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「僕達を見分けられるって?嘘だろう、そんなことが出来るわけがない」
ランジュは私を胡散臭そうな顔で見つめる。私から言わせれば、一見人が良さそうにふるまっているお前の方が胡散臭い。心の中では王子二人は関わりたくないカテゴリに入っていた。
普通の女なら王子に見初められて玉の輿と安易に考えるだろうが、そんな呑気な話にはならない。王族の一員となれば貧乏人には想像できない苦労を山ほどするだろう。
頭を使うのは不得意だ。剣を振るって分かりやすい敵を倒すのが血の気が多い私には性に合っているのだ。
「お前、目を瞑っていろよ。足で地面を叩いたら目を開けて手を挙げた方の名前を言え。いいな?」
「……分かりました。ご命令ならば」
下らない事に時間を使いたくない。時間は金だ。この時間があれば訓練や薪割り等色々な事ができる。用事があると言って立ち去りたいくらいだ。
しかし、王子様のお遊びに付き合ってやらないと周囲がうるさいだろう。
言葉とは裏腹に態度が悪い私を二人は珍獣を見るような顔で見ている。従順で牙が抜かれた獣にしか今まで触れたことがなかったのだろう。容易に想像できる。
地面をとんとんと足でたたき音が聞こえて私は目を開いた。
手を挙げる王子を見据えて私は静かな声で迷いや躊躇いもなく名前を呼んだ。
「……ランジュ様」
名を呼ばれランジュは魔法を初めて見たときのような顔をした。
「へえ、すごいね。父上や母上達は紐があるかどうかで判断するのに」
「なあ?嘘じゃなかっただろう!」
興奮気味にジュランはランジュに言った。何処か得意気な顔をして子供みたいだ。
「ねえ、君の名前を教えてよ」
本当は教えたくない。王子に名前を覚えられたくなかった。このクソガキ…言葉が悪すぎた。悪魔のような双子、どうにも言葉が良くならないな。兎に角、私は本当にこの二人とは関わりたくなかったのだ。
「ユイと申します。卑しい家の生まれにて、セカンドネームは御座いません」
この国では先祖代々の名前が二つ目につく人達がいる。しかしそれは名門の家のみの習わしである。
騎士になるのは名門の生まれのものか、腕を買われてのしあがる身分が低い者の二つに分かれる。
「……ユイか。狼のような女だな。野性的で油断してたら食われそうだ」
こんな不味そうな肉、喰いたいとも思わない。
「ジュラン様は剣の腕はかなりのものとか。ぜひ一度手合わせ願いたい。喰わずとも戯れになぶるは飼われている獣の嗜みですから」
ランジュは私を胡散臭そうな顔で見つめる。私から言わせれば、一見人が良さそうにふるまっているお前の方が胡散臭い。心の中では王子二人は関わりたくないカテゴリに入っていた。
普通の女なら王子に見初められて玉の輿と安易に考えるだろうが、そんな呑気な話にはならない。王族の一員となれば貧乏人には想像できない苦労を山ほどするだろう。
頭を使うのは不得意だ。剣を振るって分かりやすい敵を倒すのが血の気が多い私には性に合っているのだ。
「お前、目を瞑っていろよ。足で地面を叩いたら目を開けて手を挙げた方の名前を言え。いいな?」
「……分かりました。ご命令ならば」
下らない事に時間を使いたくない。時間は金だ。この時間があれば訓練や薪割り等色々な事ができる。用事があると言って立ち去りたいくらいだ。
しかし、王子様のお遊びに付き合ってやらないと周囲がうるさいだろう。
言葉とは裏腹に態度が悪い私を二人は珍獣を見るような顔で見ている。従順で牙が抜かれた獣にしか今まで触れたことがなかったのだろう。容易に想像できる。
地面をとんとんと足でたたき音が聞こえて私は目を開いた。
手を挙げる王子を見据えて私は静かな声で迷いや躊躇いもなく名前を呼んだ。
「……ランジュ様」
名を呼ばれランジュは魔法を初めて見たときのような顔をした。
「へえ、すごいね。父上や母上達は紐があるかどうかで判断するのに」
「なあ?嘘じゃなかっただろう!」
興奮気味にジュランはランジュに言った。何処か得意気な顔をして子供みたいだ。
「ねえ、君の名前を教えてよ」
本当は教えたくない。王子に名前を覚えられたくなかった。このクソガキ…言葉が悪すぎた。悪魔のような双子、どうにも言葉が良くならないな。兎に角、私は本当にこの二人とは関わりたくなかったのだ。
「ユイと申します。卑しい家の生まれにて、セカンドネームは御座いません」
この国では先祖代々の名前が二つ目につく人達がいる。しかしそれは名門の家のみの習わしである。
騎士になるのは名門の生まれのものか、腕を買われてのしあがる身分が低い者の二つに分かれる。
「……ユイか。狼のような女だな。野性的で油断してたら食われそうだ」
こんな不味そうな肉、喰いたいとも思わない。
「ジュラン様は剣の腕はかなりのものとか。ぜひ一度手合わせ願いたい。喰わずとも戯れになぶるは飼われている獣の嗜みですから」
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