17 / 21
中学編。
なくしたもの 7
しおりを挟む
「……まぁ、まだ小学生だからはり美より素敵な女性がきっと彼の元に現れるんじゃない。うざいから元気出せよ」
湊斗がぽん、とハリスの肩を軽く叩きて何の慰めにならないことを言った。
この場を適当に一旦終わらせようとしている。
湊斗の声が何処かぼんやりとしていた。夢を見ているような声だ。
「もっとちゃんと慰めてよね!」
適当に終わらせようとしている、と微妙な心の動きを動物の本能的な勘で察知するとハリスは湊斗にぎゅうと抱き付いた。
「…慰めるべきは彼の方だけどね。よしよし」
胸元に顔を埋めるハリスの背中をぽんぽんと湊斗は優しく撫でた。甘えられると弱いタイプだと今、知る。
人と話す前、人と話した後、知らなかった自分が顔を出すことがある。それが本来の自分なのかただのその場だけの感情なのか。それが怖くて人関わるのが躊躇われる。
人と話す前は他人に誤解されている。
静かな、いい子だと思われてたり、大人しい奴だと思われていたり、それの誤解を解きたい。と、湊斗は積極的には思ってはいない。
優等生を演じているのが、大人にバレなければいい。メッキが剥がれる前に義務教育を乗りきりたい。
(深いところで眠っていたい、白雪姫のように。)
眠れるなら毒リンゴを躊躇いもなく食べる。目覚めのキスなんていらない。
梅と出会い両親の事に触れて湊斗の心は少し疲れていた。梅には出会って良かったと思う。
(だけど、…僕は終わりにしたいから。キスされて、愛しい人に見守られて目覚めるなんて起こり得ない)
「……塩尾は初恋をしたことがあるのかよ?」
幼児を慰めるようにハリスを撫でて空想へと意識を飛ばしていた湊斗は勇治の声で我に返った。
「ないよ。恋なんてしない。僕は自分の遺伝子を残すつもりはないから。女性を好きになるなんて事はない。自分だって愛せていないのに、足りないものを補うとか…そんなの補えたとか、恋なんて思い込みにしか過ぎない」
つらつらと湊斗の言葉は止まらない。抱き付いていたハリスは顔をあげると湊斗を心配そうに見つめた。口を開きかけるが、ふと閉ざしてしまう。
湊斗が初恋の子なんだけど、と告白するのはまだ早いと思ったからだ。
「塩尾、俺はお前が初恋の子つーやつだ。難しい事はわかんねぇけど、お前のこと守りてぇって思う」
勇治は真剣な顔だ。からかいや冗談ではない事が分かった。
「じゃあ、僕をお姫様にして。毒リンゴ食べてずっと眠っていたいと思っているから。お前のキスで目覚めてもいいって思わせてみせろよ」
湊斗は初恋の子、だと言われて鼻で笑った。
自分は守ってもらうような弱い人間ではない。勇治は誤解している。
「分かった。塩尾、…湊斗にキスしてくれってねだられるように頑張る」
勇治は湊斗の言葉に対して起こりもせず静かな声で誓った。
「お、俺も!湊ちゃんが初恋の子だから、王子さまになれるように頑張る!」
ハリスは慌てて挙手をして参戦する。
こうして、一人のおとこ姫。と、二人の王子様候補が生まれたのだった。
湊斗がぽん、とハリスの肩を軽く叩きて何の慰めにならないことを言った。
この場を適当に一旦終わらせようとしている。
湊斗の声が何処かぼんやりとしていた。夢を見ているような声だ。
「もっとちゃんと慰めてよね!」
適当に終わらせようとしている、と微妙な心の動きを動物の本能的な勘で察知するとハリスは湊斗にぎゅうと抱き付いた。
「…慰めるべきは彼の方だけどね。よしよし」
胸元に顔を埋めるハリスの背中をぽんぽんと湊斗は優しく撫でた。甘えられると弱いタイプだと今、知る。
人と話す前、人と話した後、知らなかった自分が顔を出すことがある。それが本来の自分なのかただのその場だけの感情なのか。それが怖くて人関わるのが躊躇われる。
人と話す前は他人に誤解されている。
静かな、いい子だと思われてたり、大人しい奴だと思われていたり、それの誤解を解きたい。と、湊斗は積極的には思ってはいない。
優等生を演じているのが、大人にバレなければいい。メッキが剥がれる前に義務教育を乗りきりたい。
(深いところで眠っていたい、白雪姫のように。)
眠れるなら毒リンゴを躊躇いもなく食べる。目覚めのキスなんていらない。
梅と出会い両親の事に触れて湊斗の心は少し疲れていた。梅には出会って良かったと思う。
(だけど、…僕は終わりにしたいから。キスされて、愛しい人に見守られて目覚めるなんて起こり得ない)
「……塩尾は初恋をしたことがあるのかよ?」
幼児を慰めるようにハリスを撫でて空想へと意識を飛ばしていた湊斗は勇治の声で我に返った。
「ないよ。恋なんてしない。僕は自分の遺伝子を残すつもりはないから。女性を好きになるなんて事はない。自分だって愛せていないのに、足りないものを補うとか…そんなの補えたとか、恋なんて思い込みにしか過ぎない」
つらつらと湊斗の言葉は止まらない。抱き付いていたハリスは顔をあげると湊斗を心配そうに見つめた。口を開きかけるが、ふと閉ざしてしまう。
湊斗が初恋の子なんだけど、と告白するのはまだ早いと思ったからだ。
「塩尾、俺はお前が初恋の子つーやつだ。難しい事はわかんねぇけど、お前のこと守りてぇって思う」
勇治は真剣な顔だ。からかいや冗談ではない事が分かった。
「じゃあ、僕をお姫様にして。毒リンゴ食べてずっと眠っていたいと思っているから。お前のキスで目覚めてもいいって思わせてみせろよ」
湊斗は初恋の子、だと言われて鼻で笑った。
自分は守ってもらうような弱い人間ではない。勇治は誤解している。
「分かった。塩尾、…湊斗にキスしてくれってねだられるように頑張る」
勇治は湊斗の言葉に対して起こりもせず静かな声で誓った。
「お、俺も!湊ちゃんが初恋の子だから、王子さまになれるように頑張る!」
ハリスは慌てて挙手をして参戦する。
こうして、一人のおとこ姫。と、二人の王子様候補が生まれたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
百合豚、男子校に入る。
揺
BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。
母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは――
男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。
この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。
それでも眞辺は決意する。
生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。
立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。
さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。
百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる