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父親の敵を目の前にして生まれて初めての激しい感情。頭の傷が痛むが憎しみだけがキリトを動かしていた。薬草をとってこようとした息子なりの母親に対する優しさや愛を忘れている。
荒い息遣いでいつもは穏やかな赤い瞳をギラギラと光らせて、黒い毛並みを利用して闇夜に紛れて猟師を追いかけていた。
(あいつを殺してやる)
殺気をまとうキリトの姿は魔狼そのものだった。
根負けして噛んでいた猟師の足を離してしまったのが悔やまれる。
人間の血の匂いを辿り、夜の森を抜けて人里へと出た。目の前に家が見えた。猟師は転がり込むように戸を開けて家の中に逃げ込んだ。複数の人の気配がする。キリトは身を隠して猟師が家から出てくるのを待つことにした。
夜が終わる。太陽が顔を出して人間達に活気を与える。
キリトは息を殺して家の戸が開かれるのを待った。
がらり、と音が聞こえた。子供が家から飛び出してきた。
「父ちゃん、絶対安静だからね!先生から薬をもらってくるから」
利発そうな子供が家の中にいる猟師へ向かって声をかせている。話の内容から、生命を取り戻す薬草があるところへと向かうようだった。
キリトは猟師を殺すのを後回しにして子供の後を追った。
狡猾で残忍な冷たい心が心地よかった。
荒い息遣いでいつもは穏やかな赤い瞳をギラギラと光らせて、黒い毛並みを利用して闇夜に紛れて猟師を追いかけていた。
(あいつを殺してやる)
殺気をまとうキリトの姿は魔狼そのものだった。
根負けして噛んでいた猟師の足を離してしまったのが悔やまれる。
人間の血の匂いを辿り、夜の森を抜けて人里へと出た。目の前に家が見えた。猟師は転がり込むように戸を開けて家の中に逃げ込んだ。複数の人の気配がする。キリトは身を隠して猟師が家から出てくるのを待つことにした。
夜が終わる。太陽が顔を出して人間達に活気を与える。
キリトは息を殺して家の戸が開かれるのを待った。
がらり、と音が聞こえた。子供が家から飛び出してきた。
「父ちゃん、絶対安静だからね!先生から薬をもらってくるから」
利発そうな子供が家の中にいる猟師へ向かって声をかせている。話の内容から、生命を取り戻す薬草があるところへと向かうようだった。
キリトは猟師を殺すのを後回しにして子供の後を追った。
狡猾で残忍な冷たい心が心地よかった。
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