を紙箱に戻すと白い饅頭を手に取り、同じ様に半分に割り中身を確認する。

「ふむ、本当に白いんだな。では、味はどう違うのか……」

俺が説明する前に右手に持つ半分をパクッと咥える。

「これは……甘い。甘いが、さっきのとはまた違うな。どれ」

王太子は左手の半分を紙箱に戻すと食べかけの赤い饅頭を左手で持ち、パクッと口の中に放り込む。

「うん。確かに違う甘さだ。だが、好みとしてはこちらの黒い方が私は好きかな」
「ケイン、悪いが説明してもらえるか」
「はい、分かりました」

俺は改めてインベントリから紅白饅頭が入った紙箱を取り出すとデューク様とセバス様に渡す。

「先ずは食べてみて下さい」
「そうだな……」
「では、私も頂きます」

デューク様とセバス様がほぼ同時に赤い方の饅頭を手に取り一口囓る。

「これは……」
「私は好きですね」

デューク様は少し驚いた感じだが、セバス様の好みにはあったようでほくほくとした様子で一つをすぐに食べ終わる。

「セバス様、饅頭には緑茶が合いますよ。はい」
「ほう、そうですか。では、ありがたく」

セバス様には急須で煎れた煎茶を湯呑みに注ぎ渡す。

「ふぅ~確かによく合いますね。というか落ち着く味です。あの餡子の甘みをス~ッと消してくれる渋みですね」
「ケイン、俺にもそれをくれ」
「いいですよ」

王太子とデューク様にも煎茶を用意し前に出す。

「ふむ、確かにセバスの言う通りだな」
「ケインよ。そろそろ種明かしというか、何が元になったのか材料を教えてくれないか」
「分かりました」

デューク様は煎茶について気に入ったようで満足そうだ。そして、王太子は材料が知りたいとのことなので饅頭の材料はパンと対して変わらないこと、餡子に付いてはそれぞれの材料を説明する。

「なるほど、小豆とインゲン豆か」
「ええ。手間は掛かりますが美味しいですよね」
「そうだな。それで頼みがあるのだが……」
「ええ、いいですよ。是非、お土産にお持ち下さい」
「催促したようで悪いな」

インベントリから紅白饅頭が入った箱を十箱ほどテーブルの上に並べる。すると王太子のお付きの人がササッと丁寧な動作で、いつ用意したのか分からないお盆の上に並べると、邪魔にならない位置に置く。

「ケイン、悪いがウチにも頼めるか?」
「分かりました」

デューク様にお願いされ同じ様にインベントリから紅白饅頭が入った紙箱を十箱取り出しテーブルの上に置くと、今度はセバス様が側に仕えるメイドさんに渡す。

「これで説明は全部終わりですよね?」
「あ~まあな。終わりと言えば終わりだが……」

俺の確認に対しデューク様の返事の歯切れが悪い。

「デュークの疑問も解消されたことだし、これで今日の予定は終わりだな。では、ケイン。よろしく頼むぞ」
「分かりました。ガンツさん、いいかな?」
「ああ、ちょっと待ってろ。今、確認するから」

ガンツさんは携帯電話を取り出すと誰かに連絡する。どうやら港で実習中のティーダさんに確認しているようだ。

「ケイン、問題ない。今ならこっちの港に停泊中だ」
「分かった。じゃあ、どうやって……」
「どうやってって、そりゃ……ね?」

ここからどうやって港まで行くのかと王太子に尋ねると王太子はデューク様に目配せすると、デューク様は何を言われているのか理解したようで「分かりました」と短く答えると、今度はセバス様に対し目で合図する。そして、それを理解したセバス様は俺に対し王都の屋敷へと転移ゲートを繋いで欲しいとお願いしてきた。

「では、繋ぎますね。デューク様達は校庭でお待ち下さい」
「ああ、分かった。では、王太子殿下」
「分かった」

転移ゲートを王都のデューク様の屋敷に繋ぐとセバス様と一緒に転移ゲートを潜ると駐車場へと進む。

「ダンはいますか?」
「はい。お呼びですか?」
「今から、公用車を使いますので、運転をお願いします」
「分かりました。おや、ケイン君、久しぶりだね。で、ケイン君が一緒にいると言うことは……」
「余計な詮索はいいですから、早く車を用意して下さい」
「分かりました」

ダンさんが公用車へと乗り込み、俺達の前に現れたので、今度は学校の校庭へと転移ゲートを車が通れるほどの大きさに広げて繋ぐ。
しおりを挟む
感想 254

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。