5 / 9
【5】懐いた理由
しおりを挟む
それから叶多は度々灯里のアパートに顔を出すようになった。
疲れた彼女を労うように、さりげなく部屋を片付け、料理を作る。
灯里は申し訳ないと思いつつも、彼の好意に甘えた。
しかし、肝心なことを灯里は口に出せないでいた。
――どうして、彼はこんなにも自分に尽くしてくれるのか。
叶多が来る度に聞こうと思うが、宏哉から受けた失恋の傷が未だに灯里を蝕み、新しい恋愛に進もうとする気持ちの妨げとなっていた。
元来、人に奉仕する気持ちの強い叶多が、失恋して元気のない灯里を放って置けないからなのか。
単純に家事が好きで、だらしない灯里に世話好きの血が騒ぐのか。
それとも、純粋に灯里に好意を寄せているからなのか。
一番最後の答えであって欲しいが、それ以外の理由だとしたら、立ち直れない。
灯里はシャワーを浴びながら一人悶々と考えを巡らせていた。
「――うん! いつまでも叶多君に甘えている訳にもいかないし、この際、はっきりさせよう! 」
灯里は心に決めると、キュッとシャワーの蛇口を強く締めた。
「砂原さん、ご飯の準備が出来ましたよ」
灯里がシャワーを終えて出てくると同時に、待ってましたと、言わんばかりに叶多が声を掛ける。
今日もダイニングテーブルには盛り沢山の料理が並べられていた。
「わぁ、美味しそう! 」
ぐぅ、と反射的に灯里のお腹が鳴る。
(はっ、違う違う! まずは彼の気持ちを聞かないと)
灯里はご飯に釣られそうな思考をかき消すように、頭をぶんぶんと振った。
「あ、砂原さん。髪の毛まだ濡れてるじゃないですか」
灯里の髪から飛び散る水滴を見て、叶多が灯里の元へと近付いた。
「夏の暑さも落ち着いてきて、夜は冷えます。このままだと風邪引いちゃいますよ」
灯里が無造作に乗せていたタオルを手にすると、叶多が優しく灯里の濡れた髪の毛をタオルドライするように、ポンポンと拭き取っていく。
その行動に、灯里の心臓がきゅうと甘く締め付けられる。
(これで、まだ付き合っていないってどういうこと? )
灯里は困ったように上目遣いで、じっと叶多を見つめた。
灯里の視線に気付き、叶多がハッとしたように手を止める。
「あ、す、すみません。図々しかったですか!? 」
「う、ううん! 全然! 」
自分の行動に照れる叶多に釣られて、灯里も顔を真っ赤に染める。
「ご、ご飯! ご飯食べようか! 」
「は、はい! 」
結局灯里は叶多に何も聞けないまま、もう何度目かになる彼の手料理を堪能するのだった。
◇
「もう何も食べられない……」
食後。
幸福に、心もお腹も満たされた灯里は、ソファーに身体を預けながら、チラリと台所に視線を向けた。
台所では、空になった食器を満足そうに洗う叶多の姿が見えた。
灯里は大きめのクッションを腕に抱き、顔を隠すようにして、こっそりと叶多を観察した。
灯里のアパートで家事をこなす叶多は、とても生き生きとしていた。
病院でも一生懸命働いている姿は目にするが、普段は眼鏡とマスクで素顔を隠し、あまり職員とは余計な話をしない彼の姿を思い浮かべる。
(どうしてこんなに、私に懐いたのだろう……)
「ねえ、叶多君。聞いてもいい? 」
「はい、なんでしょうか? 」
灯里の声掛けに、叶多は水道の蛇口を締めると洗い物の手を止めた。
「叶多君は、どうして私にだけそんなに素顔を見せてくれるの? 」
はっきりと恋愛に直結する内容は聞けないものの、灯里は疑問を口にした。
「え? あっ、そ、それはですね……」
突然ストレートな質問を投げ掛ける灯里に、叶多は狼狽えながらも、汚れた手を拭き、ソファーに座る灯里の側までやって来ると、灯里の目の前にストンと正座の姿勢で腰を下ろした。
灯里を見上げる形で、叶多は真正面から視線を合わせた。
「俺がまだ介護経験も浅い頃、302号室の鈴木さんが、皆が帰り始める17時半前に熱を出したの覚えていますか? 」
「え? そんなこと、あったっけ? 」
「今から1年ほど前の話なので覚えてないとは思いますけど、夜勤の看護さんは夜勤業務が始まってて忙しそうで、声を掛けるのを躊躇っている俺に、砂原さんが声を掛けてくれたんです」
◆◆◆
「どうしたの? 」
「あ、302号室の鈴木さんを起こしに行こうとしたら、なんだか身体が熱いみたいで……」
「熱は計った? 」
「あ、はい。 38度2分あります」
「風邪症状は? 」
「ありません。あ、でも夕方のオムツ交換に入った時に少し、パッドに出ていた尿が濁っていました。尿臭もありました」
「それ、今日の部屋担当の看護さんに伝えた? 」
「あ、はい。伝えたんですけど、特になにも言われませんでした……すみません。俺がもっとちゃんと伝えられてれば良かったのかもしれません……」
しゅんと項垂れる叶多の肩をポンと灯里が優しく叩いた。
「そんなことないよ。入職して、まだ現場経験も浅いのに、よくそこまで観察して報告出来たね。すごいよ、宇佐美君。あとは私に任せて、宇佐美君はもう定時だから上がっていいよ」
「え、いや、俺も何か手伝えることあれば残ります」
「ううん、大丈夫。多分症状からして、尿路感染だと思うし、先生に報告して、点滴の指示もらうことになると思うから、あとは看護の仕事。鈴木さんね、前も似たような症状出たことあるんだ。だから多分間違いないかな」
「やっぱりすごいね」と、灯里が叶多に賛辞の笑顔を向けた。
新人介護の言葉を疑うことも、面倒臭がることもなく、素直に受け取ってくれた看護師は灯里が初めてだった。
その時から、叶多の中で灯里は“特別”で、最も尊敬する看護師となったのだった。
◇
「――と言うわけで、俺にとって砂原さんは尊敬する看護師さんであり、ちゃんと新人の訴えも真摯に受け止めてくれる、憧れの先輩なんです」
「あはは、なんだか恥ずかしいなぁ……。そんなの、看護として当たり前のことなのに」
「その当たり前が出来る人が、その時は砂原さんしかいなかったんです。みんな帰る前だったし、要領の悪い新人介護の訴えなんて、まともに取り合ってくれなかった」
思い出したように、叶多は悔しそうに膝の前に置いた拳をギュッと握り締めた。
「その時から……俺は、もし砂原さんに何か困ったことがあったら絶対に、あの時の恩返しではないけど、助けたいって強く思ったんです」
「うん、そっか。はは……」
叶多が強い決意を込めた瞳で灯里を見上げる。
灯里は叶多の真意が分かって、ホッとすると同時に、気持ちが沈んでいた。
(なぁんだ、やっぱり、恋愛感情じゃなかったか……)
『恩返しをしたいから』『尊敬する先輩だから』とはっきりと叶多の気持ちを聞いた灯里は、既に動き始めていた自分の気持ちにストップをかけた。
「……もう、十分恩返しされたよ?」
そう言って、灯里がこの関係を終わらせようと口を開いたその時――。
ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴った。
疲れた彼女を労うように、さりげなく部屋を片付け、料理を作る。
灯里は申し訳ないと思いつつも、彼の好意に甘えた。
しかし、肝心なことを灯里は口に出せないでいた。
――どうして、彼はこんなにも自分に尽くしてくれるのか。
叶多が来る度に聞こうと思うが、宏哉から受けた失恋の傷が未だに灯里を蝕み、新しい恋愛に進もうとする気持ちの妨げとなっていた。
元来、人に奉仕する気持ちの強い叶多が、失恋して元気のない灯里を放って置けないからなのか。
単純に家事が好きで、だらしない灯里に世話好きの血が騒ぐのか。
それとも、純粋に灯里に好意を寄せているからなのか。
一番最後の答えであって欲しいが、それ以外の理由だとしたら、立ち直れない。
灯里はシャワーを浴びながら一人悶々と考えを巡らせていた。
「――うん! いつまでも叶多君に甘えている訳にもいかないし、この際、はっきりさせよう! 」
灯里は心に決めると、キュッとシャワーの蛇口を強く締めた。
「砂原さん、ご飯の準備が出来ましたよ」
灯里がシャワーを終えて出てくると同時に、待ってましたと、言わんばかりに叶多が声を掛ける。
今日もダイニングテーブルには盛り沢山の料理が並べられていた。
「わぁ、美味しそう! 」
ぐぅ、と反射的に灯里のお腹が鳴る。
(はっ、違う違う! まずは彼の気持ちを聞かないと)
灯里はご飯に釣られそうな思考をかき消すように、頭をぶんぶんと振った。
「あ、砂原さん。髪の毛まだ濡れてるじゃないですか」
灯里の髪から飛び散る水滴を見て、叶多が灯里の元へと近付いた。
「夏の暑さも落ち着いてきて、夜は冷えます。このままだと風邪引いちゃいますよ」
灯里が無造作に乗せていたタオルを手にすると、叶多が優しく灯里の濡れた髪の毛をタオルドライするように、ポンポンと拭き取っていく。
その行動に、灯里の心臓がきゅうと甘く締め付けられる。
(これで、まだ付き合っていないってどういうこと? )
灯里は困ったように上目遣いで、じっと叶多を見つめた。
灯里の視線に気付き、叶多がハッとしたように手を止める。
「あ、す、すみません。図々しかったですか!? 」
「う、ううん! 全然! 」
自分の行動に照れる叶多に釣られて、灯里も顔を真っ赤に染める。
「ご、ご飯! ご飯食べようか! 」
「は、はい! 」
結局灯里は叶多に何も聞けないまま、もう何度目かになる彼の手料理を堪能するのだった。
◇
「もう何も食べられない……」
食後。
幸福に、心もお腹も満たされた灯里は、ソファーに身体を預けながら、チラリと台所に視線を向けた。
台所では、空になった食器を満足そうに洗う叶多の姿が見えた。
灯里は大きめのクッションを腕に抱き、顔を隠すようにして、こっそりと叶多を観察した。
灯里のアパートで家事をこなす叶多は、とても生き生きとしていた。
病院でも一生懸命働いている姿は目にするが、普段は眼鏡とマスクで素顔を隠し、あまり職員とは余計な話をしない彼の姿を思い浮かべる。
(どうしてこんなに、私に懐いたのだろう……)
「ねえ、叶多君。聞いてもいい? 」
「はい、なんでしょうか? 」
灯里の声掛けに、叶多は水道の蛇口を締めると洗い物の手を止めた。
「叶多君は、どうして私にだけそんなに素顔を見せてくれるの? 」
はっきりと恋愛に直結する内容は聞けないものの、灯里は疑問を口にした。
「え? あっ、そ、それはですね……」
突然ストレートな質問を投げ掛ける灯里に、叶多は狼狽えながらも、汚れた手を拭き、ソファーに座る灯里の側までやって来ると、灯里の目の前にストンと正座の姿勢で腰を下ろした。
灯里を見上げる形で、叶多は真正面から視線を合わせた。
「俺がまだ介護経験も浅い頃、302号室の鈴木さんが、皆が帰り始める17時半前に熱を出したの覚えていますか? 」
「え? そんなこと、あったっけ? 」
「今から1年ほど前の話なので覚えてないとは思いますけど、夜勤の看護さんは夜勤業務が始まってて忙しそうで、声を掛けるのを躊躇っている俺に、砂原さんが声を掛けてくれたんです」
◆◆◆
「どうしたの? 」
「あ、302号室の鈴木さんを起こしに行こうとしたら、なんだか身体が熱いみたいで……」
「熱は計った? 」
「あ、はい。 38度2分あります」
「風邪症状は? 」
「ありません。あ、でも夕方のオムツ交換に入った時に少し、パッドに出ていた尿が濁っていました。尿臭もありました」
「それ、今日の部屋担当の看護さんに伝えた? 」
「あ、はい。伝えたんですけど、特になにも言われませんでした……すみません。俺がもっとちゃんと伝えられてれば良かったのかもしれません……」
しゅんと項垂れる叶多の肩をポンと灯里が優しく叩いた。
「そんなことないよ。入職して、まだ現場経験も浅いのに、よくそこまで観察して報告出来たね。すごいよ、宇佐美君。あとは私に任せて、宇佐美君はもう定時だから上がっていいよ」
「え、いや、俺も何か手伝えることあれば残ります」
「ううん、大丈夫。多分症状からして、尿路感染だと思うし、先生に報告して、点滴の指示もらうことになると思うから、あとは看護の仕事。鈴木さんね、前も似たような症状出たことあるんだ。だから多分間違いないかな」
「やっぱりすごいね」と、灯里が叶多に賛辞の笑顔を向けた。
新人介護の言葉を疑うことも、面倒臭がることもなく、素直に受け取ってくれた看護師は灯里が初めてだった。
その時から、叶多の中で灯里は“特別”で、最も尊敬する看護師となったのだった。
◇
「――と言うわけで、俺にとって砂原さんは尊敬する看護師さんであり、ちゃんと新人の訴えも真摯に受け止めてくれる、憧れの先輩なんです」
「あはは、なんだか恥ずかしいなぁ……。そんなの、看護として当たり前のことなのに」
「その当たり前が出来る人が、その時は砂原さんしかいなかったんです。みんな帰る前だったし、要領の悪い新人介護の訴えなんて、まともに取り合ってくれなかった」
思い出したように、叶多は悔しそうに膝の前に置いた拳をギュッと握り締めた。
「その時から……俺は、もし砂原さんに何か困ったことがあったら絶対に、あの時の恩返しではないけど、助けたいって強く思ったんです」
「うん、そっか。はは……」
叶多が強い決意を込めた瞳で灯里を見上げる。
灯里は叶多の真意が分かって、ホッとすると同時に、気持ちが沈んでいた。
(なぁんだ、やっぱり、恋愛感情じゃなかったか……)
『恩返しをしたいから』『尊敬する先輩だから』とはっきりと叶多の気持ちを聞いた灯里は、既に動き始めていた自分の気持ちにストップをかけた。
「……もう、十分恩返しされたよ?」
そう言って、灯里がこの関係を終わらせようと口を開いたその時――。
ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴った。
28
あなたにおすすめの小説
本の虫令嬢ですが「君が番だ! 間違いない」と、竜騎士様が迫ってきます
氷雨そら
恋愛
本の虫として社交界に出ることもなく、婚約者もいないミリア。
「君が番だ! 間違いない」
(番とは……!)
今日も読書にいそしむミリアの前に現れたのは、王都にたった一人の竜騎士様。
本好き令嬢が、強引な竜騎士様に振り回される竜人の番ラブコメ。
小説家になろう様にも投稿しています。
イケメン恋人が超絶シスコンだった件
ツキノトモリ
恋愛
学内でも有名なイケメン・ケイジに一目惚れされたアイカ。だが、イケメンはアイカ似の妹を溺愛するシスコンだった。妹の代わりにされてるのではないかと悩んだアイカは別れを告げるが、ケイジは別れるつもりはないらしくーー?!
再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです
星空永遠
恋愛
6年前、ホームレスだった藤堂樹と出会い、一緒に暮らしていた。しかし、ある日突然、藤堂は桜井千夏の前から姿を消した。それから6年ぶりに再会した藤堂は藤堂ブランド化粧品の社長になっていた!?結婚を前提に交際した二人は45階建てのタマワン最上階で再び同棲を始める。千夏が知らない世界を藤堂は教え、藤堂のスパダリ加減に沼っていく千夏。藤堂は千夏が好きすぎる故に溺愛を超える執着愛で毎日のように愛を囁き続けた。
2024年4月21日 公開
2024年4月21日 完結
☆ベリーズカフェ、魔法のiらんどにて同作品掲載中。
獅子の最愛〜獣人団長の執着〜
水無月瑠璃
恋愛
獅子の獣人ライアンは領地の森で魔物に襲われそうになっている女を助ける。助けた女は気を失ってしまい、邸へと連れて帰ることに。
目を覚ました彼女…リリは人化した獣人の男を前にすると様子がおかしくなるも顔が獅子のライアンは平気なようで抱きついて来る。
女嫌いなライアンだが何故かリリには抱きつかれても平気。
素性を明かさないリリを保護することにしたライアン。
謎の多いリリと初めての感情に戸惑うライアン、2人の行く末は…
ヒーローはずっとライオンの姿で人化はしません。
顔も知らない旦那様に間違えて手紙を送ったら、溺愛が返ってきました
ラム猫
恋愛
セシリアは、政略結婚でアシュレイ・ハンベルク侯爵に嫁いで三年になる。しかし夫であるアシュレイは稀代の軍略家として戦争で前線に立ち続けており、二人は一度も顔を合わせたことがなかった。セシリアは孤独な日々を送り、周囲からは「忘れられた花嫁」として扱われていた。
ある日、セシリアは親友宛てに夫への不満と愚痴を書き連ねた手紙を、誤ってアシュレイ侯爵本人宛てで送ってしまう。とんでもない過ちを犯したと震えるセシリアの元へ、数週間後、夫から返信が届いた。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
※全部で四話になります。
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
溺愛のフリから2年後は。
橘しづき
恋愛
岡部愛理は、ぱっと見クールビューティーな女性だが、中身はビールと漫画、ゲームが大好き。恋愛は昔に何度か失敗してから、もうするつもりはない。
そんな愛理には幼馴染がいる。羽柴湊斗は小学校に上がる前から仲がよく、いまだに二人で飲んだりする仲だ。実は2年前から、湊斗と愛理は付き合っていることになっている。親からの圧力などに耐えられず、酔った勢いでついた嘘だった。
でも2年も経てば、今度は結婚を促される。さて、そろそろ偽装恋人も終わりにしなければ、と愛理は思っているのだが……?
稲妻の契り~生贄に出された娘は雷神様から一途な溺愛を受ける~
cheeery
恋愛
「ここをキミの居場所にすればいい」
神と心を通わせることが出来る存在、神話守になるべくして育てられた美鈴。
しかし、神聖な式典当日に倒れたことを理由に、彼女は神に拒まれた呪いの子として村から追放されてしまう。
さらに干ばつが続いたことで、生贄として村の神、雷神様に差し出されることに。
「お姉様生まれてきてくれてありがとう♡」
しかし、それは全て妹の策略だった。
神話守は妹のものとなり、美鈴は村のために命を差し出すことが決まってしまう。
村を守ることが出来るのなら……。
死を覚悟した美鈴だったが、待っていたのは──。
「泣いてる顔より、笑っている方がいい」
「美鈴……キミを守り通すと誓おう」
心優しい雷神様との幸せな暮らしだった。
あなたと出会ってから、人のために生きることがどういうことなのか、よくやく分かった気がする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる