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高校生編
18 願いの代償
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「38.2℃」
ベッドに横になりながら千夜子は計り終わった体温計を脇の下から取り出すと、体温を確認し、がっくりと項垂れた。
「どーりで朝から身体がダルいと思った……」
◆
朝、いつものように千夜子が起きて朝の支度をしていると、何だか身体が熱くて、少しだけ頭もくらくらするような気がした。
それでも制服に着替えると、朝食を食べるために一階へと降りて、出勤前の両親に朝の挨拶をした。
そこにはいつもいるはずの晃の姿がなかった。
「お母さん、お兄ちゃんは……? 」
ぼんやりと千夜子が尋ねると、支度を終えた多江がコーヒーを飲みながら千夜子の質問に答えた。
「もう学校に行くって言って出掛けたわよ。何か今日は早く行ってやることがあるみたい」
「そう、なんだ……」
多江の言葉に千夜子は直感的に『嘘だ』と思った。
土曜日のあのことがあってから、千夜子は日曜日ひたすら部屋に籠って晃を避けていた。
今朝もどんな顔して晃と話せば良いのか分からずに取りあえず下に降りてきたが、まさか晃の方から千夜子を避けるように、先に家を出るとは思わなかった。
晃に避けられたことで千夜子は何故かショックを受けていた。
あんな理不尽な暴力を受けて、千夜子が晃に対して怒るのは当たり前で。
あの後で晃も謝ってきたものの、翌日は千夜子の部屋にいつものように勝手に入ってくることもなかった。
距離を置いたのは千夜子の方なのに。
それでも、千夜子は晃に置いていかれたことが寂しくて悲しかった。
(頭、ぼーっとしてきたかも……)
「あら、ちゃこ? あんた顔が赤いわよ? もしかして熱ある? 」
具合の悪そうな千夜子に気が付いた多江が千夜子のおでこに手を当てた。
「……何か熱いわね……。ちゃこ、今日は学校休んで家で寝てなさい。 風邪症状はある? 」
「頭が痛いかも……」
「よし、医者行こう。大和さん、私午前中ちゃこを医者に連れて行ってから仕事に行くね」
「分かった。何なら休んでもいいよ。ちゃこちゃん一人じゃ何かと大変だろうし」
「それはちゃこの具合見てから決めるわね。今日午後から口腔外科の日で忙しいでしょ? 」
「私なら大丈夫だよ。風邪だったらお母さんの言う通りひたすら寝て休んでるから。そんなに動けないって程じゃないし……」
忙しい両親の手を患わせることが憚られ、千夜子は一人で大丈夫だということをアピールした。
取りあえず、多江は学校に休みの連絡を入れると、混み始める前に早々に千夜子を医者へと連れて行った。
診断の結果はやはり風邪とのことで、いくつか検査もしたが、どれも感染系のものは陰性だった。
医者から風邪用の薬を処方して貰い、多江と千夜子は家へと戻った。
千夜子は帰ってきて直ぐに、医者から言われた通り処方された薬を飲んだ。すると抗生剤が効いたのか、数十分後には大分症状が軽くなってきた。
千夜子は自分を心配して家に残っている多江に向かって、
「自分は大丈夫だから仕事に行って良いよ」
と告げた。
多江は比較的元気そうな千夜子の様子に安堵しながら、優しい娘の気遣いを甘んじて受けることにした。
「絶対何かあったら連絡してよ。飛んで帰ってくるから」
「分かってるってば」
千夜子は多江を玄関先迄見送ると、気だるい身体を引きずるように、自身の部屋のベッドに横になって休んだ。
◇
千夜子は体温計を眺めながら、熱が出た原因を考えた。
「お兄ちゃんのせいだ……」
それしかなかった。突然千夜子を浴室へと連れ込み、頭からシャワーをぶっかけ、服のまま全身びしゃびしゃにさせられたのだ。
「お兄ちゃんの馬鹿……」
千夜子は思い出し、また腹が立ってきたが、薬が効いてきたのかウトウトと眠くなってきて、そのままねむりに落ちた。
* * *
ガチャリと、玄関の扉が開く音が聞こえ、千夜子がぼんやりと目を覚ました。
部屋着が汗でぐっしょりと濡れていた。
「気持ち悪い。でも、お陰で熱が下がったかも……。少しだけ身体が楽になったような……」
そう言うと千夜子は、身体を拭き着替えを行うと、汗で濡れた着替えを洗濯に出そうと、洗濯機のある一階の脱衣所へと向かった。
先程玄関を開ける音が聞こえたが、結局千夜子を心配して多江が戻ってきたのだと思い、千夜子は申し訳ない気持ちで下にいるであろう多江に階段を降りながら声を掛けた。
「お母さん、仕事は大丈夫……」
階段から降りながら多江のつもりで下にいる人物に声を掛けた千夜子だったが、そこにいたのは千夜子の姿に驚いた様子の晃と、晃と同じ制服を着た眼鏡をかけた真面目そうな雰囲気の女性の二人だった。
「え? 何で、お兄ちゃんが? 」
「何で千夜子が家に居るんだ? 」
千夜子と晃が其々に戸惑いの声を上げる。
先に気が付いたのは晃だった。
「こんな時間に部屋着で家にいるなんて、お前もしかして具合が悪いのか? 」
「あ、う、うん。ちょっと朝から熱っぽくて。でもさっきお母さんとお医者さん行ってきて、ただの風邪だって言われて、お薬貰って帰ってきたの。お薬飲んで寝たら汗かいてて、熱もなくなったみたい」
晃の言葉に千夜子は一気に捲し立てるように簡単に経緯を述べた。
「そうか……」
流石に自分のせいだと気付いたのか、晃が俯きながら千夜子の言葉を受け止めていた。
「藤森君の妹さん……?」
二人の気まずい雰囲気を掻き消すように晃の隣に佇む女性が、好奇心いっぱいの眼差しで千夜子に目を向けていた。
「は、はい。千夜子と言います。初めまして……。あの、こんな姿ですみません」
千夜子が何となく申し訳無さそうに女性に向かって頭を下げた。
「そんな、具合が悪いんだから仕方ないというか、と言うか、自分の家にいるんだからどんな格好してても問題ないし! 」
病人に気を遣わせたことに、女性は慌ててフォローするように捲し立てた。
(何か、いい女性だな……)
千夜子は目の前で必死な様子で話す女性をまじまじと観察した。
黒髪をきっちりと後ろ手三つ編みに結び、真面目さを一層引き立てる細い黒ぶちの眼鏡。
晃の横に並んでいる背丈から、身長は160cmも無さそうだが、細身の身体とスラリとした手足が見た目よりも背が高いように感じさせる。
正直なところ、派手で目立つ晃といるようなタイプの女性ではないなと千夜子は思ったが、でもそれが尚更リアルに晃に『選ばれた女性』のように感じた。
ズキン――
ふと、胸の痛みを感じ千夜子の笑顔が僅かに曇る。
午前中から学校をさぼって自宅に女を連れ込む晃に、千夜子は内心激しいショックを受けていた。
千夜子がこの家に来てから三年間のうちで初めてのことだった。
元々晃は女性に対して一定の距離を保つように接していたし、晃の一線を越えてくるような女性は片っ端から容赦なく排除していた。
(どうして今……? )
今更になって、千夜子は勝手に晃を知ったつもりでいた自分が恥ずかしく思えた。
晃の心の傷を癒せるのは自分しかいないと勝手に思い込んでいた。
当たり前だが、年齢も通う高校も違う晃には千夜子の知らない所で色々な出来事があり、色々な人間と関わっているのだ。
目の前の二人がどんな経緯でここまでに至ったのか。あの女嫌いの晃が初めて自宅に学校をサボってまで連れてきた女性。
『早くお兄ちゃんの全てを愛して優しく包んでくれる女性が現れるといい――』
確かに千夜子はそう願っていた。
しかし、何故こんなにも心がざわつき、喜ばしいと思えないのか。
「あー……と、じゃあ私、着替え洗濯機に入れたらまた部屋で休んでるから……」
そう言うと千夜子は、脱衣所へと駆け込むようにそそくさと二人の脇を通り過ぎた。
通り過ぎる瞬間、晃が千夜子の腕をぱっと掴んだ。
「え? 」
「……顔色が悪い」
千夜子の顔を覗き見するように晃が心配そうに声を掛けてきた。
(止めて……)
ズキン、と再び千夜子の胸に痛みが走る。
(急に優しくしないで……。この間みたいに、いっそ冷たくされた方がまだいい……)
「だ、大丈夫だってば。洗濯置いたらまた横になるし……。ほ、ほらお客さん待たせているの失礼だよ。私に構わず、二人で楽しんで……っ」
そう言うと千夜子は晃の腕を振り払い、晃から逃げるように脱衣所へと駆け込んだ。
ベッドに横になりながら千夜子は計り終わった体温計を脇の下から取り出すと、体温を確認し、がっくりと項垂れた。
「どーりで朝から身体がダルいと思った……」
◆
朝、いつものように千夜子が起きて朝の支度をしていると、何だか身体が熱くて、少しだけ頭もくらくらするような気がした。
それでも制服に着替えると、朝食を食べるために一階へと降りて、出勤前の両親に朝の挨拶をした。
そこにはいつもいるはずの晃の姿がなかった。
「お母さん、お兄ちゃんは……? 」
ぼんやりと千夜子が尋ねると、支度を終えた多江がコーヒーを飲みながら千夜子の質問に答えた。
「もう学校に行くって言って出掛けたわよ。何か今日は早く行ってやることがあるみたい」
「そう、なんだ……」
多江の言葉に千夜子は直感的に『嘘だ』と思った。
土曜日のあのことがあってから、千夜子は日曜日ひたすら部屋に籠って晃を避けていた。
今朝もどんな顔して晃と話せば良いのか分からずに取りあえず下に降りてきたが、まさか晃の方から千夜子を避けるように、先に家を出るとは思わなかった。
晃に避けられたことで千夜子は何故かショックを受けていた。
あんな理不尽な暴力を受けて、千夜子が晃に対して怒るのは当たり前で。
あの後で晃も謝ってきたものの、翌日は千夜子の部屋にいつものように勝手に入ってくることもなかった。
距離を置いたのは千夜子の方なのに。
それでも、千夜子は晃に置いていかれたことが寂しくて悲しかった。
(頭、ぼーっとしてきたかも……)
「あら、ちゃこ? あんた顔が赤いわよ? もしかして熱ある? 」
具合の悪そうな千夜子に気が付いた多江が千夜子のおでこに手を当てた。
「……何か熱いわね……。ちゃこ、今日は学校休んで家で寝てなさい。 風邪症状はある? 」
「頭が痛いかも……」
「よし、医者行こう。大和さん、私午前中ちゃこを医者に連れて行ってから仕事に行くね」
「分かった。何なら休んでもいいよ。ちゃこちゃん一人じゃ何かと大変だろうし」
「それはちゃこの具合見てから決めるわね。今日午後から口腔外科の日で忙しいでしょ? 」
「私なら大丈夫だよ。風邪だったらお母さんの言う通りひたすら寝て休んでるから。そんなに動けないって程じゃないし……」
忙しい両親の手を患わせることが憚られ、千夜子は一人で大丈夫だということをアピールした。
取りあえず、多江は学校に休みの連絡を入れると、混み始める前に早々に千夜子を医者へと連れて行った。
診断の結果はやはり風邪とのことで、いくつか検査もしたが、どれも感染系のものは陰性だった。
医者から風邪用の薬を処方して貰い、多江と千夜子は家へと戻った。
千夜子は帰ってきて直ぐに、医者から言われた通り処方された薬を飲んだ。すると抗生剤が効いたのか、数十分後には大分症状が軽くなってきた。
千夜子は自分を心配して家に残っている多江に向かって、
「自分は大丈夫だから仕事に行って良いよ」
と告げた。
多江は比較的元気そうな千夜子の様子に安堵しながら、優しい娘の気遣いを甘んじて受けることにした。
「絶対何かあったら連絡してよ。飛んで帰ってくるから」
「分かってるってば」
千夜子は多江を玄関先迄見送ると、気だるい身体を引きずるように、自身の部屋のベッドに横になって休んだ。
◇
千夜子は体温計を眺めながら、熱が出た原因を考えた。
「お兄ちゃんのせいだ……」
それしかなかった。突然千夜子を浴室へと連れ込み、頭からシャワーをぶっかけ、服のまま全身びしゃびしゃにさせられたのだ。
「お兄ちゃんの馬鹿……」
千夜子は思い出し、また腹が立ってきたが、薬が効いてきたのかウトウトと眠くなってきて、そのままねむりに落ちた。
* * *
ガチャリと、玄関の扉が開く音が聞こえ、千夜子がぼんやりと目を覚ました。
部屋着が汗でぐっしょりと濡れていた。
「気持ち悪い。でも、お陰で熱が下がったかも……。少しだけ身体が楽になったような……」
そう言うと千夜子は、身体を拭き着替えを行うと、汗で濡れた着替えを洗濯に出そうと、洗濯機のある一階の脱衣所へと向かった。
先程玄関を開ける音が聞こえたが、結局千夜子を心配して多江が戻ってきたのだと思い、千夜子は申し訳ない気持ちで下にいるであろう多江に階段を降りながら声を掛けた。
「お母さん、仕事は大丈夫……」
階段から降りながら多江のつもりで下にいる人物に声を掛けた千夜子だったが、そこにいたのは千夜子の姿に驚いた様子の晃と、晃と同じ制服を着た眼鏡をかけた真面目そうな雰囲気の女性の二人だった。
「え? 何で、お兄ちゃんが? 」
「何で千夜子が家に居るんだ? 」
千夜子と晃が其々に戸惑いの声を上げる。
先に気が付いたのは晃だった。
「こんな時間に部屋着で家にいるなんて、お前もしかして具合が悪いのか? 」
「あ、う、うん。ちょっと朝から熱っぽくて。でもさっきお母さんとお医者さん行ってきて、ただの風邪だって言われて、お薬貰って帰ってきたの。お薬飲んで寝たら汗かいてて、熱もなくなったみたい」
晃の言葉に千夜子は一気に捲し立てるように簡単に経緯を述べた。
「そうか……」
流石に自分のせいだと気付いたのか、晃が俯きながら千夜子の言葉を受け止めていた。
「藤森君の妹さん……?」
二人の気まずい雰囲気を掻き消すように晃の隣に佇む女性が、好奇心いっぱいの眼差しで千夜子に目を向けていた。
「は、はい。千夜子と言います。初めまして……。あの、こんな姿ですみません」
千夜子が何となく申し訳無さそうに女性に向かって頭を下げた。
「そんな、具合が悪いんだから仕方ないというか、と言うか、自分の家にいるんだからどんな格好してても問題ないし! 」
病人に気を遣わせたことに、女性は慌ててフォローするように捲し立てた。
(何か、いい女性だな……)
千夜子は目の前で必死な様子で話す女性をまじまじと観察した。
黒髪をきっちりと後ろ手三つ編みに結び、真面目さを一層引き立てる細い黒ぶちの眼鏡。
晃の横に並んでいる背丈から、身長は160cmも無さそうだが、細身の身体とスラリとした手足が見た目よりも背が高いように感じさせる。
正直なところ、派手で目立つ晃といるようなタイプの女性ではないなと千夜子は思ったが、でもそれが尚更リアルに晃に『選ばれた女性』のように感じた。
ズキン――
ふと、胸の痛みを感じ千夜子の笑顔が僅かに曇る。
午前中から学校をさぼって自宅に女を連れ込む晃に、千夜子は内心激しいショックを受けていた。
千夜子がこの家に来てから三年間のうちで初めてのことだった。
元々晃は女性に対して一定の距離を保つように接していたし、晃の一線を越えてくるような女性は片っ端から容赦なく排除していた。
(どうして今……? )
今更になって、千夜子は勝手に晃を知ったつもりでいた自分が恥ずかしく思えた。
晃の心の傷を癒せるのは自分しかいないと勝手に思い込んでいた。
当たり前だが、年齢も通う高校も違う晃には千夜子の知らない所で色々な出来事があり、色々な人間と関わっているのだ。
目の前の二人がどんな経緯でここまでに至ったのか。あの女嫌いの晃が初めて自宅に学校をサボってまで連れてきた女性。
『早くお兄ちゃんの全てを愛して優しく包んでくれる女性が現れるといい――』
確かに千夜子はそう願っていた。
しかし、何故こんなにも心がざわつき、喜ばしいと思えないのか。
「あー……と、じゃあ私、着替え洗濯機に入れたらまた部屋で休んでるから……」
そう言うと千夜子は、脱衣所へと駆け込むようにそそくさと二人の脇を通り過ぎた。
通り過ぎる瞬間、晃が千夜子の腕をぱっと掴んだ。
「え? 」
「……顔色が悪い」
千夜子の顔を覗き見するように晃が心配そうに声を掛けてきた。
(止めて……)
ズキン、と再び千夜子の胸に痛みが走る。
(急に優しくしないで……。この間みたいに、いっそ冷たくされた方がまだいい……)
「だ、大丈夫だってば。洗濯置いたらまた横になるし……。ほ、ほらお客さん待たせているの失礼だよ。私に構わず、二人で楽しんで……っ」
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