孤独なもふもふ姫、溺愛される。

第八章

☆6

「みんな、それぞれ色々考えているのですわ。でも、どうしても受け入れられない考え方もありますわ。受け入れられない考えだったものでも、立場が変わったときや今までにない経験をした時、ハッとする事もありますわ。きっと、ティアちゃんにも素敵な考え方や言葉がありますわ。わたくしと仲良くしくださいませね」

ゆったりと湯船に浸かってリラックスした中で、今までにない言葉を貰ったとティアは思った。

（ティア、いろんな、ひととおはなし、したい。すきなひとたちとも、いっぱいおはなし、したい）

初めて会ったルミテルやランツはティアを化け物と悲鳴をあげなかったし、怖がった反応を見せなかった。
こんな人もいるんだ、と知らなかった。

怪我をしたレミィを助けた時に血がティアの身体に付着してしまって、暗がりの中血がついたティアを見て誤解をあたえるような状態になってて、レミィを怖がらせてしまったから化け物と叫ばれたと思う。
きっと、ティアが明るいところで林檎を食べてたら、そんなにレミィは化け物とは思わなかったと思う。
本人ではないから分からない。『レミィちゃんは怜悧狡猾な印象を与えやすくて友達は私くらいなものなのよ』とエメラルドは嘆いていたが、心配してくれたりなでなでしてくれるし、優しい。

（こわい、と、おもわれても、おはなし、すると、こわい、と、おもっていたのが、かわる、かも、しれない）

身を潜めてこの先ずっと生きていかないと、と思っていたが女同士裸の付き合いをしてルミテルの言葉を聞いて考え方が変わった。
なにも知らないから怖いと思われる。
ティアが林檎やおにぎりやパンを食べる、人間を襲わないって知ってもらえれば仲良くして貰える人がいるのかも。

「おはなし、したい。ルミテルとも、みんなとも、おはなしする！」

「パジャマパーティしましょう。レミィ、っていうひとのこと知りたいのですわ」

お風呂から上がると、ティアはふかふかのバスタオルで濡れた気を拭いて貰いドライヤーでふわふわな毛並みを取り戻すまで乾かしてもらった。白いワンピースのパジャマを貸してもらった。

「お嬢様とティアちゃんはすっかり、仲良しさんですね」

お風呂上がりですっかりと打ち解けたような二人の様子を見てランツは微笑んだ。

「ティア、ルミテル、すき！」

「わたくも好きですわ」

「そうしそうあい、ね！」

大きなベットでごろん、と二人は寝転がりくすくすと笑い合った。

ティアは初めて自分の事を話した。
ルミテルはティアの話を聞いて、「一人ぼっちは寂しかったですわね」と抱き締めた。ティアは気持ちが楽になって涙が出て泣いた。

額同士をくっ付けて、二人は眠った。
夜が優しく二人を包み込んでいた。