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無礼者!さっさと俺の前から消えるがいい、と真っ赤な顔で怒鳴り散らすのを予想していた。
男は女に生意気な言動を取られると途端に余裕をなくして威圧的な態度をする。どんなに品が良くてもプライドを傷つけられるのは耐えられないだろう、と思っていたが。
「…俺がジュランであることが分かり、尚且つ剣が得意だと認識しているなんて…気に入った」
怒るどころか嬉しそうな表情だ。いや、もしかして笑っている。笑わない氷の王子と囁かれるジュランの笑みを見たら他の乙女達は頬を赤らめてよろめくだろうが、私は自分の失態に歯噛みした。
口は災いの元だ。余計な事を言わなければ良かったと後悔する。
「私は訓練がありますので、失礼します」
この場限りで私への興味をなくすだろうと思っていた。城には数多くの女達が王子の為に用意されている。夜の相手を役目としている見目麗しい教養を教え込まれた有名な踊り子や歌姫、様々なきらびやかな花達がいるのだ。
女だが男だか分からない筋肉質の私を抱きたいとは思うまい。
この時、私は20才で処女。
一生男に抱かれてやるつもりなど微塵もなかった。
男など情けなく死ぬでガキ。そんな生き物の為に私の時間を使いたくはない。
一方双子達は18才になったばかりのクソガキであったが、女の扱いに慣れていたし何十人の女を抱いていた、どんな女も自由にできるこの国の王子だ。
訓練が終わりまだ馴染んでない自分の部屋へと戻って汗を流していた。人心地つき柔らかなタオルで濡れた身体を拭いていたら突然ドアを開かれた。
咄嗟にタオルで胸を隠して、無礼者を睨み付ける。
この城に住む人間の部屋のドアをノックせずとも当然の如く入ってくる者は、王族。
嫌な予感は的中するもので現れたのは王子の片割れだった。
「へえ、やっぱりおっぱいは隠すんだね。男勝りだけど女の子らしくて安心したよ」
物腰が柔らかな口調で微笑むランジュ。胸をおっぱい、と表現されて私の羞恥心が刺激されて不覚にも顔に熱帯びるのを感じて鋭く舌打ちした。
「……夜伽の部屋なら向こうだ、もう寝惚けているのかランジュ様。魔術に魅了され阿呆になったのか」
形式的に様をつけて呼んではいるが、もう私の頭には王子を敬うという考えはなかった。
「僕をランジュと認識してるねぇ、本当…ジュランが言ってたけど認識されて名前を呼ばれるとゾクゾクする。堪らない」
雄として完成された逞しい体躯。私がいくら腕に覚えありの騎士見習いでも今は無防備である。組み敷きられたら逃れるのは難しい。
男は女に生意気な言動を取られると途端に余裕をなくして威圧的な態度をする。どんなに品が良くてもプライドを傷つけられるのは耐えられないだろう、と思っていたが。
「…俺がジュランであることが分かり、尚且つ剣が得意だと認識しているなんて…気に入った」
怒るどころか嬉しそうな表情だ。いや、もしかして笑っている。笑わない氷の王子と囁かれるジュランの笑みを見たら他の乙女達は頬を赤らめてよろめくだろうが、私は自分の失態に歯噛みした。
口は災いの元だ。余計な事を言わなければ良かったと後悔する。
「私は訓練がありますので、失礼します」
この場限りで私への興味をなくすだろうと思っていた。城には数多くの女達が王子の為に用意されている。夜の相手を役目としている見目麗しい教養を教え込まれた有名な踊り子や歌姫、様々なきらびやかな花達がいるのだ。
女だが男だか分からない筋肉質の私を抱きたいとは思うまい。
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男など情けなく死ぬでガキ。そんな生き物の為に私の時間を使いたくはない。
一方双子達は18才になったばかりのクソガキであったが、女の扱いに慣れていたし何十人の女を抱いていた、どんな女も自由にできるこの国の王子だ。
訓練が終わりまだ馴染んでない自分の部屋へと戻って汗を流していた。人心地つき柔らかなタオルで濡れた身体を拭いていたら突然ドアを開かれた。
咄嗟にタオルで胸を隠して、無礼者を睨み付ける。
この城に住む人間の部屋のドアをノックせずとも当然の如く入ってくる者は、王族。
嫌な予感は的中するもので現れたのは王子の片割れだった。
「へえ、やっぱりおっぱいは隠すんだね。男勝りだけど女の子らしくて安心したよ」
物腰が柔らかな口調で微笑むランジュ。胸をおっぱい、と表現されて私の羞恥心が刺激されて不覚にも顔に熱帯びるのを感じて鋭く舌打ちした。
「……夜伽の部屋なら向こうだ、もう寝惚けているのかランジュ様。魔術に魅了され阿呆になったのか」
形式的に様をつけて呼んではいるが、もう私の頭には王子を敬うという考えはなかった。
「僕をランジュと認識してるねぇ、本当…ジュランが言ってたけど認識されて名前を呼ばれるとゾクゾクする。堪らない」
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